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リコール過去最高 07年194件 監視強まる
FujiSankei Business i. 2008/1/13

 製品の不具合などによる企業のリコール(無料の回収・修理)件数が、2007年は194件と前年より2割強も増えたことが、経済産業省所管の製品評価技術基盤機構(NITE)の調査で12日、明らかになった。件数は1989年の調査開始以来最高で、02年に比べ約5倍に拡大した。

 パロマ工業(名古屋市瑞穂区)のガス湯沸かし器事故などをきっかけに、製品事故に対する行政や消費者の監視が強まっていることに加え、昨年5月に政府が重大事故の公表制度を導入したことも、リコール件数増加を後押ししたとみられる。

 NITEによると、件数は03年ごろから増加傾向が強まった。05年の松下電器産業の石油温風機事故や、06年のパロマの事故の問題化で企業責任が厳しく追及された影響で、事故が発生すると早期にリコールに踏み切る企業が増えた。

 07年は例年と同様に家電のリコールが多く、8月には携帯電話用電池の不具合で、端末販売元のノキアが世界で約4600万個の無償交換を発表。給湯器大手のノーリツ(神戸市中央区)がガス風呂給湯器約44万台を回収するなど燃焼器具のリコールも相次ぎ、件数は過去最高だった06年をさらに上回った。

 ただ、リコールを発表しても消費者に情報が浸透せず回収が進まないケースも多い。このため経産省は消費者団体と協力し、「内容が分かりにくい」との指摘があるメーカーなどの社告の統一基準づくりを今後進める。

 NITEの調査は、家電や生活用品を対象に新聞社告や各社のホームページから集計。食品や自動車などは対象外となっている。

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【用語解説】製品事故

 家電や燃焼器具など身の回りの製品の不具合が原因で発生した事故。経済産業省が企業に事故の報告を義務付けており、同省所管の製品評価技術基盤機構が事故情報を管理している。昨年5月からは、死亡や火災などを招いた重大事故を経産省が公表する制度が始まり、消費者に注意を呼び掛け、企業に早期のリコールを促している。

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