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日本ハムから1巡目指名を受けた多田野はソーセージとマスコット人形を手に笑顔
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逆輸入だ!!大学・社会人ドラフトが19日に東京都内のホテルで行われ、日本ハムは1巡目で今季アスレチックス傘下3Aサクラメントでプレーした多田野数人投手(27)を指名した。“松坂世代”でもある同投手は04年にメジャー初先発初勝利を挙げるなど、米国で5年間のプロ生活を送ってきた本格派右腕。リーグ3連覇に向けて先発投手の補強が急務だった日本ハムが、今ドラフトで“隠し玉”としてリストアップしていた。多田野は同日の会見で入団に前向きな姿勢を示し、海を越えて来季は北の大地で新たなスタートを切る。
【懐かしのドラフト】
1巡目指名を受けた元メジャーリーガーは自信に満ちあふれていた。
「本当にうれしい。(入団を)前向きに考えています。自分は5年間プロでやってきた。周囲がルーキーと呼ぶのは自由だけど、自分では1年目とは思わない」
立大時代は早大・和田(現ソフトバンク)らとしのぎを削り、六大学通算20勝。02年ドラフトでは横浜の自由獲得枠候補にも挙がった。しかし、最終的には指名から漏れて米球界に挑戦。1Aからのスタートで、04年にインディアンスで待望のメジャー昇格。同年7月のレッズ戦で初先発初勝利を挙げた。今季は3Aチャンピオンシップの優勝決定試合で勝利投手ともなった。挫折も栄光も味わった多田野は「パンとジュースだけの生活からメジャーリーガーのリッチな生活まで体験した。5年間は自分にとってプラスになっている」と、精神的にタフな横顔をのぞかせた。
今季の日本ハムの先発ローテーション投手で2ケタ勝利を挙げたのはダルビッシュ(15勝)ただ1人。その意味でも、リーグ3連覇に向けて先発投手の補強は急務だった。日本ハムは02年にも多田野の獲得に動いており、いわば6年越しの恋人。今ドラフトでの1巡目指名について、山田GMは「広島も獲得の意思を示していたので、(1巡目で)獲らないと、と思った」と説明した。
また1巡目指名の抽選で2度も外れクジを引いた梨田監督も「多田野は、本当に“ただの”投手ではない。米国でハングリー精神を養い、日本でも技術的、精神的にも力になってくれるはず。(ビデオスキャンダルなど)いろいろないきさつがあったが、人間誰しもミスはある。更生してプラスの部分で社会貢献してほしい」とエールを送った。
今後、日本ハムとの交渉は代理人を通じて行うが、多田野自身は「自分を一番高く評価してくれているところでやりたい」と話しており、日本球界復帰に障害はない。会見の場に選んだのは自分を育ててくれた神宮球場。「努力してきたからこそ、今ここにいる。また新しい道が開けるのかなと思う」。“逆輸入投手”が思い出の地から新たなスタートを切る。
▼多田野 数人(ただの・かずひと)1980年(昭55)4月25日、東京都生まれの27歳。八千代松陰3年夏に甲子園出場。立大卒業後の03年にインディアンスとマイナー契約。04年4月27日のホワイトソックス戦でメジャーデビュー。同年7月2日のレッズ戦で初先発初勝利を挙げた。06年にアスレチックス移籍。今季は主に3Aサクラメントでプレーした。メジャー通算は15試合で1勝1敗、防御率4・47。1メートル81、80キロ、右投げ右打ち。
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