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小沢代表不在 民主も呆然 (1/2ページ)
11日午後1時40分。社民党の阿部知子政審会長が新テロ対策特別措置法案の反対演説を終えた直後、衆院本会議場に自民党の大島理森国対委員長のだみ声が響いた。
「民主党の小沢(一郎)代表がいないぞ!」
与野党議員が一斉に野党席最後列を振り返ると、小沢氏の姿はなく、両隣の菅直人代表代行と羽田孜最高顧問が困惑の表情を浮かべていた。
「無責任だ!」「小沢氏の本心は法案に賛成じゃないのか!」−。与党から激しいヤジが飛ぶ中、河野洋平衆院議長が議場封鎖を宣言したが、小沢氏が戻ってくることはなかった。
実は小沢氏は、大阪府知事選応援のため、午後4時半から新党日本の田中康夫代表とともに大阪・ミナミの心斎橋筋商店街の「練り歩き」を予定しており、午後2時半羽田発のJAL121便を予約していたのだ。このまま採決に付き合っていたら乗り遅れると判断したらしい。
唐突なトップの“失踪(しつそう)”に民主党議員は呆然(ぼうぜん)とした。鳩山由紀夫幹事長は「小沢氏は『再議決をやるべきでない』ことを多くの国民のみなさんに聞いていただくために大阪に向かったのだ」と強弁したが、ある民主党幹部は本会議場を出るなり「今まで積み上げたことが全部ぶちこわしだ」と地団駄(じだんだ)を踏んだ。
他の野党も怒り心頭だ。共産党の志位和夫委員長は「野党第一党の党首が国民に説明つかないことをした」と批判、社民党の重野安正幹事長も「現場に最高指揮官がいないとは…」と嘆いた。
一方、再議決への批判を覚悟の上で本会議に臨んだ政府・与党は思わぬ“朗報”に笑顔が弾けた。町村信孝官房長官は「ポカッと大きな穴が開いたような民主党の席をみて大変寂しく情けない思いをした」とニンマリ。この法案に職を賭した安倍晋三前首相は「野党は法案阻止を掲げて論戦してきたのに、なぜ一番大事な日に意思表示を放棄したのか」と首をひねってみせた。