骨粗鬆(こつそしょう)症は多くは年配の女性がかかる病気で、骨が軽石のようにスカスカになり、骨折しやすくなります。
骨の密度(骨量)は若い時に最も高くなり、閉経後に急激に減少していきます。したがって予防のためには10代、20代のころに骨量をできるだけ高めておくことが、まず大切です。
骨量を増やし、骨をじょうぶにする大きな因子は栄養と運動です。小児期から思春期のカルシウム摂取は、骨量を増やすために重要です。カルシウムの摂取を強化することによって、骨へのカルシウムの沈着は促進されます。良質のたんぱく質やビタミンD、マグネシウムなども骨の形成にかかわっています。また、思春期に運動をしっかりすると骨量が高い、ということも分かっています。
女性ホルモンのエストロゲンは、骨の代謝と密接なかかわりのあるホルモンで、骨からのカルシウムが溶け出すのを抑える作用を持っています。エストロゲンの分泌が低下している状態が続くと、骨量は徐々に減ってきます。極端なダイエットをすると月経が止まるだけでなく、骨量も減ってしまうのです。後から増やすのはなかなか難しく、最大骨量が低いままで将来の(場合によっては若い年代での)骨粗鬆症につながります。母親の骨量が低いと子どもの骨量も低いというデータがありますから、親が骨粗鬆症の人は一層気をつける必要があります。次回は骨粗鬆症で、更年期以降に気をつけることについてお話しします。(大阪樟蔭女子大教授・三宅婦人科内科医院医師、甲村弘子)
毎日新聞 2008年1月13日 大阪朝刊