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【外信コラム】北京春秋 イヌが怖い

2008.1.14 02:07

 犬にかまれた−。北京の繁華街、王府井近く。歩道に止めてあった荷車の側を通り抜けようとしたら、突然、黒い小型犬が飛びついてきた。慌てて振り払い、かまれた左足首を確認した。大丈夫だ。傷はない。

 「犬が苦手」という個人的な理由はあるにせよ、過剰に反応したのには訳がある。10日に鳥インフルエンザの人から人への感染が初めて確認された中国だが、実は死者数が最も多い感染症は狂犬病なのだ。

 中国衛生省によると、中国の狂犬病発症数はインドに次いで世界2位。ピーク時の1983年には全国で5323人が死亡した。85年に対策を講じてから発症数は激減したが、2000年以降、再び増加傾向に転じた。昨年12月の死者は前月比約50%増の370人というから穏やかではない。

 家計に余裕が生まれ、ペットを飼う家庭が増えた。だが、狂犬病に対する知識不足もあり、特に農村部では予防接種を怠る飼い主も多い。北京市は登録制を採用し、無料で予防接種を実施。犬好きの市民は「北京の犬は注射をしているから大丈夫」というが、怖いものは怖い。

 ちなみにくだんの小型犬の飼い主は知らんぷり。そんな態度だから本当に愛犬に予防接種をしているのか不安になる。8月、五輪観戦に訪れる際もご注意を。用心に越したことはない。(川越一)

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