日本産のマグロは、もう日本では食べられなくなる? 好景気に沸く中国などの近隣国が、東京・築地市場で、富裕層向けに高級水産物を買い付ける動きが活発化。5日の初市でも、数ある日本の高級すし店を抑え、1匹607万円の最高値マグロを仕入れたのは、香港のすし店だった。
最高値マグロを納入した仲卸「やま幸」は「中国沿岸部では、普及している養殖マグロだけでは飽き足らず、質の高い日本産の天然クロマグロへの関心が高まっている」と話す。
市場関係者は「過去に例がない事態」(同市場卸の中央魚類)と危機感を強めているが、マグロに限った話じゃない。
調査捕鯨後に一部が市場に出回る刺し身用クジラ肉は「バンコクやモスクワから頻繁に買いに来る業者がいる」とクジラ専門の仲卸。
さらに「天然のマダイやヒラメも、手荷物扱いで中国などに輸出されている」(卸会社の築地魚市場)という。
魚離れが指摘される日本とは裏腹に、海外の水産物消費は勢いを増している。築地の高級魚はいずれ、新興国の富裕層の口にしか入らなくなるんじゃないか。
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