ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 長野 > 記事です。

長野

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

人ふでがき:難産防ぐ骨盤ケアを指導する穂助産院長・廣瀬ミエ子さん /長野

 ◇正常出産は助産師で--穂(みのり)助産院長・廣瀬ミエ子さん(58)

 妊産婦の骨盤のゆがみを治すことで、正常なお産に導く--。須坂市内で開業している助産院で「骨盤ケア」という整体を行っている。赤ちゃんの頭がつっかかるなどの難産を防ぐことができるという。「普通のお産は医療が介入しなくてもできるように妊娠中からケアしたい。これからは助産師がお産を支えないといけないのだから」と話す。

 県立須坂病院のお産取り扱い休止をうけて創立された「地域で安心して子供を産み育てることを望む会」の会員でもある。医師不足が問題となっている中で、「医師と助産婦の責任を明確化し、正常なお産は助産師だけでできるようにすべきだ」と訴える。

 須坂病院に13年間働いた後、98年から同市内で助産院を開業。陣痛が進まず出産できない患者が多く、病院で陣痛促進剤を投与することが続いた。「なんでこんなに病院に送らないといけないのか」と疑問に思うようになった。そのころに出合ったのが「骨盤ケア」だ。京都大付属病院の助産師だった渡辺信子氏が提唱したもので、専門的な勉強を重ね、妊産婦に施してきた。

 佐賀県出身。当初は看護師として勤務した。しかし「当時は末期がんなどの患者に本当のことが言えなくて、本当に苦しかった」と振り返る。救ってくれたのは自分を母親のように慕ってくれた小児科の患者だった。「死ぬことまで考えた自分と、正反対の誕生にかかわることをやりたい」と助産師に転向した。

 07年9月、県内で相次ぐ産科の閉鎖を受けて助産師が集まった。「どうすればいいかわからない」ととまどう人たちに、「本当にお産をやる気があるの」と問いただした。うなずく助産師のために、昨年12月に渡辺氏を呼びセミナーを開催。その後、週1回、勉強会を開いて指導を続けている。「かつて病院に送ってしまった妊婦には申し訳ないと思う。助産師を育てることで、恩返ししていきたい」。育てた助産師が、医師不足の社会を変えてくれると信じている。【大平明日香】

毎日新聞 2008年1月12日

長野 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報