「最年少三ツ星シェフ」、
「天才」とうたわれる、「カンテサンス」岸田シェフ。
昨年、BS朝日「FooDictionary」という番組に出演してもらって以来、
僕は岸田シェフのファン。
若くて腕がある上に腰が低い。
稲穂のような人柄。
「カンテサンス」という店名は、
「エッセンス」という言葉にも通じ、「真髄」などという意味もあるみたい。
素材の旨味、エッセンスを熟知し、それをいかに引き出すかに魂を注ぐ。
そんな岸田シェフ。
三ツ星獲得のお祝いにピエールエルメの「マカロン」を持っていく。
そう。
フランスでは「三ツ星」といわず、「3マカロン」って言う。
星って「★」でなく「*」で、マカロンに見えるから、らしい。
かの益博氏は、星を取ったお店には、マカロンを手土産に持っていくって
言ってたのを思い出し、僕も真似してみた(笑)
あ、思い出した。
余談だが、3年前、「嗚呼!花の料理人」って企画書を書いたとき、
フランスのミシュラン本を見てて、「あれ?星じゃなくて花じゃん!」って思って、
「星の料理人」って意味で、「花の料理人」ってタイトルにしたんだった(笑)
まあいいや。
個室を2つぶち抜いて、仲良し10人での夕食。
三ツ星取る前からの予約だったので取れたが、
今や数ヶ月先まで満席で、
電話は、受付開始とともに、ずっと鳴りっぱなしだそうだ。
計13皿にも及ぶ、
岸田ワールドの数々……
無色透明なのに、香りと味は完全にジャガイモの、
「ジャガイモのコンソメスープ」から始まり、
豚の血がこんなに美味しいんだ、と感動させられる、
「ブータン・ノワールとタルト、フォアグラのソテー」で、一気にテンション上がる。
なんだこれは!!
贅沢にも、フォアグラを、濃厚な「ソース」として、
豚のソーセージにからめて味わい、
そこにほどよく潜り込んでくる「タルト」のサクサク感が、
口の中を幸福にしてくれる。
生の鹿肉も、まるでお鮨のよう。
そして、この日、最高に感動したのが、
「子豚の丸焼き」(写真)。
この世に、こんな豚料理があったのか、って感じ。
表面の皮の部分を、まるで揚げたように、これ以上ないギリギリまで、カリカリに仕上げてあり、
歯を入れると、パリパリって音があたりに響く。
それほどクリスピーな皮の壁を歯が乗り越えると、
その先には、肉汁ジュワー、食感ふわふわな、豚肉の楽園が待っている。
…なんだそれ。
でもそんな感じ(笑)
「カンテサンス」の名に相応しい、豚のエキスのような香りと旨味に、脳が刺激された。
実はこれ、3時間、ゆ~~っくり火を入れて作られる。
フランスの三ツ星「アストランス」で学んだ独特の火入(キュイソ)で、
低温長時間ローストし、最上質の、肉に備わった繊細な風味を引き出しているのだ。
最後のデザートも、感動。
メレンゲを砕いて作られた、アイス。
あのキャラメリゼの焦げた香ばしさは、忘れられない。
1つ質問すれば、即座に答えが返ってくる。
いつ誰が何を食べたかを全て記録しているため、
料理は、前回とほぼ違うものが出てくるという、細やかさ。
…ミシュラン東京2008。
いろんな意見があるが、この店は、三ツ星の中の三ツ星、って気がしたな。
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