東北大医学部5人増 宮城県、支援へ奨学金新設
深刻な医師不足解消策の一環として、東北大と宮城県は2009年度、共同で医学部の入学定員を5人増員する方針を固めた。宮城県は増員分に合わせた奨学金制度を新設して支援する方針。厚生労働省、文部科学省との協議を経て正式決定する。
医学部定員増は国の緊急医師確保対策に基づき、宮城県が東北大に要請していた。09―17年度の9年間、入学定員を5人増やす。増員分は県内出身者に限定せず、全国から受け入れる予定。
東北大医学部は医学科と保健学科の2学科だが、増員は医師を養成する医学科が対象。医学科の入学定員は08年度、100人となっている。
宮城県は09年度以降、増員される5人に対し、月額20万円を4年間支給する奨学金制度を新たに設ける方針。奨学金を受けた学生は卒業後8年以内に、仙台市以外の県内自治体病院・診療所に最低4年間勤務することが条件。
奨学金の支給対象は、医師不足が深刻な診療科を志望する学生を優先する。卒業後に県内の医療機関で勤務しなかった場合は、奨学金計960万円の全額返還を義務付ける。
国の緊急医師確保対策は今年4月から10年間、大学医学部の入学定員を各都府県で最大5人、北海道で15人増やす方針。1年間で最大245人の増員になる見込み。
宮城県医療整備課は「東北大には、医師不足が深刻な地域の医療実態に配慮していただいた。今後も医師不足解消に向け、さまざまな方策を考えたい」と話している。