得点圏打率は自己ワーストに終わった松井。(写真提供:AP Images)
データから2007年の松井秀喜外野手(ヤンキース)のシーズンを振り返るデータ分析。第3回は状況別打撃成績を取り上げる。メジャー移籍後2位の25本塁打、5年間で4度目の年間100打点をクリアした今季だが、ひざの状態の悪さも影響してか、これまでに見せていた「勝負強さ」には少し陰りが見えたシーズンだった。
チャンスでの強さを最も顕著に示す得点圏打率。メジャー1年目の2003年に3割3分5厘というハイアベレージを記録した松井は、故障で長期離脱した2006年を除いては、これまで常に2割9分以上の数字を残してきた。ところが今季、この得点圏打率はわずか2割4分7厘と、自己ワーストを記録。一番の見せ場である満塁の場面でも、打率1割台(17打数2安打)と苦しんだ。
この松井の「異変」はホームランを放った状況にも表れている。今季の25ホーマーのうち、半数以上の14本がソロホームラン。2人以上の走者を置いた場面では、わずか3本塁打にとどまっている。逆に、イニングの先頭で打席に入ったときには、打率3割、9本塁打をマーク。これはこれで効果的な攻撃とはなったが、松井本来の持ち味、またチームが松井に求めている役割とは言えないはずだ。
しかし一方で、走者が三塁にいる場面(一、三塁や満塁なども含む)に限ってみれば、打率3割4分7厘(49打数17安打)、47打点と、ジョー・トーリ前監督(現ドジャース監督)などから「パックマン」と呼ばれた打点量産ぶりはまだまだ健在。また、ア・リーグ3位となる10本の犠牲フライを放つなど、「率」には表れない部分で意地を見せたのも確か。前述の満塁の場面でも、ヒットこそ2本ながら14打点をたたき出しており、この得点圏打率で100打点以上をマークしたのはさすがと言ったところだ。
今季は5番に入ることの多かった松井。前を打つアレックス・ロドリゲス三塁手の絶好調もあり、20試合近くを欠場したにも関わらず、得点圏に走者を置いた場面での打席数はキャリア最多に「1」と迫る210打席もあった。来季、本来の勝負強さを完全に取り戻せれば打点王も狙えるはずだ。
試 合 数 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
打 点 |
四 球 |
三 振 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
打 率 |
|
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年間成績 | 143 | 547 | 100 | 156 | 28 | 4 | 25 | 103 | 73 | 73 | .367 | .488 | .285 |
イニングの先頭 | 93 | 120 | 9 | 36 | 5 | 0 | 9 | 9 | 11 | 16 | .364 | .567 | .300 |
走者なし | 135 | 273 | 14 | 85 | 14 | 2 | 14 | 14 | 37 | 40 | .395 | .531 | .311 |
一塁 | 95 | 104 | 19 | 29 | 3 | 1 | 8 | 17 | 8 | 14 | .330 | .558 | .279 |
二塁 | 58 | 48 | 10 | 12 | 3 | 1 | 0 | 7 | 13 | 8 | .419 | .354 | .250 |
三塁 | 16 | 9 | 5 | 6 | 1 | 0 | 0 | 8 | 1 | 0 | .636 | .778 | .667 |
一、二塁 | 71 | 63 | 18 | 13 | 4 | 0 | 2 | 18 | 8 | 8 | .296 | .365 | .206 |
一、三塁 | 35 | 20 | 9 | 5 | 2 | 0 | 1 | 15 | 3 | 1 | .296 | .500 | .250 |
二、三塁 | 25 | 13 | 12 | 4 | 1 | 0 | 0 | 10 | 2 | 0 | .375 | .385 | .308 |
満塁 | 31 | 17 | 13 | 2 | 0 | 0 | 0 | 14 | 1 | 2 | .174 | .118 | .118 |
得点圏 | 124 | 170 | 67 | 42 | 11 | 17 | 1 | 72 | 28 | 19 | .343 | .376 | .247 |