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【スポーツ】

日本が五輪前線基地に 北京まで3時間「近い・安全・安心」

2008年1月13日 朝刊

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 8月に開かれる北京五輪の直前合宿地として、日本が海外から脚光を浴び始めた。英国の競泳が大阪、ドイツ陸上が北海道での合宿を決めたほか、ポーランドの競泳は富山、スウェーデン全選手団とオランダ陸上が福岡で最終調整中だ。北京入りをギリギリまで遅らせる「北京回避」の背景には、大気汚染や食べものへの不安がある。国内の自治体は経済効果を狙って誘致を進めており、日本が“メダル前線基地”に。会場不足などで直前合宿を隣国で行う例はあるが「あえて開催国を避ける」(関係者)のは異例だ。

 英国競泳チームは、7月下旬から大阪プール(大阪市)で約60人が合宿する。大阪水泳協会の奥村雅一事務局長(49)は「チーム側からは『北京で合宿したいが、空気が汚いし食事も心配。大阪はその点で安心だし施設も充実している』と聞いた」と話す。

 北京へは飛行機で3時間足らず。大阪プールは北京に敗れた大阪五輪招致の際、水球会場の候補で、合宿地としてはうってつけだ。

 日本水泳連盟は英国をはじめ海外のチームから打診を受けて国内の各都市を紹介しており、イタリアの千葉合宿もほぼ固まった。

 北京では、自然破壊の影響で黄砂が雪のように舞う日があるほか、急激な工業化で工場の排煙や排ガスが問題に。水道水を詰めただけの「ミネラルウオーター」が店頭に並ぶことがあるなど、食への安全意識も先進国に比べてまだ低い。

 北海道への合宿誘致に力を注ぐ日本スケート連盟会長で夏冬五輪に7度出場した自民党の橋本聖子参院議員は「海外の選手は中国での合宿に今でも食材を持ち込んでいる。北京の環境を懸念する選手、チームから合宿地の相談は少なからずある」と明かす。

 こうした中、北海道は昨年12月18日、日本や外国の選手団の合宿誘致を狙い、日本オリンピック委員会と協定を結んだ。道内の自治体がスポーツ施設の優先利用や利用料減免など便宜を図る代わりに、合宿地として国内外の競技団体に紹介してもらう。

 7月には洞爺湖サミットがあり、北京五輪はその1カ月後に開幕する。道は「サミット後の合宿誘致が実現すれば北海道をさらに世界へ発信できる。国際的な合宿地や観光地としての宣伝、さらに経済効果も見込める」と期待する。

 ドイツ陸上チームの約70人が合宿する北海道士別市は「夏も冷涼、低湿な環境がドイツと似ていて安心して練習できる」と紹介された。

 このほか、ポーランド、スロバキア、オーストラリアの陸上チームは高知県で、フィンランドのボートとカヌーは香川県で合宿を検討。各国とも本番前の“難敵”を避けてニッポンパワーでメダルに挑む。

 北京回避の動きは日本代表チームの中にもあり、競泳チームは韓国の済州島で直前合宿を予定する。日本水泳連盟は「北京の事情、静かに集中して最終調整できる環境も考えて総合的に判断した」と説明している。

 

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