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【世界の街から】

曲阜 孔子も苦笑いの非礼

2008年1月11日

 それは「礼」を重んじる孔子の出身地に似合わない光景だった。

 「だめだ! 今ごろ来ても入れない」

 福田康夫首相が山東省曲阜の孔子廟(びょう)を訪れる取材に来ると、入り口で警察官に阻まれた。記者団は当局の指定通り、首相より一時間前に到着。「ダメ」と言うのが中国の警察官の仕事だと慣れているが今回はひどい。中国外務省の役人が警察官の説得に入っても「昨日連絡しただろ!」「聞いてない!」と口論が続く。これも組織間の連絡が徹底しないこの国の特徴というしかない。

 首相の到着直前、やっと廟内へ。今度は中国のテレビ局が予定外に「福田首相にインタビューする」と言いだした。殺気だった日本側の中国人通訳は「質問したら痛い目に遭わすぞ!」と過激な言葉を吐いた。

 首相の訪問は三十分で終了したが、寒風の中、周囲の誰もが無駄に疲弊。本殿に鎮座する孔子像が苦笑いしているように見えた。 (平岩勇司)

 

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