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<飲酒運転>福岡・宮若市報に大反響 3児死亡の両親も取材

1月4日15時28分配信 毎日新聞


 福岡県宮若市が市報「宮若生活」(1万2600部)で昨年11、12月の2号にわたり飲酒運転を特集した。同市の小学教頭(53)=後に懲戒免職=が9月に起こした飲酒当て逃げ事故がきっかけで、福岡市東区の3児死亡事故の被害者の両親や、自動車部品メーカー社長のインタビューなどを載せ、市民の反響も大きかった。広報職員、林慎治さん(30)は「身内の悪いことにも目を向け、そのうえで市民に考えてほしかった」と話す。

 林さんが、死亡した3児の両親の大上哲央(あきお)さん、かおりさん夫妻にインタビューしたのは11月22日深夜。手紙で取材を依頼した。自宅玄関先に3足の子供用靴が並んでいた。加害者と同じ自治体職員ということで構えたが、かおりさんは事故後生まれた愛子ちゃんを抱き、事故後の心境や、なくならない飲酒運転への思いを丁寧に答えてくれた。

 最後にかけてくれた言葉が忘れられない。「人口3万人の宮若市なら飲酒運転をゼロにできるのでは」

 12月号で「古里から事故の犠牲者を出したくない」との思いを込め、大上さん夫婦のメッセージなどを3ページにわたり載せた。「親の気持ちを察すると涙が止まらなかった」「車を運転することの恐ろしさを改めて知らされた」−−。大勢の市民から感想が届いた。

 合併前の旧宮田町時代の04年6月から広報に携わる林さんは、元教頭が逮捕され、抗議の電話やメールが多数寄せられたことを受け飲酒運転の特集を思い立った。庁内には腫れ物に触りたくない雰囲気もあったが「広報だからといいことばかり取り上げてはダメ」と上司を説得した。

 11月号では全27ページ中11ページを割いて、飲酒事故による別の被害者遺族や、地元の自動車部品メーカー社長のインタビューを掲載。メーカー社長は「誇りある仕事(商品)を凶器にしないで」と訴えた。取材後記では元教頭の事故にも触れた。

 林さんは「『飲酒運転はダメ』と言うだけでは弱い。被害者、車をつくる側の生の声は重かった」と言う。

 福岡県警交通部によると、県内の07年の飲酒運転の検挙数は前年より減っているが、道交法改正で罰則が強化された9月以降も月200人近くが検挙されている。【入江直樹】

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最終更新:1月4日18時33分

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