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アライグマや毒グモ…迷惑外来種の侵入予測 今春から

2008年01月15日10時18分

 アライグマやセアカゴケグモなど、環境や農作物、人の健康に害を与える外来生物の「分布拡大予報」を横浜国立大や国立環境研究所などが今春始める。いつごろ、どの地域まで侵入してくるのかを知らせ、行政や住民に駆除や被害防止対策で先手を取ってもらう狙いだ。3月の日本生態学会で計画を公表し、市民にも協力を求める。

 「予報」の対象には、北米原産のアライグマ、東南アジア原産で毒グモのセアカゴケグモ、南米原産の害虫アルゼンチンアリなど約10種類を検討している。環境、農業などへの影響が大きく、外来生物法で飼育や持ち込みなどが禁止された特定外来種を中心に、順次対象を広げていく。

 まず、種ごとに1〜10キロ四方ごとの現在の分布をまとめる。それを基に数年後、10年後、20年後といった分布拡大地図を予測し、インターネット上で公表する。いずれは市町村ごとの予測地図なども目指す。

 予測には、過去の広がりの速さを示すデータなどを使う。森林や畑、住宅地など、それぞれの生物の侵入速度や方向を左右する土地の利用形態も反映させる。

 害虫飛来予測の実績がある中央農業総合研究センターや、世界自然保護基金(WWF)ジャパンも参加する。外来種を見つけた協力者からは画像などを送ってもらい、予測に役立てることにしている。

 横浜国大の小池文人・准教授は「予報によって市民の関心も高まり、外来生物を持ち込んだり、放したりしなくなるだろう。侵入予測地域を重点的に調べることで、侵入防止策や根絶策の効果も検討できる」といっている。

    ◇

 〈外来生物〉 人間の活動によって外国から入ってきた生物。アライグマのようにペットとして持ち込まれて野生化したり、セアカゴケグモのように荷物について輸入されたり、とルートは様々だ。日本では2000種が確認されている。農作物を荒らす、元来の生態系を損なう、人に健康被害を及ぼすなどの問題がある。05年施行の外来生物法で、特定種は飼育や運搬、放流などが禁止された。

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