弘前大医学部、医師確保に奔走 地域医療への意欲引き出す
![](/contents/023/213/376.mime4) | 7日にオープンしたばかりの弘前大付属病院外来診療棟。研修医に対応した設備も一新された |
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医学部卒業生の青森県外流出に悩む弘前大が、新たな医師確保策に乗り出す。新年度は、医師と看護師向けに学内保育園を開設。24時間保育が可能で、空きがあれば大学院生も利用できる。2009年度には、受験生の個性を重視するアドミッションオフィス(AO)入試を導入する。地域医療に意欲的な学生の獲得を目指し、医師不足の解消につなげたい考えだ。
学内保育園は4月、医学部付属病院内に設置。約330平方メートルのスペースを用意し、定員は40人。民間に業務を委託し、弘前市内で初の24時間保育を実施する。
全学の教職員が養育する生後8週間以上の未就学児童が対象で、病院勤務の医師や看護師の利用を中心に考えている。遠藤正彦学長は「病院で働く人たちの間に、保育園があれば、大学に残るという声が多かった」と経緯を説明する。
保育料は市営保育所並みに設定し、定員に空きがある場合は大学院生も子供を預けられる。東北の大学では、東北大や山形大が学内保育園を開設しているが、院生も利用できるのは珍しいという。
弘前大医学部医学科の今春の卒業予定者は102人。4月以降、研修医として県内に残るのは既卒者を含む41人で、半数にも満たない。それでも、105人が卒業し、既卒者を含めて29人しか残らなかった前年に比べると増えている。
佐藤敬医学研究科長は「(今春県内に残る41人のうち)県外出身者が23人と多いのも特徴。07年度から6年生に義務付けた地域医療実習の成果だ」と話し、地域医療を強く意識した医師確保策が実を結んでいることを強調する。
従来の推薦入試に代わり、09年度から導入するAO入試は筆記試験などを課す1次選考を9月に、個人面接などの2次選考を10月に実施する予定。遠藤学長は「成績偏重にならないよう人間性を見ながら、地域医療で頑張れる人を大事にしたい」と話す。
また、施設の老朽化に伴い、7日にオープンした付属病院の新外来診療棟には卒後臨床研修センターを併設した。研修医一人一人の専用デスクを用意するなど、研修環境の向上にも配慮した。