ガザ支える闇トンネル 食料やたばこ、エジプトから密輸2008年01月12日01時08分 パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界に密輸用の地下トンネルが集中している。イスラム過激派ハマスによる昨年6月の武力制圧後、イスラエルが周辺を封鎖、人道支援物資以外が届かないため、トンネル経由の「闇物資」が暮らしを支える。密輸業者によると、約15キロの境界の北側6キロに、500を超すトンネルがあるという。ハマスは事実上黙認し、自らも利用している。
ガザの境界の町ラファで、アフマド・アブアリ(30)と名乗る密輸業者に会った。5年前からトンネルを通じた密輸にかかわり、1回の密輸で約1万ドル(約110万円)もうかる。夫婦と子供3人が最低1年、安心して暮らせる額だという。 業者や治安関係者らによると、トンネルの構造は次のようになっている。 ガザ側の出入り口は農家の温室や住居の中に隠されている。大半の大きさは縦横1メートル。深さは40メートルに達し、境界沿いのコンクリート壁をくぐって、エジプト側に向かう。約500メートルから最長で2キロにもなる。 内部には10メートルおきに電球が光り、250メートルおきに壁をえぐった休憩所が設けられ、たばこも吸える。最近は人が立って歩ける大きさのトンネルができたという。また軌道が敷かれ、電動トロッコで物資を運ぶ。数千ドル払えば、人もガザを出入りできる。イスラエル軍の攻撃で重傷を負ったハマスの司令官が、この方法でエジプト側の病院に入院したという。 ハマス警察のシャフワン報道官は、警察もトンネルの構造をつかんでいることを認めた。「イスラエルの封鎖による物資不足を和らげるには仕方がない」との立場だ。ただ、酒や麻薬を密輸するトンネル4本を破壊したという。一方でハマスは、封鎖のため入らないタバコについては課税を条件に密輸を認める。 05年にイスラエルがガザを撤退する前から、トンネルはあった。ただ当時は武器密輸が主な目的で、イスラエル軍が目を光らせていたため、数は少なかった。 だが現在、イスラエル軍は侵攻してもラファ南部の1キロ以内にとどめ、トンネル集中地帯には近づかない。境界沿いのエジプト軍を挑発しないよう配慮しているためだ。それもありトンネルが急増したという。 密輸にはエジプト側で監視するエジプト軍兵士の協力が不可欠。わいろが使われるという。イスラエルのリブニ外相は昨年末、「エジプトの密輸防止の取り組みはめちゃくちゃだ」と公然と批判。エジプト政府が反発し、両国関係がぎくしゃくしている。 PR情報国際
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