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乳がん検診:被ばく放射線量千分の1…画像診断方法を開発

 乳がん検診で使われるマンモグラフィーと比べ、被ばく放射線量を1000分の1に抑えた画像診断方法を東京理科大などが開発した。放射線の屈折を利用した方法で、複数の画像を重ね合わせ鮮明な画像にした。これまでは判別できなかった微小な乳がん病巣もわかるという。

 マンモグラフィーやコンピューター断層撮影(CT)などのX線撮影は、人体の部位によって放射線の吸収率が違うことを利用。その違いを明暗のコントラストで画像化する。しかし、コントラストを上げると、被ばく線量が増えてしまう欠点がある。米国では、将来発病するがんの約2%がCT検査による被ばくが原因との調査もある。

 同大の安藤正海(まさみ)教授(X線光学)らは、高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の一周187メートル加速器から出る精度の高いX線を利用。平行性の高いX線が組織などの境目で微妙に屈折する性質を応用し、人体を左右に1度ずつ傾けて撮影した。計11方向からの画像を重ねることで鮮明な画像を得た。20マイクロメートル程度の大きさまで判別できるという。

 精度が高まるため、マンモグラフィーでは乳腺で1~3ミリグレイあった被ばく線量を、0.001ミリグレイ程度まで減らせるという。また、従来のX線では難しかった関節の軟骨も撮影できる。

 しかし、加速器を使わねばならず装置が非常に高額になるため、実用化には5年以上かかる見込みという。

 安藤教授は「被ばくという画像診断に共通の課題をクリアできるうえ、がんの早期発見にもつながる。今後は、加速器に代わり、精度の高い放射線を発生させる装置を開発したい」と話している。【関東晋慈】

毎日新聞 2008年1月13日 2時30分

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