▽県内勤務で返還免除
広島県が、広島大医学部(広島市南区)の定員増などを通じ、医師の確保策を強化する方針を固めたことが十日、分かった。増員分の医学生を対象に新たな奨学金制度を創設したり、既存制度を拡充したりすることにより、中山間地域などで深刻さを増す医師不足の解消につなげる方針だ。
政府は昨年八月、各都府県に五人(北海道は十五人)の医学部定員増を認める方針を示した。広島県はこれに呼応し、広島大側に、現在百人の医学科定員を二〇〇九年度から百五人とするよう依頼する。
県は増員枠の五人を対象とする新たな奨学金制度を創設。入学から卒業までの六年間、月額二十万円を支給し、県内の医療機関で一定期間働けば返還を免除する。増員枠の対象を県出身者に限定するかどうかや、返還免除の詳細な条件などは今後、さらに詰める。
このほか、医学部四年生以上と大学院生、後期研修医を対象とする現行の中山間地域等従事医師奨学金制度(月額二十万円)についても〇八年度から、より利用しやすく改める考え。
具体的には、現在は人員不足が深刻な産科医、小児科医、麻酔科医に限定している貸し付け対象を、外科医や内科医などにも拡大を検討する。
また、返還免除の条件とする県指定の公的医療機関などでの勤務期間も見直す見通し。現在の「連続で支給期間と同期間」から、「支給期間の一・五倍」へと期間延長する半面、初期臨床研修や、最先端の治療技術を学ぶための研修の期間なども一定割合で算入できるようにする方針だ。
県は昨年十月、庁内に新過疎対策推進プロジェクトチームを設立。医師確保など過疎地域対策に力を入れている。
編成を進めている〇八年度の一般会計当初予算案は、新たな医師確保の対策として〇七年度当初予算の一・六倍の約三千七百万円を盛り込む方向で調整している。(村田拓也)
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