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開業医5人 連携 夜間の小児救急 任せて

天白のネットワーク 輪番で平日対応


笑顔で診察する朽名院長(名古屋市天白区の平針原クリニックで)=高橋美帆撮影

 小児科医が不足し、夜間診療も手薄になる中、名古屋市天白区の開業医5人でつくる「小児科医ネットワークなごや」(代表=朽名(くつな)昌彦・平針原クリニック院長)が、平日夜間、持ち回りで子どもの救急診療にあたり、奮闘を続けている。全国でも珍しい活動で、同ネットワークでは2000年12月の結成以来、救急診療で約1万7000人を診察。地域にもすっかり定着し、「安心して子育てができる」と好評だ。

 同市内では市医師会が休日は各区で、夜間は東、南区で、内科か小児科の診療所を開いているが、子どもは夜間に症状が悪化することが多いため、市民から不安の声が上がっていた。こうした状況を受けて、朽名さんが「赤ん坊は話せないし、子どもは自分の症状をうまく説明できない。専門医でなければ症状を見極めるのは難しい」と、開業医仲間に呼びかけてネットワークを結成。平日の午後8時〜同10時、5人が輪番で診察にあたっている。

 これまでには、虫垂炎や肺炎など緊急に手術や処置が必要な子どもが担ぎ込まれるケースもあり、より高度な治療が必要な場合は、名古屋記念病院などと連携し、転院できるようにしている。

 1歳7か月の男児の母親は「約3か月前、息子がせき込むので診察してもらったら、即入院しなければならない危険な状態だった」と振り返り、「夜間の救急体制があるのは安心です」と話していた。

 ただ、ネットワークの各病院では、夜間は看護師がいないことも多く、医師が診察から薬の調剤、電話応答、会計などをこなさなければならない状態。活動も8年目に入り、朽名さんは「週1回とはいえ、体力的な限界を感じている」と、負担を軽減する方法などを模索し始めた。

 小児科医は、少子化に加え、仕事がハードな割に診療報酬が低いことなどからなり手が少なく、東海3県全体でも1998年の3304人から2006年は3119人に減った。また、夜間診療を行う小児科の開業医も少数で、夜間や休日は小児科の救急外来のある病院に患者が殺到。小児科医の勤務が過酷になった結果、医師が病院を辞めてしまうという悪循環になっている。

 小児科医ネットワークなごやの連絡先は052・805・5599(土日祝日は休診)。

2008年1月13日  読売新聞)
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