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東シナ海ガス田 中国が初めて中間線付近(日本側海域)での共同開発を打診 (1/2ページ)
共同開発の対象海域などをめぐり日中の主張が対立する東シナ海のガス田問題で、中国側が昨年12月末の福田康夫首相と温家宝首相との日中首脳会談前の事務レベル協議で、初めて日中中間線付近の日本海側海域での共同開発を打診していたことが13日、分かった。これまで「係争海域は中間線と沖縄トラフの間」としてきた中国側が一定の歩み寄りをみせたものだ。ただ、中国側は日本が求める中間線付近の中国側海域での開発は一切認めなかったため、協議は最終的に決裂した。
東シナ海の日中境界線をめぐっては、日本側は日中の海岸線から等距離にある「中間線」を、中国側は沖縄諸島のすぐ西側にまで広がる大陸棚の東端「沖縄トラフ」をそれぞれ主張している。平成16年から始まったガス田共同開発の日中局長級協議でも、この「原則論」をめぐって議論は折り合わず、平行線をたどってきた経緯がある。
こうした中で、日本側は昨年11月の協議で、中間線にまたがる海域での共同開発に応じるのであれば、中間線の日本側の一部での先行的な共同開発を認めることを打診。このときは、中間線を境界線と認めない中国側が拒否していた。今回、中国側が「中間線付近」での共同開発を申し出たのは、福田首相の訪中を機に、初めて日本側の立場に一定の理解を示したものといえる。
ただ、日本側は「ことは国家主権にかかわる。日本側海域だけでなく、あくまで中間線の中国側海域での開発も文書で担保されなければ、中国の申し出を受け入れることはできない」(政府関係者)と主張。協議は首脳会談前まで断続的に繰り返されたが、結局、妥結点は見つからなかった。
福田首相は中国への出発前、記者団に「交渉は事務レベルで進めてもらえばいい」と述べており、この問題で事務方への具体的な指示はなかったという。ガス田共同開発問題は、今春に予定される胡錦濤国家主席の来日までの決着を目指すことになったが、今後は定期的な公式の局長級協議は開催せず、非公式の事務レベル協議を随時開催して議論を詰める。