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社説

あす成人の日 思いを外にぶつけよう(1月13日)

 道内ではきょう成人式を祝う市町村が最も多い。約五万九千人が大人の仲間入りをする。

 晴れ着姿で写真を撮る光景が見られそうだが、若者たちの心の中は、すっきり「晴れ」とはいかないようだ。

 学生からは「非正規の仕事しかないかもしれない」という不安を聞く。

 若者の中には挫折すると、自分で責任を抱え込み、自分を罰する形で身を引く例が後を絶たない。正社員から非正規雇用、無職、ひきこもりへ−。そうではなく、思いを外にぶつけて社会を変える力にしてほしい。

 現代は「ポスト近代社会」と言われる。経済活動が国境を超えて展開するグローバリゼーションが進み、中国など低賃金の国と競争しなければならない。先進国では仕事の中心は製造業からサービス産業に移っている。気を使う仕事だ。

 そこで求められるのは、意欲や対人関係能力、創造力だと本田由紀・東大准教授は説明する。だが、あらゆる失敗をこうした能力不足に帰する自己責任論が広がっていないか。

 個人の能力や人格の問題より、むしろ雇用形態の変化の影響が大きい。経済界は十三年前から派遣や契約社員、パート、アルバイトなどの有期雇用を増やす方針をとってきた。政府も雇用多様化の名で後押しした。

 非正規雇用は昨年の総務省調査で33%と、十年前より10ポイントも増えている。使い捨て可能な調整弁として働かされている若者が少なくない。

 滝川出身の作家、雨宮処凛(かりん)さんが昨年出した「生きさせろ!難民化する若者たち」という本が話題になった。

 雨宮さんは十九歳から二十四歳までフリーターを経験した。今、若者たちには言語化できない苛立(いらだ)ちだけが募っているという。怒って言葉にしていけばいい、と説く。

 人材派遣大手のグッドウィルに不当に給与の一部を天引きされた派遣労働者が集団で提訴した。変な働き方をさせられたら、告発することだ。

 相談にはフリーター全般労組も応じる。道内には労働者の権利を教えるNPO「職場の権利教育ネットワーク」ができた。連合に非正規労働センターも開設された。大いに活用しよう。

 社会は若者をどう支援すればいいのか。まず自信を与えるような職業教育の工夫があってよい。

 若者の就労を支援する人からは「周りの評価の目を意識しすぎて、委縮した」姿が語られる。自分を「ダメなやつ」と否定する。その結果、なんらかの権威に幻想を抱いて追従する傾向もみられるという。欠点はだれにもあり、各自の一部にすぎない。

 若者が新しい時代をつくる。身近な他者と協力して、困難な時代を元気に生き抜いてほしい。

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