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中東和平 米大統領の熱意を弾みに

 中東歴訪中のブッシュ米大統領は、イスラエルとパレスチナ自治区の初訪問を終えた。焦点のパレスチナ和平問題では具体的な成果は出せなかったものの、現地に足を運んだことで和平機運が高まったことは間違いなかろう。

 ブッシュ大統領は、イスラエルのオルメルト首相と会談した後、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの自治政府議長府を訪れ、アッバス議長とも会談した。大統領は、自らの任期が切れる来年一月までにイスラエルとパレスチナが平和条約を締結することは可能と述べ、双方に和平交渉の進展を促した。

 一連の会談終了後、大統領は和平原則を盛り込んだ声明を発表し「占領の終結」という強い表現を使ってイスラエルに譲歩を求めた。一九四八年のイスラエル建国で離散したパレスチナ難民の帰還についても国際機関などによる「補償」の検討を提唱した。一方で、パレスチナ側にも「テロリストの基盤解体」などを要求した。

 歴代の大統領の中で、ブッシュ大統領は最もイスラエル寄りといわれ、パレスチナ側の反感を招いてきた。だが、発表された声明は、これまでになくイスラエルに強く妥協を迫るなど、パレスチナ側に一定の配慮をみせている。誠実な仲介者として、任期中に中東和平を実現しようとするブッシュ大統領の意欲を示したと評価したい。

 米国とイスラエル、パレスチナ自治政府は昨年十一月に米東部アナポリスで首脳会談を開き、パレスチナ和平交渉の今年中の合意を目指すことで一致し、約七年ぶりにパレスチナ国家の樹立など最終地位をめぐる協議入りを前提とした交渉を再開させた。その後、イスラエルが占領地である東エルサレムとヨルダン川西岸にユダヤ人住宅の増設計画を発表したためパレスチナ側が反発し、和平交渉の先行きに暗雲が漂った。

 今回の訪問でも、ブッシュ大統領は将来のパレスチナ国家の国境画定について「現実を反映」するようパレスチナ側に求め、イスラエルが主張する既存の大規模入植地の存続を事実上容認した。同盟国イスラエルに対する圧力には依然として腰が引け、和平仲介に課題を残したと言わざるを得まい。

 国際社会が期待するのは、イスラエルとパレスチナ双方に影響力を発揮できる米国の誠実な仲介者としての熱意だ。ブッシュ大統領はイスラエル建国六十年となる五月に交渉を後押しするため中東を再訪すると約束した。日本も米国の仲介を各国と手を携えて支援していきたい。


松下社名変更 海外戦略強化で驚く決断

 今年で創業九十周年の松下電器産業が十月一日付で社名を「パナソニック」に変更する。創業者の名前を冠した「松下」に別れを告げる大いなる決断である。

 松下電器産業は、「経営の神様」といわれた故松下幸之助氏が創業した。電子機器から家電製品、情報通信機器、住宅関連機器などの製造・販売を手掛ける総合エレクトロニクスメーカーだ。グループ企業は六百五十社余りを数え、二〇〇七年三月期の連結売上高は九兆円を超える。

 松下は現在、海外ではほぼ全商品にパナソニックブランドをつけている。しかし、国内では音響・映像関連はパナソニック、冷蔵庫など白物家電はナショナルと製品ブランド名を使い分けてきた。社名変更に伴い、ブランド名も〇九年度中をめどにパナソニックに一本化される。

 松下が社名変更に踏み切った背景には、成長戦略の柱と位置付ける欧米や新興国といった海外市場で、松下ブランドの浸透が思うように進んでいない危機感が挙げられる。伝統よりも一つのブランド価値の向上を選択することで、名実ともに世界的なグローバル企業を目指す姿勢が明確に打ち出されたといえよう。

 一方で「松下」の名前は、生産による社会への貢献を説く幸之助氏の経営哲学とも結び付き、日本の製造業の代名詞的な存在だった。“聖域”を打ち破る社名変更は激化する国際競争を勝ち抜く決意の表れとはいえ、大きな時代の変化を感じさせる。

 大坪文雄社長は会見で「創業者の経営理念が風化しないよう守っていく」と強調した。松下イズムを引き継ぎながら、真のグローバル企業に成長できるかどうか、経営陣の真価が問われよう。

(2008年1月13日掲載)
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