看板娘>マキアヴェッリってイタリアのヤヴァイ人じゃなかったっけ?
管理人>まあ,ある意味ヤヴァイかもしれないけど,この"語録"で見ると至極真っ当な考え方を持ってたと思うよ。
独善的お勧め度:☆☆☆☆☆
これは,面白い。参考になる。現実主義的で,観念論にならない。
社会心理学的,かつ,人間の真理をついている。
以下抜粋。
権力をもつ人びとの間でも,最近に与えた恩恵によって,以前の怨念が消えるなどと思う人がいたならば,その人は,とり返しのつかない誤りを犯すことになる。-『君主論』-
きみは,言う。
「そうはならないだろう。われわれは彼らに対し,一致団結するであろうから」
しかしわたしはきみの意見には反対だ。
大国の指導者たちとなると,一致団結することからしてまずむずかしい。またたとえそれを実現できたとしても,団結を維持しつづけるのが,これまたひどくむずかしい。-『手紙』-
国家にとって,法律をつくっておきながらその法律を守らないことほど有害なことはない。とくに法律をつくった当の人々がそれを守らない場合は,文句なく最悪だ。-『政略論』-
自国を大国にしたいと思う者は,あらゆる手段を用いて人口の流入を計ることを忘れてはならない。なぜなら,豊かな人口なしに大国になることはできないからである。-『政略論』-
次の二つのことは,絶対に軽視してはならない。
第一は,忍耐と寛容をもってすれば,人間の敵意といえども溶解できるなどと,思ってはならない。
第二は,報酬や援助を与えれば,敵対関係すらも好転させうると,思ってはいけない。-『政略論』-
他者を強力にする原因をつくる者は,自滅する。
これは,ただ一つの例外も存在しないと言ってよいほどの,普遍妥当性をもつ原則である。
なぜか。
それは,強力になれたのは,それをさせてくれた者の力と思慮によったからだが,いったん強力になってしまえば,その者は,それに力を貸してくれた者の力と思慮の両方ともを,自分の存亡の鍵をにぎっているとして,疑いの眼で見ないではすまないからである。-『君主論』-
謙譲の美徳をもってすれば相手の尊大さに勝てると信ずる者は,誤りを犯すはめにおちいる。-『政略論』-
下劣で悪辣な人物を官職につけたくなかったら,最高に下劣で悪辣な人物と,高潔で評判のよい人物とを並べて出馬させるよう計るべきである。
そうすれば,有権者たちは,両者のあまりにも明らかなちがいに,どうしたって後者を選ぶようになる。
このことによっても,前にのべた理論の正しさを証明することができる。
すなわち,民衆というものは,はっきりとした形で示されると正当な判断をくだす能力はあるが,理論的に示されると,誤ること多し,ということである。-『政略論』-
人を率いていくほどの者ならば,常に考慮しておくべきことの一つは,人の恨みは悪行からだけではなく善行からも生まれるということである。
心からの善意で為されたことが,しばしば結果としては悪を生み,それによって人の恨みを買うことが少なくないからである。
このような場合の善行は,まったく,善意によってそれを為したものの,仇になってしか返ってこないものだ。-『君主論』-
指導者ならば誰でも,次のことは心しておかなければならない。
それは,個人でも国家でも同じだが,相手を絶望と怒りに駆りたてるほど痛めつけてはならないということだ。
徹底的に痛めつけられたと感じた者は,もはや他に道なしという想いで,やみくもな反撃や復讐に出るものだからである。-『政略論』-
相手を,どんなことにしろ絶望に追いこむようなことは,思慮ある人のやることではない。
なぜなら,前途に望みを失った者は,どんなに悪い状態を示されても,それによって判断を変えるような冷静さを失ってしまうからである。-『フィレンツェ史』-
人間というものは,困難が少しでも予想される事業には,常に反対するものである。-『君主論』-
人間は,恐怖心からも,また憎悪の心からも,過激になりうるものである。-『君主論』-
人間というものは,必要に迫られなければ善を行わないようにできている。
それゆえ,全てが自由放任であると誰もが勝手気ままに行動してしまい,世の中は混乱と無秩序のみが横行することになる。
もしも,法律など存在していなくても全てが良き方向に進むような世の中ならば,法律は不要になるであろう。だが,このような良き風習が支配的でない場合は,法律で規制することが必要になってくる。-『政略論』-
ある人物が,賢明で思慮に富む人物であることを実証する材料の一つは,たとえ言葉だけであっても他者を脅迫したり侮辱したりしないことであると言ってよい。
なぜならこの二つの行為とも,相手に害を与えるのに何の役にも立たないからである。
脅迫は,相手の要心を目覚めさせるだけだし,侮辱はこれまで以上の敵意をかき立たせるだけである。その結果,相手はそれまで考えもしなかった強い執念をもって,あなたを破滅させようと決意するにちがいない。-『政略論』-
軍の指揮官にとって,最も重要な資質はなにかと問われれば,想像力である,と答えよう。
この資質の重要性は,なにも軍の指揮官にかぎらない。
いかなる職業でも,想像力なしにその道で大成することは不可能だからである。-『戦略論』-
う〜む。政治屋はこれに学ぶべきですね。まったく。(2001-11-24読了)
独善的お勧め度:☆☆☆(現在未刊行の部分があり全巻で40巻程度になると思われます,読むには長いです。)
看板娘>え?40巻も出る予定なの?
管理人>えーと,ハードカヴァー版が14巻までで文庫だと今9巻で26冊出てるから・・・
ハードカヴァー一冊あたり2〜3冊分であと10〜15冊は出ると・・・。
現在刊行中の「ローマ人の物語」はローマ帝国の建国から帝国崩壊までを膨大な資料を元に作家として検証した小説です。
読み進めるうちにギリシアを象徴するものが「哲学」なら,ローマとは「信義」と「寛容」だということがわかってきます。
ローマが大きなるためにはこの「信義と寛容」が必要だったこともわかります。
敗者を排除するのではなく「同化」するのがローマ帝国流。
のちの状況などによる前時代への"悪意の解釈"を現代人が持つべきではないと悟らされます。
独善的お勧め度:☆☆☆☆
看板娘>ヴェネツィア行ってみたーい。
管理人>あのね・・・。
中世にあって都市国家でありながら地中海全域をほぼ支配し,共和制を維持してきたヴェネツィア。
永遠のライバル,ジェノヴァと戦い,ローマ教皇の意思を無視しイスラム教国と商取引を行い,
ルネサンスの庇護者でもあったヴェネツィアの歴史を描いた小説。
ヴェネツィアの特徴である元首を置く共和制を維持できた理由とは。
一都市国家が地中海を支配できたのはなぜか。
シェイクスピアの「ベニスの商人」は当時あり得たのか。
この本を読めば希代の商人国家がいかなる存在だったのか,わかると思います。
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