明石の魚を美味しくお届けする為に

明石の魚が美味しいと評判を得ているのは 良い漁場と魚、漁師達と条件が揃っているからなのですが その条件の1つ、魚の扱いについて紹介したいと思います。明石の魚は美味しくなるようにしてお届けしているのです。

明石浦漁協では定休日を除き 24時間活魚水槽に海水とエアーを流し 水揚された魚を昼11時30分のセリ市まで生かしておきます。
セリ前に 魚の再選別を行い 良い魚、弱った魚、死んだ魚などを より分けます。 この作業は 奥さんが行うところが多く ”日本一女の人の多いセリ市”といわれる由縁です。
セリに上場される魚は ほとんどが生きています。 そのためセリ場には 魚の嫌な臭いがしません。 これは同業者に驚かれる処です。
活け越し

水揚された魚を「荒魚」といいます。 
荒魚は生活環境の変化から 魚は多大なストレスを感じています。この状態のまま料理をすると 締まりが早かったり、身の透明感に影響がでたりします。
そこで1日水槽の暗室の中で興奮状態を落ち着かせるのです。 活け越す事により 胃の中の未消化物を吐き出させ 身に移る臭いをふせぎ リラックスさせます。 魚種、魚体によって活け越し時間は変わりますが この判断は経験とカンしかありません。
はり

海の深い所に住む魚の場合 水揚される事で 水圧がなくなり 浮き袋が膨張して 魚が裏返ってしまい泳げず死んでしまいます。そこで肛門から針を入れ 空気を抜きます。 この時、他の内臓を突けば殺してしまうので 慎重なテクニックが必要です。
締め@ 手鉤

目の後上あたりに手鉤を刺し 脳死させます。
この時 一撃にしないと せっかくリラックスした魚が暴れ 身に血が廻る、締まりが早い原因になります。
締めA 包丁

脳死させ動かなくなった魚の背骨を エラの処から包丁を入れ断ち切ります。 背骨の下側を沿って通る血管から 血を抜く為です。 確実に断ち切らないと魚は暴れます。
締めB 血抜き

血は固まるのが早いので 締めたらすぐに水に漬け 血を抜きます。 抜けきらないと やはり締まりが早かったり、血の臭いが身に移ったりします。
神経抜き

魚の背骨上側に沿って脊髄神経が通っています。 そこに針金を通し 神経を破壊、抜きます。 脳死したあと 自分が死んだという情報を脳から体の細胞へ伝わるのを遅らせるのです。
ではなぜ自分が死んだという情報を遅らせるといいのか?
それは魚の味を左右するからです。 
締めた直後の身はコリコリとするばかりで 味、甘味はあまり感じず
時間が経ち タンパク質が自己消化によりアミノ酸に分解され 
うまみに変わるのです。 ただそれは死後硬直する(締まる)までのことで 
締まってしまえば後は悪くなるだけ(腐敗に向かって進行する)です。 
つまり締まるまでの時間を延ばすのです。
そうすれば良い状態で魚が提供出来るわけです。

特に締め方については写真や文章では説明できない プロのテクニックの世界になります。
このように明石の魚達は 美味しくなるように出荷されているのです。