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2007.12.29

「誤解を生んでしまう」

 日頃、拉致問題解決のために尽力してきている産経新聞の12月29日付け朝刊に載せられた「拉致家族会代表交代 息子に聞く」の記事と同じ面に「政府認定拉致被害者17人の拉致状況」という表があった。そこには、被害者の状況ということで拉致された年月と当時の年齢、さらに「●死亡」の記述があった。
ところで、表中には「拉致被害者の項目は、氏名、当時の年齢、肩書、北朝鮮の発表の順」との注釈があるのみで、「北朝鮮の発表が全く根拠のないいい加減なものである」という説明はない。これでは「●死亡」が確定的なものとの印象を読者に与えてしまいかねない。
 私たちが「街頭署名」そのほかで、「未帰還の拉致被害者は、死亡しているんでしょう?」という声を聞くことが少なくない。これはなんといっても、2002年に政府が北朝鮮の発表内容を確認もしないで「5人生存、8人死亡」と確定的に伝えたことに起因する。その報道を家族会や救う会が必死になって否定し、拉致被害者の生存を訴えてきていることは報道関係の皆も熟知しており、そして産経を含む多くのメディアがその経緯を積極的に国民に伝えて世論喚起に力を尽くしてくれたことを、本当にありがたいと思っている。しかし「未帰還者が死亡」という誤った認識を与えてしまっては、「30年も北朝鮮で厳しい冬を過ごさざるを得なかった拉致被害者の救出」という本願を国民に伝えることができなくなってしまう。
 全ての報道関係者には、これからも日本国民に誤った印象を与えることのないように充分配慮していただきたい。北朝鮮の発表は非常に怪しいもので、信じるに値しないものであるということを正確に報じて、被害者救出の機運を高めることに力を貸していただきたいと思っている。



2007.12.27

我侭な、」

 北朝鮮の核計画の申告の遅れとともに、無能力かの遅れもある見通しとなった。「2.13六者協議合意」では、今年中の無能力化と核開発計画申告が義務付けられていたはずだが、北朝鮮が「エネルギー支援」の遅れを理由に、「核施設の無能力化」の履行を遅らせることを示唆した。
 やはり、としか言い様がない。核の放棄は「金正日政権」にとっては命取りになる可能性を含んでいる。数百万の自国民を殺してまで開発した「核兵器」を手放すことなどありえないであろうと考えられていたが、エネルギー支援の遅れを理由にしてきたことで正当性を唱えているのであろうが、少しでも遅らせて多くの支援を奪い取るつもりであろう。また、「エネルギー支援」に参加を見合わせている日本政府に対し、脅しをかけてくることだって考えられる。核廃棄の過程を遅らせることが、金政権の自壊の始まりであることを自覚していない。米国のヒル次官補も北朝鮮の狡さを認識してもらわなければ困る。
 私たちは、いつまでも北朝鮮サイドの時間稼ぎに付き合っているわけにはいかない。「拉致被害者の救出」は急を要しているのであるから、早期に核問題を終わらせなければ「人権問題」に進むことが出来ない。このようなことばかり起きるのであれば、日本政府は「六者協議」の枠組みからの脱退を考えなければならないのではないか?
 外務省の事務次官に「藪中三十二」元アジア太平洋局長が内定したという。また、それに伴い大洋州局長に駐米全権公使・斎木昭隆氏が就任するということになりそうだ。
 二人とも2002年から北朝鮮との直接交渉に関与している実績があり、北朝鮮の狡さをも熟知している二人である。谷内事務次官も「北朝鮮による拉致被害者」救出の為に、尽力いただいた方であったが、直接交渉してきた二人がその任にあたるということは、北朝鮮に猶予を与えることはないであろう。また、これまでのように「様子見」のような公称ではなく、実質的な交渉ができるのではないかと期待する。
 29日、チャンネル桜(スカパー241CH−21:00〜24:00)の「闘論!倒論!討論!」(出席者:塚本三郎氏・日下公人氏・西尾幹事氏・西村真悟氏・遠藤浩一氏・潮まさと氏・上杉隆氏)の収録を終えたが、西村真悟さんが言っていたように「六者協議の枠組み」からの脱却を模索していく必要がある。



2007.12.20

「韓国大統領選挙」

 李明博大頭領が誕生した。10年続いた左派政権から「ハンナラ党」という右派といわれる政権に変革したわけだ。今後の韓国政府の「太陽政策」の変更を含めて、北朝鮮政策が多少変化することは間違いないであろう。特に「李明博氏」は、経済大統領という呼び名を売りに立候補し、勝ち取ってきただけに、今後北朝鮮への「無意味」な援助を乱発することはあるまい。今、金正日政権を支える大きな力となっていたのが、韓国政府による無尽蔵な援助だったことを考えると、金正日政権の維持に関しては厳しい事情が生まれることが考えられる。
 来年の展開に期待したいと思う。
 しかし、金正日という人物は半ば「ラッキー」な人物だったのかもしれない。
 米国にブッシュ政権が出てきた時には、韓国は「金大中政権」であり。日本は「小泉政権」であった。ブッシュ政権の厳しい対応をかわすために、日本との歩み寄りを工作し2002年の「平壌宣言」を勝ち取ることが出来た。さらに、韓国には金大中よりもっと親北の「盧武ヒョン政権」ができあがり、息をつくことが出来た。
 日本に「安倍政権」という北朝鮮に対し厳しい政権が出来上がったとき、米国・ブッシュ政権が「宥和政策」を模索し始めた時期であり、韓国は相変わらず「盧政権」であった。
 そして、韓国に李明博政権が誕生した時、米国・日本と宥和的な関係を気づくことが出来る余地を残している。
 もし、米国が厳しいブッシュ政権のままで、日本に「安倍政権」、韓国に「李会昌政権」が誕生していたら、今のような延命は出来なかったろうし、拉致問題ももっと早くに解決できたのではないだろうか?
 しかし、この見方も反対に考えると「金正日」はアンラッキーな人物といえるのかもしれない。日米韓がそろって宥和的な政権であったならば、更に経済協力・国交の樹立が進み、金王朝の磐石菜基盤が出来上がっていたかもしれない。そう考えるとアンラッキーであるということになる。どちらに捉えるかは考え方の相違となる。我々にとっては、前者の立場での無念さが残るのだが。
 12月10日からの「北朝鮮人権侵害啓発週間」を終えて、一連の活動は終了したのだが、結局問題の解決には至っていない。しかし、私たちに出来ることはやっていく方針であり、地道な活動を続けていくことが解決につながる事を期待しよう。
 週刊新潮の記事に関しては、内容を読まれれば理解していただけると思うが、誹謗中傷の記事以外何者でもないと思う。鹿児島救う会の木村さんには残念な想いもあるが、いまさら言っても仕方あるまい。ひどいのは、「金正日が笑っている」という記述である。全く、このような報道をしていては「金正日が笑う」であろうことは間違いない。
 妻が女優として出来うる方法で「拉致問題啓発」を行おうと懸命になったことは事実である。



2007.12.4

「たまてばこ、ほら||」

 細君が主催する劇団が今年も「拉致事件」を題材に「芝居」をする。芝居の台本を書き上げる際に、私自身、いろいろなことを知ることになった。私たちが疑問にも思わない事象に関して疑問を投げかけられ、改めて調べていかなければならないことが多くあった。それらの全てが台本になるかというとそうでもないのだが、それでも真摯な探求が続いて困惑したことが幾たびかあった。
 膨大な資料を探り続け、多くの時間を資料の読み取りに費やして台本を書き上げる姿に、大変な作業であると感じている。
 書き記された台本と実際に人が演じている場面とではさらに、感動という意味で大きな差異がある。舞台稽古に同席する機会があったが、字面を見ただけではつかめない感動がそこにあった。これに音楽や装置が加わり「芝居」というものが出来上がっていく過程をみて、月並みではあるが「全ての事象は、人一人で作り上げられるものではない」ことを実感している。
 今回の作品は「田口八重子さん」を含む、「飯塚繁雄さん一家」の苦悩を表現している。手前味噌ではあるが、昨年とは違う手法で作られた「芝居」に感動をしていただきたいと思う。また、「拉致被害者救出」に対する日本政府の対応のあり方を問う内容でもある。
 昨日の「参議院テロ特措法審議」の中で、山本議員の「拉致問題は我が国の重要な問題であるが、米国が最近『テロ支援国指定解除』に踏み切るという話があるが、総理はこの動きに関してどのようにお考えか?」という質問をした。それに対し総理は「拉致問題は重要な問題であると認識している。しかし、米国の『テロ支援国指定解除』問題は、さして重要な問題とはいえない。・・・・・いや、重要な問題ではないとは言わないが、それだけが問題を解決する方法ではない」という内容の答弁をしていた。
 総理が「米国のテロ支援国指定解除」をどのように捉えているかが良く理解できる答弁だろう。対話を重視する総理にとって、「他国から他国民を拉致した犯人たちが、対話の出来うる相手」と捉えていることが伺える。しかし、「拉致問題は解決済み」・「補償問題や総連問題の解決がなされれば、調査に応じる可能性はある」と答えている北朝鮮・金正日政権と本当に対話がなされると思うのか?
 いやそれより、拉致を指導・指示した人物が何者なのかをはっきりと認識しているのであろうか?
 本当に拉致被害者を救出し、この問題を解決しようとしているのか疑問である。



2007.11.26

「新代表選出」

 11月24日、家族会臨時総会を開催した。その中で、横田代表が「代表退任」の意向をた。「一昨年の大病以来、体調が完全に復調することなく、年齢的にも代表の激務をこなしていく自身がなくなった。ついては、代表を辞任し、今後の運営に関して新体制を築いてほしい。ただし、今後も家族会の一員として、活動を続けていく所存ですのでよろしくお願いしたい。」というものであった。
 横田代表のなされてきた実績を評価すると共に、残留希望もあったが、健康上の理由とあっては抗しきれず、代表退任を了承することになった。その後、議長を選出し、次期体制に関して話し合われ、「緊急動議」として、飯塚副代表から「役員全員辞任」を提議された。横田代表退任を受け、今後の家族会運営には、全ての役職について皆さんの意見を聞きながら、被害者救出に向けて万全の体制を考えてほしい旨、提案があり、話し合いがもたれた。結果、以下のように全会員一致で決定した。出席家族は、14家族中10家族(委任状1家族)。

代表    飯塚繁雄(新任)
副代表   有本明弘(新任)
副代表   浜本七郎(帰国者担当)(新任)
事務局長  増元照明(再任)
事務局次長 横田拓也(再任)

今後は新体制の下に、被害者の早期救出に向けて活動していくことを確認した。
横田全代表には、「名誉」という冠をつけた役職をお願いしたが、それではこれまでと同じことになり、激務が変らず、体調を万全に戻すことが出来なくなるとのことで固辞されたので、一会員という立場で活動していただくこととなった。
我々の会は、個人としても会としても小さなもので、今後何処まで成果があげられるか不透明であるが、被害者家族として出来るだけのことはやっていかなければならない。私たちの声が何処まで取り上げられるのか不透明だが、政府と一体となって「金正日との闘い」に望まなければならない。政府とは、協調していくものであるが、批判的な協調関係になっていければよいと思う。



2007.11.22

田原氏の暴言」

 二度目の訪朝をはたして宋イルボ大使に面会した田原総一郎氏が、自身のプログ上において「北朝鮮高官から聞いたとして、『8人死亡』を確信している」というような文章を載せている。朝日新聞紙上にも同様の主旨の言葉が書かれていた。
 21日、自民党「拉致問題特命委員会」において「家族会」・「救う会」の訪米報告とともに、田原氏も報告をされるというので、自民党本部での会議に出席した。飯塚副代表と私の報告が終わり、西岡副会長の補足の後、話をされたが納得いかないので質問させていただいた。
 どのような新しい証拠が北朝鮮高官から提出されて、「8人死亡」を喧伝されるようなことになったのか?経緯をおききしたが、何等新しい証拠も提出されないまま、熱心に「日本との関係改善」を訴える宗大使の口ぶりから、「嘘をついていない」という感触を得たようだ。
 田原氏は前回の訪朝で、当時の「鄭大使からも同様の意見を聞いて、北朝鮮は本気で拉致問題の解決を願っている」という感触を受け、「誠実に対応している」という言葉を信じて帰ってこられたようであるが、その後の「再調査」で示されたものは、「めぐみさんの遺骨と称する偽者」であった。それでも、北朝鮮の言っていることを信じているということだろう。
 田原氏のプログでは、「BDA」に関する米国の金融制裁に関して、事実誤認があることを露呈もしているわけで、北朝鮮に対する誤った知識を持ちながら、北朝鮮高官とのインタヴューをすることは危険である。そのことを実証された今回の見解であろう。又、氏はあろうことか、「遺骨」にかんする鑑定結果についても「ネイチャー」の雑誌を引用し、米国での再鑑定さえ提起している。本当に何処まで反日思想の持ち主なのであろう。何処までも、日本政府を疑い、8人死亡を確定的なものにして、拉致問題を終結させ、国交を結びたい北朝鮮政府の代弁を行っていることに疑問を感じる。
 氏は、本当に北朝鮮政府の嘘を信じ込んでいるのだろうか?それとも、他に意図があって「8人死亡」で終わりにしたいと考えているのか?被害者家族としては、残念である。
 同席されていた中山補佐官が「人質の安否に関する情報はとることが難しいのは、どのような事件でも同じであるが、死亡を証明する物証がない以上、生存と判断し、返還を要求していくのは当然であります。田原さんもそのチャンネルを使い、日本政府の姿勢を相手に伝える努力をして欲しい」といわれた。
 最後に中川昭一委員長が、「田原さんの言葉は、政府への激励を含めた言葉」としてまとめて終会とした。
 田原氏は、「政治は政治、拉致は拉致、ビジネスはビジネス」と割り切って日朝公称をすべきといっているが、はたしてこのままで北朝鮮とのビジネスをして、一体日本にとって何の利益があるというのか?「レアメタル」産業での遅れを懸念しておられるようだが、北朝にあるレアメタルとはなんだろう。もし、そんなものがあるとすれば、党の昔に中国は手をつけているはずだが?
 中国は茂山の鉱石発掘権や羅津の港の使用権を獲得しているのだが、未だに稼動させるにはてこずっていることをお忘れなく!



2007.11.19

「誰が日本国民を守るのだろうか?」

 今回の訪米で強く感じたのは、日本外交の脆弱さである。米国の対北政策の転換を事前に察知し対処しなければならなかった。在米大使館の情報収集能力を疑わざるを得ない。もし、本当に拉致被害者救出が国家の最優先課題であるとするならば、米国との連携を何度も確認しながら推し進めるべきであったろう。ヒルが北朝鮮を訪問したあたりからその兆候はあったはずである。同盟国の米国を信頼しすぎたこともあろう。それに関しては、私たちも同じであった。
 しかし何度も言うようであるが、同盟国の米国を説得できない外交が、どうやって北朝鮮政府を説得できるというのか?これでは、北朝鮮から侮られ「米国さえ騙せれば、日本はそれに追随していく」という思いを抱かせてしまう。今後、宋たちの高笑いが聞こえてきそうである。
 今回の「テロ支援国解除問題」は、日本外交の脆弱さと米国の国益優先、米政権の成果主義の結果であることが明らかになったことになり、日米同盟の危うさを露呈させることになるだろう。日本国民の生命にかかわる問題である。それに対して、「懸念している」とか「忘れてはいない」という言葉で濁されるとしたら、真に日本の危機に際したときに、日米同盟や日米安保条約が、我が国や国民を守る行動をしていくことになるのかどうか。
 私は否定的な思いである。外交力の低下している中で、我が国の緊急の課題で米国の援助は受けられないと見るべきだ。それだけ、大きなことであると思う。ヒル次官補やライス国務長官は、そのような意識はなかったかもしれない。ブッシュ大統領もそこまでは、考えていなかったと思うが、米国・日本両国の保守派は、それを危惧している。
 日米同盟は確実に必要なものだろうが、安全保障に関しては独自に考えていかなければならないのではないだろうか?
 米国は「民主党政権」への流れを崩せずにいる。もし、民主党政権になった場合、対日より対中政策を重要視することになる。
 日本が窮地に陥ることになる。日本国民が目覚めねば、誰も国民を守ってくれない現状は変えられない。



2007.11.17

「外交敗北」

 これは早稲田大学教授・重村さんの著書の題名である。北朝鮮との初めての首脳会談を前にして、外務省が外交的に北朝鮮に譲歩し、外交的な敗北を喫した産物が「平壌宣言」であった。この敗北が再び起きようとしている。米国に来て、確実に実感していることは、米国が北朝鮮と「テロ支援国指定解除」を前のめりに約束していて、決定的なところまできているということだ。日本大使館はこの動きを察知していたはずであるし、早期に手を打たなければならなかったはずなのに、結局何も出来なかった。これが敗北でなくてなんだろう。
 谷内事務次官が訪米し、積極的に米国政府に働きかけを行った事実はあるのであるが、それが実を結ばなかったということは残念であると同時に、日本の外交の力のなさを露呈するものだろう。関係者の努力には感謝もするし、ありがたいという気持もあるが、結果が伴わなければ評価をすることは出来ない。
 しかしこれは私たちにも言えることかもしれない。昨年の早紀江さんとブッシュ大統領との会見以降、同盟国である米国は決して裏切らないだろうという安心感を持ちすぎて、親密な連携をしてこなかった結果ではないか?もっと、事前に米国の動きを察知して早い動きをしていくべきであった。
 今日の「日米首脳会談」の結果を見て、失望させられたのは私だけだろうか?米国は同じ価値観を持つ同盟国である。この米国を外交的に説得して「テロ支援国指定解除」を阻止することが出来ないようで、どうやって違う価値観を持つ北朝鮮を外交的手段で説き伏せることが出来るのだろうか?同盟国の生命が掛かっている問題で米国が理解だけではなく、協力してもらえないというのであれば、同盟関係を結んでいる意味が問われる。国民の命のかかった懸案で、粘り強い外交を展開しないでどうやって被害者を救出できるというのか?
 ただ、私たちはこれであきらめたわけではない。米国議会関係者や保守系の有識者の考えは、私たちと一緒であり、北朝鮮のテロ支援国指定解除には時期尚早であるという意見が大半である。この人たちとの連携を強化し、限りある時間内に米国政府の決定を覆していくことが求められる。
 この一週間で分かったことは、米国のテロ支援国指定解除を阻止することが出来る唯一の方法は、米国議会内に知られていない「北朝鮮による多くの外国人拉致」を知らしめていくことである。日朝間の懸案問題だけではなく、世界12カ国に及ぶ拉致被害国が存在することを強く主張していかねばならない。そして、シリアの核施設へ北朝鮮が大きく関与している事実を主張していくことであろう。保守系の北朝鮮問題専門家から多くの手法を聞いた。今の前のめりの米国政府の姿勢を停められるのは、シリア問題を大きくしていくことであるという。
 ブラウンバック上院議員は、上院での「テロ支援国家指定解除」に一定の条件下を図る法律案を提出する動きを開始すると約束してくれた。下院ではすでに検討中である。これらの動きと連動し、阻止していかなければなるまい。



2007.11.16

「ヒル次官補」

 昨日まで、ご一緒いただいた西村慎吾幹事長は14日朝、先遣隊の役目を果たされ帰国された。14日には「拉致議連」本隊(平沼赳夫会長、中井洽議連副会長、古屋圭司事務局総長、松原仁事務局長代理、馬渡龍治幹事、鷲尾英一郎幹事)が到着し、タイトなスケジュールをこなした。
12:30 日本大使館との昼食会
15;15 ジェフリー大統領事跡補佐官(NSC)との面会
16;15 シン筆頭国防次官補代理(国務省)との面会
17:30 タシェクヘリテージ財団上級研究員との面会
19:00 ショルティ北朝鮮自由連合会長らとの夕食会
長旅でお疲れであったろうが、午後からの全ての会合に出席いただいた先生たちに感謝申し上げたい。特に平沼会長は体調が万全でない中で、4泊2日という強行軍を私たちと共にご一緒いただいたことを感謝申し上げたい。
15日早朝より、ロスレーティネン下院議員(外交委員会筆頭理事)、ブラウンバック上院銀、ヒル次官補、ローラバッカー下院議員ラビッチ副大統領補佐官らと会談、接見した。国務省、大統領府、連邦議会会館等移動も困難であったが、15日はあいにくの雨で寒さも増した中、各移動地でセキュリティチェックの為、長くまたされた中に泰然としている平沼会長の姿には感動させられた。本来なら国賓級の扱いを受けるべき平沼会長が、セキュリティの長い列を待たされてもなお泰然とされていることに風格すら感じられた。
 ヒルとの会談では、先生方が強い口調で「米国のテロ支援国指定解除問題」に関して、日本サイドの強い懸念を述べられ、ヒルの六者協議での対北政策に対し批判を浴びせていた。それに対し、ヒル次官補は「責任は私にあるのではなく、私のレベルでは考えていない」と逃げるような言葉を繰り返すだけであった。しかし、その会談の中でも「北朝鮮に対しては、先ず譲歩して相手から最大限の譲歩を促す」というどこかで聞いたような言葉があった。2000年、時の河野洋平外相が、「人道目的の10万トンの食糧支援」を家族に伝えたときの言葉である。「先ず、こちらの誠意を見せ、北の誠意を引き出す」というものである。その後、北は誠意を見せずに食料だけをとられたに過ぎないことは、多くの方が知っている通りである。ヒル次官補も河野外相と同じ過ちを犯しているような気がしてならない。
 それにしても、ヒル次官補は「言質」をとられないように逃げの言葉を並べていた。其処に、米国政府の「テロ支援国指定解除」を決定してしまったことが伺える。此処までくるまでに日本政府は手を拱いていたのだろうか。残念である。



2007.11.14

自由はタダではない」

 昨日書いた「ベテランズ・デイ」にちなみ、私たちも「ベトナム戦争記念碑」を訪ねた。ベトナムで死んだ兵士たちの名前を記した石碑を見て回った。これは「リンカーン・メモリアル」を背に左サイドに位置したところに設置されている。逆の右サイドには、「韓国戦争」で死んだ兵士の追悼の為の記念碑が作られている。
 こちらの石碑には、死亡した兵士の名前を刻んではいない。その石碑には、兵士の像や戦争を痛む図柄が描かれている。その一説に、「The Freedom is not free」の言葉が刻まれているが、アメリカらしいと思う。
 13日は、米国元国連大使・ボルトン氏と会う。ボルトンさんは、以前から私たちの考えと一致して、北朝鮮に厳しい姿勢をとり続けている。米国の国務省が「テロ支援国指定解除」へ向かうのを苦々しく思っている一人である。
 彼の話を聞いていると、米国議会の中にも「ライス・ヒル路線」を苦々しく思っている勢力も存在しているという。しかしながら、ブッシュは北朝鮮問題での回答を得る為に、ヒルに任せている状況である。このままでは、国務省の思惑通りに「テロ国家・北朝鮮」との取引に邁進するような感じが受けて取れる。
 唯一、その流れを止められるのは「シリア問題」であろう。北朝鮮がシリアの各施設に関与しているという確実な証拠が出てきた場合、米国議会で「2・13合意」違反であるという声が上がる。米国も其処までいけば安易なことは出来なくなる。
 ボルトンさんは、北朝鮮の年末までの「申告」というものが必ず納得のいくものにならないであろうという予測をしている。この点でも一致しているのだが、前のめりになっているヒル次官補の目が曇っていくことが憂慮されてならない。
 日本では、情報が錯綜しているが、こちらに来て日本政府の対応の遅さと、懸命さが伺えなくなってきている。日本政府は、この拉致問題でも米国追従の姿勢を崩そうとはしていないのかもしれないと思わせてしまう。
 安倍さんが退陣したのも、米国大統領・ブッシュと会談した後である。米国の裏切りを直接感じて、政権の重要課題である「拉致問題の解決」を達成できなくなる危惧も感じていたのかも知れない。



2007.11.13

「訪米中」

 11日に成田を出発して、同日にワシントン・ダラス空港に着いた。同日、ワシントン・ダラス空港に着いたのだが、その日は米国の「ベテランズ・デイ」で月曜日まで休日であったということで、議会関係者との面会は休日明け後から開始することになり、その日はアーリントン墓地と「硫黄島の記念碑(6人の米兵が硫黄島に星条旗を立てる図)」を見学した。「ベテランズ・デイ」というのは、米国の歴史の中で戦死した人たちを忘れないように、国家が定めた「記念日」である。多くの国民が、「リンカーンの記念像」のあるメモリアルのそばに作られた「ベトナム」で戦死した兵士の名前を刻んだ石碑を訪れ、自身の身内の名前のところに献花したりしていた。
 アーリントンの「無名戦士の墓」のところでも、多くの米国人たちが各国の首脳が献花する場所を訪れ、献花式を見学していた。献花式は、厳かに静寂の中、ラッパの音色を聞きながら、安らかに眠って欲しいという意味合いを込めて献花されていた。国家のために闘い、そして死んでいった兵士の魂を国民が忘れないように、そして彼等の行為の尊さを教える為に国家として「記念日」を儲け、国民もそれを厳かに受け取っている姿を見ていると、同じように国のため、家族のために若い命を散らしていった日本人のことを忘れないようにしていかねばならないのではないかという思いになる。
 誤解をされるかもしれないが、少し米国の兵士たちが「うらやましく」思われてならなかった。戦った兵士には何の責任もなく、信ずるところのために命を散らした人々を敬うことをしない我が国の政府は、人の命の重さをも軽視しているのではないかと思う。いろいろな意見があるのかも知れないが、少なくとも政府の責任で「死んでいった兵士」の魂を安らかにするためのことをやっていかなければならないだろう。
 戦争を決して賛美するつもりはないが、戦場で倒れていった兵士への敬意を示していくことは必要だろう。その行為によって、現在を生きる我々に彼らのことを考え、命の重さを教えてくれることになるのではないだろうか?又、子供たちに命の尊さを教えていけるのではないだろうか?
 米国での「テロ支援国指定解除」の動きは、抜き差しならぬところまできているようだ。米国・国務省は「最近、北朝鮮がテロを行っていないこと」を理由に指定解除を約束したようであるが、これは「拉致はテロであり、現在進行形」の解釈から大きくはずれるものだ。又、北朝鮮の民主化を望む多くの関係者の期待を裏切るものである。
 明日からの面会の中で、「米国はテロ国家を認め、譲歩を続けるというなら、他国へもテロとの闘いを強要すべきでない」ということを言っていく。



2007.11.7

「奇妙に連動する北朝鮮政府と田原氏発言」

 今日(7日)、田原総一郎氏が早稲田で講演したらしい。その内容は、『「以前の調査時には8人について調査を行ったが他の人は未調査。8人は死んでいるが、それ以外で生きている人はいる」と、北朝鮮側が「8人は死亡」との従来の見解を繰り返していることを明らかにした。』というものだ。
 北朝鮮の高官(宋と思われる)に聞いたという話をそのまま、然も事実のように学生に話をしている。しかも、「これはTVではいえない話であるが」と前置きして、自分だけが知っている事実であるような話し振りで。
 人というのは往々にして、「ここだけの話だが」とか、「貴方だけには本当の話をするが」とか言われると、相手が真実を話していると錯覚しやすい。北朝鮮の手法に陥れられた可能性が強いことを全く疑うことなく、信じてしまったのであろう。田原氏という人物がこれまで「報道番組」に携わり、「スクープ」を追いかけてきた人物であればあるほど、その「落とし穴」に陥りやすいのである。
 又、田原氏は以下のようにも言っている。『「今北朝鮮は自信に満ちている。BDA(バンコ・デルタ・アジア、米国からマネーロンダリングの窓口だと認定されたマカオの銀行)の凍結解除や日本以外の4カ国からの重油支援が決まったから。このままだと、日本は6ヶ国協議でつまはじきにされるおそれがある」と6ヶ国協議の行方について問題提起』
 これは昨日のNHK報道での北朝鮮政府の発表(平壌中央通信)の以下の発言とリンクする。『「このままでは日本は、6か国協議から排除されるだけでなく、国際社会の外に追いやられるほかない」としています。
 即ち、北朝鮮政府の方針通りの考えを日本国内に紹介させられているということだ。北朝鮮が今望んでいる「日本政府の姿勢の転換」を自身の取材から独自に判断しているようにみせて、北朝鮮政府の策略に乗せられているように見える。
 以前、田原氏は自身最初の際の取材での感想から、「北朝鮮政府の発表(5人生存、8人死亡)は揺るぎのないもの」との見解をTVを通して視聴者に語っていた。このとき同席していた私の言葉をも遮り・否定しながら、死亡を確定的なものという考えを示していた。しかし、後に「めぐみさんと称された北朝鮮が示した『遺骨』が偽者と判明した時に、生きている可能性があるような弁明をしたのである。
 影響力のある田原氏だからこそ、今回の発言も責任のもてないものであることを言わなければなるまい。北朝鮮の高官の話を自身が検証し、確たる証拠を踏まえての発言でない以上、安易に「被害者の生死にかかわる話」を断定的に言うべきではない。更に『「横田めぐみさんの遺骨鑑定はやり直すべきだ。遺骨DNA鑑定を行った帝京大学の講師は、英Nature誌で『(鑑定結果について)自信はない』と述べている。米国が火葬骨DNA鑑定技術を開発したので米国に依頼してはどうか」』と日本政府が捏造したかの様な北朝鮮の主張を認めるような発言をし、再鑑定の提案までしていることは何をか云わんやである。
 真実を追究する「報道人」であろうとするなら、事実の検証を行ったうえで発言してもらいたい。
 日本の報道人は、北朝鮮政府に利用されやすい「善人」過ぎる。



2007.11.6

「何処からきたのか?調査団派遣?」

 今日(6日)の毎日新聞の朝刊において、次の記事が載った。「<北朝鮮拉致>調査団の平壌入り要求 日本政府が方針」というものだ。「政府は5日、北朝鮮による日本人拉致問題で、北朝鮮側に改めて日本の捜査当局者ら専門家を含めた調査団の平壌入りを求める方針を固めた。(中略)政府は新たな生存者の確認と帰国につなげると共に、日朝合同調査への足がかりにしたい考えだ。非公式協議には日本から外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長、山田重夫北東アジア課長らが、北朝鮮からは宋日昊(ソンイルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使らが出席する。(中略)日本側調査団の平壌入りは、問題がこじれる前の04年時点に立ち返り、行き詰まりを解きほぐす狙いがある。」
これは、とんでもない誤報であるとしかいえない。私は直ちに外務省に連絡、名前の出ている山田課長に直接ぶつけた。課長は言下に否定した。「政府内でそのような話などされたことなどありません。」ということだった。比較的「辛口批評の多い」私だが、現在の北東アジア課長・山田氏を信頼できる人だと感じている。その課長が言下に否定したことである。ここは信じねばなるまい。又、今日、自民党の「拉致問題特命チーム」に出席した佐々江局長は、毎日の記者に対し、「根拠のない記事は書かないよう」釘を刺したということである。メディアに対し、批判しない官僚としては珍しいことである。これをもってしても毎日の記事が「与太記事」である可能性が強くなった。 
 毎日新聞・政治部は以前にも前科がある。2004年8月11日の夕刊でスクープされた記事である。それは、「めぐみさんの死亡報告が、帰国者の目撃情報と食い違う」というものだ。つまり、北朝鮮発表では「93年3月13日死亡」とされたものに対し、「94年平壌で目撃していた」というものである。これを受けて、「家族会」・「救う会」では、重要な対北交渉の情報を事前に表に出してしまったことに対し批判し、苦言を呈していた。毎日新聞・政治部の副部長はそれに対し謝罪、今後の報道には充分留意する旨伝えてきていた。
 家族会では、北朝鮮への「再調査依頼」など無用であり、(帰国者が言っていたように全てが管理された生活であった。ならば、再調査など必要なく、生存者を帰せというだけでよい)再調査以来などは、問題の解決を遅らせるだけであると。今回の毎日の記事では、被害者の生存を確認するものではなく、死亡を裏付ける証拠の捜査ととれる。即ち、毎日新聞社が被害者の生存に関して疑問を抱いていることに他ならないのではないか。
日本政府も現在は、「被害者は全員生存」の意思を持って北朝鮮に要求している時に、何処から聞いたか「与太話」をそのまま「垂れ流し」、被害者家族の心痛を増やすなどという行為は、我々にとっては酷いことなのである。
日本が一つになって、「被害者は生存」を前提に闘いをしていただけないものだろうか?このままでは、メディアによって「被害者死亡」が既成事実化されてしまう。



2007.11.1

るみ姉の誕生日」

 11月1日は、姉・るみ子の54回目の誕生日である。24歳で拉致されてから既に30年が過ぎようとしているということだ。
 午前0時を過ぎた時に、優子と二人でささやかな誕生日祝いをした。小さなショートケーキを買ってきていた優子が、「せめて二人だけでも祝ってあげよう」と蝋燭を添えたケーキを味わいながら、長い年月の過ぎ去ってしまっていることに改めて無念の思いをかみ締めた。
 心が弱っているのか、涙があふれてくる。この30年、るみ子はどのような思いで厳寒の地での誕生日を迎えているのだろう。日本の情報は溢れていると思う。私たちが闘っていることも承知のはずだ。どんな気持ちで私たちの闘いを見ているのだろう。遅々として進まぬ救出への道が、被害者の間では「希望」を生んでいるのだろうか?生還の希望をどのような形で抱いていけるのだろうか?30年・・・・・・・・・・・。
 10月26日、福田総理との面会がなされた。比較的に早い対応であると思う。歴代の総理に面会してきて、今回が5人目となる。(橋本総理とは面会せずに退陣されたから)安倍前総理は例外的に早い面会であったが、歴代総理はこちらから面会をお願いしても、国会中とか公務が忙しいという理由でなかなか面会さえしてくれなかったことを思えば、今回の面会は早期に実施されたと思う。
 家族会では、面会前に参集し、「ネガティブ」なことを言っても仕方のないことであるから、先ずは総理の考えを聞いてみたいというスタンスでその場に臨むことになった。日頃から「福田氏批判」を繰り返してきた私としても、家族会の総意としての判断で、冷静に対応していくしかないと思った。
 前日の高村外相の発言、「数人の帰国で『進展』と判断する」というものの真意だけを聞くつもりであったが、総理の真意は聞くことは出来なかった。ただ、「日本政府は、今、一体となって『被害者の救出』に向かっています。ですから『家族会』の皆さんも政府と一体となって欲しい」という意味の回答をしてきた。
 政府一体と言いながら、官房長官と外務大臣の発言を比べると温度差があることが不信を招いてしまう。
 翌朝の「読売新聞」と「朝日新聞」では、「政府の対北政策の変化」を示す記事が流れた。補佐官は、「これまでの日本政府の対応と何等変化はありません」と言われるのだが、なにしろ2000年の前例があるから(外務政務次官の家族行脚の末の『コメ支援発表』)、気持ちを緩めることは出来ない。
 面会の最後に、福田総理は「私のことを毛嫌いしないでほしい」と結んだが、別に「毛嫌いしている」わけではなく、しっかり「考え」・「行動」して欲しいだけなのだが、私たちが「毛嫌い」しているという感覚をもたれることが問題ではないか?



2007.10.20

「主張する外交へ」

 18日、議連の総会へ出席。9月に決定した「救う会」・「家族会」の運動方針の報告と、議連への「訪米団結成」の要請をした。
 米朝接近に伴う「米国国内法における『テロ支援国家指定解除』問題で、米国下院に提出された法案「テロ支援国指定解除に一定の条件をつける」を立案した米国議員との連携強化をお願いし、早期の法制化を実現してほしいというものだ。
 米国の「テロ支援国指定解除」が、北朝鮮を対象に実施されるということは、米国が日本の問題に無関心になったということであり、これは「日米同盟」そのものに暗雲を呼び起こすものである。
 トルコは、米国下院外務委員会で「虐殺と認定する決議案」が承認された。これに対し、トルコは強い反発をし、米国のイランでの活動に対し協力を拒否する可能性さえ見せている。更に、イラン北部にある「クルド人」の拠点に攻撃を開始する姿勢さえ見せて米国の決議に対し批判をした。
 翻って我が国は如何であろう。米国に対し、「テロ支援国指定解除」をして欲しくないという主張ばかりではないか?
 今、国会では「テロ特措法」の審議がなされ、インド洋上の給油問題で揺れている。ただ、揺れているだけで国際社会への発信があるのだろうか?国際貢献という意味で「テロ特措法」の延長は重要なのであろうが、なぜ、そこに我が国の重要問題である「拉致問題」を国際社会に発信していかないのであろうか?
 2001年、米国は国際社会に「テロとの闘い」を呼びかけ、中東への多国籍軍派遣を要請した。我が国も「特措法」を制定し、インド洋上での給油を開始したのである。そこには、核を持ちつつある北朝鮮問題に米国の介入と解決を望む方向性もあったし、北朝鮮による拉致の解決に米国の協力が不可欠であるという観点からも国民は容認してきたのである。
それが、米国が勝手に「テロ国家・北朝鮮」と妥協し、テロ国家への追及をやめるというのであれば、米国は「テロとの闘い」を放棄したということである。
 我が国は、我が国の問題に米国を引きずり込むためにも「米国がテロ国家との戦いをやめるのであれば、我が国もインド洋上での活動をやめざるを得ない」と主張すべきではないか?この主張を発信していくことで、米国のみならず欧州社会へも「北朝鮮による拉致問題」の存在を訴える大きな機会にもなり、国際社会の認識を深めるものとなる。
 国際社会は、自国民を拉致された日本の立場を理解しないはずはなかろう。米国が慌てるほどのインパクトの強い外交姿勢を発信していくことこそ、主張する外交を推進していくことではなかろうか?
 政府の最重要課題として、「拉致被害者の救出」を達成する強い意志があるなら、「テロ特措法」を立てに、米国への圧力をかけていくべきではないか?
 それでこそ、国民を守ろうとする国家のあり方であろう。武力の行使の出来ない我が国やり方は、経済力や外交力で戦うしかないのであるから、それをもっと活用すべきだと思う。



2007.10.17

「10月17日」

 5年前の今日、親父が他界した。一週間、今日にも心臓が止まってもおかしくない状況が続き、看病と被害者五人の帰国が重なり、東京と鹿児島の間を三往復することになったのだが、鹿児島を出る時はいつも「これで死に目に会えないかもしれない」という覚悟をしながらの往復であった。
 8日に看病のために帰郷した私に、政府・内閣府から至急の用件で東京に呼び戻され、被害者五人の帰国を告げられた。その報告をもって再び帰郷した私は、当時計画中であったビデオ撮影を開始した。先ず、親父にるみ姉へのメッセージを残させようとカメラを構えた。このとき、本当は親父に「るみ姉が帰ってくるまで、死んだらいかん」という気持ちを呼び起こさせようとしたものでもあったが、結局、親父の口からは「弱気の弁」しか聞きだすことは出来なかった。しかし、このときのビデオが後に大きな役割を果たすことが出来た。家族会メンバーが集合した13日の朝、15日迫った「被害者の帰国」まで東京に留まり、少しでも「るみ姉」の情報を聞きだしたいと思い、「今日にも心臓が止まってもおかしくない」という状況で、今生の別れを言い残し病院を後にして上京したのである。
 家族会では、帰国される被害者家族と帰国できない被害者家族の話し合いが持たれ、「一時帰国」という形で帰国する「被害者」をどうするのかという話になった。
 そのとき、浜本さんや地村さんから「絶対に被害者を北朝鮮に戻すことはしない。もし、彼らが帰るといっても、柱にくくりつけてでも帰さん」という言葉が聞かれた。家族はその思いは当然と考えていたが、政府(特に外務省)の意向は、「約束だから、いったん返す」というものだった。なぜなら、外務省が提示した「帰国被害者の日程」には「お土産購買」の予定まで組み込まれていた。その意向は無視し、「被害者を帰さない」という家族の方針は固まった。そこに同席されていた安倍官房副長官(当時)、中山参与(当時)は、その意向を受けていただいたのである。その際に安倍さんが言われていたのは、「皆さんのお気持ちはよく理解します。ただし、被害者が帰国を果たすまで皆さんの意向を表には出さないでほしい。北朝鮮政府が被害者を帰さないと言い出すかもしれないから」といわれた。
 実に的確な指示であったと思う。
家族会総会後、自宅に帰ろうとした私に平野から電話が入り、「本当に今晩が山場だから、帰ってきて!」という悲痛な叫びがあり、再び帰郷することになった。親父は、機会に繋がれたまま弱弱しく心臓を動かし続け15日の朝を迎える。その日は、被害者が帰国する日であった。平野と話し合い、どのようなことになるかも知れないが、上京し被害者に聞き取りをしたいという気持ちを告げて、親父に別れを言ってでた。
 結局、被害者からは何も聞けなかった。親父は、私が帰郷する16日夕方まで心臓を動かし、私の報告を待っていてくれた。
翌17日、被害者5人は「喜び」のうちにそれぞれの故郷へ帰っていった。その日の早朝、いつとまってもおかしくないといわれた親父の心臓が停止した。
私たちは、帰国者の喜びだけが写されるであろう映像だけでは、「良かった!良かった!」で終わってしまう。それでは、るみ子や帰国できていない被害者のことが忘れ去られてしまうという思いがめぐり、「親父のメッセージビデオ」を公表することにした。親父は、このために「弱った心臓を動かして生きた」との気持ちが呼び起こされたからだ。親父の意思が「るみ子を忘れないでほしい!」という心からの気持ちを訴えるために。
5年の歳月が流れたが、それでもまだ「るみ子」を取り戻せないでいる。



2007.10.15

「瀋陽で日朝作業部会実務者協議」

 六者協議の日朝国交正常化作業部会の再開時期などをめぐり、日朝両政府間の非公式協議が中国・瀋陽で行われるということだ。日本側出席者は山田北東アジア課長、北朝鮮側は宋イルボ兆日国交正常化担当大使ということだ。
 日本政府方針は「拉致問題の解決なくして、国交の正常化はない」との姿勢であるから、本来ならば「北朝鮮の人権問題正常化のための作業部会」と銘うつべきものだが、ここは一歩下がって、作業部会の開催優先とするのであれば致し方ない。
 面白いのは、作業部会の実務者協議という場に「日本サイドは北東アジア課長」で「北朝鮮サイドが朝日正常化担当大使」という点である。国際会議の場では、話し合いに参加するのは、同格の地位にいる担当者同士の会合となる。例えば、六者協議では、「北東アジア局長と外務次官級」。作業部会では、「担当大使と担当大使」という格で話し合いがもたれるのであるが、今回北朝鮮は、宋イルボという「担当大使級」の人間を実務者協議に参加させるということだ。これは、北朝鮮の人材不足もさることながら、早く「国交正常化し、支援金がほしい」という焦りの表れではないか?面子を重要視する北朝鮮としては異例なのではなかろうか?
 山田北東アジア課長は、先の日朝作業部会の「美祢大使」の報告会で、家族の悲痛な苛立ちを受けて、必ず次回の会議では頑張ると約束した課長である。福田政権になって、作業部会に対する思い入れが変化している可能性があるが、机をたたいてでも宋イルボに日本国民の怒りを示して貰いたい。
 昨日、大宮での「めぐみ」上映会でも、その後の浦和の街頭署名でも国民のイライラが募っていることを実感できた。この感情をそのまま「宋イルボ」に示していくべきだ。
 私たちは、北朝鮮の不遜な姿勢に対し「怒り」を含む感情を持っている。人としての感情が伝わらないのであれば、厳罰をもって正していくことこそが、北朝鮮をして国際社会の一員であるという自覚を持たせる唯一の方法だろう。
頑張れ!山田課長!



2007.10.10

10月10日 制裁から一年」

 本日付の新聞各社の社説の微妙な違いに、各社の考え方が見える。
 現内閣の閣議決定において継続された「北朝鮮への制裁」に関して、毎日・読売・産経の論調はほぼ一致している。しかし、朝日だけは違った論調で「制裁継続決定」を批判している。
 もっとも、毎日―「やむをえない」、と読売・産経−「当然だ」でも温度差はあるのだが、3社が北朝鮮政府を批判的なのに対し、朝日は日本政府批判を繰り返している。
ちなみに「朝日・社説」の一部を抜粋してみる。
制裁の延長について、町村官房長官は「拉致問題に具体的な進展がないことや、核問題を含む諸般の情勢を総合的に勘案した」と語った。
 拉致問題がまったく進んでいないのはその通りだ。しかし、6者協議の合意を経て、北朝鮮は原子炉などの核関連施設の稼働を停止、封印した。さらに年末までに主な3施設を「無能力化」することでも合意した。

施設の再稼働はない、と保証できるところまでは行っていないものの、こうした動きは前向きのものだ。少なくとも制裁の部分解除などを通じて、日本政府としての評価を発信できたのではないか
首相は自民党総裁選の際、拉致問題を「私の手で解決したい」と述べた。金総書記は先の南北首脳会談で「福田政権の出方を見極めたい」と語ったという。その中での延長はあまりに単純すぎた(中略)拉致問題が進まない限り、支援には加わらないというのが安倍前政権の方針だったが、そんな単純な割り切りでは通用しない段階に至っている。拉致問題の進展をもっと具体的に、細かく北朝鮮に迫り、対応を引き出すことだ。核放棄の段階へ進めるためのエネルギー支援をそこに絡めて、米韓などとも連携して少しずつでも地歩を固めていく。日本の独自制裁の解除も当然、取引材料になるだろう。

 北朝鮮が喜びそうな社説であり、北朝鮮政府や朝鮮総連と連動したものである。この社説を公称800万読者が読み判断させられることを考えると、メディアの責任は大きいと感じざるを得ない。
 私は、政府の「制裁継続決定」は当然であると考える。昨年、北朝鮮に制裁(核実験と拉致問題に対する不誠実な対応)を課してから一年、その間に北朝鮮政府は「拉致」に関して不誠実な対応をとり続けている以上、「被害者を帰せ」という日本政府の立場を明確にしていくためにも、必要な措置であると考える。
 朝日の論説委員は、「他国から人間を拉致し、テロのために無理やり働かせ、拉致が発覚した現在でも『嘘を重ねる政権』と、紳士的な話し合いが出来る」と思っているのであろう。残念ながら、既に「幻想」であることがはっきりしていることを認識して貰いたいものだ。そうでなければ、誤った考え方が「蔓延」してしまうことになる。
 現場(社会部)の人間は極めてまともな人間の心をもっているのだが・・・・・。



2007.10.9

「日本人拉致被害者はもういない」

 南北首脳会談において、盧武ヒョン大統領が、北朝鮮による日本人拉致問題などを指す「過去の問題を精算し日本国交正常化を目指す」という福田総理のメッセージを伝えた際に、金正日が「拉致日本人はこれ以上いない」と答えたということである。
 これは、盧大統領に同行した延世大学の文正仁教授が明らかにしたということだ。会談の場に同席していない教授の発言である。韓国政府は正式には発表していない。これが事実かどうかも分からないあやふやな情報である。盧大統領が同行させたということであるから、当然のように「親北朝鮮一派」と見ても良いと思うが、その人物が北朝鮮政府の意を受けて発信していることも考えられる。
 北朝鮮としては、六者協議合意を促進するためにも「日本人拉致問題」を終息させたい意向がある。そして、日本からの援助が喉から手が出るほどほしい現実がある。日本国内世論の沈静化を図る意図もあったであろう。しかし、あくまで一民間人の話としての公表であり、後々、どうにでも出来る公表の仕方である。いかにも北朝鮮の狡猾なやり方ではないか。
 金正日が言ったという言葉についても判断がどうにでもなる言葉と思う。
「拉致日本人はもうこれ以上いない」
 2002年9月、自分(金正日)が公表した「拉致被害者」以外は存在しないという意味にも取れる。増大する拉致被害者を食い止めたいという北朝鮮の意図とも取れるのだ。又、「拉致日本人」は、以前はいたが、死亡したか国外追放したかで北朝鮮国内にはいない。または、北朝鮮国内にいる「拉致日本人」は粛清してしまった。
これまた、どうとでもとれる言葉である。
 前者は、特定失踪者家族にとっては非情な言葉であり、後者は被害者家族全体にとって深刻な事態となる。日本世論を揺さぶるためにする発言であろうが、汚さ過ぎる。
 外務省は、日朝協議・六者協議の中において、北朝鮮政府の真意が判明しないといいながら、協議を評価してきたが、金正日がこのような姿勢であることがはっきりしたなら、最早、猶予を与えず「不誠実な姿勢」を変えるためにも、「更なる制裁強化」を決定すべきではないか。
 先ず、北朝鮮船籍にかかわらず、北朝鮮経由及び北朝鮮へ入港する船舶の日本寄港を禁止しものの流通を止める。公人・民間人を問わず北朝鮮への渡航を禁止する。
 我が国政府は、本日閣議決定で「北朝鮮制裁の半年の継続」を発表した。日本国民の意思を表明する意味で歓迎したい。しかし、問題解決のために「更なる制裁措置」を求めたい。



2007.10.4

「六者合意文書」

1、 12月31日までに、寧辺の実験用黒鉛減速炉、使用済み核燃料棒再処理施設、核燃料棒製造工場を無能力化する。
2、 米国は無能力化に向けて中心的役割を果たし、資金を提供する。第一歩として米国が率いる専門家チームが準備のために2週間以内
  に訪朝する。
3、 12月31日までにすべての核計画の進行状況を正確に申告する。
4、 北朝鮮は核物質、技術または知識を移転しないことを約束した。
5、 米国は北朝鮮のテロ支援国家指定解除と対敵通商法適用終了のプロセスを始めるとの約束を想起し、米朝国交正常化作業部会の共通認識に照らし、北朝鮮の行動に合わせて約束を履行する。
 以上が、「六者協議」での合意事項の骨子である。
表面上は、核廃棄に向けた努力を約束した形である。この合意の前提には、北朝鮮が約束を履行する政権であるということである。しかし、いままで約束を履行してこなかった政権であることから、どこまで実効性があるかは疑問である。
 米国が本当に「北朝鮮をテロ支援国家指定から解除する」方針を決めたのであれば、米国は「テロとの闘い」を放棄したことになろう。
 北朝鮮は「テロ支援国家」ではなく、「テロ国家」である。多くの外国人を拉致し、未だに隠蔽していることは、正しく「テロ行為」そのものである。「テロ支援国」とは、テロ国家を支援する国家であるから、「中国」・「韓国」・「ロシア」・そして日本国であったが、米国も自ら「テロ支援国家」に成り下がることになる。この矛盾に気づかない米国のヒル国務副長官補は歴史に名を残すことになろう。
 もともと、北朝鮮が米国に歩み寄り始めたのは、昨年秋ごろと聞く。核実験で面子をつぶされた中国が金正日に対し、厳しい圧力を見せた。その圧力に怯え、このままでは中国に体制を崩壊させられると感じた金正日が、米国に対し「私を保護し、助けてくれるのであれば、『核兵器廃棄』に応じても良い」との懇願をしたということだ。ヒルは、自身の手で北朝鮮問題を解決するという「甘い罠」に陥り、中国を無視する形で北朝鮮との交渉に邁進した。それは、圧制に苦しむ「北朝鮮人民」も「拉致被害者」にも気をかけない酷いものである。
 この合意文書に対し我が国は、承認し、賛同した。そこでは従来の日本政府の方針「拉致問題の進展なくして一切のエネルギー支援に応じない」という言葉を確認していない。このままでは、なし崩しに北朝鮮への支援が再開し、圧力というメッセージを失ってしまう。
 本当に残念である!



2007.10.3

「西側諸国のニュースに敏感?」

 南北首脳会談が昨日から始まっている。日本国内のメディアは、首脳会談を直接取材することが出来ないらしく(韓国メディアの代表取材)、ソウルからの配信が目立つ。
 確か、共同通信は平壌に支局があり、工作員を雇って取材がなされているはずであるが、肝心の平壌発の報道が見当たらない。これまでは、私が把握している限りにおいて、{ソウル発}となっているのだが、果たしてどうなったのだろう。有効な記事が送ってこないのだろうか?何にしても、ピョンヤンに入っている日本のメディアは一つなのだから、有効利用してみてはどうか?「与太話ばかり」で配信できないのかな?
 それにしても金正日の反応の早さにはあきれる。日本国内のメディアの多くが、昨日の金正日の様子を報道し、いわゆる「北朝鮮専門家」といわれる方々の意見を載せていた。それは、「金大中との首脳会談時」との比較対照である。
 ある方は、金正日が「笑顔」を見せない。不機嫌そうに見える。とか、金正日の健康不安を言う方もいた。実際、画面に出現した金正日は不機嫌そうに見え、笑顔のない面談であった、初日は、党のNo.2金永南最高人民会議常任委員長とともに、オープンカーに乗り、金正日の下へ歩み寄る姿が見られた。これは、確実に北朝鮮政府の意図的な演出であろうが、韓国大統領であろうと金永南と同格であり、金正日の下に位置する人間であるということを印象付けるものである。勿論、北朝鮮国内への言い訳でもあり、国際社会への発信でもある。
 そして、昨日一日は金永南に対応を任せ、自分にはたやすくは会えないんだと言う事を示していたが、日本及び韓国のメディアの手痛い評価を気まずく思ったのか、今日は一変して「笑顔」・「笑顔」の連発に加え、聞いてもいない「健康説」まで披露している。
 本当に日本のメディアの批判に敏感であると思う。以前、金英男氏の記者会見の時もそうであったが、金英男氏の「時計が緩い」とか「服が体に合っていない」という報道後、直ちに修正した時のことを思い出すと、金ちゃんも日本のメディアのイメージ回復に躍起となっていると思えてならない。ご苦労な事である。
 でも、何人も「影武者が存在する」といわれる金正日である。画面に登場している人物が金正日と断定できないのであるが。
今日現れた「金正日」が、昨日とは同一人物とは感じられないのは、私だけなのかな?
 しかし、いかに金正日が取り繕おうと、朝鮮半島の二人の首脳の思惑は見え見えであり、そこが見えているのだが。
 もしこの仮説が当たっているとしたら、日本のメディアはもっと「日本人は北朝鮮の対応に怒りを示している」ということを発信してほしいものだ。
 拉致被害者の機構が「国交正常化」への結ういつの道であるというメッセージを送り続けて貰いたいものだ。



2007.10.1

福田総理の所信表明演説」

 平成19年10月1日、国会において 福田新総理の所信表明演説がなされた。拉致問題を含む「外交政策」の中身を、安部総理が平成18年9月29日行った所信表明演説と比較してみた。
先ず、福田新総理の所信表明
(平和を生み出す外交)と題して
朝鮮半島をめぐる問題の解決は、アジアの平和と安定に不可欠です。北朝鮮の非核化に向け、六者会合などの場を通じ、国際社会との連携を一層強化してまいります。拉致問題は重大な人権問題です。すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、「不幸な過去」を清算して日朝国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。
片や、安倍前総理のものは、
(主張する外交への転換)と題して
拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はありえません。拉致問題に関する総合的な対策を推進するため、私を本部長とする拉致問題対策本部を設置し、専任の事務局を置くことといたしました。対話と圧力の方針の下、引き続き、拉致被害者が全員生存しているとの前提に立って、すべての拉致被害者の生還を強く求めていきます。核・ミサイル問題については、日米の緊密な連携を図りつつ、6者会合を活用して解決を目指します。
 二つを読み比べると歴然とした違いがある。それは、青字で書かれた部分である。安倍前総理が「被害者が全員生存しているとの前提に立って」とし、「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はありえません。」と強調しているのに対し、福田総理は「不幸な過去」を清算して日朝国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。」と結んでいる。これでは、日朝国交正常化をなすために拉致被害者救出を図ると読める。又、前政権での「拉致問題の解決なくして、国交正常化なし」との文言を削除している。この大方針は、小泉政権時代から謳われている国民世論も後押しする大前提であったはずだ。「被害者全員が生存」という部分も削除されて、「拉致問題」を一般的な諸問題として扱い、重要な問題であるという強調がなされていない。
 勿論、この原稿は官僚が書いたものであろう。担当した官僚にとっては、相変わらず「拉致問題の重要性に対する認識が薄い」と思われる。福田総理の意向も受けているはずだが、その中で「拉致問題」の重要性を強調していないのは、北朝鮮政府に対し日本は「拉致問題を重要視していない」という誤ったメッセージを送ってしまうことになる。
 六者会合に関しても、新総理は「北朝鮮の非核化に向け、六者会合などの場を通じ、国際社会との連携を一層強化してまいります。」とし、安倍前総理の「6者会合を活用して解決を目指します。」とでは、明らかに「六者会合」での積極的な取り組みが感じられない。
 六者協議参加国に対しても、拉致問題の重要性を言っていかなければならないときに、この表明では伝わらない。そして、私たち「被害者家族」に対してもその情熱が伝わってこない。
 私たちの危惧が、具体的に現れる日が近づいているように思う。



2007.9.27

「福田総理誕生」

 下馬評どおり、自民党に「福田総裁」が誕生し、日本国の総理となった。私は、このHPでも書いてきたが、福田総理が誕生するのであれば、2001年の「金正男密入国未遂事案」に関して、当時「官房長官」として処理にあたった福田氏には、官房長官として国民に対し「嘘―密入国者が『金正男と断定できなかった』」という言葉の説明をしていただかなければならない。
 ご自身、自民党と政府与党に対する信頼を回復することが急務ということであれば、ご自身の発言に対し誠実に答えていただきたい。為政者として、国民に対し嘘をつかなければならない事態があることは推察する。あの時点では、あのように応えるしかなかったということであれば、国民に謝罪し「信」を取り戻すことが先決である。
 国民に対し、虚言を弄したまま、「信じてください!」といったって、信じられるわけがない。今、あの人物が「金正男」であったという発表をして、何等不利益になることはあるまい。あるとすれば、日本国の官房長官が国際的に日本政府の立場を悪くする(結果的に嘘をついたという事は、日本国が北朝鮮に対し、甘い「テロ支援国」であることを認めることになる)ことであろう。
 先日、福田氏は「私の政権の中で『拉致問題の解決をする』と、力強く言われた。又、その翌日には、記者の質問に対し「意欲を示した」ということだから、「金正男事案」に関して真実を言われてもかまわないのではないか?に関して、韓国の例を挙げて続行を主張する「渡辺周」衆議院議員に対し、「安部政権下での一年の制裁で進展が見られなかった」と反論された方がいたが、韓国は10年貢いでも何等解決に至っていないことと、一年の制裁の効果を比較すること事態おかしくないか?やはり、「拉致問題」の本質を捉えられない発言であると思う。
 進展が見られないというのは、北朝鮮問題に関し興味のない方の考えである。北朝鮮が「六者協議」に戻ったのも、米国の制裁(BDA封鎖)と日本の制裁に窮した北朝鮮政府の判断であることは明白だ。さらに、「テロ支援国指定解除をもとめている」ことも経済的に窮している北朝鮮政府の判断である。一応「核放棄・核計画の放棄・無能力化」をするように見せかけているのも、日米両国の制裁の成果である。
 これはあくまで「核廃棄」のためのものであるが、これを「人権問題・拉致問題」にまで波及させるためには、再び、日本国政府が拉致問題の解決のためという冠をつけて「制裁強化」を打ち出すことである。そして、米国に対しても「拉致問題・人権問題」に関しての制裁強化を図っていくことであろう。
 意欲をみせた日本国総理に、意欲を見せるだけでなく実質的な方法をとっていただきたい。



2007.9.20

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2007.09.20)西岡副会長がタイ人拉致等報告/バンコクで国際会議

 9月17から8日にバンコクで、「拉致と難民/北朝鮮の人権状況」に関する国際会議が開催された。東南アジアでは初めての会議で、北朝鮮に拉致された人々を救援する会チェンマイ(ARNKA)の海老原智治代表(救う会タイ連絡調査委員)らが実行委員会を組織して主催した。国際会議には、地元タイの活動家、学者、政治家などを初め、韓国、米国からも参加。家族会・救う会からは、タイ人拉致被害者アノーチャーさんの目撃者であるチャールズ・ジェンキンス氏(曽我ひとみさん夫)、増元照明家族会事務局長、西岡力救う会常任副会長等が参加した。

 以下は18日に行われた西岡力副会長の報告「北朝鮮拉致の現状と理由」全文。その他後日報告。

■西岡副会長がタイ人拉致等報告/バンコクで国際会議
国際会議「拉致と難民」北朝鮮の人権状況(於 タイ・バンコク)

西岡力報告「北朝鮮拉致の現状と理由」の要旨

 今日の人権会議のテーマは、国内で人権侵害、独裁をする政権は外国に対してテロ、侵略を行うということだと思う。北朝鮮の金日成・金正日親子独裁政権は国内ですさまじい人権侵害をし、海外で拉致をはじめとする数多くのテロをくり返し、韓国に対する戦争をしかけ、いまも戦争準備をしている。責任はすべて、独裁者金日成、金正日親子だ。最初にそのことを確認したい。

 10年前、多くの日本人が拉致されていることが広く知られるようになり、家族と支援者が立ち上がって救出運動を始めた。北朝鮮の国家機関の工作員が日本に不法侵入し13歳の少女を含む無辜の日本人を暴力的に拉致したことは、日本の国家主権に対する重大な侵略であり、日本国民の人権に対する深刻な侵害だ。主権侵略問題としての拉致問題は日本国が日本国民の生命と自由を守るという立場で国家として対処すべきだ。

 一方、人権問題としては日本人だけでなく他の国の拉致被害者も助けなければならない。私たちは、当初日本人救出のために運動をはじめたが、次第に日本人以外にも多くの国から拉致されている事実を知るようになった。私たちの調査によって少なくとも12カ国に拉致被害者が存在することが明らかになった。

 本日、この会議に参加しているジェンキンズ氏が貴重な証言をしている。ご承知の通り、ジェンキンズ氏は日本人拉致被害者曽我ひとみさんと結婚している。実は、ジェンキンズ氏は同じ立場の脱走米兵3人といっしょに暮らしていた。その3人の妻も曽我さんと同様な拉致被害者であった。タイ人アノーチャーさん、レバノン人シハームさん、ルーマニア人ドイナさんである。

 まず、タイ人について紹介したい。

 2005年10月ジェンキンズさんが日本で本を書いて、タイ人女性が拉致されていることを証言した。そのニュースがタイに伝わり、アノーチャーさんの家族が名乗り出た。そこで私たちはジェンキンズさんと曽我さんから北朝鮮で会ったタイ人の情報をくわしく聞き、タイを訪れ、アノーチャーさん家族と面談し、失踪前のアノーチャーさんの話を聞いた。すると二つの情報が以下のごとく一致した。

・ジェンキンズ・曽我さんが北朝鮮で会ったタイ人
名前 アノチャ
家族 母は早くなくなり、父と兄がいる
拉致状況 1978年、マカオにて 
拉致される前の職業 マカオのホテルでマッサージ師

・ タイ家族の情報
名前 アノーチャー・パンジョイ
家族 母は失踪前に死亡、父が2005年6月に娘に会いたいといいながら死亡

   兄のスカム・パンジョイさんが妹の帰りを待つ
失踪状況 1978年、マカオに出稼ぎに行っている間に失踪
拉致される前の職業 マカオのホテルでマッサージ師

 そこで、アノーチャーさん家族をこれまで3回日本に呼び、ジェンキンズ・曽我さん夫婦と面会してもらい国際会議や国民大集会に出席していただいた。また

家族会・救う会からも今回を含めて3回訪タイして連携を強めている。

 次にレバノン人シハームさんについて報告する。レバノン人は4人拉致されているが、彼女らはレバノン政府の努力により帰国したが、シハームさんはそのとき妊娠しており北朝鮮に戻っていまい現在まで北朝鮮に抑留されている。私たちはシハームさんのお母さんを2005年12月に日本に招き、ジェンキンズ・曽我さんの情報と彼女の娘の情報を比較したところ、完全に一致した。

 ルーマニア人ドイナさんについては当初、家族を発見することが出来なかったが、今年(2007年)3月にルーマニアの新聞が家族の存在を報道した。そこで私たちはルーマニアを訪問してドイナさん家族と面会した。すると以下のようにジェンキンズ・曽我さん情報と家族の情報が一致した。そこで私たちはドイナさんの弟を今年4月、日本に招聘しジェンキンズ・曽我さんと面会してもらい、国民大集会に出席していただいた。

 これ以外にも拉致被害者がいる。ジェンキンズさんによると、アノーチャーさんは自分がマカオで拉致されたとき、同じ船にあと2人のアジア人女性が乗せられていたと話していたという。マカオの新聞を調べてみると、1978年7月アノーチャーさんが失踪したとき、あと2人のマカオ人女性が同時に失踪していた。
孔さんと蘇さんである。マカオ人すなわち中国人も拉致されているのだ。

 私たちはこの孔さんに何回も会っている女性が韓国に住んでいることを突き止めた。1978年に拉致され86年に自力で脱出した韓国人女優の崔銀姫さんである。彼女は孔さんと約1年間、隣同士に住んでおり、しばしば話し合ったという。私たちは2005年12月、韓国ソウルで崔銀姫さんと会い、くわしく孔さんについて聞き取り、2006年1月マカオに行き孔さん家族に面談した。

 このときも二つの情報は一致した。特に、孔さんはカソリック信者で洗礼名はマリアだった。本人が北朝鮮で崔さんにそのように語っていた。しかし、家族は彼女がカソリック信者であることは知っているが、洗礼名を知らなかった。後に家族が教会に行って調べたところ、孔さんの洗礼名はマリアだった。韓国に住む北朝鮮拉致被害者の崔銀姫さんが家族も知らなかった孔さんの洗礼名を知っていたのだからその証言の正しさは完全に証明されたといえる。

 それ以外に、崔銀姫さんはヨルダン人被害者を目撃しており、マレーシア人、フランス人被害者に関して北朝鮮工作機関の中で話を来ている。また、帰国したレバノン人被害者はレバノン政府の調査に対してフランス人、イタリア人、オランダ人を目撃したと証言している。また、マレーシア人、シンガポール人拉致に関する情報がある。

 以上を総合すると日本、韓国を合わせて合計12カ国に拉致被害者が存在する。

 拉致は許し難い人権侵害であり国家テロである。その首謀者は金日成、金正日親子だ。拉致は1950年、朝鮮戦争の時に始まった。開戦前に金日成は戦争中に50万人の韓国人を拉致する計画を立てた。不足していた人的資源、インテリ、専門技術者、労働者、兵士などに使うためだ。誤解されやすいが朝鮮戦争中の民間人拉致は混乱の中でおきた突発的なものでなく、事前に計画された犯罪行為だった。

 拉致された中には国会議員や政府高官など韓国建国に貢献した人材も多く含まれていた。家族らは1950から60年代デモや署名運動など必死の救出運動を展開し、韓国政府も北朝鮮と国際社会に被害者を帰せと強く求め続けたが、ともに戦争を戦った米国や国連などをふくめその訴えは完全に無視され、生死確認さえ出来ないまま時だけが過ぎていった。

 北朝鮮テロ政権は、10万人という大規模な拉致を行っても。結局、国際社会がそれを見逃し、一切の制裁、不利益を受けなかったので、休戦後も韓国人拉致を続けた。韓国政府の公式統計によると戦後に約500人が拉致されいまも抑留されている。

 また、日本人も拉致のターゲットにされた。現在判明しているところでは、1963年に3人の日本人が拉致されている。日本人を含む外国人拉致が集中して行われたのが、1970年代末から80年代初めだ。日本政府は現在、17人を拉致被害者として認定している(それ以外に、警察が日本人の母と在日朝鮮人の父の子供2人の失踪を拉致と認定)。17人の拉致の時期を見ると、1977年3人、78年10人、80年3人、83年1人となる。特に、78年8月12日には同じ日に日本国内別々の場所で2人ずつ合計4人が拉致されている。また、現在判明している日本、韓国以外の10カ国外国人拉致の時期を調べると、6カ国、タイ人、中国人(マカオ人)、レバノン人、ルーマニア人、マレーシア人、シンガポール人はすべて78年に拉致されており、時期がまだ性格に判明していない残り4カ国ヨルダン人、フランス人、オランダ人、イタリア人も77?78年頃に拉致されていると推定される。

 70年代末に北朝鮮は世界中で一斉に拉致を行ったのだ。この首謀者は金正日である。74年金正日は金日成の後継者に指名された。その直後の75年に工作機関全体に対して厳しい検閲事業を行いこれまでの工作活動は成果ゼロだと古参の幹部らを粛正して、翌76年初め、新たな工作方針を出す。その中で、「工作員を韓国人・外国人に偽装させよ、そのために韓国人・外国人を拉致して教官とせよ」との指令を出した。この金正日のテロ指令については韓国に亡命している多数の元工作員が証言している。

 工作員の任務の中には当然、テロが含まれる。テロは通常、軍隊という暴力装置を持つことを認められている国家に対して、それよりもレベルが下の集団が政治目的で行使する暴力行為と規定される。しかし、20世紀初め、ソビエト共産党が権力を掌握して以来、国家によるテロという新たな類型が生まれた。共産党は革命のためにはテロを含むすべての方法を正当化しており、その体質は権力掌握後も変わらないから、他国の主権を無視してテロを行う可能性を常に持っている。一方、主権国家として国際秩序に参入するためには国外でのテロを国家として行うわけにはいかない。それが露見すれば強力な制裁を受けることが予想されるからだ。したがって、秘密工作員を養成して必要であれば国外でもテロを行いながら、国家によるテロであることが露見しないようにしてきた。

 テロリストを外国人に偽装させて国家テロの露見を防ごうという76年の金正日の拉致指令は、以上のような共産党独裁政権のテロ体質を極限まで肥大させた前代未聞のグロテスクな指令だった。テロの露見を防ぐため、外国人拉致という別のテロを事前に命じたのだ。拉致は憎むべきテロだが、拉致の目的もテロだった。

 そして、拉致指令から11年後の1987年11月、ソウルオリンピック開催を妨害するため、金正日は中東から韓国に向かう大韓航空機に爆弾を仕掛け乗客乗員115人を爆殺せよとの恐るべきテロを、日本人拉致被害者田口八重子さんから日本人に偽装する教育を受けていた工作員金賢姫らに命じた。金賢姫らは偽造された日本人旅券を所持し日本人に偽装していた。

 拉致というテロに日本がきちんと戦わなかったために、罪にない115人の韓国人が空中で爆殺されるという新たなテロがなされた。テロは是タイに許さないという姿勢で、当事者とその国政府、国民そして国際社会全体が毅然として戦わなければならない。1997年から始まった日本での拉致救出運動は、金正日テロ政権から被害者全員を取り戻すためには、強い圧力をかけつづけるしかないと主張してきた。

 運動開始から5年後、日本国内の世論が拉致に激しく怒りをあげはじめ、米国ブッシュ政権がテロとの戦争と目標の一つに北朝鮮を据えたことなどにより、金正日は小泉首相との首脳会談でそれまででっち上げとしていた拉致を認め、5人の被害者を帰国させた。しかし、金正日はそこで「拉致したのは13人だけ、横田めぐみさんら8人は死亡した」という新たなウソをついた。しかし、彼らの出してきた死亡診断書、交通事故調査書、遺骨などはすべて偽物であり、8人死亡はウソと判明した。また、日本政府は日本人17人が北朝鮮に拉致されたと認定しており、それ以外にも多数の拉致された可能性が高い事例が存在する。私を含む多くの専門家は、日本人被害者は100人程度いると推測している。

 これらすべての被害者を取り戻すことは主権侵害を許さず、自国民を保護するという政府の当然の義務であり、日本政府は総理を本部長とし全閣僚が参加する拉致問題対策本部をつくり全力で取り組んでいる。また、人権という観点からは日本以外の国の拉致被害者も帰国させなければならない。私たち日本の運動体はそのための国際連帯事業を展開してきたし、日本政府もタイをはじめとする多くの国の拉致被害者救出にも積極的に協力している。

 ぜひ、タイ国民のみなさまもアノーチャーさん拉致は絶対許せない主権と人権の侵害だと考え、タイ政府が北朝鮮に対して強い圧力をかけるよう働きかけていただきたい。今日の会議がそのきっかけになることを強く望んでいる。


2007.9.12

「衝撃の安倍辞任」

 辞任表明の速報に、言葉も出ないほどの衝撃を受けた。安倍総理が推進する国内法の適正化によって、金正日政権を支えてきた朝鮮総連を追い詰め、金正日政権に打撃を与え、我が国の拉致被害者救出への強い態度を表明し続けてきた政策が、総理の辞任によって修正を余儀なくされる可能性があることを考えると甚だ残念である。
しかし、国家として、拉致された国民の救出・解決は当然果たさなければならない。国政の重要課題と位置づけ、安倍さんが切り開いて推し進めた政策を継続してもらわなければならない。多くの被害者が期待を寄せているはずの日本国の姿勢を変換することは、被害者の生きる希望を喪失することに繋がる。次の政権のトップにもこの一事だけは忘れて欲しくない。国益は、国民の生命を守ることから始まる。国家とは、国民があり領土があり、主権を全うしうるものである!
家族会は、闘い続ける。



2007.9.12

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2007.09.12)安倍総理辞任で家族会・救う会会見

 本日、9月12日、安倍晋三・内閣総理大臣から突然の辞意の表明があり、報道関係からの要望もあり、家族会・救う会が会見を行った。

 参加者は、家族会から飯塚繁雄副代表、増元照明事務局長、松本 孟さん、救う会から佐藤勝巳会長、平田隆太郎事務局長、山岸丈良事務局次長。
 会見の概要は以下の通り。

飯塚 拉致問題対策本部を作り、少しずつ解決に近づきあると感じていたので極めて残念。今後どうなるのか心配はあるが、現在の体制を生かし強い姿勢を貫いてほしい。家族会の方々からも電話があり、非常に残念と言っておられた。

増元 言葉がでない。北朝鮮に対しぶれることなく毅然と物申す姿勢を高く評価し、信頼していた。今後も政府が今の体制で姿勢を崩すことなくやっていただきたい。憔悴しておられたので、回復されたらまたご尽力頂けると思う。

松本 ショックだった。一生懸命拉致問題に取り組んでいただいた総理が辞められたあとどうなるのか、中山補佐官は継続してやってくださるのか、心配だ。総理が代わっても拉致問題を後退させることなく、前進させてほしい。

佐藤 疲れているとの印象があった。健康問題だろう。拉致対策本部は法律で設置されたものなのでこのまま残る。拉致被害者を救出することが目的なので、新首相にもしっかりやってほしいとお願いしたい。かつて外務省と家族会・救う会は緊張関係にあった。中山首相補佐官が、内閣官房参与になってから信頼関係が生まれ、民間と政府が歩調を合わせていけるようになった。今後も中山さんに期待している。



★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2007.09.12?2)北朝鮮に誠実さなし?日朝作業部会

 昨日、9月11日、日朝作業部会の日本代表を務めた美根慶樹大使から、家族会・救う会・調査会が報告を受けた。6者協議の中に設置された5つの作業部会の一つである、日朝作業部会の第2回会合は9月5、6日ウランバートルで開催された。

 参加者は、家族会から、飯塚繁雄副代表、増元照明事務局長、横田早紀江代表夫人、有本明弘・嘉代子、斉藤文代、本間 勝、松本 孟、増元俊子の各氏。救う会から、佐藤勝巳会長、西岡力常任副会長、平田隆太郎事務局長、山岸丈良事務局次長、調査会から荒木和博代表、杉野正治常務理事。政府側は、美根大使の他、中山恭子首相補佐官、外務省・拉致対策本部関係者。

 報告と懇談の概要は以下の通り。

■北朝鮮に誠実さなし?日朝作業部会
美根大使報告
 第2回会合で初めて作業部会に参加した。日本側から、(1)すべての拉致被害者とその家族の帰国、(2)真相究明、(3)被疑者の引渡しを要求した。北朝鮮は、今回、「拉致は解決済み」との言葉を使わなかったこと、前回のように途中で席を立たず2日間の会合に参加したこと、今後も協議を行うことを除けば、すべて従来の主張を繰り返した。

 家族会からは、代表団の労をねぎらいつつも、「何回ここに来て説明を受けても同じことの繰り返しだ」、「もっと強い態度で当たってほしい」等の発言があった。

コメント(平田隆太郎事務局長)
 今回北朝鮮は、6者協議の枠組み規定により、日朝会談を行うことは行った。しかし、初めから誠意ある対応をするつもりはなかった。その意味では、日本側の努力如何に関わらず結果は見えていた。他方、北朝鮮の宋日昊代表は、「何らの対応なしで乗り切りれた」と上司に報告しただろう。日本側は、北朝鮮側が誠意ある対応を行わなかったことにつきもっと厳しい言葉で糾弾し、「そのような
対応では制裁の強化を検討せざるをえない」くらいのことは主張すべきではなかったか。北朝鮮の代表に気楽な上司報告をさせてはならない。宋日昊の首を取るくらいの覚悟で次回は交渉してほしいものである。


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●安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿

●救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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2007.9.6

「成果主義に走りすぎていないか!」

「美根大使の『成果』があったと思う。」との言葉を聴いて失望している。本当に今回の結果が「成果」があったという捕らえ方であるとすれば、官僚の成果主義に陥りすぎていると思う。
 ヒル国務副長官補のあの感触はなんだったのか?自身ありげに「今度の日朝作業部会」では、良い結果が得られるといっていたあの言葉は、米朝間でのいかなる話の中から生まれてきたものかを聞いてみたい。米国は、本気で北朝鮮を「拉致支援国家指定」からはずす気でいるのだろうか?
 アーミテージ元国務副長官は、「拉致はテロだ!」と言明した。そのテロと断定された行為を継続している政権に対して譲歩を重ね、「テロ支援国指定」までもはずすと言うのであれば、米国主導で開始した「テロとの闘い」を米国自身が止めたと判断されても仕方あるまい。
 日本政府は、米国に対し強く要請し、「米国がテロとの闘いを止めるのであれば、わが国も考えざるを得ない」ぐらいのことを言わねばなるまい。ハッキリ言って、今回の「日朝作業部会」に関しては失望を超えて、怒りすら覚えてしまった。
 本当に交渉担当者は、被害者の命のことを考えているのか?先にも書いたが、北朝鮮での大きな水害で「拉致被害者」が犠牲になっていないと言えない状況であるということをどう考えているのか。この湯女結果を受けて、「成果があった」などという言葉を発していることが信じられない。
 もはや、北朝鮮の出方を見極める時期は過ぎた。北朝鮮が動こうとしないのであれば動かしていくためにも日本政府は厳しい「メッセージ」を送るべきだ。今度の臨時国会で話題になるのは、政治家の金の問題が主となるであろうが、被害者の命の問題を取り上げて、政府への強い要請をしないのであれば、民主党に期待することはできなくなる。
 交渉担当者も他人事のように、半死をしているときではあるまい。もし、私が担当者であったなら、宋イルボなどとの晩餐会など主催していないであろう。机をけってでも怒りを見せて、日本政府は本気であることを見せていく。
 次の国会では、このままでの話し合いなど意味を持たないという結論から、更なる「強いメッセージ」を送るためにも、ハッキリと「日本政府は今後も、支援に参加することはない。人道支援という名のものとでも緊急支援をすることは国民感情からできない」という言葉を強く押しだしてもらいたいものである。我慢にも限界がある。



2007.9.5

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2007.09.04)日本の外交的成果を守れ−
原則的立場を貫くことこそ拉致解決の近道
 日本の外交的成果を守れ−原則的立場を貫くことこそ拉致解決の近道
 本日、平成19年9月4日、朝日新聞と読売新聞の社説は、対北朝鮮政策につ き対極的な結論を提起した。社説はいずれも、米朝協議に関するもので、両紙と も、北朝鮮の「すべての核計画の完全な申告」と「すべての核施設の無能力化」について、懸念を示したのは同じである。
 しかし、朝日新聞はその結論として、「モンゴルで日朝の協議も再開される。拉致問題で北朝鮮が誠実な態度を示すべきなのは当然だが、日本も核問題の進み 具合に合わせ、6者合意の実行に積極的に加わる準備が求められる」とした。
 これに対し、読売新聞は、「核とミサイル、拉致の包括的解決によって、北朝鮮と国交正常化をする、というのが日本の一貫した立場だ。5日から、日朝作業 部会が始まる。北朝鮮が『拉致は解決ずみ』という、話にならない態度をとり続 けるのであれば、日本としては、米国に、指定解除しないよう求めるしかない」 と主張した。
 なぜ、拉致問題の解決なしに日本が「6者合意の実行」すなわち北朝鮮支援に 加わる必要があるのか。日本政府は原則的態度を貫き、6者合意でも「拉致問題 の進展なしにはエネルギー支援に加わらない」ことを他の参加国に認めさせ、議 事録にも記載された。これは日本外交の成果である。朝日新聞の主張は、その成 果を、日本の国内からくつがえすような提案であり、極めて遺憾なことである。「バスに乗り遅れるな」、「日本だけが孤立する」式の世論操作は慎むべきである。
 逆に、日本が原則的立場を貫いているからこそ、各国代表が北朝鮮に対し、拉 致問題への対応を促し始めている。また、6者合意では、「5つの作業部会で策 定された諸計画は、全体として調整された方法で実施される」こととなっており、 他の参加国の存在が逆に、拉致問題で日本の後押しになる仕組みとなっている。 拉致問題を置き去りにしないということだ。これも日本外交の成果である。北朝鮮が不誠実な態度を続けている中で、安易に支援カードを切ることは、拉致問題 への対応なしで支援が得られるとの誤解を北朝鮮に与え、拉致問題の解決を一層 難しいものにするだけである。
 なお、昨日北朝鮮外務省が、「米国がテロ支援国家指定解除に合意した」と発表したことにつき、本メールニュースは「妄言」として批判したが、米国務省当局者もその後、「(北朝鮮の)報道は事実ではない」と否定したことを付け加えておきたい。
 平田隆太郎(救う会事務局長)



2007.8.23

「30年目を迎えた」

 今月12日に、増元るみ子・市川修一氏が拉致されてから丸々29年が過ぎ、30年目を迎えた。
 私は、今年初めて姉が拉致されたその日に鹿児島の地にいた。29年という長い間、この季節に帰省することはなかった。簡単に「嫌!」だったから。この季節に鹿児島にいると、確実に「姉の失踪時」のことを思い出すから。思い出すのはいいのだが、確実に自責の念に駆られるから。
 あの日、姉が自宅を出て行くのを見送ったのは私であり、あの時の顔が浮かんでくる。その笑顔のまま、29年という長い月日を無為に過ぎしてしまったことを悔やまれてしまうから。又、呑みすぎてしまうから。
 北朝鮮では、今年、記録的な豪雨により、「死者」を多数出したという。その痛いがイムジン川を越えて韓国サイドにも流れ着いたという。拉致被害者が、豪雨の被害に遭わなかったという保障は何もない。あの被害者の中に姉がいるかもしれない。あのような土地だから、多くの拉致被害者の中に犠牲者がいなかったと断言できる人はいないだろう。
 そんな時に日本では、「年金問題」・「政局」とで安倍批判が噴出し、歴代最も「拉致被害者救出」に熱心な総理を下ろそうとする風が、勢力が静かに動きつつある。
 韓国は、「南北首脳会談実施」のために積極的に「支援を開始」した。「核廃絶」という絵に描いた餅のために前のめりになっているとしか思えない行為だ。
 支援を止めろといっているわけではない。支援をするなら、人的支援を含め、金正日政権に対し、医療班や食料を配布する「ボランティア」支援を認めさせるべきだ。何の検証も出来ない「支援」などどの程度の効果があるのか不透明だ。
 支援はすべきだ。しかし、単なる「バラマキ支援」は無意味であることを認識すべきではないか?
 何か、支離滅裂なことばかりを並べ立ててしまった。
 何か、気力がわかない。8月は嫌だ!



2007.8.10

「平成19年8月10日(金)ニュース」

 全国、上半期 覚せい剤押収量8・2倍 価格高騰で密輸活発化――北海道新聞(08/09 13:58)
今年一−六月に全国の警察が押収した覚せい剤は一○一・四キロで、前年同期(一二・三キロ)の八・二倍に上ったことが九日、警察庁のまとめで分かった。 同庁によると、昨年上半期は船舶を利用した北朝鮮からの大量密輸ルートを壊滅させたことで、国内での流通量自体が抑えられていた。しかし、末端価格が高騰し、昨年下半期以降、密輸入の動きが再び活発化。中でも香港からのルートが目立ち始めているという。同庁は外国の捜査機関と連携し、水際や国内での摘発を進める考えだ。 まとめによると、覚せい剤密輸事件の摘発は前年同期比五・四倍の三十八件。大半が航空機を利用し「運び屋」が手荷物に隠したり、体に巻き付けたりして小口で密輸する手口で、成田空港や関西空港以外の空港を利用するケースもあるという。  三十八件のうち、中国からが十九件と最も多く、次いで香港が七件、カナダが五件。一キロ以上の大量押収は十四件あり、香港が最多の五件(一二・四キロ)だった。同庁によると、覚せい剤の末端価格は昨年四−六月は○・一グラム当たり五千円が主流だったが、十−十二月は一万円以上に高騰。今年四−六月も一万円と高値で推移している。  一方、覚せい剤事件で摘発されたのは8・3%減の五千七百五十六人。このうち暴力団構成員と準構成員が三千三十六人で過半数を占めた。北海道では摘発が15・5%減の二百七十七人、うち暴力団構成員と準構成員は百三十七人。

15日から中南米4カ国訪問=地上デジタル放送で連携強化など―8月10日13時3分配信 時事通信
総務省は10日、菅義偉総務相が15日から10日間の日程でブラジル、チリ、アルゼンチン、ハイチの中南米4カ国を訪問すると発表した。 ブラジルでは12月に日本方式の地上デジタル放送が開始予定で、コスタ通信相らと情報通信技術分野でのさらなる連携強化について協議する。また、今秋以降に地上デジタル放送の規格選定作業が本格化するチリとアルゼンチンでは、両国担当相に日本方式の採用を訴える。 ハイチ訪問は、日本となじみの薄い国に閣僚を派遣し関係強化を目指す「戦略的外交」の一環。プレバル大統領らとの会談では、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた協力も呼び掛ける。 

「拉致関与していない」=初公判で赤木被告−東京簡裁――――8月10日17時31分配信 時事通信
日航機「よど号」ハイジャック事件で北朝鮮に渡った元赤軍派メンバーと合流し、共同生活していた赤木邦弥被告(52)による旅券法違反事件の初公判が10日、東京簡裁(竹沢宏之裁判官)であり、赤木被告は起訴事実を認めた上で、「いかなる形でも拉致に関与してない。報道されていること以外に知っていることはない」と述べた。 弁護人は事実関係は認めたが、同被告の入国後の1990年に北朝鮮への渡航制限が撤廃されたことから、「処罰の必要性はない」などと無罪を主張。検察側は罰金10万円を求刑した。公判は同日で結審し、判決は9月12日に言い渡される。 

南北会談で「拉致議題」要請――――――――――――――――8月10日8時0分配信 産経新聞
 麻生太郎外相は9日、韓国の宋旻淳外交通商相と電話で会談し、南北首脳会談で拉致問題を取り上げるよう求めた。麻生氏は「首脳会談が朝鮮半島の非核化に向けた関係国の努力を後押しするものとなることを期待している」と表明。「日本は6カ国協議の日朝国交正常化作業部会に誠意をもって取り組む用意がある。北朝鮮に、拉致問題を含む諸懸案の解決に正面から取り組むべきだと働きかけてほしい」と要請した。

拉致問題の早期解決目指す=小池・ライス会談で一致―――――8月10日3時1分配信 時事通信
【ワシントン9日時事】訪米中の小池百合子防衛相は9日午前(日本時間同日夜)、国務省でライス国務長官と会談し、28日からの韓国と北朝鮮の南北首脳会談を日本人拉致問題の早期解決につなげていく必要があるとの認識で一致した。北朝鮮に対し、非核化に向けた6カ国協議の合意を着実に履行するよう求めていくことも確認した。ライス長官は会談で、「対テロ戦争への日本の貢献は重要だ」と述べ、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法の延長に期待を表明。これに対し小池氏は、反対方針を表明している民主党の説得に努力する考えを伝えた。 小池氏はまた、アジア・太平洋地域の安定のため、日米とオーストラリア、インドの安全保障対話を推進する必要があると強調。ライス長官はこれに同調しながらも、「慎重に進めないと中国に思い掛けないシグナルを送ることになる」として、中国を刺激しない形で進めるよう求めた。 小池氏はライス長官との初の会談を終え、記者団に「姉妹のような固いきずなを確認できた。次はゴルフをする約束もした」と語った。 

南北首脳会談、韓国人拉致問題も議題に…見返りに経済支援――8月9日19時43分配信 読売新聞
【ソウル=中村勇一郎】平壌で今月28日から開催される韓国と北朝鮮による第2回南北首脳会談で、韓国政府が韓国人拉致問題についても議題とする方針であることが9日、明らかになった。外交消息筋が明らかにした。 北朝鮮による韓国人拉致被害者は486人に上るが、北朝鮮側はこれまで「自らの意思で渡ってきた」として拉致を認めていない。今回の首脳会談で、盧武鉉大統領が韓国首脳としては初めて金正日総書記に直接、韓国人拉致問題の解決を求める。聯合ニュースによると、韓国側は北朝鮮に対し、韓国人拉致問題に進展があれば、経済支援のほか、韓国で拘置中の北朝鮮スパイなど、非転向長期囚を送還する用意があることを伝える予定だという。

米韓演習に反発声明=「強力な打撃手段完備に全力」−北朝鮮軍―8月10日13時3分配信 時事通信
【ソウル10日時事】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の人民軍と米軍は10日、板門店で大佐級の会談を行い、北朝鮮側は朝鮮半島有事に備えた米韓両国による年次合同軍事演習「乙支フォーカスレンズ」に反発する声明を伝えた。朝鮮通信(東京)が伝えた。
 声明は20日から31日までの演習に対し、「強力な打撃手段を完備することに全力を尽くすという言葉を実際の行動で積極的に推進していく」としている。 

金総書記が米にメッセージ「韓国以上に親密なパートナーに」―――8月10日11時30分配信 産経新聞
北京の中国戦略関係筋がこのほど産経新聞に語ったところによると、北朝鮮の金正日総書記は昨年10月の核実験後、ブッシュ米大統領にメッセージを送り、「朝米関係を正常化し韓国以上に親密な米国のパートナーになる」と伝えた。同筋は、これが米国の対北朝鮮姿勢を転換させる契機になったとの認識を示し、米朝の動きに強い警戒心を表明。中国はそれに対応し、日本との戦略的互恵関係構築を決めたと述べた。(中国総局長 伊藤正)
 これを明かした関係筋は機密情報に接し得る高位の人物。米朝双方の意図の解釈はともかく、メッセージに関する情報の確度は高いとみられる。最近の米朝協調だけでなく、中国の対日接近策の背景をも説明する情報であり、今後の6カ国協議、朝鮮半島情勢や日米関係にも微妙に影響する可能性がある。
 同筋によると、金総書記のメッセージは核実験直後の昨年10月末、北京で行われたヒル米国務次官補と金桂寛北朝鮮外務次官の両6カ国協議首席代表による協議の際、北側から伝えられた。 米国が北朝鮮と対話路線に転換したのは同12月の6カ国協議からで、両代表は今年1月にはベルリンで単独交渉、その結果、米国によるマカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮資金凍結問題は解決に向かい、2月の6カ国協議で、核放棄を前提にした「初期段階の措置」の合意を導いた。3月には金代表が訪米、6月にはヒル代表が訪朝するなど頻繁に対話し、7月には、国際原子力機関(IAEA)の監視要員が作業に着手するとともに、6カ国協議で重油95万トン相当の対北朝鮮支援が決定した。米国が、「テロ支援国家」の北朝鮮とは単独交渉せず、BDA問題では譲歩しない−との原則を放棄、北との協調路線に転換したきっかけになったのが、金総書記のメッセージだったと関係筋は指摘。重要な転機になったベルリン協議は米国主導で行われ、北代表団の渡航費など全費用を米側が負担したと述べた。また今年6月、ヒル代表が記者会見で、朝鮮半島の恒久平和体制を協議する日露を除いた米中朝韓4カ国会合を提案したのも、米朝の合意に韓国が同調した背景があるとした。
 同筋は中国は4カ国案に反対したと強調、その理由は「1(中国)対3(米朝韓)になるからだ」と述べた
別の関係筋によると、ヒル次官補は6月の訪朝の際、(1)金正日体制を崩壊させる意図はない(2)米朝友好関係を築き(3)平和協定を締結したい、と表明。ヒル代表からその説明を受けた中国側は(1)米朝関係の透明性を高めてほしい(2)平和協定締結は第三国の利益を損なわないように、と注文を付けたが、この第三国には日本も含むという。 中国の戦略関係筋によると、中国の党・軍首脳部は、「北朝鮮は体制維持と安全保障のよりどころを米国に求め、米国は北朝鮮をイスラエル(戦略拠点)にしようとしている」と警戒し、米朝関係正常化はもとより、米国主導で南北統一への動きが加速すると分析しているという。 こうした事態は東アジアの戦略バランスを崩すと同筋は指摘し、中国が日本と戦略的互恵関係を築くのは、地域の平和と安定のためにも不可欠だとの認識を示した。日本は米中のはざまで難しい立場に置かれようとしているようだ。

“健在”アピール? 金総書記の視察、連日報道――――08/07 23:01産経新聞
北朝鮮メディアによる金正日総書記の地方での現地指導や軍部隊視察に関する報道が7月末から続いている。今月に入ってからは6日まで毎日、報じられており、健康不安説がくすぶる中、最高指導者の健在をアピールしようとする北朝鮮当局の狙いもうかがえる。 ラヂオプレス(RP)が朝鮮中央放送の報道として伝えたところでは、金総書記は7月26日に咸興劇場(咸鏡南道咸興)でロシア舞踊団の公演を観覧した。同月3日に中国の楊潔_(=竹かんむりに褫のつくり)外相と会見して以来の動静報道だった。金総書記は29日には咸州郡の農場を視察し、地方人民会議の代議員選挙で投票。今月1日には朝鮮人民軍第4318軍部隊の視察が伝えられ、約3カ月ぶりの軍視察が判明した。 さらに、2日に軍264連合部隊、3日に同136軍部隊、4日は同273軍部隊を視察、5日には羅南炭鉱機械連合企業所(咸鏡北道)を、6日には新築された咸鏡北道人民病院を現地指導したことが報じられた。 金総書記をめぐっては5月以降、韓国などで心臓手術説や健康異変説が流れていた。連日の現地指導、しかも真夏の地方視察の報道は、健康不安説を払拭するものだ。また金総書記は病院での現地指導で「幹部の職業に対する責任感と人民性の不足」を指摘し、人民の真の服務者になるよう幹部に指導しており健在ぶりが強調されている。 メ長期不在モの後に北朝鮮メディアが金総書記の健在を報じたことは過去にもある。7日からは板門店で、6カ国協議の経済・エネルギー協力に関する作業部会が開催されるなど、北朝鮮の核問題をめぐる動きが活発化しているだけに、最高指導者の動きは注目される。(名村隆寛

米国務省報道官、「米中韓朝4か国首脳会談へ」報道を否定―――8月10日10時57分配信 読売新聞
【ワシントン=大塚隆一】マコーマック米国務省報道官は9日、韓国、北朝鮮、米国、中国の4か国による首脳会談が平壌で今月28日に開かれる可能性を伝えた韓国メディアの報道について、「開催されるとは思っていない」と述べ、否定した。 報道官は「現在は6か国協議がこの地域の外交の重心だ」と改めて強調した。

核問題解決なら開城工業団地に関税優遇も、米専門家――8月10日14時37分配信 YONHAP NEWS
【ソウル10日聯合】北朝鮮核問題が解決され、米朝関係正常化が実現すれば、開城工業団地が韓米自由貿易協定(FTA)で優遇される可能性があると、米議会調査局(CRS)のナント博士が見通しを示した。ナント博士は10日に自由アジア放送(RFA)とのインタビューで、最近CRSが発表した開城工業団地関連の報告書の内容を紹介した。
 ナント博士は、朝鮮半島の非核化と米朝関係正常化が実現した場合、「米国としては開城工業団地の生産品に対し、韓米FTAに基づく特恵関税優遇を与えることは別段負担ではない」と述べている。 また、開城工業団地が北朝鮮の経済改革を促す肯定的な効果をもたらすと見込む一方、北朝鮮核問題が開城工業団地と関連するさまざまな肯定的な面を圧倒しており、米国としてはこうした安保問題を解決することが急務だと指摘した。

米、テロ支援国解除の用意伝達 1月の協議で北朝鮮に――――――
米国のプリチャード元朝鮮半島和平担当特使は九日、米政府がベルリンで今年一月に核問題をめぐる北朝鮮との二国間協議をした際、北朝鮮が核施設を使えない状態にする「無能力化」の履行段階に入ればテロ支援国家指定を解除する用意があると伝えていたと明言した。ニューヨークの非営利団体「コリア協会」で講演した。米政府は最近、拉致問題の進展がなければ指定を解除すべきではないとの日本の立場に配慮、解除決定には「長い時間がかかる」と公式に表明している。元特使の発言が事実とすれば、今年初めの時点では拉致問題とは関係なく、解除可能との立場を北朝鮮側に伝えていたことになる。元特使によると、米国のヒル国務次官補と北朝鮮の金桂冠外務次官はベルリン協議で、北朝鮮・寧辺にある核施設の稼働停止・封印など「初期段階措置」の履行過程で指定解除に向けた作業を始め、次の「無能力化」の段階で「完全に(テロ支援国家リストから)削除する」ことで合意した。米国は二〇〇三年の国際テロ年次報告書で、北朝鮮のテロ支援国家指定理由の一つに日本人拉致を初めて明記。元特使は当時の判断について、ブッシュ大統領と小泉純一郎前首相の「特別な関係」が背景にあり、米政府が「譲歩」したと明言した。



2007.8.8

「南北首脳会談―― 今回は金正日との面会料は幾らだったのか?

「韓国・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が今月28日から30日まで平壌を訪問」の報道が唐突に流れた。韓国・北朝鮮政府の同時発表という形での発表であった。
 2000年も「第一回南北首脳会談」では、金大中と金正日との間で取り交わされた「共同声明」で示された約束を保護にされていることを忘れてはならない。「京義線」の開通に関しても、今年ようやく「試運転」という形で走ったものの、その後の交通継続はなされず、一回だけの開通になっている。「次回はソウルで」の合意事項も履行されないまま、平壌での会談になっている。金正日のソウル訪問は、絵に描いた餅になってしまい、韓国国民にとっては「5億ドル」の面会費用の無駄使いに終わってしまった。
 このような合意無視の中での「第二回南北首脳会談」の開催は、小泉前総理の「第二回日朝首脳会談」の様相を呈することになる。国際ルール上、首脳の相互訪問が慣例となっているはずが、日本も韓国も北朝鮮の一方的な都合に合わせる形で、続けて平壌開催となる。これでは、金正日に国際ルールを学ばせることは出来ない。ましてや、今回の南北首脳会談は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の韓国国内での支持率低下を受け、12月の「大統領選挙」において、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領寄りの候補者への「追い風」となるように、「南北融和」の形を見せ付けるためのものであると思われる。
 小泉前総理の「第二回訪朝」の時もそうであった様に、今回の「首脳会談」でも具体的な平和への道筋をつけるものではなく、意味のないものに終わるのではないか。「選挙」を控え、選挙有利のための会談設定であった場合、その会談は北朝鮮サイドに都合の良いものとなる。これは、2004年の「日朝首脳会談」の結果でも明らかだ。北朝鮮に「弱み」を見せた段階での「首脳会談」は、韓国にとって有利なものとはいえまい。反って、今後の朝鮮半島にとってもまずい結果を生む可能性すらある。韓国にとっても正念場であろう。
 更に懸念されることは、先月、北朝鮮外務省の発表した「備忘録」にもあるように、「六者協議合意」の見せ掛けの履行による「経済支援」には、日本の参加が不可欠なだけに、「六者協議の進展」を阻むのは、日本政府の「拉致問題」に対する「頑なな姿勢」のせいにしてしまうということだ。日本嫌いの「盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領」と、安倍政権の「制裁強化」に困窮する金正日政権が、「日本の孤立化」をはかり、仕掛けてきている可能性がある。韓国・北朝鮮、両政府の思惑が一致した所産物であろう。
 「備忘録」には、朝鮮総連の建造物への「課税問題」等、総連への圧力に懸念する言葉が入っていたが、これを読むと金正日政権が「安倍政権の対北制裁」に戸惑い、困窮している証拠である。
  翻って、日本の「拉致問題」にとってはどうか?これは、前述したように「マイナス」にこそなれ、期待できるものではない。
 北朝鮮に、歩み寄ろうとすると「騙され」・「裏切られ」た歴史を見据えていかなければならない。
 今回は金正日との面会料は幾らだったのか?そちらのほうが興味深い。



2007.8.6

「拉致進展なら支援の用意」

 フィリピンで開催されているASEAN拡大外相会議に出席している麻生外務大臣は、北朝鮮による拉致問題に進展があればエネルギー支援を行う用意があるという日本の立場をあらためて表明した。
 ここでの「拉致問題の進展」とは、現安倍政権下では「生存している被害者の帰国、もしくは帰国に向けた具体的措置がなされた場合」という方針であるが、安倍政権でなくなった場合の変化がどのようなものになるのかが分からない。
 特定失踪者を含め100人を超えると思われる「拉致被害者」全ての早期帰国を果たすには、現在の姿勢を維持することが必要なのであるが、北朝鮮の言いなりになるようなことでは、再び時間だけが過ぎるむなしい思いを募らせるだけである。
 4日には、東京の銀座から日比谷公園まで「拉致被害者奪還!国民大行進」が敢行された。真夏日の蒸し暑い中、多くの人々が参加、汗を流しながらの行進を実行していたということだ。私は、「米子集会」へ出向いていたため参加できなかったが、飯塚副代表、本間勝さん、私の細君が参加した。参加された多くの方々に感謝申し上げたい。その方々の考えは、不誠実な対応を続ける北朝鮮・金正日独裁政権に対し、更なる「制裁強化」を訴えるものである。このまま、日本政府までも米国のように「妥協」してしまうことは、被害者の早期救出には大きな弊害となる。
 自民党の一部には、「安倍政権下での対北朝鮮政策(圧力一辺倒)」では進展は難しいとの批判が出てきているが、では、宥和政策が「拉致事件の解明」にもたらした効果というものはあったというのであろうか。1995年、加藤紘一氏が自民党幹部の時、村山富一首相当時の閣議決定によって実施された「有償の食糧支援」が、効果があったというのか?有償で実施された「コメ支援」の借金は返済されたのか?
 ここでも不誠実な対応を続ける「北朝鮮政府」に対して、厳しい姿勢を見せなかったことが、北朝鮮・金正日政権に余裕を与えたことは見逃してはならない。中国政府のよく言う「歴史に学ばねばならない」
 これ以上の時間稼ぎに付き合うようでは、私たちの家族・同胞は帰らないまま、北朝鮮への支援が続行されることになる。
 世論調査では、北朝鮮への制裁強化或いは制裁持続に賛同する国民は8割にも及んでいるはずである。日本政府が対応を誤れば、我々にとって厳しい時間がおとずれて、再び悲壮な闘いを強いられることになる。私が今、一番危惧していることは、被害者の両親世代の落胆がこれ以上大きくならないことを祈るばかりであることだ。
 日本政府の対応如何では、気力・体力の限界に近い両親世代の気持ちが萎えていくことを按じている。



2007.8.3

「金正日と日本の知識人」−アジアに正義ある平和を−

 表記の本は、川人博氏著(講談社現代新書)のものである。氏は「特定失踪者問題調査会常務理事」で北朝鮮に拉致された可能性の排除できない失踪者の扱いに心を砕いておられる弁護士である。
 この本の中で川人氏は、「週刊朝日」誌上において展開された「北朝鮮独裁体制」を維持し続ける金正日を擁護するような発言を繰り返す「羹尚中氏」とのバトルを含め、「拉致被害者救出」に阻害となる人物を、彼らの発言の事実を挙げながら批判し、「北朝鮮人民の苦境」に全くもって一顧だにしないことを非難している。
 非常に分かりやすく、日本の知識人と称する「親北朝鮮・金正日政権」派の著名人を列挙、猛省を促している。
 先ず羹尚中氏は、第一回日朝首脳会談後、「あえて繰り返すが、『首領』が『告白』し『謝罪』してしまった以上、もはやそれ以上の政治的決断などありえない」と発言して、金正日独裁政権の決断が最終回答であるかのような喧伝を行っているが、この後浮上した「特定失踪者」や「拉致被害者死亡の疑義」に関しては不問に伏して、諦めろと我々に言っているに等しい。又、「週刊金曜日」2003年6月13日号では、「議論が日朝という二国間問題、『拉致』というテーマに限定されてしまっています。このような限定された小さな穴から北東アジアや北朝鮮を見ているので、全体的な動きを日本の国民はほとんど理解できていません。更に拉致問題を国際化することによって北朝鮮の脅威を更に増幅していこうとする流れがあることです」といっている。ここで、拉致問題を「日朝という二国間問題、テーマを拉致に限定している」といっているにもかかわらず、国際的な問題として多国間の問題とすることには、北朝鮮の脅威を振りかざし否定するという自己矛盾を披露している。氏は更に、2003年8月16日、山形県の東北公益文化大学で佐高信氏との公開討議の際に、学生の次の質問「(拉致問題を)六カ国協議の中で解決するというふうにおっしゃいましたが、私はもっと国際的な手続きを経るべきだと考えています。というのは、解決のための議論において、国際法学的な視点が欠落しているような気がするんです。(中略)どう思われますか」に対しこう答えている。「極端な言い方になりますが、非常にわかりやすく言うと、『正義なき平和』がいいのか『平和なき正義』がいいのか、ということになる。」「僕はやはり、平和こそが至上の価値なんじゃないかと今は思っています。戦争と平和という二項対立しかないとすれば。たとえ正義という感覚からずれていても、平和が達成されるならば、その道を選ぶべきではないかと思います」
 これは、北朝鮮の人権問題を国際社会に広げることは『戦争』になるからだめだ。という被害者切捨ての論理を展開し、最後には、川人弁護士を「自らは安全地帯にいて、北朝鮮の体制崩壊をアジる川人氏」と川人弁護士を批判している。
 被害者切捨て論を展開し、「正義なき平和」を望む羹氏のほうが、「自ら安産地帯にいる」知識人の「自分さえ良ければ、他人はどうなっても良い」という自己中心的な他者への思いやりもない言い分であることを自覚していない。このような方が、日本の最高学府といわれる「T大」で教鞭をとり、学生を教えているということは恐ろしいことである。
この本には更に、日本の言論界における「金正日擁護」のためにする発言は、「2002.9.17」以降も多くのいわゆる「知識人たち」が、続けていることを明記している。是非、ご一読願いたい。



2007.8.1

「それでも、日本を信じる。」

 昨日の「確実に後退するであろう拉致問題」のタイトルを含め、今回の参院選の安倍首相不信・安倍首相降しを受けての落胆を払拭できないまま、とはいうものの、ブログを書ける程にはやっとの回復の状況の中でブログを書いた。そしてそのブログに対し、親交のある方々から叱責や励ましのメールを頂戴した。「拉致問題」を忘れずにいてくれる皆様であった。

参院選における年金等の焦点に伴う投票結果に、「国民は拉致された日本人(被害者)が帰って来なくても良いというのか!」という被害者家族の虚しさ・悔しさを、私は如何とも出来かねていたのである。これは、二度目の訪朝の小泉前首相を「家族会」が非難した際の、(国民からの)「家族会」へのバッシングに等しい喪失感であった。

しかし、我々は闘い続ける。争点が他にありながらも北朝鮮・金正日に「NO!」を突きつけて下さった」約38.6万人もの方々の気概・お気持ちを心強く受け止めて、我々は安倍首相の下、国家再生に向って行く。安倍首相の目指す「美しい国」が、拉致被害者だけにとどまらず、全ての国民にとって、日本にとって必要であることは紛れもない事実であるから。



2007.7.31

「確実に後退するであろう拉致問題」

安倍自民党の大敗を受けて、北朝鮮金正日のほくそえむ顔が見えてきそうだ。これで、「拉致被害者」の救出は確実に遠のくことになる。
 安倍総理は就任以来、「拉致被害者救出」を政権の最重要課題と捉え、北朝鮮に対し厳しい姿勢を貫いてきた。その姿勢が功を奏して、北朝鮮政府が困惑していたことは紛れもない。北朝鮮外務省の備忘録の発表がその証となる。又、金桂冠北朝鮮外務次官の「参議員選挙後に、日本との対応を考える」という言葉にも、安倍政権の求心力の落ち込むことを見越した上での発言であることは間違いない。
 昨年の米国中間選挙のブッシュ大統領・共和党政権の敗北により、ネオ・コンといわれた強硬派がブッシュ政権から消えていったのを見ていた金正日は、今回の参議員選挙で安倍政権が敗北した場合の「対北政策」の変化を望み、そちらへの動きをするように日本国内において、メディアを使い、日本国内の世論誘導を行うであろうことは、想像に難くない。米国の中間選挙で「共和党勝利」であったなら、「対北強硬政策」に変化はなく、BDA問題の妥協も、「六者協議合意」に際しても厳しい条件を課していたであろう。
 2002年の「韓国大統領選挙」でも、対北政策において厳しい姿勢を見せるであろう「ハンナラ党」のイ・フェチャン候補の追い落としを画策し、インターネットを使い、ノ・ムヒョン候補を後押しし、終には宥和政策(実は、朝貢政策)を推し進めるノ・ムヒョン大統領の誕生に成功した。もし、あの時、イ・フェチャン大統領が誕生していたら、韓国政府が保護していた「脱北工作員」の中で、拉致に関して新たな証言があったということは聞いていた。だが、ノ大統領の誕生により、証言しようと名乗り出ていた人物たちが口を閉ざさざるを得ない状況に陥った。
 北朝鮮にとって、厳しい状況を打破するために、選挙を利用してきたことは間違いない。韓国・米国と続いて「対北政策の軟化」を成功させた北朝鮮政府が、今回の参議員選挙結果を用いて、日本政府の対北政策の軟化を図ってくるだろう。現に、一部の政治家やメディアの中には、安倍総理の「対北強硬政策批判」を展開している人たちもいる。
 これは民主主義の弱点でもあるが、民意や世論という言葉で、政策変更を余儀なくさせていくことが出来るからだ。北朝鮮のように、「一党独裁」・「個人崇拝主義」の体制下ではありえないことだが、北朝鮮がこの「民主主義の原則」を最大限に利用し、政権の延命を続けてきたことは間違いない。
 安倍総理は、厳しい政策を続けることによって、「北朝鮮の対応の変化」を促してきた。日本政府の拉致問題の優先性を強調し、北朝鮮の姿勢を改めざるを得ない状況に追い込むためのものである。この政策が功を奏して追い込まれる前に、安倍総理の敗北を望んでいたであろうことは、「備忘録」での悪し様な物言いで、判断できる。
 参議員選挙において、国民の民意は示された。最早、国民の大半は「拉致被害者救出」を望んでいないということであろう。民意が示された以上、私たちの闘いにも限界があることを思い知らされた。
 今回の結果を受けて、被害者の両親世代の落胆が大きいことが心配である。安倍総理だからこそ、ここまで来れたという思いが強いのである。それが、このような形で安倍総理の退陣などがあったならば、何処まで落胆するか分からない。気力だけで、家族の生還まで待ち続けている家族にとって、先の見えぬ闘いが始まることは、何処まで耐えられるか分からない。
 民意である以上、受け入れなければなるまいが、私たちが「諦める」ということは出来ない。もう一度、気持ちを奮い起こしていかなければなるまい。
 安倍総理も、引くにも進むにも棘の道が続くだろうが、拉致被害者は更に厳しいところで闘っていることを考えて、耐えて、耐えて、勝ち抜いてほしい。必ず、日本国民は理解を示してくれると信じたい。



2007.7.24

「何も見えない「六者協議」」

 18日から3日間の日程で開催された「六者協議」では、結局何も見えてこなかった。米国のヒル国務副長官補は、来月まで先送りされた作業部会での「履行期限の設定」を考えていくことに希望を持っているようだ。
 日程の終了を受け、ヒル副長官補は「今回の主席代表会合で(非核化推進の)弾みをつけることができた」と評価しているようだ。これは官僚特有の成果主義に陥ったものと思われる。韓国主席代表の千英宇もそうであるが、六者協議の継続の重要性を説きたいあまり、北朝鮮が言いもしない「現有核兵器の無能力化」を北朝鮮も前向きに議論したというような偽の発表までしている。自分の仕事が完遂できないことを秘匿するためとしか思えない言動である。
 確かに「六者協議」が存続する限りにおいて、彼らの出番もあるのだが、北東アジアの平和を自分の存在意義のために壊す行為はすべきではない。現状の「六者協議」の進展をはっきりと公表し、次なる措置を早急にとる必要性を問うべきだろう。
 北朝鮮の主席代表は、21日、寧辺の核施設解体には軽水炉の提供が必要との認識を示したらしいが、老朽化した「寧辺の核施設」を解体することにより、新しい「軽水炉の提供を求める」という暴力団まがいの行為を平然と行っている。しかも、現況の核開発の無能力化を言明せずに、「時間稼ぎ」とも思える新しい要求事項を示している。
 「軽水炉建設」には、長い時間がかかることを考えると、北朝鮮の実質的な「核放棄」は望みようもなくなる。時間だけが過ぎてゆき、核弾頭を搭載できるミサイル開発の時間を与え、核保有国としての立場を確立していくことになる。現在、北朝鮮が「核開発」に成功したという確証はなく、核兵器の脅威を決定付ける「核弾頭搭載機能を持つ」ミサイルさえ持っていない可能性すらあるが、時間を与えることでそれらの開発の時間を与え、核兵器の保有を確定的なものにしてしまう。六者協議のメンバーは、北朝鮮に時間を与えることの危険性を感じていないのであろうか?
 又、金桂冠北朝鮮外務次官には、北朝鮮に対し厳しい姿勢を(本来考えるなら、当然の姿勢なのだが)続ける「安倍政権」の敗北を見越しているかのように、「参議員選挙後に日本への対応を考える」といわれ、北朝鮮外務省が発表した「備忘録」では、安倍政権に対する非難を続け、日本を恫喝する行為に終始している。
 日本政府への内政干渉のような「備忘録」を発表し、日本国民を欺こうとまでしていることに、日本人は如何反応するのであろうか。
 このまま、北朝鮮の思惑通りに動いてしまうことに大きな危惧を感じてしまう。



2007.7.20

「真紀子さんの暴言」

 相変わらずの傍若無人ぶりである。
 田中真紀子代議士が、民主党候補の演説で自民党が比例代表候補に擁立した中山首相補佐官を揶揄して、補佐官の口真似で「金正日が選挙を見ていて『自民党が負けると拉致問題は解決しません』というが、そんなに親しいなら、今すぐ被害者を連れて帰ってきてほしい」と激しく批判したということである。
 これは、「拉致問題解決と被害者救出を願う」被害者家族と国民を愚弄する言葉ではないか。選挙戦において、政策批判をしてもいいだろう。自民党の落ち度を連ねることもいいだろう。しかし、安倍総理以下、被害者救出に全力を傾ける人を誹謗することは如何なのであろうか?しかも特定の比例代表候補をあげつらい、困難な問題を揶揄するような言葉を平然と吐く人は悲しすぎないか?
 金正日が今回の参議院選挙での「安倍政権」の行方に関心を示しているのは、先のNHKの報道で、「金桂冠外務次官がヒル国務次官補に対して伝えた北朝鮮政府の方針『参議院選挙の結果を見て判断する』といった。」ということにも表れている。そのような中での「中山恭子批判」であることからすると、金正日が注視する「拉致問題への国民の関心度」を否定していることに他ならない。
 家族会の金正日との闘いをも愚弄する言葉である。早紀江さんの「金正日に日本国民の意思を見せ付けたい」という希望をも愚弄しているし、真紀子さん本人が「拉致被害者救出など如何でも良い」という意思を示したことになる。
 真紀子さんの選挙地盤である「柏崎市」出身の蓮池夫妻の拉致を政治利用しようとしたのは、真紀子さん本人である。
 2002年、家族会や支援グループが日本政府の「対北コメ支援10万トン」に反対し、外交部会が開かれた自民党本部前において座り込みを実施した時に、我々の前に現れ、カメラの放列の前で『蓮池さんはいる?蓮池さんは?』と、両手をとって当時子供たちの救出を訴える蓮池秀量夫妻の前にしゃしゃり出てきて、必ず「被害者を助ける」と言っていたにもかかわらず、「私ならコメ10万トンといわずに、100万トンを送るわよ!」といった惚けた言動で家族の気持ちを逆なでし、2001年、外務大臣当時に発生した「金正男密入国事件」の際に、『ミサイルが飛んできたらどうするの!早く返してしまいなさい!』といって、被害者救出につなげようとしなかった外務大臣(当時)であったことを反省すらしていない。
 あれから6年、真紀子さんが如何に「被害者救出」に尽力されたのであろうか?
 しかし、「そんなに親しいなら、今すぐ被害者全員を連れて帰ってきてほしい」などの言葉は人間的にひどすぎるのではないか。未だ、帰国できない被害者の家族が「金正日」との闘いを続けている最中に、「笑い」をとる為にこのような発言をした人間を許すことは出来ない。
 この演説会で応援した新潟県の民主党の森参議員候補は、「拉致被害者救出」のために多くの時間を割き、国会内で訴えてきた候補であったのだが、どのような思いでこの言葉を聴いていたのであろうか?非情に残念である。
 私は、最後まで金正日との闘いをやめないし、今回の参議員選挙で中山恭子候補が、大量得票し、金正日に「拉致被害者の返還」を考えざるを得ないところに追い込んでいくことを期待する。真摯な姿勢を揶揄する人間にはなりたくない。



2007.7.19

「日本国民を愚弄する発言をどう受け止めるか!」

 昨日報道された内容で、米朝協議(於:北京)の中で金桂冠北朝鮮外務次官がヒル米国国務副長官補に対し、「日朝協議は参議院選挙の結果を見てから判断」という見解を示したということであった。

 さて、これは北朝鮮サイドが安倍政権下における「制裁強化」に困惑している明らかな言葉である。安倍総理の「対北政策」が、着実に金正日を追い詰めつつある証拠に他ならない。かつて金正日政権は「ブッシュ政権下での金融制裁」に追い詰められ、結局は「6者協議」への参加を余儀なくされ妥協を重ねなければならなくなった。金正日の「核保有宣言」がブッシュ政権の譲歩を余儀なくされたように見えるが、実は米国の「金融制裁」が金正日政権を追い詰めていたということだ。
 同様に今北朝鮮が、北朝鮮を追い詰めていく「安倍政権」の交代を望んでいるのは明らかだ。そして今回の参議院選挙での安倍総理不利を見越して、「参議院選挙後の次期政権」を見極めてからの対応を考えているのである。

 ここまで日本国民を愚弄した発言を聞いたことはない。これは、日本国民が「北朝鮮による拉致事件」を忘れ、宥和政策に転換するであろうことを見越しての発言ではないか。このような発言をされてしまうことは、これまでの日本政府の「対北政策」が如何に甘かったかというのを如実に表している。日本人はもともと「喉もと過ぎれば熱さを忘れる」と言われてきた。怒りを納め、和を重んじてきた国民であるが、それが対外的にみて「甘さ」を露呈してきたのではなかろうか?日本国や日本人に対して、何をやっても怒ることはないし、歴史を振りかざせば日本は何も言わない。ただ、黙ってお金を払い続けるという誤った印象を与えてしまったということだ。北朝鮮に対し厳しい姿勢を貫けなかったが故に、日本政府を馬鹿にし、日本国民を愚弄する見解を持たれてきたということだろう。

 今回の「参議院選挙」の結果は、これからの日本が「やはり甘い国」・「脅せば何でもする国」・「いい加減にあしらっておけばよい国」というイメージを脱却できるかの試金石だ。現時点で、安倍総理率いる自民党不利の様相を呈している。国内における「年金問題」・「安倍政権の閣僚の不祥事」が安倍政権のみの責任とされているからでる。しかし、国政を担う国会議員を選出する選挙の選択肢が、国内問題だけでよいわけがあろうか?
 1989年の「日本シリーズ」で、近鉄の3連勝後、近鉄・加藤哲郎投手のかの発言が流れを変えた。「今の巨人は、ロッテより弱い」。当時のロッテは毎年ペナントレースにおいて最下位を続け、パ・リーグのお荷物とまで言われていた。果たしてこの言葉で巨人は大きく発奮し、奇跡的な逆転優勝を果たす。ファンも巨人を応援し、逆転勝利へと導いた。怒りというものは大きなエネルギーを生み得る。

今回の北朝鮮外務次官の発言が、日本国民の発奮の起爆剤となって、参院選の結果となって現れることを期待する。北朝鮮・金正日に日本国民の意思を突き付けることが、拉致被害者を救出する大きな力になる。「日本を信じろ」と父が言い残したことの真意が問われている。



2007.7.17

「中山補佐官の出陣に当たってのメッセージ」
                         (平成19年7月12日・中山恭子選挙事務所にて)
 

 今回の参議院選挙へ補佐官が出馬するという報道を聞いた時、私たち被害者家族は全員が賛同しました。
金正日が拉致を認めてから5年が過ぎようとしています。安倍総理がご自身を本部長として内閣に「拉致問題対策本部」を設置し、中山恭子候補を補佐官として登用されたことに、心強い思いで被害者の早期救出に願いをかけておりました。それでも北朝鮮の「拉致は解決済み」の姿勢は変わらず、未だに拉致事件の全容解明も被害者の帰国を果たすことも出来ません。
 今回の参議院選挙において、拉致問題の解決を選挙公約として闘う候補者は、補佐官以外には数人しかいません。国政を司る国会議員の立候補者が、拉致事件の意味合いを理解していないのは残念でなりません。
 安倍総理は、拉致事件の早期解決を安倍政権の最重要課題として捉え、被害者の安全な帰国を果たしていくことが、美しい国を作る一つの方法と捕らえておられるのでしょう。その総理の覚悟を国民に問うために、中山補佐官の出馬を要請されたと聞きます。今回の中山候補の得票が、安倍総理の対北政策を支えることになります。
私たちは、被害者全てを取り戻すまで闘いを止めるものではありません。被害者の30年の犠牲を意味あるものにする為には、母国・日本が他国からの干渉を受けず、国民をしっかり守っていける国に、そして誇りを持って暮らしていける「美しい国」になっていくことを望みます。それが、人生の多くの時間を北朝鮮という過酷な土地において過ごさざるを得なかった家族への償いであろうと考えます。
 中山候補には、多くの国民に「拉致事件の本質」を訴えて賛同を得ていただきたいと思います。私も出来うる限りの行動をもって中山候補の当選に協力して参ります。ご来場の皆様にも絶大なご協力をお願いいたします。皆様の行動が、北朝鮮金正日への日本国民の厳しいメッセ−ジとなって表れることを願い、激励のメッセージと致します。

                                       平成19年7月12日

                                北朝鮮による拉致被害者家族連絡会
                              拉致被害者 増元るみ子の弟 増元照明

 
昨日16日、家族会は「週刊文春」の誤報に対する抗議声明を発表しました。私個人も中山恭子補佐官(拉致問題担当)の参院選立候補にあたり、上記のメッセージをお送りしております。中山候補の大量票を得ての当選が、北朝鮮・金正日に対して、「拉致を決して許さない」という日本国民の強い意志を表明する唯一の方法だと考えるからです。
参院選に当たっての私たち被害者家族の願いは、「国民の多くの皆様に中山候補へ貴重な1票を投じて頂いて、それが日本国全体の強固な意志となって表れて欲しい」ということです。政府認定以外の多くの特定失踪者を含む全ての拉致被害者の、一刻も早い救出の為に、国民の皆様に切に願い申し上げる次第です。



2007.7.16

「抗 議 声 明」

 「週刊文春」7月19日号の35ページに記載された記事について強く抗議をいたします。
 同記事は<「拉致を政治利用するな!」中山恭子への家族会の大ブーイング>という扇情的な見出しの下、<「家族会」や「救う会」の中には、中山氏の出馬を激しく批判する声が多い><ある家族会関係者は、憤りを隠さない>などの記述とともに、匿名の「家族会関係者」とする人物のコメントを引用掲載しています。
この記事を読んだり、広告の見出しを見た国民は、家族会が中山恭子補佐官の参議院選への立候補に反対しているかのような印象を持ったことは間違いありません。実際、同記事報道の後、家族会会員のところに「中山氏を支持しようと考えていたが、記事が本当なら考え直したい」などという問い合わせが続いています。
しかし、記事は大誤報です。なぜなら、家族会は中山補佐官を心から信頼しており、今回の立候補も拉致問題解決に大いに助けになると考え、できうる限りの支援をしているところです。そもそも、中山補佐官が立候補を決意したのも、6月5日全国から上京した家族会会員から、出馬を促されたことが決定的な経緯になったことは、補佐官自身が繰り返し言明している通りです。7月12日の中山補佐官の出陣式にも入院中の横田滋代表に代わり早紀江夫人と飯塚繁雄副代表が支持の挨拶をし、増元照明事務局長ら在京の家族も駆けつけました。
週刊文春はぜひ正確に再取材し、同記事の誤りを認めていただくとともに、家族会は中山補佐官を支持しているという事実の報道をしてくださることを強く求めます。国民各位におかれましては記事に惑わされることなく、拉致問題解決のために賢明な判断をお下しくださいますようにお願いいたします。

                                           平成19年7月16日

                          北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表  横田 滋
                                          副代表  飯塚繁雄
                                          副代表  蓮池 透
                                         事務局長  増元照明
                                        事務局次長  横田拓也



2007.7.13

「週刊誌の暴挙」

 昨日(12日)発売の「週刊文春」の記事において、中刷り広告の見出しに「中山補佐官」の出馬は、拉致の政治利用という内容の書かれ方をしている。さらに、「家族会」から大ブーイングとの書き方である。何処を取材し、そのような書き方になるのだろうか?
 早速、地方の某救う会幹事から問い合わせがあった。もし、「家族会」が中山さんの出馬に反対ということであるなら、そこの方々も考えざるを得ないというものであった。
 私の知る限り、未帰還者家族の中に「中山補佐官」の出馬に対し、異を唱える方はいなかった。寧ろ、賛同の言葉が続き「トップ当選」をしていただきたいという賛辞が続いていた。現に、昨日の「中山恭子全国比例代表候補」の出陣式において、横田早紀江さんと飯塚副代表が激励と応援の言葉を述べられた。更に、その後の「街頭演説」でも早紀江さんは3箇所を回り、応援されていた。横田代表は病室で中山さんに「エール」を送られているということだった。先日、中山補佐官との面会でも九州在住の被害者家族すべてが、賛同の意思を伝えている。
 今現在、救出運動に寸暇を惜しみ活動している被害者家族の中に、中山補佐官の出馬を歓迎しない人はいないと断言できるのだが、あまりに「安倍総理」に対するネガティブキャンペンを張りたい方々が、反対に我々「家族会」の名前を使って利用しているとしか考えられない。又、出陣式には全国協議会の佐藤会長も来られ、同様に激励と応援のメッセージを添えられた。街頭演説にもご一緒された。救う会は大きな組織であるから、或いは反対の立場を唱える方もいるであろうが、少なくとも、今回の参議院選挙を「金正日との闘い」の一環と捉え、多くの有権者に訴えていく重要性を見ている点では、家族会・救う会は共通認識を持っていると感じている。
 お互いの組織は、不偏不党の立場から「会」としての推薦はしていないが、心情的には大いなる期待感を持って出馬を見ていることは確実である。「週間文春」には猛省を促したい。一部の人間の言葉をさも「家族会」の総意のようにかかれては誤解を与え、それこそ「選挙妨害」という選挙違反を犯すことになろう。
 佐藤会長は、応援の言葉の中で「中山さんの出馬を金正日は興味を持って見ている。中山候補の得票数によって、日本人の「拉致問題」への関心度を見ている。是非中山さんには300万票を目標にしていただきたい。」というものである。私自身も、300万は大げさかも知れないが、「大量得票」を果たして欲しいと思う。
 巷間、今回の選挙は「年金問題」が問われるというが、三年前の参議院選挙でも「年金問題」を争点にされた。そのときの自民党への逆風を利用し、野党は改選総数の「過半数」の議員を送り出すことが出来た。「年金問題」や「社保庁問題」は、三年前に勝利した野党の責任でもあるはずだ。三年前と同じ課題で選挙を闘うことこそ、年金問題を「政争の具」としているようでならない。
 私たちの家族は今のままでは、「年金」さえもらえない立場になってしまう。



2007.7.10

「安明進氏の逮捕」

 詳細は分からないが、韓国聯合ニュースでは「北朝鮮元工作員・安明進容疑者を麻薬管理に関する法律違反で逮捕した」と発表した。
 昨年暮れ、安氏が北朝鮮の情報収集のために日本を離れる際に会った以降、彼に関する情報は聞いていなかったのであるが、韓国での生活状況の厳しさは少々聞いていた。安氏によると、「韓国政府の圧力がかかり、日本での被害者救出運動への参加を規制されそうになっている。そのために彼は職を失い、就職もままならない状況であった」ということである。さらに彼は「韓国内にいるより日本にいるほうが安全」等々、韓国・盧政権下での危険を感じていたようだ。
 調査会の荒木代表は、本日の「調査会ニュース」の中で、この件に関してコメントを出している。
『いつのことだったか、安さんと話をしていて、注意をされたことがあります。
「(荒木は韓国政府のブラックリストに載っているのだから)韓国にいるときは気をつけた方がいいですよ。知らないうちにバックの中に麻薬を入れられて、でっち上げで逮捕されることだってあるかも知れません」
 今回のニュースを聞いて思い出したのはこの言葉でした。もちろん、事実関係がどうなのかは闇の中ですが、捕らえられている安さんが外に出て自分の見解を述べることはできず、「…と供述している」と当局がいったところで本当かどうかなど誰にも分かりません。
 彼と最後に会ったのは3か月前、4月の10日か11日、多分11日の夜でした。このときはバルーンプロジェクトで韓国に行ったのですが、ソウルで連絡をとって夜会うことにしました。安さんが私の泊まっていたホテルに来てくれたのは日付が回った午前1時頃だったと思います。仕事で遠くに行っていて戻るのが遅くなったとのことで、何度も謝っていました。仕事が大変なようで、多少疲れているように見えたものの、北朝鮮の体制を倒して人民を解放したい、日本人拉致についても少しでも力になりたいという思いは全く変わっていませんでした。
 今、韓国の政権は北朝鮮との宥和政策にすべてをつぎ込んでおり、それに邪魔になる脱北者の口をいかに封じるかに腐心しています。事実関係の確認はできないものの、彼がやられたのはその一環であった可能性が高いと思わざるをえません。
 彼には一刻も早く表に出て、第一線に復帰してもらいたいと思いますし、韓国政府もこれまでの彼の功績(今の政権には「悪行」と思われるのかも知れませんが)を十分考慮した対応をするのが当然と思います。また、調査会としても古川さんの訴訟を初め、安さんには様々な形で協力をしてきていただいており、本来なら私たちが彼の日本での活動のベースを準備してあげなければいけなませんでした。その点大変遺憾な思いをかみしめているとともに、これからも彼のためにできるだけのことはしなければならないと思っています。
 彼の勇気ある証言がなければ、日本人拉致問題はこのように進んではいませんでした。「亡命者の言うことなど信用できない」(阿南外務省元アジア局長)との言葉に刺激され本を書き、各地で講演して身の危険を顧みず活動を続けていたことを私たちは忘れてはならないでしょう。皆様のご理解をぜひよろしく御願い申しあげます。』
 今回の逮捕容疑は「覚せい剤所持と服用」ということである。性急な判断は控えたいと思う。私個人としては、安氏のこれまでの活動への評価は変わらないし、安氏への感謝の念は変る事はない。彼の危急について、もっと考えていくべきであったかと思う。
 彼の被害者救出と祖国・北朝鮮人民の解放運動への思いは真実であったし、熱い思いでいたことは間違いがなかった。日本での心無い中傷がなければ、更なる活動を続けていけたであろうことを思うと残念だ。
 又、彼の容疑が事実としても彼が証言した「被害者の目撃情報」について疑いを持つことはない。金正日が「めぐみさん拉致」という事実を認めたものであるし、彼の証言の正しさは立証済みである。韓国の報道に注意したい。



2007.7.9

「被害者家族の死」

 市川修一さんの実姉「渡邊孝子さん」がご逝去された。58歳、ガンによる早すぎる死であった。
 1978年、市川修一さんは実家の鹿児島県曽於郡輝北町ではなく、就職した電電公社(現NTT)のある鹿児島市内に居住していた。その居住先が、実姉「孝子さん」宅であった。そこは、鹿児島市池之上町。私の実家の近くであった。
 私は既に実家を離れ、遠く北海道に居住していたので、渡邊さんとの接点はなかったが、姉るみ子は親しくして貰ったようだ。その渡邊さんの紹介で「市川修一さん」と知り合うことになった。市川さんは知り合ってほどなくるみ子との結婚を意識していたようだ。その二人が「夕日を見に行く」と言って出かけた8月12日以来、家族に顔を見せなくなろうとは思ってもいなかったはずである。
 渡邊さんは二人を引き合わせたことで、二人がデート中に北朝鮮に連れ去られてしまったことに責任を感じていたということである。自分が二人を引き合わせることをしなければ、二人が吹上浜に行くこともなかったし、北朝鮮に連れ去られることもなかったのではないかと。渡辺さんの自宅から消えた弟「修一さん」のことを思うと胸が痛んで、やりきれない思いを募らせていたのであろう。
 1998年、北朝鮮元工作員「安明進さん」を迎えて開催された「北朝鮮に拉致された被害者を救う・鹿児島大会」の壇上で、大きな声で弟「市川修一さん」の救出を訴えておられた姿を思い出す。400人の聴衆を前に必至の思いで自分を鼓舞すかのごとく大きな声を上げられていた。それまで、市井の一人であった女性が大勢の人前で話をすることなど思いもよらなかったであろう。私もそうであったが、人前での演説など苦手な人間が思い切って話すとき、ついつい声が甲高く、大声になる。渡邊さんの声が大声になったことも頷けた。
 その姉の孝子さんが7日の早朝、息を引取られた。最後まで、「修一さんに会いたい。会いたい。」と言っていたそうである。悲しいことがまたひとつ増えてしまった。
 家族会のメンバーでは、このところ「弔事」が相次いでいる。飯塚家では、田口八重子さんの実姉のご主人がやはり「ガン」という病に侵され逝去された。田口さんのお子さんを引取り、育てられたご夫妻であった。享年66歳。やはり若くしてのご逝去である。実の娘として育てあげ、2002年以降、「田口八重子さん」とその娘さんの再会を願って止まなかった義理の父の、その思い半ばで他界していかれた無念を思うとき、ここにも「北朝鮮の非道」による大きな悲劇が存在することを強く意識せざるを得ない。
 「北朝鮮の非道」は拉致された被害者本人だけでなく、失った家族にも大きな悲劇を生んでいる現実を、朝鮮総連の関係者はどのように思っているのか?その機関紙である「朝鮮新報」では、「万景峰号入港禁止」という制裁への非難が続いている。「人道の船」と讃え、その船の航行を人道的立場から再開することを訴えているが、その陰で北朝鮮に連れ去られたまま帰って来ない被害者に会いたいという、悲しい思いを胸に抱きながら力尽きていく家族がいることをどのように思っているのであろう。
 私たちは、被害者すべての帰国を果たすまで闘うことをやめない!金正日の犯罪を糺して行く。



2007.7.5

「メディアの前に現れた金正日」

 3日の「新華社通信」によると、平壌を訪れた中国楊潔コ外交部長と面会した「金正日」の写真が出たようだ。その写真をみて、金正日の健康説を云々することはできない。以前より、金正日の健康に関して諸説論じられていたが、今回の公の場に出た人物の写真で、重病説を否定的に見る人がいる。
 しかし、金正日には多くの「影武者」がいるという話も聞く。今回、公の場に出てきた人物ははたして本物なのであろうか?相手が中国の外交部長という地位にいる人間と、金正日は果たして直接会うようなことをするのだろうか?これに関しては、専門家ではないのではっきりとはわからないが、中国の外交部長という地位は、プライドの高い北朝鮮政府の金総書記という立場の人間が直接会うことが出来る地位なのだろうか?
 韓国の金萬福国家国情院院長は、ドイツベルリン心臓センターの医療陣が訪朝した際の「金正日健康疑惑」に際して、「事実なのか確認できなかった」といっていたように、金正日重病説を否定的に報じている。韓国の国情院のトップは、盧政権誕生以来、左傾化が進み、それまで監視対象であった人物がいきなりトップの地位についたという話もあり、明らかに「親北朝鮮」の考えの持ち主であろうし、ともすれば北朝鮮政府の指令を受けている可能性すらあるとすれば、重病説を否定しているところが却って「あやしい」となる。
 もし、金正日の重病説が真実であり、危篤状況にあるのであれば我々にとっては複雑な心境である。おそらく「金正日」死亡となれば、後継者問題のはっきりしていない北朝鮮内部では混乱が生じるであろうし、その際には、必ず中国が自国の権利を死守するために北朝鮮内部への進行を断行し、傀儡政権樹立へ力を注ぐことになると予測される。そうなった場合、北朝鮮政府への日本の経済援助を見込み、北朝鮮に「拉致被害者の全員帰国」を促す必要が生じるだろう。すべての責任を「金正日」ただ一人になすりつけ、北朝鮮を経済的植民地化するためにも必要な処置となるから。
 このシナリオは、我々にとっては都合の良い結果となるのだが、私たちの家族は「金正日」や「金日成」の主導の下に拉致され、人生の多くの時間を苦しい思いで過ごさねばならなかったのであるから、その責任は確実にとってもらわねばならない。そのときには金正日に世紀の裁判を受けさせ、人民に対する人道的罪と拉致被害者に対する人権侵害の罪に問うてもらわねばならないし、その罪によって罰せられ刑を執行されねばならないと思っている。
 とすると、金正日の重病説は被害者救出にとっては良いが、金正日の罪を問うためには最悪の結果となるから複雑なのだ。



2007.7.2

「川口での街頭署名」

 川口駅西口において、署名活動を行った。川口では毎月、第一日曜日の昼下がりに同じ場所で同時刻に「署名活動」を行っている。そこには、「田口八重子さん」の2番目のお兄さんである「飯塚進さんご夫妻」と「特定失踪者家族」の鈴木さん、佐々木さん、藤田さんも参加して、多くのボランティアも参加して道行く人たちに訴えていた。
 幸いにも7月の過酷な日差しは免れたが、老齢の方には厳しい署名活動であろう。その活動を毎月されている皆さんの行動には、頭が下がる思いだ。
 私もここ一月に渡り、毎週のように各地の「街頭署名」に参加・企画してきたが、継続して活動することの大変さは身にしみて理解できる。道行く人たちに訴えても振り向いてもくれないこともあったであろう。場所柄、厳しい言葉を浴びせられたこともあろう。それでも、街頭署名を通して、道行く人たちに被害者のことを訴えていかなければならないという強い思いがあるからこそ、厳しい季節にも継続してきたのであろう。
 時は、参議院選挙に突入しようとする時期である。
 私たち「被害者家族」は、政治の闇の力に翻弄され悔しさも悲哀も感じてきた。だからこそ訴えたい。私たちが経験した中で一番重要なことは、国民が正しく自分の権利である投票権を放棄することなく行使することであるということ。私たちの国がこれほど乱れ、国民の人心が疲弊した現況は何であったのかを考えるべきだということ。皆が、国政に関して無関心を装い、自身のことのみを権利として追及し、義務を軽視してきた結果が、現在の多くの問題の現況であるということを。
 国政を司る国会議員を選出する権利の行使こそ、国会議員の姿勢を正していける国民の唯一の方法であるということを感じていただきたい。そこに、これからの日本のあり方や国家としての存在意義まで考慮して、投票行動を起こして欲しいというものである。
 国会から、国のためにいてはならない国会議員を排除することで、世界に通用する国家となっていくということを考えて欲しい。
 その観点から、投票行動をとる人があまりにも少ないのではないかと恐れている。又、低い投票率で国政を間違った方向に行くことを助長しているのではないかと危惧を覚える。
国政選挙であるならば、最低でも8割の投票率であるべきではないか?多くの国民が投票行動を起こすことこそが、私たちに国を美しい国にしていく大きな一歩となる。
 父が残した「日本を信じる。お前も信じろ」という言葉が空虚なものにならないことを願いつつ、被害者の救出を訴え、国家のあり方を訴えていく。
 それしか、私たちに出来ることはないから。私たちはそういう行動しか出来ないから。国民に国会議員に訴えていくしかないのだろう。
 金正日よ!早期に被害者全員を帰せ!これ以上の時間の引き延ばしは、政権の維持に何等寄与しないことを感じろ!日本国民は、決して「拉致被害者」を見捨てない。最後まで、金正日と闘う!



2007.6.29

「拉致被害者日本人、政治犯収容所で働く」

 この報道が昨日の中央日報で報じられ、日本のメディアが後追いした。報道によると、北朝鮮のミサイルと在来式武器の輸出関連の秘密情報を持つ国家安全保衛部核心要員が北朝鮮を脱出し、以下のように語った。「拉致された日本人たちが政治犯収容所で労役をしている。脱北者の証言では、「2003年頃、北部両江道(リャンガンド)にある政治犯収容所を訪問した時、ボイラー工として強制労働をさせられていた日本人を目撃、親しい管理者から日本人拉致被害者が2〜3人収容されているという話を聞いた。」というものだ。
 これが事実とするととんでもないことである。2003年というと既に4年が経過している。一般に粗食になれない日本人は、収容所の暮らしに耐える体力を有していないために、朝鮮人の収容者より生存の確率が低いということである。彼らが4年の重労働と粗食に耐えられるのだろうか?北朝鮮に脱出したカン・チョルファン氏(現朝鮮日報記者)は、10年近い収容所暮らしに耐えたということだが、彼の著書「北朝鮮脱出・地獄の政治犯収容所」を読むと、その悲惨な暮らしぶりに吐き気がするほどだったが、北朝鮮に拉致され収容所に入れられているとすると、その悲壮な運命に生きる気力をもなくしてしまうのではないか。事実であって欲しくない。
 昨日、ロイター通信で「北朝鮮政府が日本人拉致問題に関して調査を行う方針」という報道をした。ヒル国務次官補が訪朝し、弾道ミサイルを発射実験したこの時期に、前記の話が出てくることに北朝鮮の意図が見え隠れする。おそらく、ヒル氏の訪朝時にヒル氏から、「日本との交渉を進める必要」を説かれたもので、米国との関係改善を仕組む北朝鮮としては、ポーズとして「拉致問題解決に向け努力している」姿勢を見せ掛けでもやるつもりなのであろう。このような姿勢が「日本の怒りや日本の要求を満たすもの」と考えるならば、北朝鮮は再び見誤ったことになる。日本人はそのような詭弁で誤魔化されることはない。日本政府は、「北朝鮮が日本人拉致被害者全員を解放する姿勢を見せるまで、進展とは認めない」という方針を変えていない以上、調査をすることが進展と判断することはないからだ。麻生外務大臣も「北朝鮮に幾度も騙されてきた」と認識している以上、このような再調査で満足することはない。
 2004年、小泉元総理は金正日が「白紙に戻して、再調査する」と約束したことを受け、国交正常化を目指したが、その再調査の結果が「めぐみさんの骨と称して提出した他人の骨」であり、「嘘の固められた死亡報告」であったことを思い出す。最早、再調査という言葉に踊らされることはない。大体、金正日政権が管理する被害者を調査することなど必要あるまい。彼らの管理ファイルをすべて提出するだけでいいのであるから、一日もかかることはない。北朝鮮がなすべきは「被害者のファイルをすべて明らかにすること」であり、「再調査」などではない。



2007.6.25

「久しぶりの街頭署名」

 先日も書いたが、1999年5月以来の都心での「街頭署名活動」を行った。場所は、私たち「家族会」が結成してから都心で街頭署名を開始した「マリオン前」である。ここから始めた都心での「街頭署名」を再び始めたいという希望は、私個人の思い入れからである。今、「2.13六者協議」での合意を受け、米朝の歩み寄りが先行し「拉致被害者救出」が後方に追いやられるのではという危惧があったからだ。
 更に、前回も書いたが各地の救う会が毎月定期的に署名を集めるために街頭に立ち、道行く人たちに「拉致問題の存在」を訴える姿に触れて、私が忙しくて取り組めていなかった都心での街頭署名をもう一度再開すべきと考えたからである。節目での「街頭アピール」は何度かやってきたが、純粋に「署名運動」主体での活動はやっていなかった。だからこそ、多くのボランティに協力を依頼し、とにかく開始することにしたのである。
 私の発案とは言え、「家族会」の究極の目的である「被害者の救出」に関してマイナスになってはならないと思い、事前の根回しには気を遣った。
 総連本部問題の発覚で、総連自身も神経を尖らせる中、大々的に街頭署名をぶち上げて要らぬ混乱を招いては却って「街頭署名」を開始したことが間違いということになる。私の意図するところと全く違う結果を招くとすると何にもならないと思い、ぎりぎりまで「街頭署名」の告知をすることをやめていた。又、私が主導しての「街頭署名活動」は初めてのことであったので、準備期間も短く少々の不案を抱えながらの署名活動であった。
 事前に「署名活動」を常時行っている方々に相談し、関係各所への挨拶までこなし、これなら出来ると思うまでには紆余曲折もあった。私個人の発案とはいえ、「家族会事務局長」という肩書きを持つ以上、責任は「家族会」にも及ぶ可能性すらある。やはり、混乱だけは避けなければならないという思いで当日を迎えた。事前に協力を依頼した方や噂を聞いて協力を申し出てこられた方を含め20名強の方々が参集した。
 又、いらぬ混乱を避けるために「チラシの配布」を止め、アピール行動と署名集めだけに限るようにしたのも、今後定期的にやっていくための試金石として、再開後初めての「署名活動」を混乱させないためでもあった。
 あいにくの雨模様であったが、マリオン前・西銀座デパート前の通行人に呼びかけ、現状の家族の気持ちを訴えられたことはありがたかった。
 当日、大きな混乱もなく参加いただいたボランティアの皆さんに感謝したい。特に定期的に「川口」で署名活動を行っている飯塚進さん(田口八重子さん兄)たち川口関係の方々には、「幟」や「署名版」を用意していただき感謝申し上げたい。
 初めての都心での街頭署名であったので、不手際もあったであろうが次回以降の教訓としたい。又、雨模様のため通行される方々に不自由をおかけしたことにはお詫びをしたいと思う。
 署名の参集結果は、2時間の街頭署名で609人分の署名を集めていただいた。今後も定期的に「街頭署名活動」を行っていけると感じた。



2007.6.23

「街頭署名再開」

 24日(日)13時より、中央区有楽町マリオン前において「街頭署名」を開始する。マリオン前で街頭署名を行うのは、1999年5月1日以来である。当時は、「拉致」は疑惑の段階であり(家族や救う会は疑惑ではなく確信していた)、日本国内においても受け入れられていなかった時期である。翌日に計画された「国民大集会」(日比谷公会堂)の告知と署名のお願いの為、全国から終結した「家族会メンバー」総出で活動した。マリオン前を歩く多くの人々が、私たちの差し出す「ビラ」を受け取ることなく、署名になど見向きもされない悔しい思いをさせられた場所である。
 2002年9月17日に金正日が北朝鮮による日本人拉致を認めて、多くの日本国民が「拉致」の真実を知るようになり、怒りをもつようになって家族会による都心での街頭署名を控えてきた。その後、5年が過ぎようとしているにもかかわらず「拉致被害者の救出」は一向に進まず(5人の被害者とその家族は帰国できたが)、真相の解明など程遠い現況を考慮して、私たちも原点に戻り「救出活動」を再開しなくてはならないのではないか(?)と思い、署名活動の原点である都心での署名活動の再開を考えた。そして、その開始場所はマリオン前でなければならなかった。
 今年に入り、「2・13六者合意」がなされ、北朝鮮との対話が始まろうとして、「核問題」優先になりつつある北朝鮮問題をもう一度、「拉致問題」優先に考えてもらうためにも、私たち(被害者家族)の心境や現状を報道ではなく、直に訴える必要性を感じ始めている。仙台や三重・奈良での街頭署名を通して、直接道行く人に語りかける重要性を認識したから。しかしながら、都心では此処何年も「街頭署名」をしていないことに気づかされた。全国の救う会のボランティアの皆さんに「署名集め」をお願いしておきながら、私の住む東京都の都心での「街頭署名活動」をしていないことは、私の中で問題となってきたのである。
 ヒル国務次官補が訪朝から帰ってきた。韓国への報告を終え、日本に立ち寄り佐々江局長らと協議をしたようである。ヒル自身は「拉致問題を北朝鮮に伝える」という言葉を使ったが、このところの米国の特に国務省の動きには信用できないところがある。今、日本でも「対話路線」だけを頼りにする傾向が見られるが、北朝鮮との対話は圧力をかけてこそ正しい対話があるのだということを再度国民に訴えなければならない。対話は必要であるが、その対話は圧力の存在があってこそ実効性の伴う話し合いになるということを。現安倍総理が手がける北朝鮮政策が、一番被害者救出と事件の全容解明のために必要であることを訴えていかなければならないと思う。
 だからこそ、今、現場で直接訴える「街頭署名活動」が必要なのである。多くの国民に直接訴える場所が必要である。



2007.6.21

「ヒル国務次官補、平壌入り!」

 米国の六者協議代表・ヒル国務次官補が今日21日、北朝鮮の平壌に入り、姜錫柱第一外務次官と面会したという。米国の政府高官が北朝鮮に入るのは、2000年のオルブライト国務長官以来となる。今回の訪朝でヒル次官補がどのような姿勢で臨むのか、注視したいと思う。北朝鮮問題は、2月の「六者協議合意」以降、「BDA問題」の解決が遅れ、北朝鮮の合意履行がなかなか進まずにここまで引き伸ばされてきた。「BDA問題」と「六者合意」をリンクさせた米国と議長国の中国の責任は大きい。
 ヒル次官補は、「話し合い」に多くの期待感を持って臨んでいるようであるが、忘れてならないことは、北朝鮮がこれまで行ってきた「合意違反」のことである。米朝間での「ジュネーブ合意」も遵守せず、米国を騙した形で「核開発」を続け、毎年50万トンの重油をただ取りした。更に、韓国と日本には「軽水炉建設資金」の拠出をさせて、結局我が国は5億ドル弱の血税を無駄にさせられた。この点に関して、北朝鮮政府からの謝罪は一切ないはずだ。謝罪がないということは、反省しておらず、今後も「合意違反」を繰り返す恐れがあるということである。
 ヒル次官補は、北朝鮮が「話し合い」に応じたことに有頂天にならず、国際社会の懸念を厳しく伝えるべきだ。
 もともと「合意」や「共同宣言」を守ってこなかったのは北朝鮮であり、その合意違反を糺していく姿勢が必要である。合意履行への道を示した北朝鮮政府の対応に対し諸手を挙げて喜ぶのではなく、「核廃棄」への国際社会の厳しい姿勢を示していくべきだ。
 今後、北朝鮮政府が「六者合意」に基づき、「寧辺の核施設の封印・停止」を履行し、さらに「濃縮ウラン」の問題に関しても明らかにし、「不可逆的核廃止」へ向けて、北朝鮮が動くのかどうかを見極めなければならない。あくまでも「合意」を守っていないのは北朝鮮政府であることを忘れてはならない。話し合いの始動が歓迎すべきことではなく、核廃絶まで厳しく中止する姿勢が必要である。
 韓国の李ジョンソク前統一部長官が、「核問題あまり性急に考えるべきではない」といういかにも北朝鮮政府が喜びそうな講演を行ったらしい。「核問題は早急に解決できる問題ではない」とし、北朝鮮政府に核開発の時間を与え有利に話し合いをしていきたいという思いを吐露している。李前長官は、北朝鮮の拉致問題に関しても「六者協議の議題とすべきでない」という考えを示していた。今後、被害者の寿命がつき、北朝鮮での厳しい生活を余儀なくされる被害者の窮状を考えない言動である。北朝鮮・金正日政権がなしている「非人道的行為」によって死に面している北朝鮮人民のことには一顧だにしない非人道的発言である。韓国の拉致被害者家族の「慟哭」が聞こえてくる。
 北朝鮮政府に関しては、北東アジアの安全と北朝鮮国内での大きな人権侵害の是正を求めることは不可欠であり、早期の実施を迫っていく必要があると思う。北朝鮮を取り巻く国々が、問題の先送りをしていくことは更なる「脅威」を生み出す結果となることに思いを馳せる必要がある。



2007.6.19

「半年、一年が勝負」

 一昨日の土曜日、和歌山県海南市で開催された「北朝鮮による拉致被害者救出の為の国民大集会(和歌山海南集会)」の中で、中山補佐官がいわれた言葉であるらしい。「この先半年から一年が勝負のとき、日本中の人々が被害者を帰せと北朝鮮に向かって伝えなければならない」
 家族会・救う会の主だった人間も年齢を重ね、悠長に構えることの出来ない状況になっている。半年、一年が勝負という期限を設けて勝負していくという姿勢は評価しよう。だが、昨年年初、漆間警察庁長官が「今年は拉致問題の勝負の年」と言ったことがダブってしまう。今度こそ、勝負をかけていきたいものである。
 海南市で集会が開催されている土曜日、私は妻とともに救う会・三重のボランティアの皆さんと四日市駅前の「ふれあい広場」において、街頭署名を呼びかけた。都会のように多くの人が行き交う場所ではなかったが、通行する方々のうち5割の市民に署名に応じて頂いた。これは、署名率としては高率のものであり、拉致問題への関心の高さを証明するものである。市民の方々と街頭署名に参加して頂いたボランティアの方々に感謝したい。
 翌日の日曜日には、近鉄奈良駅前「行基噴水広部」において、救う会奈良の方々と街頭署名を行った。連日の署名活動であったが、多くの方々の協力に疲れを感じることなく終了した。ここでも通行人の3割強の方々に署名に協力いただき、多くの寄付を頂いた。本当に感謝したい。
 私が5月末から各地の街頭署名に参加したのは、北朝鮮問題が「核問題」に特化されがちな報道の中、地道に街頭署名をして頂いている方々への感謝の気持と、国民に向かって「拉致被害者」を忘れないで欲しいという思いからである。中山補佐官が「日本中の人々に北朝鮮に向かって日本人を帰せと伝えてもらう」ためにも、もう一度街頭で訴える原点を体感し、新たな決意を固めていく為でもあった。
 街頭で接する国民の多くは、北朝鮮の行為に対し確実に大きな怒りをもって「拉致問題の報道」を注視しているということを感じたことは大きい。私たちの怒りを多くの国民が共有していることが理解できた。又、逆に「拉致は解決済み」という北朝鮮本国と総連の主張を日本社会に植えつけようとする方々がいることも分かった。私の日本国内における闘いは更に続けていかなければならないことも理解できた。負けられない戦いが其処にある。
 余談であるが、大阪の街には活気がある。日曜の朝、10時頃「心斎橋筋」のアーケイドを通る人の多さには驚いた。東京では見られない老若男女の通行量であった。中には、中国の観光客も大勢いたが、11時頃からは一般の人たち、特に若い女の子たちが朝早くからアーケードを行き来する姿は圧巻であった。大阪は、エネルギーあふれる街である。



2007.6.13

「よど号妻2人に逮捕状」

 石岡亨さんと松木薫さんを拉致したよど号犯の妻2人に逮捕状が出た。松木薫さんの姉、斉藤文代さんは「遅いとは思うが、一歩前進した」との見解を示している。確かに二人の拉致関与は十数年前から囁かれており、警察庁が知らなかったはずはない。今日に至るまで「逮捕状」を請求せずに放置していたものを何故?新しい証言があったのだろうか?そうとは思えない。安倍総理になって警察庁が本気で圧力をかけ始めている証であろう。
 多くの「よど号犯とその家族」が帰国を果たしている中、警察庁や警視庁は忸怩たる思いを抱き続け、全容解明のための捜査を開始したかったのであろう。
そして今、政治家が全面的に責任をとる姿勢を見せることによって、安心して捜査できる土壌が出来上がったと考えられる。政治家が責任を持ってくれさえすれば、官僚は動ける。又、責任を持って任務を遂行できるのである。
 しかし、若林(旧姓黒田)も森も北朝鮮にいる。これまでの警察の逮捕状や国際手配は、いつも北朝鮮にいるであろう「拉致実行犯」へのものである。北朝鮮政府が存在さえ否定している者もいる。彼らへの逮捕状が実効性を伴うものかというと疑問が残る。ただ、「よど号犯やその妻たち」に関しては、米国との正常化交渉の妨げになることは明らかであるから、北朝鮮政府が「テロ支援国指定解除」の条件になる「よど号犯」の国外退去を主導する可能性は残されている。そのときに彼らへの「逮捕状」が生きてくるに違いない。
 今、「小川淳」こと「赤木邦弥容疑者」が旅券法違反の疑いで拘留されているが、確実な情報を得るために厳しい追及を求めたい。又、帰国中のよど号の子供たちが、日本の正式なパスポートを取得して、事実上「渡航禁止」である北朝鮮に頻繁に出入りしていることを考えると、日本政府の対応に対し警告を与えたい。
 よど号犯の子供たちには罪はないとはいえ、拉致被害者に関する情報(特にヨーロッパルートの拉致被害者)を持ちえた存在であり、その件に関して非協力的な子供たちに対するアプローチも確実に行う義務があろう。
 昨日は、公安調査庁の元長官・緒方氏が社長を務める投資会社が、総連本部の売却に関与している事実が報道された。「天下り」が問題視されている中、本年4月、代表取締役に就任した投資会社の朝鮮総連本部の建物の購入ということ自体、不穏な響きを持ち、相手が相手だけに「公安調査庁と朝鮮総連の癒着」の匂いさえしてくる。
 公安調査庁は、威信にかけてこの二者の関係を明らかにすべきである。特にこの緒方元公安調査庁長官は、長官退職後広島高検検事長まで務めた方である。取り締まる側と取り締まられる側との不穏な関係は、一般から見ても納得できるものでなければならない。この関係が明らかにできないということであれば、我が国の安全保障上の重大な問題に発展する。総理の指導力に期待する。
 我が国の暗部をさらけ出し一掃することで、我が国をよりよい国・美しい国に変えて欲しいと願う。



2007.6.12

「六者協議再開?」

 政府は、FRB・連邦準備制度理事会(中央銀行にあたる)を経由して、ロシアの銀行にBDAに凍結された北朝鮮関連資金を送金させるという異例の処置をとり、BDA問題の決着を図り「六者協議再開」を目指すということである。果たして、北朝鮮がBDAの資金が返還されたことを受けて「六者協議」への復帰をするか見ものである。
 北朝鮮としては、BDAの資金(30億円弱)よりも国際金融機関への復帰、即ち貿易決済が銀行を通して出来るようになることを最終目標においている以上、資金の返還だけで動くのかは疑問視される。北朝鮮にとって「核カード」は最終・最強のカードであり、たかだか30億円弱の資金返還の見返りとして「核廃棄」へ動くとは思えない。必ず、米国内法に反する制裁解除を求めていくだろう。そのときに、米国が如何なる対応をとるのか?これ以上の譲歩はあってはならない。そこまでの譲歩は米国の国際的な信用を失墜させることに気づくべきである。
 もし米国がそこまで前のめりになるならば、同盟国・米国のご都合主義に歩調を合わせていくことは我が国として考えざるを得まい。
 北朝鮮はBDA資金返還後、IAEAの査察と寧辺の核施設の稼動停止を履行し、国際社会に「核放棄」への行程を一時期演出するのであろうが、実際に重要なのはその後の「核放棄」への行程である。5万トンの重油支援は韓国が実施するであろうが、「2.13合意」の中の次なる段階へのアプローチがなされるかどうか。
 残り95万トンのエネルギー支援への日本政府の参加を促す圧力がかけられる可能性がある。国内においても、そのような意見が持ち上がるであろう。「核放棄で一番の恩恵を受けるのは日本国である。それに対し、お金を出さないで利益だけ享受することは許されない」という論法である。これに対し、救う会副会長の島田氏が提言しているので参考にしたい。
 「北朝鮮政府が『濃縮ウラン』を含むすべての核開発・核施設の廃棄を実行する際にかかる費用はすべて我が国が持つ。核施設の解体、その後の運搬等、一切の費用を我が国が負う。ということを国際社会に対し明言していくこと。これが我が国にとって一番理にかなったお金の使い方であろう。この資金の拠出で『日本のただ取り』の謗りを排除できる」という考え方だ。巨額の「核廃棄への行程」資金を我が国が負う事は、我が国の安全保障の点からも国民の理解が得られ、金正日政権への支援にならない点でも評価できる。
 それが出来るかどうか?国民の中には、巨額の費用負担を渋る考えもあろうが、いままで「北朝鮮関連」でかかったコストや今後の「安全保障上」のコストを考えると納得できるものではないか。少なくとも、「朝鮮銀行破たん」で投与された血税「一兆4千億円」の使い方からすれば合理的であり納得できるものだ。「朝銀への公的資金導入」は、親北の政治家の強引な手法によってなされた無駄金であったことを考えると、納税者としても「北朝鮮の核放棄にかかる費用」への負担は納得できるものである。
 私たちはもう一度、朝銀への公的資金導入という暴挙に関して知る必要がある。今、メディアは「社会保険庁」の無駄使いや不正処理に躍起になっているが、一兆4千億円もの資金を導入した問題は追及することはない。私たちの血税がどのような不正から生まれた赤字に補填されたのか?その資金は何処へ行ったのか?その導入を強く主導したものは誰なのか?我が国の将来にかかわる問題として追求していくべきだ。



2007.6.11

「中山補佐官の参議院選挙出馬」

 中山補佐官が次の参議院選挙に出馬する意向である。私としては歓迎すべきことである。
中山恭子さんは、2002年9月、冷え切った政府と被害者家族との連携を強化すべく、時の官房長官福田氏が内閣府参与として登場する。家族会と政府の緩衝の役目を与えたといっても良かろう。とかく政府に対し反発し、日本政府に対し不信感を募らせていた家族会のメンバーに日本政府を信頼して貰おうとの思惑があったと思う。過激な言動を慎んで貰おうと思ったに違いない。当初は、政府方針に異を唱えないようにと「柔らかい物腰」の中山参与を利用しようと思ったのかもしれないが、中山さんは福田氏の思惑とは違い、家族会の意を汲んだ対応をしていただいた。
 被害者五人を「日朝間の親善」に利用し、国交の回復を目論んだ日朝の政府関係者が五人を「一時帰国」という形で帰国させた。家族は当然、五人の日本永住を望み、帰さないという方針を打ち明けた。当時は日本政府内(特に外務省)では一時帰国後北朝鮮に返すという方針であったが、ここで安倍官房副長官(当時)と中山参与(当時)が家族の意を受け、強行に反対した。外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)と実質的な外務大臣であった福田氏との間で対立が生じたが、国民世論の後押しや被害者本人の意思を確認した安倍さんたちが勝利し、五人の北朝鮮への返還を押しとどめることが出来た。家族会の安倍さんへの信頼は以前から強いものであったが、中山さんへの信頼もこの一件で確立された。その後、中山さんの機敏な対応で過ちを犯そうとしたジェンキンス氏・曽我さんとの対面を日本有利に導いたことにより一層の信頼を勝ち得た。中山補佐官は、常に家族会サイドに立脚し、実行で来得る人物である。
 先日の家族会との話し合いの場で、「参議院選出馬の意向」を聞いた家族には何の異論も出なかった。家族の気持ちを代弁できうる補佐官がバッジを付けることは大きな力になると思う。
 補佐官制度が確立されていない今、中山補佐官に集まるべき情報が充分伝達されない状況があるということも漏れ聞いている。官僚に対し「バッジ」を付けることで優位に立ち、情報の収集をやり易く出来るのであるから、今後の拉致解決のためには必要なことである。
 又、安倍総理に対する「バッシング」の中で、総理自身が「拉致問題の重要性を認識」し、今の政府方針を国民に問いたいという意向であることも聞いた。日本国民が「年金問題」や「核問題」等の課題よりも帰国できない被害者を帰国させることを最優先に考えて、中山さんの得票数が圧倒的なものになって欲しいものである。
 中山さんの自民党からの出馬が、拉致問題を自民党マターにしてしまうという方もいるが、果たしてそのような考えが成立するのだろうか?「拉致問題」は国家としての重要な問題であることはいうまでもない。そこで、誰がどの党から出馬しようがバッジを付けている方なら、優先的に解決を図るべき問題だ。もし、自民党からの出馬が拉致問題への関心度を負にする程度の考え方しかないのなら、もともと国家的な重要問題として考えられない方々なのであろう。そのような方は問題外である。多くの心を持った方がバッジを付けていただくことにより、解決への道が近づいていくと思う。



2007.6.8

「しおかぜに愛媛県知事が収録」

 特定失踪者問題調査会が制作、運営している、短波放送「しおかぜ」に、愛媛県の加戸守行知事がわざわざ調査会を訪れて収録を行った。先には、仙台市の梅原市長も同様に収録をし、被害者への呼びかけと救出への並々ならぬ決意を語った。全国に広がる被害者は殆どすべての県にまたがる。その首長が被害者の救出の決意を呼びかけることにより、被害者に少しでも希望を与えることが出来ればと願う。加戸知事は、詩人・坂村真民氏の詩「念ずれば花ひらく」を朗読されたということである。その詩は、以下の詩である。
念ずれば
花ひらく
苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしもいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ
ひらいていた
 松下幸之助氏は、「思うこと」が実現する大きな力になるといわれた。
 私たちも更なる「思い」を念じていきたい。
 6日には、家族会の未帰還者の家族が東京に集い、それぞれの家族への呼びかけを収録した。これは、日本政府が主導し北朝鮮にいる被害者へ希望を与え、北朝鮮人民に「被害者を保護し、無事帰国させることを呼びかける」企画の一環である。
 日本政府は、安倍総理の下、企画調整室において次々と被害者救出のための企画を開始している。勿論、批判に晒される企画もあるようだが(親方日の丸的発想)、今回の電波使用による呼びかけはあらゆるチャンネル利用し被害者へメッセージを送るというコンセプトにおいて評価できるものであろう。
 横田さんや有本さん、松木さん、市川さん、松本さん、増元家の人々がそれぞれに家族への呼びかけを行い、皆一様に目を赤く腫らしながらの収録を終えた。呼びかけに際し、家族へ不安を与えぬように元気に呼びかけようと思っていても、家族のことを思い出しながらの収録は、まだ会えぬ辛さをよみがえらせる。北朝鮮で苦労を重ねる被害者のことを悲しい思いで振り返る。自然に涙してしまう。被害者の早期帰国を念じる。
 ただ、この「短波放送」がNHKを使用したものではないことが残念である。報道の自由を守るために、NHKに対し命令できないためであろうが、それならばNHKが率先して、被害者救出のための行動を起こして欲しいものだ。
 NHKでは、「拉致事件報道」を独自の判断によって行っているという。それならば独自の判断において、被害者へ届き希望を与え、北朝鮮人民に「被害者保護」を訴える放送を独自でやって欲しいものだ。
 先日の中間層の北朝鮮人民が脱北する現実を見るに、愈々北朝鮮政権の崩壊の足音が聞こえ始めている。北朝鮮に幽閉されている被害者を安全に帰国させるための放送を考えても良いだろう。
 ドイツで開催中のサミットでも、北朝鮮による拉致問題に対する非難声明も盛り込まれるという。更に、北朝鮮の「2.13合意」の履行を促していく方向であるという。世界中が北朝鮮に対する包囲網を狭めていく状況にもかかわらず、北朝鮮は「拉致は解決済み」と嘯き、日本の経済制裁は聞いていないと嘯く。又、日本政府の六者協議への参加すら拒否の姿勢を鮮明にしてきた。北朝鮮がわざわざ「経済制裁効果なし」と言明しているのだから、効果は想像以上に聞き始めているということであろう。
 しかし、私たちは安心せずに「更なる制裁措置」を粛々と進めるべきだ。北朝鮮政府が、金正日が、拉致被害者を帰国させる選択肢をとるようにするまで、怯むことなく進めて行くべきだ。



2007.6.7

「ここにも親子の悲劇が?」

 北朝鮮から帰国した赤木邦弥容疑者のご両親が、「無事でよかった」・「再開はいつできるのか?」と胸中を語っている。ここにも、非道な政権・北朝鮮の犠牲者がいた。赤木容疑者は1986年に日本滞在後、北朝鮮に渡ったと見られ、その後家族の再会は果たされていなかったということである。2004年、両親の元に寄せられた手紙によって赤木容疑者が北朝鮮にいることがわかり、当初「北朝鮮による拉致」の疑いをもったということである。
 2004年といえば、金正日が拉致を認め、日本国内では「拉致被害者救出」の声が止まぬ時期であった。その後、御両親は報道によって「赤木容疑者」が自ら北朝鮮に渡り、「よど号犯」等とともに行動していることを知るにおよび絶句したと言うことである。
 20年あまりの間、実の息子に会えぬ家族の悲劇がここにも存在した。
 赤木容疑者の同級生の言としては「彼は正義感が強く、過激な思想に影響される男ではない」ということであるが、実際に赤木容疑者が「拉致被害者のことを知らない」と言っているらしいことから、北朝鮮に好むと好まざるにかかわらず協力的な姿勢であることは否めまい。熊本出身の「松木薫さん」と同じ「よど号関係者」とのつながりを考えると、赤木容疑者が松木さんと面識がないことは考えられない。「同郷」というものは我々でもそうであるが、懐かしく親近感が沸くものである。北朝鮮という過酷な異郷の土地での出会いであるならば尚更だ。松木さんは北朝鮮の発表によると1996年まで生存ということであるから、その間の情報でも良いから正直に話す義務があるのではないか。
ただ、赤木容疑者の来日がここまで延びたということは、北朝鮮での思想教育が困難であったとも考えられる。 即ち、赤木容疑者が日本滞在中に「真実」を語ることを恐れた北朝鮮が再教育する時間を要したという事かもしれない。或いは、熊本にいる赤木容疑者の家族を人質として、赤木容疑者を脅している可能性すら考えられる。警察は、赤木容疑者家族の身辺警護にも万全を期して欲しい。
 よど号犯関係者が相次いで日本に来ている。敢えて「帰国」といわず「来日」といいたい。彼らは、故郷の日本へ帰りたいという「理由」で来日を続けているが、本当に帰国を望んでいる「拉致被害者」を放置して、来日を果たしていることをどのように考えたらよいのか?よど号関係者と違い、或いは暴力的に或いは騙されて北朝鮮に連れて行かれた被害者は、自由にされない状況であることを関係者は如何考えるのだろう。
 熊本には、松木薫さんのご家族もいる。私の姉も熊本在住である。呉越同舟ではないが複雑な気持ちにならざるを得ない。赤木容疑者のご家族もそうなのであろう。なんにしても警察当局の厳しい追及を望む。これまでのよど号犯関係者の来日では、何等情報が得られずに、釈放されていることを思うと、日本の法体制の不備を嘆かざるを得ない。
 以前、赤木恵美子容疑者が来日した時も私たちは警察庁へ出向き、新たな事実の解明に期待を寄せたが、何も果たせないまま落胆せざるを得なかった。今、重要なことは「よど号グループ」の動向ではなく、「拉致被害者」に関する情報であることを肝に銘じて欲しい。再び、「よど号関係者」を泳がす必要はあるまい。



2007.6.4

「脱北者の事情」

 青森県深浦港に4人の脱北者が漂着した。全長7メートル程の木造船で一週間ほどの日数をかけて、日本海を航行してきたというのだ。すさまじいまでの執念と幸運の持ち主なのであろうか?この時期の日本海は穏やかな波であるとはいえ、一つ間違えば転覆・遭難してしまう危険もある。そんな中を決死の脱北を敢行した勇気を讃えよう。しかし、彼らは北朝鮮では比較的自由な階層であり、「拉致被害者」のことを考えると事態は深刻だ。
 彼らは、猟師として生計を営むことが出来る地位にいた。北朝鮮では優遇されていたと思われる。まして、逃亡に必要な食料や燃料を蓄えることが出来るほど、自由に振舞うことが出来、お金も持ち合わせていたと考えられる。そのような階級の人間たちですら、二日に一度のパン食生活を余儀なくされたということである。とすると(北朝鮮政府から虐げられている)敵対階層の人たちは、どのような暮らしをしているのか。おそらく配給は途絶えて久しいだろうから、自分で調達していると思われる。それでも厳しい冬を乗り切っているのであるから、我々には想像を絶する耐久生活であろう。そんな彼らに早く安心して食べ物を食べて貰うことは出来ないものだろうか?
 WFPを通じての食糧支援は、必要な人民の所に届かないというのは、多くの脱北者の証言で明らかである。しかし、日本国民の多くがそのことを理解しているかというと疑問符がつく。この脱北者の証言を聞いて、善なる(?)人々が北朝鮮への食糧支援の必要性を声高に叫び、制裁を強化する政府への批判を繰り広げることになるのではないかと危惧する。彼らの叫びは「偽善」の一言であろう。北朝鮮内部のことは確かに明白なことはわからないのは事実であるが、少なくとも「善なる食糧支援」が横流しされ、軍に削られ、党に引き抜かれ、本来貰うべき人たちに届かないということを気づきながら、「人道」をいう言葉を引用し、善良な市民から調達した資金で「悪魔の金正日体制」を維持させている。
 今回の脱北者の証言で、拉致被害者の生活状況の程度がどのくらいなのか、心配される。今年2月の「金正日生誕の日」に軍幹部や労働党幹部に贈られた品物は、以前に比べようもないほど貧相な品物であったようだ。党や軍幹部への贈答品がそこまで落ち込んでいるとすると、いくら「拉致被害者」が優遇されているとはいえ、厳しい生活を余儀なくされているだろう。
 北朝鮮にいる拉致被害者のことを思うと「沈黙」を続けることが彼らを守ることになるとは思えない。彼らが「餓死」する前に多くのことが明らかにされ、救出作業が進むことを望む。
 北朝鮮の金正日体制を変えない限り、不幸な人民が不幸なままでの生活を続けなければならない。最早一国の猶予もならない中、沈黙を続けるような状況にはない。
 世間では「拉致被害者」が死亡しているとでも言うのだろうか?明らかに被害者の生存情報があるにもかかわらず、死亡のように扱っているメディアのありようでは困る。



2007.6.1

「泥沼化するBDA問題」

 中国を訪問しているヒル国務次官補が、北朝鮮に寧辺の核施設の停止。封印の約束を履行するように促し、双方が信頼しあうことが重要と述べたらしい。ヒル次官補もかなり焦ってきているのではないか。まともに相手にすべき政権ではない北朝鮮政府を見間違ったがために、窮地に追い込まれてしまったようだ。しかし、「北朝鮮は信頼の水準を語るのを好むが、我々は既に信頼を確立している」など言うようではまだ、北朝鮮という独裁体制を理解していないようだ。
 ヒル次官補は、北朝鮮の誰と信頼を確立したというのか?直接「金正日」に接見し、信頼を確立させたのか。そのようなことはしていないし、金正日がいくら米国の高官とはいえ、国務次官補程度の地位の人間と直接会うことはありえない。最低でも国務長官との直接面会までだろう。もし、国務副長官との直接面会を受け入れるようであるなら、それだけ政権の存続が危うくなったということだろう。
 金正日との面会もせずに「お互いに信頼を確立」ということは、金桂冠との相互信頼ということであろうか。馬鹿馬鹿しい。金桂冠と云えども自分の意思ではいかようにも出来ない権力なき一官僚にしか過ぎない。金桂冠が了承したとしても金正日が認めなければ何も始まらないのは常識なのだが。それを理解せずに交渉を進めたヒル氏の無能さが見える。
 ブッシュ大統領は安倍総理に、BDAの資金移管問題について「しくじった」といったという。他の金融機関を経由した資金の送金にこだわることを読み切れず、対応が後手に回った米政府の不手際を認めたということらしい。そして、安倍総理が「ブッシュ政権の対北政策が融和路線に変換した」ことについて、日本人拉致問題を念頭に「日本国内に懸念の声がある」と指摘し、安易に北朝鮮と妥協しないよう牽制すると、「米外交当局にもそうした見解を伝えて欲しい」と語ったということである。愈々、ブッシュ大統領の「堪忍袋の緒」も切れてきたということだろう。
 ライス国務長官は、イランに対し核開発を断念しない場合は『国連安保理制裁決議』の強化を公表しているが、北朝鮮にこそ『国連安保理での制裁強化』を推進すべきだ。イランは未だ、核開発に成功していないのだ。一方北朝鮮は「核実験まで行い、核保有宣言までしている」のである。北朝鮮を放置したまま、イランに核放棄を迫っても何の効力もない。北朝鮮に対し、厳しく「核放棄」を迫り、履行させることで「核保有」の愚を知らしめることが出来る。「核保有宣言国」への譲歩は、米国の命取りになることをもっと自覚すべきではないか。
 このままいくと、ヒル次官補の更迭もありえるし、ライス国務長官の進退にまで及ぶかもしれない。
 ヒルさん、早く制裁履行を中国や韓国に促し、国際社会の一員としての責任を果たさせるべき時がきた。このまま「安保理制裁決議の不履行」は国連の一員としてはまちがいであることを教えて、中国には「常任理事国」の職責不履行での解任を突きつけても良かろう。



2007.5.31

「何故?」

 終にロシアが北朝鮮に対し圧力をかけ始めた。でも何故、この時期なのか?わからない。ロシアが北朝鮮の人権状況とか、核保有に関して怒りをもつなどという幻想は持ち得ない。それでは何故?ロシアが北朝鮮に圧力をかける場合、考えられるのは北朝鮮がロシアに対し非情な不利益をもたらした時のみであろう。それでは、その不利益とは何なのだろう。
 国際社会の出来事の中で、私たちには理解できないことのあまりの多さにうんざりするが、ロシアと北朝鮮との間で何があったにせよ、ロシアが北朝鮮に対し本気で圧力をかけているのであれば朗報であろう。先日、中国が北朝鮮の拉致問題に関して日本に協力する用意があるという情報があったばかりである。北朝鮮を巡り、中・ロとの摩擦が生じているのであろうか?
 中・ロが日本政府のぶれない姿勢に、本気で北朝鮮問題を考え始めたのか?それはありえないと思うのだが。北朝鮮を巡る国際情勢に変化がおきているのは事実であろう。
 今後の展開に期待したい。
 国会では、「社会保険庁」の問題で混乱が続いているようだが、この論争にも「何故?」という気持ちを捨てきれない。当然、私たちは「安倍総理支持」の方向であるからであろうか、小沢民主党の手法に疑問を持たざるを得ない。
 昨日の「党首会談」の内容に関しても、政府は「責任を持って、保険料を支払った方たちに必ず、返却する」・「この法律は早急に成立させなければならない」といっているのに、「審議がされなければならない」という。「審議が不充分では、ザル法となり全ての被保険者にとって有益とはならない」という。
 確かに、理想としては審議ですべての問題を解決できれば良いが、その審議を続けている間に、不利益を被る人はいないのだろうか?もし、審議が長引いた場合どうするのであろうか?
 民主党議員は、このような拙速な国会運営ではならないと反対をしているが、まず「被保険者の損害」を考えるならば、早急に通過させていくべきではないかな?法案が通過してしまえば、次なる修正はできなくなるとは、私には理解できないことなのだが。修正をすべき問題であるならば、党の存続をかけて政府に働きかけていく力を持つべきであろう。最初から、法案成立後は審議できないということでは国民の不利益に対し責任を持つべき政党の義務を放棄していることにならないのか?
 私たちの問題でも、「話し合い」という議論ばかりが継続されて、実質的な被害者である人たちは置き去りにされている。先ず、救出してからいろいろな問題を討議すればよい。先ず、救出することに全国会議員が協力し、働くことではないか。
 先ず「動く」、そして救済できる人を救済し、責任の所在や不備な問題にも着手するというのではだめなのだろうか?どうも、「社保庁問題」を政争の具にしてしまっているのではないか感じてしまう。「年金問題」は、国民の重大関心事であり急務の問題である。
 党利党略でこの問題を考えてはならない。世の中には「何故」が多すぎる。



2007.5.30

「中国の「拉致問題への協力」報道」

 5月28日付け読売新聞の一面で、「中国が拉致解決へ協力姿勢」とあったが、非情にわかりにくい文章であった。文面から何が言いたいのか、読み取れない。一般的に考えれば「中国政府が日本政府に対し協力」ということなのであろうが、文面では「中国が日本へ協力」となっているため、中国国内の一機関が協力するのか、中国政府全体として協力するのか判然としない。正確な情報として新聞紙上に掲載できるのか信憑性が見えない。ただ、「リップサービス情報」ととられても仕方のない書き方で、読売としても責任を負う書き方ではない等々、はたして「鵜呑み」に出来るのかわからない。
 確実な情報であるとして考えてみる。中国政府が北朝鮮政府に対して「北朝鮮による拉致被害」を解決するために、北朝鮮国内での情報収集をするということであるが、どのような方法で情報収集するのであろうか?日本政府は小泉前総理時代、二度にわたり北朝鮮政府に情報提供を求め、裏切られている。同じようなアプローチでは、再び北朝鮮の「たわごと」を今度は中国の正式見解として聞かされる恐れがある。中国の六者協議での姿勢を見てきた私としては、中国政府が北朝鮮政府に組しないという保証はない。中国政府は、北朝鮮政府と大きく違わない「言論弾圧」を公然と行い、人権侵害を継続している国家であることは、万民の認めるところであるからである。
 報道の後半は、日本の立場を真に理解していないものである。予てより横田家では、ヘギョンさんとの日本での面会であれ、第3国での面会であれ否定的な意向を示している。その理由として、如何なる面会でも「自由な発言」を保障できない状況での面会は、へギョンさんに「嘘を言わせる危険」が伴う。可能であるならば、人質状況を排除した上での申し出しかありえない。しかしそのこと事態も「めぐみさん救出をぼかす危険がある」という認識である。最終的には、ヘギョンさんのためにも受け入れは否定しないものの、金英男氏家族全員の帰国を含め、六者協議の合意とは関係なく「前進」と受け止められない。あくまで被害者全員の救出を目指すというものである。
 このHPにも書いたが、「めぐみさんの死を主張する孫・ヘギョンさんとの面会は、祖父や祖母に『孫は嘘をついている』と言わしめてしまう悲劇につながる」ということを考慮せねばならない。娘を拉致され、更にその娘の子供を嘘つきと言わなければならない状況は、これまで苦悩してこられた横田滋、早紀江ご夫妻には酷過ぎるものである。
 日曜日、仙台市内で署名活動を実施していた時、一人の男性から「もう拉致問題は終わったものでしょう」といわれた。その男性の言うには「北朝鮮が解決済みと言っているし、北朝鮮は被害者を帰国させ子供たちまで帰した。更に『遺骨』まで返したでしょう」という。私が「遺骨は偽者でした」というと、「DNA鑑定など信用できない」と言ってきた。彼には、「核開発」でも騙し続けてきた北朝鮮政府の発表が、日本国の医療技術の結果より信憑性があるというものだ。あきれるというより、怒りがこみ上げて声を荒げてしまった。その男性は、私に問いかける前には「帽子とマスク姿」であったというから、押して知るべしである。日本人であるかはわからないが、残念な気持ちで苦しくなった。



2007.5.23

「Ch241の討論会」

 拉致問題アワーが隔週月曜日18:30〜19:30の枠で、Ch241において見られるようになり、すでに2ヶ月が過ぎようとしている。これは、スカパーCh767で放送されていた「チャンネル桜」が、無料放送枠に同居して時間指定で放送しているものである。無料放送で400万人の利用者の目に入ることになった。
 その「チャンネル桜」企画の討論会に出さしてもらった。出演者は、青木直人氏・平田隆太郎氏・荒木和博氏・私・野口氏(難民救援基金)・横田拓也氏の面々であった。出演者から察してもらえると思うが、「拉致問題」を改めて深く掘り下げてみようと企画であった。
 結局「コアな面々」であるから、北朝鮮非難や日本政府非難、中国非難になるのであるが、真実は「日本国民の覚悟」を問いかける問題であり、早期の救出に欠かせないのは「日本国民の器量や意思」ということにつきるのだと感じた。
 青木氏は、中国問題の専門家であるから、先の中山補佐官の「中国訪問」に関して批判的でもあり、その中国への期待をにじませる私や「救う会」の姿勢に疑念を呈した。ぶっちゃけ、「えらい怒られた」というところか。とにかく、中国政府や中国人に対し人道や人権という立場でのアプローチは何も生まない。彼等の思考は「金が手に入るか、手に入らないか」の価値観だけであり、拉致問題の解決の協力を求めるのであれば、「ODA資金」の中止をカードにしていかなければ動くことは考えられないということである。実に中国と中国人の気質を知りえた忠告であろう。
 私たちは、9.17以前に「北朝鮮を動かす為に米国の協力は不可欠だが、中国を動かしていくことが必要であろう」と考えていた。しかし、中国は日本政府の要請など歯牙にもかけぬ国であることは明々白々である。だからこそ、年間1000億円前後の「ODA資金」を用いて、中国を動かすように訴えてきた。特に私は、講演や集会の中でそう訴えた記憶がある。「中国政府が動かないのであれば、『わが国では拉致被害者の救出を最重要課題と捉えている。そして、わが国は貴国の経済的な苦境に対し大きな援助をしてきた。わが国の国民の救出のために力を貸してもらいたい。もし、それが出来ないというのであればわが国も貴国に対する経済的な支援を中止することも考えざるを得ない』と突きつけていくべきと。経済大国の力を北朝鮮に対してだけでなく、中国に対しても使用すべきなのだ。お金でしか動かない民族には、お金を武器に交渉していく「強かさ」を外務官僚や政府関係者に持ってもらいたい。中国への「ODA」は、2008年を最後とするということであるが、協力しないのであれば、即刻廃止すべきである。
 そうしなければ、武大偉の無礼な発言も止めることは出来ないと思う。



2007.5.21

「PP&マリーの歌声」

 PP&Mといっても今の若い人たちの中には知らない人たちが多いのだろう。実際、私自身も詳しくは知らなかった。コンサートで歌われたPP&Mの曲に関しても知らないものもあり、世代の違いを感じざるを得ない。ゲストで来られた俳優の角野卓三さんが高校時代にあこがれていたというから、当時私は12歳、鹿児島の片田舎に住む小学生が洋楽に熱中するほど、私自身がハイカラな人間ではなかったし、情報も乏しかったのであろう。
 しかし、そのPP&Mのポール・ストゥーキーさんは、ジョン・デンバーやサイモン&ガーファンクルのポール・サイモンに影響を与えた師匠格のギターリストであったということを聞くと、その偉大さが実感できる年代である。私の時代、ジョン・デンバーやポール・サイモンを知らない若者はいないといっていいほど凄いアーティスト達の憧れであったポ−ルさんが、めぐみさんの救出のためにコンサートを開いてくれたということは驚くべきことなのだ。確かにコンサートで聞いたポールさんの歌声とギターテクニックは驚嘆すべきものであり、感動を伝えることの出来るものであった。久しぶりに感動のコンサートを体感できた。
 ただ、日本国内でも拉致事件を知って被害者救出のために尽力してくれているアーティストもいることを忘れてはならない。ポールさんの呼びかけに即座に応えてくれた南こうせつさんもその一人である。るみ姉と一緒に聞いた「神田川」や「ボクの胸でお休み」といったこうせつさんの変らぬ歌声に、当時を思い出してなみだをおさえることが出来なかったし、5年ほど前に偶然作られたという「国境の風」のフレーズに涙した。
 又、9.17以前から「めぐみ」という歌を歌い続けてくれている「因幡晃さん」の暖かさも忘れてはならない。多くの方々が「めぐみさん」のことを思い、被害者の救出を願ってくれていることを被害者に届けたいと思う。
 このコンサートもカナダ人の監督夫妻が製作した映画「ABDUCTION」で理解が深まった賜物であろうと思うと、映画や歌といった私たち作り得ない媒体での啓蒙が大きな役割を担っていることを嬉しく感じる。同時並行して我が国には、被害者救出のために出来るだけの方法をとって欲しいと思う。 
 自民党が次の参議院選挙の外交公約として「国家の威信賭け」と明記し、「拉致解決」をマニフェストに揚げる予定と言う。2002年9.17以降、数回の国政選挙がなされたが今まで「党の公(マニフェスト)」に「国家の威信をかけて拉致解決」と謳った事はかつてなかった。超党派の多くの国会議員が所属する「拉致議連」ではあったが、与党でも野党でも「政策の重要課題」として、「拉致解決」を揚げたことはない。確かに「速やかな拉致解決を目指す」とかはあったと思うが、重要課題として公約に揚げてはいなかった。私はそれが付け足しのような感じがして、反発を覚えたものだ。いかに個々の議員が強い思いを持っていても「所属党」の重要課題としては揚げることは出来なかった。やはり「党のトップ」の考え方の中に、重要な問題としての捉え方が欠如していたからであろう。
 民間人のしかも被害国でない米国のアーティストが、重要な人権問題として捉え動き出した気持ちとはかけ離れた人権意識であったのだろう。
 人が人としての自然の思いをもち得ない人たちに、国民を導く指導力や求心力があるのだろうか?



2007.5.17

「BDAの資金は?」

 報道によると「北朝鮮中央通信発表」として、「北朝鮮外務省報道官の話として、経済制裁で凍結されていた銀行口座の資金を第三国に送る作業が進んでいることを明らかにした。そのうえで、送金が実現すれば、直ちに核施設の稼動を中断する措置をとる用意があり、IAEA=国連原子力機関の代表団を即座に招くとしている」というものだ。 「として」(下棒線部分)とあるのは、あくまで北朝鮮の発表であり確認できていないという意味である。実際、マカオ当局はそれを認めていないし、米国サイドも確認をしていないようなヒル国務次官補の談話であるから。何にしても、北朝鮮関連の発表や記事に関しては常に(?)が付きまとうものである。
 ここで北朝鮮の真の狙いは何処にあるかを再認識する必要がある。北朝鮮がいくら最貧国といえども、高だか「30億円弱」の資金のために「核放棄」を合意するわけがない。北朝鮮の真の狙いは、「国際金融機関への復帰」であることは言うまでもない。米国の金融制裁において、北朝鮮を追い詰めたものは「北朝鮮との取引をすることにより、米国銀行との取引停止処分を受ける可能性があるために、世界中の銀行が北朝鮮との取引を自粛し始めたこと」にある。(もともと北朝鮮との取引を中止したいと考えていた銀行にとっては、ちょうどいい理由になったのである)これが原因で、北朝鮮は貿易をするにも「$決済」をすることが出来なくなったり、銀行を通した取引が出来なくなり、現金決済せざるを得なくなった。従って、核開発部品の調達にも支障をきたすようになったのである。
 北朝鮮が今回の「BDA資金」を移動させるために、米国内の銀行を通すことを提案した経緯がそれを示すものである。この提案を米国に呑ませることにより、米国の金融制裁の有名無実化を図り「国際金融機関への復活」を果たそうとしたことにある。私はいくらなんでも米国がそのような要求を呑むとは思わなかったが、ヒル国務次官補の談話は「米財務省が米国務省の要請に応じた気配」を感じざるを得ない。
 もしくは、北朝鮮政府が「ブラフ」を用い「国際金融機関」を欺いた可能性もあるのかもしれない。米国の銀行が北朝鮮資金の移動に協力したという既成事実をつくり、金融制裁の無力化を図ったというものである。
 30億円弱の資金は確かに「39号庁舎の管理下の資金」であり、それが自由にできないということは、金正日の求心力低下につながることは確実であるが、それにしても少なすぎると思う。やはり、「核開発」するにしても部品の調達やミサイル売却資金の取得には、どうしても国際金融機関への復帰が不可欠であるから、優先的な謀略を仕掛けていると判断したほうが良いのではないか。
 又、北朝鮮外務省は「直ちに核施設の稼動を中断する措置をとる用意があり」としているが、北朝鮮政府が履行すべきは「核施設の封印と停止」であり、「中断」ではない。さらに「用意がある」としか言っていないため、次の段階へ進むことは断言していない。「六者合意」と「BDA問題」をリンクさせた北朝鮮政府が、再び「六者合意履行」と別の問題をリンクさせてくる可能性もある。
 何時まで国際社会は、北朝鮮政府の「わがまま」に付き合うつもりなのか。
ヒル国務次官補の悠長な談話に対しても「苛立ち」を覚える。



2007.5.15

「寺越事件を拉致認定すべきだ」

 31963年(昭和38年)に石川県志賀町出身の寺越昭二さん(当時36歳)ら3人が日本海に漁に出たまま行方不明となった「寺越事件」から44年目を迎えた。寺越昭二さんは63年5月、漁船「清丸」で弟の外雄さん(当時24歳)、甥の武志さん(57)=平壌在住=と出漁した。そのまま、傷ついた船を残し忽然と消えた。25年後の1988年、北朝鮮にいた外雄さんから一通の手紙が寺越家に届いた。手紙によると「漁に出て操業中に事故に遭い、遭難中に北朝鮮の船に救助された。昭二さんは既に病気で死亡。武志さんとともに元気でくらしている」ということであった。
 しかし、当時石川の福浦港から出航した「清丸」は、岸からさほど遠くない場所で操業しており、当日は「べた凪ぎ」であり遭難する確立は低かった。家族は納得できないまま、葬式をあげていたが突然の外雄さんからの手紙で生存を確認した。その後、武志さんの母親の友枝さんが訪朝し、武さんと外雄さんに面会を果たしている。
 外雄さんは、暫くして病死という発表があったがその遺骨は未だに返還されていない。
 北朝鮮側はあくまでも「救助」ということを主張しているが、後に脱北した元工作員の証言により、3人は拉致されたものであり、寺越昭二さんは拉致された際に抵抗したため射殺されたということである。
 ここまではっきりしている事件を日本政府が「拉致認定」しないのは、生存している「武志さん」が労働党の幹部として北朝鮮の発言を踏襲しており、友枝さん自身も「拉致認定」を求めていないからであるが、武志さんが認めない以上「拉致」と断定できないということである。
 しかし、韓国人拉致被害者・金英男氏の証言を見ても、北朝鮮の管理下に於いて真実を話すことは出来ない。韓国政府も北朝鮮の茶番に付き合い、金英男氏の拉致に関して断定していないのであるが、親北勢力の大統領の下に「北朝鮮を刺激したくない」という発想の下に不問に付しているのであるが、我が国は違う。
 警察官僚出身の代議士は、「武志さんの本心が聞けない以上、政府が拉致認定することはできない」としている。しかし、拉致が状況的に見てもはっきりしている以上、国が寺越事件を拉致と認めてくれなければ、寺越昭二さんの家族・昭男さんたちは北朝鮮政府に父親を殺されたかもしれないのに、父親を救助してくれた北朝鮮政府に感謝を示していかねばならない状況に陥る。
 これは家族にとっては非情につらい状況である。北朝鮮政府に対し、保障をも含めて謝罪をしてもらわねばならないのに何も出来ない。
 早期の政府認定を期待する。



2007.5.11

「タイ外務副大臣との面会」

 今日、タイの外務副大臣・サワニット氏と面会し懇談した。外務副大臣は
1、 自国の国民の救出の思いは当然ある。困難な問題も含まれるが、必ず成しえなければならない。被害者本人の帰国を目指す。
2、 救出方法は被害国の国際連帯が重要である。
主旨の発言をされた。さらに被害者救出の機運を高めるために、事実を公開し国民の意識を高める必要性や被害国の協力が不可欠であるといわれた。
 タイの政府高官の言及として、タイ人拉致被害者の存在の肯定がなされたことは大きなことである。タイは現在、北朝鮮とバンコクにある北朝鮮大使館を通して対話を進めているが、北朝鮮は今もってタイ人拉致被害者に関して否定をしているということで、大使館ではなく、平壌の中枢との直接対話の必要性を感じているということだ。
 北朝鮮と国交を結ぶ「タイ国」が、拉致被害者の救出に関して困難を感じているということを、先日「総連傘下団体に対する警察の強制捜査に反対する集会」に来賓として発言した「自主・平和・民主のための広範な国民連合」事務局長・加藤毅氏は如何な考えを持つのだろう。氏は、発言で「拉致問題の解決なくして友好なしは間違い。友好こそが問題解決である。国交正常化即時実現のため戦う」と言っているが、1975年から友好関係を構築して「国交」を持っていたタイからも国民を拉致し、それが明らかになった今もって「被害者の存在すら否定し、解決しようとしない北朝鮮の姿勢」を見ても尚、友好こそが問題解決であると断じるのであろうか。加藤氏の見識を疑わざるを得ない。もしかして、加藤氏も北朝鮮本国と同様に「ジェンキンス氏」の証言を否定し、「アノーチャさん拉致」を「でっち上げ」と断じ否定しているのであろうか。それでは、1978年にマカオから忽然と消えたアノーチャさんや中国人二人は何処へ行ったというのか?日本人を名乗る人物の関与も指摘されているから、日本国の策謀とでも考えているのか?
 タイ国副大臣の話では、北朝鮮との国交は継続していくということであるが、不快感は隠せなかった。
 ルーマニアの外務大臣が、「ドイナさん」のご家族に会ったようだ。中々動かないルーマニア政府に不信感を募らせていた「ガブリエル氏」も少しは安堵したのではなかろうか。今後は、ルーマニア政府がEUの一員としての立場から、北朝鮮への厳しい姿勢を見せていくことを望みたい。
 私たちがこれまで目指してきた「拉致事案の国際的な認知」と「解決への協力体制の構築」が徐々に見え始めたことが、早期の被害者の救出につながることを強く願う。
 私たちは本当に早期に被害者を救出しなければならないと思う。そのためにも「六者合意の履行」を「BDA問題」とリンクし、実行しようとしない北朝鮮への対応を即時に決断すべきである。それは、対話ではなく圧力である。



2007.5.9

「仙台市の「金剛山歌劇団」も市民会館使用不許可決定」

 一面的な報道に、何も知らない一般市民は「行政の横暴」と捉えるかも知れない。又、関係者(歌劇団)の「民間の友好親善に、役所が水をさす過剰反応」という言葉に賛同する方もいるのであろう。しかし、もう一つの面を見てみてもよい。
 例えば「金剛山歌劇団」は、朝鮮総連の下部組織であることは総連のHPを見てもはっきりしていることであること。その総連のオルグ機関紙・朝鮮新報の報道は、「テロ組織、朝鮮労働党」の意を受けて、日本の重要課題である拉致問題の存在を否定し、「解決済み」の論陣をはっていること。
 更に「金剛山歌劇団」は、民間の文化交流の美名の下に多額の寄付金を日本企業その他から集金し、本国へ送金していた疑惑もあるということ。つまり、テロ組織・朝鮮労働党の資金集めに利用されている疑いがあるということ。
 更に言うと「金剛山歌劇団」の上演を見ることの出来るのは、一般市民に開放されたチケット販売ではなく、限定的に販売されたチケットを入手できうる立場の人々だけであるということ。
 一つ一つ検証すると、件の関係者の言う「民間の友好親善」に疑問を感じる。しかし、日本には善良なる市民が多く、深く考えずに「平和」・「友好」・「差別」等、一見被害者を装う人々に同情する方々が大勢いるであろう。「文化事業」・「親善」・「友好」という言葉に疑問も感じずに、仙台市の決定を非難するメディアもあるであろうし、市民ボランティア団体もいるであろう。
 しかし、本当に「金剛山歌劇団」が親善友好の団体であるならば、自分たちの立場を明確にしてからにして欲しい。戦後の平和な時代に、日本国の主権を犯し日本人を拉致していったのは紛れもない事実であり、「めぐみさん」や「松木薫さん」の遺骨と称して、動物の骨や関係ない人間の骨を提出して、「解決済み」という北朝鮮政権への批判もせずに「友好親善」と言われても、私たちとしては納得できない。
 万景峰号もそうであるが、北朝鮮政権が「拉致被害者の帰国」に関して誠実な姿勢を見せ、「大量破壊兵器」の廃棄に応じさえすれば、日本国が「制裁強化」を表明することはありえないし、中朝国境にいる「脱北者」の人権問題を積極的に解決する姿勢を示すことで、人道的な支援や友好をも考えられる。
 その姿勢を示さずに、友好親善を唱えても理解を得ることは出来ない。日本人の厳しいメッセージを本国に伝える役目をしていくべきではないか?自分たちの人権や利益の要求ばかりが先走っているように思えるのである。
 先日行ったワシントンでは、韓国系米国人を中心に米国人が「北朝鮮自由週間」に北朝鮮国内における「ジェノサイド」を批判し、中朝国境で大きな人権侵害を受ける「脱北者」を解放するために声を上げている。その組織・「北朝鮮自由連合」の副代表のナム・シン氏は、「今現在、中朝国境で行われている大きな人権侵害に対し批判もせずに、60年前の『従軍慰安婦問題』だけを問題視する人権活動家たちを偽善である」と断じているではないか。
 我々が助けようとしているのは、本当に苦しむ北朝鮮人民であり、日本国で権利ばかりを唱え、政治的な思惑で動く人々ではないはずだ。
 仙台市の決定は、日本国民の本気度を正しく伝えるメッセージとなろう。



2007.5.7

「はしかに注意!」

 「はしか」がはやっているようです。お気をつけください。私のHPの管理人も「はしか」にかかり難儀をしたようです。私自身、はしかを経験したか如何か、母に聞いてみないとわかりません。気を付けたいと思います。
 さて、連休中に山崎拓前自民党副総裁と加藤元自民党幹事長が訪中・訪韓をこなしたようである。報道によると韓国訪問時に、元ソウル市長で次期韓国大統領有力候補と見なされる李明博(イ・ミョンバク)氏と会い、「六者協議」での日本政府の対応に苦言を呈され、山崎氏は「拉致問題も大事だが、私は先ず、第一に北朝鮮の非核化に重点を置いている」と、韓国サイドの意見を受け入れたような談話を語っている。両氏は同時に、韓国外交通商部の宋旻淳外交通商相とも面会し、同様の意見を聞いてきたようであるが、両氏が日本政府の立ち場を擁護したような報道はなされていない。
 何故にお二人は、「日本国民の七割」が支持する「拉致問題解決優先論」を説明せずに、韓国側の言い分だけを聞いてきたのか?これは、小泉前総理の「靖国問題」で、田中真紀子さんが、中国側の言い分だけを聞き、反論も擁護もせず、日本国の立場を説明することなく帰国した姿勢と酷似している。
 せめて、お二人には政権与党の重鎮(?)として安倍政権を擁護する姿勢を崩して欲しくなかった。
 韓国は、自国の「拉致被害者」に関して何等言及せずに、(自国民を救おうとしていない)国家としては、あってはならない姿勢を見せている国である。その国の中枢にいる人間に対し、日本国の立場を説明してこそ、議員外交の役を担うのではないか?
 今回の訪中・訪韓が、私費で行かれていたとしても、両国の大使館員は奔走せざるを得ないわけで、大使館員は国家公務員である。国家公務員は、国税から支払われた給与をいただいているのであるから、当然議員と言えども、国策に反する行為をしてはならないのではなかろうか?
 はっきり言って、政権与党にいる議員としては間違いであろう。
 又、山拓氏が本当に「拉致より、核を優先させている」という発言をしたのであれば、国民を守るべき国会議員としては、如何なものであろう。「核」は大切な問題であることは百も承知であるが、核放棄を優先させて「拉致被害者」の切捨てを公言されるのは、どちらの国の国会議員なのか、見識を疑わざるを得ない。
 政界もこの際、国策において立場を異なる方々が集うような政党を解党し、新たな再編を行って、国民の選択をわかりやすくするべきではないだろうか?
 この問題は、国家の根幹にかかわる問題である。方や、核放棄優先、方や拉致被害者解放優先という異なった意見を持つ方が同じ政党に存在していては、今後の国家のあり方を問うことも出来ない。



2007.5.2

「無事、帰国しました」

 30日、米国での一週間の予定を全て終了し成田に着いた。日本はこの日、今年最高気温を記録し蒸し暑い日であった。ワシントンのさわやかな暑さが恋しく思われる。
 米国では、本当に古森夫妻にお世話になった。大使館では対応しない米国の民間団体への送迎や、個人的な行動に関してもお世話になった。又、斉藤さんがワシントン初めてということで、「リンカーン・メモリアル」や「航空博物館」、「スパイ博物館」等、ワシントンでしか見られない施設へも連れて行っていただいた。特に、古森夫人であるスーザンさんには感謝申し上げる。
 米国での面会で得たものは、ホワイトハウスと国務省の北朝鮮政策の温度差である。国務省は、話し合いによる「核放棄」を優先させる為に、他の案件を全て不問に付したいという意向である。一方、ホワイトハウスはブッシュ大統領の心情的思いから、北朝鮮の人権問題に関し、厳しい見方を捨てないでいる。米国財務省は、国務省の法律無視の北朝鮮擁護のための政策を苦々しく感じている。
 ヘリテージ財団のクリンガー氏に聞いてみた。「ヒル国務次官補の権限が非常に強くなっているようであるが、何故其処までの権限を与えているのか?」と、そうすると「ヒル達国務省の人間は、新しいやり方に反対する人を『ネオ・コン』と決めつけ、議会内の反ネオ・コン勢力の協力を得るようになっている」というものであった。
 昨年の米国中間選挙の「共和党敗北」は、此処に暗い影を落としているようである。今ネオ・コンといわれる人たちは、巻き返しをし始めているようであるが、現時点での北朝鮮政策には間に合いそうにない。
 帰国後の30日、国務省が発表した「国別リポート」の中で、北朝鮮を「テロ支援国」として指定する理由として、拉致問題の取扱において一歩下げたと思われるものを出してきた。このレポートは、一月ほど前に作成されたものとは言え、国務省の考えが北朝鮮よりとなっていることは残念である。これほど国務省が「北朝鮮の罠の中にはまっているのか?」と思わせるものである。
 私たちは今、米国が直ちに「テロ支援国指定解除」を決定するとは思わないし、ブッシュ政権である限り、それはありえないという感触を得て帰国した。しかし、今回の報告は、ブッシュ以後の米国政権における「北朝鮮への強行的政策」の維持が危惧されるものである。今後は、政権がどのように変わろうが「北朝鮮政策」において誤った方向にいかないよう、米国大使館を通じ、切々と訴えていくべきであろう。それまでには、解決をするように目指しているのだが・・・・。
 誰であろうと、北朝鮮国内及び中朝国境、更に北朝鮮の国家的犯罪である「外国人拉致」に関して、多くの関心持ち、厳しく考えて欲しいと思う。



2007.4.29

「中国大使館前での抗議行動」

 ワシントンの中国大使館前において行われた抗議行動に参加した。これは、米国の北朝鮮自由連合主催の催しであり、北朝鮮自由週間の最後を飾るものでもある。
 土曜の昼下がり、大使館内部には人のいる気配が感じられなかったが、必ず、参加者をチェックしていると思う。参加者は60人強、韓国からきた脱北者も参加し、米国の人権活動家とともに中国政府の「強制送還」を批判した。
 米国のブッシュ大統領からのメッセージやブラウン・バック上院議員のメッセージ、次いで民主党中川正春代議士のメッセージが披露された。日本の国会議員が中国政府を批判する抗議行動にメッセージを送るなど、中川代議士の英断に拍手を送りたくなった。
>  主催者や脱北者の祈りの後、私もマイクを持ち、中国政府批判を行った。以前から、HPにも書いてきたが、北朝鮮の宗主国であり、北朝鮮のパイプラインを握る中国が本気で北朝鮮問題を解決しようと動けば解決しないことはないはずである。しかし、中国政府が本気で金正日政権の崩壊を画策しない為に、多くの脱北者が苦境に陥り、中朝国境において多くの北朝鮮女性が「性奴隷」として、人権侵害を受けている。ましてや、脱北者を取り締まり、北朝鮮への強制送還をしているなど、人民を死への淵へ追いやる非道な行為である。命からがら、北朝鮮政府の圧政から逃れた人々の中には、「拉致被害者」が含まれていた(ハッキリしているのは韓国人拉致被害者だが)。又、日本人拉致被害者に関する重要な情報を持っていたものもいたかもしれない。中国の非道な行為は、北朝鮮人民の苦しみを増長させるだけではなく、日本人拉致被害者の救出にも大きなマイナスとなるのだ。
 中国は、2008年、「北京オリンピック」を開催する。日本のメディアは「北京オリンピック」をスポーツの祭典として、賛美しているのだが、裏に隠れた「チベット問題」・「ウィグル問題」・「脱北者の強制送還」といった、オリンピック精神に反する行為に関しては一切の報道をしていないし、このような国でのオリンピックに参加することを喜んでいる。今、オリンピックの商業化が叫ばれ、開催事態が問題視されなければならないときに、原点に立ち戻り、「崇高な五輪精神」を育成しようとする報道は見当たらない。その中で、「北京五輪開催」に断固反対する人々に敬意を表したい。
 「No Bejiin Orinpic」.「No China Products」・「Free For North Koreans」・「Don’tsending Refugees to North Korea」と叫びながら、中国大使館前の通りを歩いた。
 日本でもデモに参加し、「拉致被害者の救出」を訴えたが、米国では「中国政府の人権に対する処理」への抗議行動をするとは思わなかった。しかし、誰かがやっていかねばならない問題であろう。
 少なくとも、前日ホワイトハウス前広場で行われた「従軍慰安婦問題を問う」集会(人づてに聞いたところ20人ほど野参加者)よりも、多くの人たちが集い意義ある行動を繰り広げた。主催者の一人「シンユー・ナム氏」はこう言っている。「今現実問題としてある、中朝国境付近の中国による人権侵害を黙殺し、60年前の問題を声高に言う彼等の行為は偽善である。現在の人権侵害の北朝鮮の脱北者や拉致被害者に関し、関心を持ち改善に努める『日本国総理の安倍氏の足を引っ張ること』は許されない」と。
 明日昼にはワシントンを立ち、帰国する。帰国後は再び、国内に潜む「内なる敵」との闘いが始まる。



2007.4.28

「米国民間団体にもいろいろな考えがある」

 今日は、米国NGOの「Freedom House」のメンバーと会った。私たちの前に民主党の中川正春代議士が、個別の面談をしていた。其処に合流するような形での面会であった。テーブルには外務省の作成した英文のパンフレットが置いてあったので、既に中川代議士から詳細は聞いていたと思われたので、私たちとしては、現在の懸念事項を申し上げるに止めた。
 Freedom Houseでは、北朝鮮問題を問うときに「脱北者問題」と「収容所問題」をあげ、2年前にワシントンで、その年の暮れにはソウルで国際会議を開いている。私も2年前の会議に招待され、スピーチしたことがあるが、主に韓国系米国人が集い、「脱北者問題」・「収容所問題」を声高に批判していた。
 しかし、今日の担当者の話し振りからは、強硬な意見というものは聞かれなかった。どちらかというと「国務省」に近い人々が勤務しているようで、融和的姿勢が見られる。北朝鮮政府に対する味方に「甘さ」が垣間見えて仕方がない。一人一人は良い人なのだが、良い人過ぎて金正日を自分たちと同様の人間と考えているようだ。つまり、「話せば分かる」方式である。
 私たちも、時間的な猶予があれば、彼等のいうことにも賛同できる部分もあるのだが、拉致被害者の高齢化や脱北者の置かれている状況を考えると、時間的な猶予はないのである。その点は、はっきりと言っておかねばならないと思った。
>  昼は、スザンヌたちの主催する昼食会に出席し、北朝鮮の体制批判を聞いていた。発言者の全てが反金正日であり、「金正日政権の打倒」を訴えていた。中に、「千葉由美子さん」もいて、脱北時の悲惨な体験を話し、涙ながらに「金正日政権打倒」と「朝鮮総連打倒」を訴えていた。米国人の中にも、涙を見せている人もいた。
 午後、米国のシンクタンクの一つ「ヘリテージ財団」に出向き、ブルース・クリンガー氏と面談した。クリンガー氏に「2月の六者合意」に対する意見を聞いてきたが、私たちと同様に「米国政府の妥協」に関し、大きな危惧を抱いているようだ。ただ、やはりNSCのワイルダー上級部長の会見での発言、「テロ支援国指定と拉致は切り離さない」という言葉に、少し安心感を覚えたという。だが、決して楽観はしていないという。国務省の前のめりの妥協は、イランへも悪いメッセージを与えたと思っている。
 今後、北朝鮮が「核保有国」としての待遇を望み、その「核保有」を武器に次々と要求してくることを危惧していた。それは、「テロ支援国指定解除」に留まらず「国際金融機関への復帰」を要求してくるのではないかということだ。つまり、米国法を改正してでも財務省の「金融圧力の解除」を求めてくるというものだ。そこまで、譲歩してしまうことは、米国の国際的地位まで貶めてしまうことと考えている。しかし、それほどに国務省の「ヒル国務次官補」の専横に警戒感を抱いていた。不思議であるのは、何故それほどに大きな権限をヒルに与えているのかということだ。
 安倍総理がブッシュ大統領と会い、ブッシュ政権の変わらぬ「対北政策」を表明したようだが、クリンガー氏に言わせると「北朝鮮は寧辺の各施設の停止とIAEAの査察は受け入れるだろう。これで、世界が『北朝鮮問題が進展した』と喜ぶことは間違いである」
と言っている。しかし、「米国政府も世界も進展として歓迎し、北朝鮮政策を緩めてしまう恐れがある。北朝鮮は決して『核開発』を止めることはないだろう」とも言っている。米国にも正しい見方をしている人もいるということであるが、昨年の中間選挙意向、ブッシュ政権の対北政策の変化は危ないと見ている。
 今後の北朝鮮の出方と世界の国々の反応を見ていかねばならない。
 もし、北朝鮮が「合意履行」をなしたときに、日本政府の「エネルギー支援不参加」の姿勢が国内において糾弾される恐れがあることを憂う。



2007.4.27

「ボルトン前国連大使は変わっていなかった!」

 日程を順調にこなしていく中、今日はボルトン前大使との面会であった。昨年、国連本部(ニューヨーク)で会った時と変わらぬボルトン氏であった。元々、国連改革を推進する為に送り込まれたボルトン氏が、昨年の中間選挙のあおりを受けて、国連大使を辞任せざるを得ない状況になり退陣されたが、今でも米国シンクタンク「AEI」で活躍されていた。
 ボルトン氏はやはり「2月の六者合意」に懐疑的な意見を持ち、国務省の判断を鋭く批判している。私は、昨年のボルトン氏の「ミラーイメージ」という言葉を忘れることが出来ないのであるが、今でも北朝鮮に対し、厳しい視線を向けている。
 「六者協議の合意」は、米国国務省の誤りであり、ブッシュ大統領も今の北朝鮮の対応に「苛々を募らせている。必ず、政策の変換がある。」と断言している。「昨年、静かに退陣するつもりであったが、これ以上の過ちには物申すべきと、国務省に関しての批判を公表した。」ということである。それほどに、今回の「六者合意」を政策の誤りであると、北朝鮮を良く知る人物が明言している。これは、私たちと同じ立場である。ブルトン氏が、国連を去っている現実が、北朝鮮政策に関し、大きなマイナスになっていると思う。
 その後、国務省を尋ね、ヒル国務次官補の下で働くキャサリン・ステファン女史とあった。国務省の政策に関しては、私たちとしては大きな危惧を抱いていること、六者合意の履行がなされないでいる今、米国は何時まで待つのか?ヒル氏は2〜3日といっていたが、既に2週間近く過ぎていること、これ以上は北朝鮮に時間を与え、余裕を持たせることになることなどを申し上げておいたが、米国国務省という大きな組織では「蟷螂の斧」に過ぎまい。しかし、安倍総理も訪米している今、民間の立場として日本国民の七割が支持する安倍総理の「対北朝鮮政策」の実態を告げておかねばなるまいと思う。
 下村官房副長官が忙しい日程の中、「ジェノサイド展」に来られた。これは、非常に大きなことである。日本政府が北朝鮮に対する圧力を強めている背景に、「拉致問題」だけではなく「北朝鮮の人権問題」があることを印象付けることに大きな意味があるのだ。国際社会に訴える際、自国のことのみでなく、「金正日政権に苦しめられる人民」に関しても憂いていることを示す機会でもある。
 実際、「ジェノサイド展」の主催者の一人である韓国系米国人のシン・ユーナム氏は、今後、「従軍慰安婦問題」を批判する韓国系社会に対し、「60年以上も前の問題を取り上げ、今現実に起こっている『中朝国境で脱北者の女性に対する人権侵害』や、『中国官憲による強制送還』という非人道的行為に熱心に取り組む安倍政権の足を引くような行為は誤りである」と韓国系社会に知らしめる機会になるといっている。
 まさしく、過去の事象ではなく、現実の問題として『北朝鮮の人権問題』を考えていくべきときなのであろう。
 私たちの闘いも、単に家族を救出する為のものでなく、人権回復という大義に基づくものになっている。このような韓国系米国人との連携は大切にしていくべきであろう。



2007.4.26

「情勢の読めない朝鮮総連」

 今日は、米国国家安全保障会議(NSC)に出向いた。当初は、アジア担当部長のビクター・チャ氏との面会予定であったが、いきなりワイルダー東アジア担当上級部長が現れた。これは、安倍総理の訪朝前の忙しい時期に我々に時間を割いていただいた米国サイドの配慮とも取れるものである。安倍総理訪米前に、総理の最優先課題のひとつである「拉致問題」の関係者に便宜をはかり、米国の姿勢を示したということではあるまいか。
 ワイルダー上級部長は、この日のメディアとの対応において、「北朝鮮のテロ支援国指定と拉致問題を切り離すことはない!」と言明したということである。これは、その後の日本メディアにも確認したが、はっきりと「支援国指定」と「拉致解決」はリンクしているという米国の姿勢を示す。
 私たちは、米国国務省の歯止めのない「妥協」に関して、危惧を抱いていたが。ワイルダー上級部長の名言により。米国首脳部のぶれていない姿勢を確認できたものと思う。ワイルダー氏は更に、現時点での戦術的な政策は、「北の核廃棄」への試みであり、「戦略的な政策」は、私たちと同様に「同じ目標への到達」の為のものであることを明言したものと理解する。これをもって、米国務省の無原則な妥協の歯止めとして考えても良いのではないだろうか。
 日本国内では、米国の妥協が日本の政策を脅かすかのように報じる向きもあるが、ブッシュ大統領と安部総理との間に、一切のトラブルは存在しないし、連携を深めて北朝鮮政策を進めているということであろう。
 朝鮮総連機関紙「朝鮮新報」の中に、「拉致は存在しない」と明記されているが、本当にそう考えているのであれば、総連は日本国民の意思を見誤っているとしか思えない。七割の日本国民が、安倍政権の「拉致問題の進展なくして、エネルギー支援はありえない」ということに支持を示していることを無視しているのであろうか。もし、そうであるとすれば、総連の幹部は日本国民を見誤っている。彼等の希望的観測で記事を書いているのであれば、既に「ジャーナリズム」としての役割を放棄しているとしか思えない。
 日本の誰一人として、解決しているとは考えていない。中には、解決してはいないが「国交正常化優先」とし、その後の拉致解決を唱える人たちもいるが、解決したと思っている日本人はいない。総連の機関紙がこのような論調を載せる限り、日本人の理解をうることはありえないし、在日社会に対する求心力をも失っていくであろう。
 昨日の「脱北者の証言」にもあるように、在日社会での「総連離れ」が進み、総連の存在意義すら問われることになろう。もし、本当に「総連」の話を信じている在日関係者がいるとすれば、我々には信じがたいものである。
 1950年末に」始まった「帰還事業」においても、「北朝鮮はパラダイス」報道にしても、その後の「共和国繁栄」内容の支持にしても「虚構」であったことを考えると、今現在の機関紙の発言は、再び、「北朝鮮擁護」を推進する輩の戯言との誹りを受けることになろう。
 もう、北朝鮮人民の目覚めを促す為にも「総連の変革」を進めていくべきではなかろうか?在日社会の中にも、誠実な人材はいる。必ず「祖国の人民を見殺しにすることはないであろう。



2007.4.25

「米国下院での証言者」

 24日、米国下院の「レイバーン」において、脱北者の生々しい証言を聞くことが出来た。韓国の脱北者支援をしている活動家2人と、実際に脱北をしてきた2人の証言である。そのうち1人は、一度中国に潜伏中に中国官憲に逮捕され、北朝鮮へ「強制送還」された元在日朝鮮人の帰国者の家族であった。今現在は、大阪在住ということであるが、韓国籍で朝鮮語における証言であった。
 実際、日本へ帰国して日本籍を取得することを希望したが、難しい問題があり、取得しやすい韓国製を取得、パスポートをとって渡米してきたということである。
 彼女は、教師をしていたのであるが、90年代半ば、飢餓が蔓延していた時期、授業をすることなく、35日間に及び毎日、市中に転がる餓死者の死体の始末をさせられた。始めは死体を運ぶのを躊躇いがちにやっていたのであるが、そのうちに死体を「丸太」か何かのような感覚に思えるようになったということである。そのような事態を目の当たりにして脱北を決意したというのである。
>  中国潜伏中に、中国官憲の取締りから逃れるように隠れていたのであるが、ついには逮捕され強制送還が決定された。その時、彼女がとった行動は驚くべきものである。官憲の隙をついてナイフを奪い、死を覚悟し自身を刺したというのである。「送還されるより死を選んだ」ということである。しかし、死することが叶わず、結局傷の癒えぬままに送還された。その時一緒に強制送還された人民は100名ほどであったということである。取調べは厳しく、ここでも死を覚悟していたというが、体力ないまま自らの命を絶つことさえママならない状況であった。
 結局、彼女は生き残り親族の元に返されたが、当時一緒に送還された100名は殆どが帰らぬ人となった。二度目の脱北を敢行し、今は日本での生活を送っている。彼女がいうには、日本を「聖地」と呼び、自身を過酷な運命においやったものへの怒りを顕にしていた。
 彼女は最後に、「日本にいる『悪魔のような金正日政権』を支援する組織や支援者は、一度北朝鮮に行き、実体を把握すべきである。それでも変わらずに金正日を支援する者たちとは、戦って生きたい。今後、日本においてそのような組織・個人を訴えていく」ということである。その組織の名は言明はしなかったが「朝鮮総連」であり、「かりの会」であろうことは想像できる。
 本当に在日社会の中に「金正日政権」への批判の声が広がっていく事を望む。



2007.4.24

「米国より報告」

 23日、長い旅程を経てワシントンに着いた。ダレス空港には、スーザン古森さんが迎えにきていただいており、大変恐縮してしまった。
 到着は米国東海岸時間の午前10時30分、長時間のイミグレーションを掻い潜り(さすが米国、検査に時間を要するし、チェックが厳しい)、滞在先のホテルに向かうも、アーリーチェックイン出来ずに、時間を持て余す。昼食を頂いてもまだ、チェックイン出来ず、長旅の疲れを癒す「シャワー」を浴びることが出来なかったが、古森さんのご好意により、古森さん宅のシャワーを貸していただいた。閑静な住宅街で、環境は素晴らしいと思う。
 午後4時にチェックイン後、加藤大使を表敬、国務省に出向きレフコウィッツ北朝鮮人権特使の下で働くクリスチャン・ホワイトン氏と面会、夕食は斉木公使とご一緒した。
 長旅の疲れもあり、時差もありで、すさまじく眠くなっていった。いま、米国時間午前5:04、中途半端な眠りから覚めた00:15からずっと起きている中で、書いている。
 今回の訪米の目的は、ワシントンで開催される「北朝鮮自由週間」の行事に参加し、米国人や韓国系米国人との連携を深め、北朝鮮批判を強めていこうというものであるが、加えて米国の北朝鮮宥和政策の真意を探ろうとの思いもあった。
 こちらに来て実感しているのであるが、ヒル国務次官補と国務省の対北政策は、必ずしも「ブッシュ大統領」の変節ではないことがハッキリした。ブッシュ大統領とチェイニー副大統領の「対北政策」に関しては、一切のぶれは生じているのではなく、今後も北朝鮮に対し、厳しい目を向けていくことが改めて分かった。
 一時、日本国内のメディアにより「米国は安倍総理の対北強行路線のはしごをはずした」とか、「安倍総理を裏切った」とか、「安倍総理への不信感」とかの報道も誤りであったことがはっきりと実感できた。
 米国・ブッシュ政権と日本の安倍総理の間には、強い信頼関係が存在し、今後も「対北政策」において、一致した歩みを見せるであろう。私たちが危惧した「テロ支援国指定解除」の流れは、現時点で見当たらない。
 BDAの金融処理がうまくいかず、資金を手にすることが出来ない「金正日政権」が2月の「六者協議合意」を速やかに履行するとは思えないし、このままでは「六者合意の破綻」を生じて、「制裁強化」の道に続いていくものと思う。
 日本国内で、「対北融和路線」を喧伝する方々の苦悩の日々は続く。又、今後、北朝鮮擁護の姿勢を続ける有識者の誤りが明らかになっていく。その時、彼らはどのような責任をとるのだろうか?
 今回、初めて米国でのインターネット接続を試みた。今日から出来るだけ報告を兼ね、発信していきたいと思う。



2007.4.19

「ガブリエルさんたちがやってくる」

 明日から続々と「外国人の拉致被害者家族たち」が来日する。先ず、先行はルーマニアから「ドイナ・ブンベアさん」の弟・ガブリエル・ブンベア氏が、明日早朝、成田に着く。
 ルーマニアから待ち時間を入れると、ほぼ2/3日を費やしてやってくる。彼はまだ若いとはいえ、長時間の飛行は大変な苦痛であろう。ルーマニアからの客は日本について、最初の印象はどのようなものであろうか?私が見た「ルーマニア」は、未だ発展途上の国であり、人々が昔ながらの生活を楽しんでいたように思えるのだが、「東京メトロポリタンシティ」と名付けられた「メガシティ」に、カルチャーショックを受けるのではないだろうか?明日は、昼に記者会見を行った後、少し休んで欲しいとは思うが、本人がPC事業を展開していることもあり、「天下の秋葉原」に興味を持っているということで、秋葉見学に行きたいということである。
 明後日からは、タイから「アノーチャさん」の甥・バンジョイ氏が到着、昼には韓国。拉致被害者家族会の数人が到着する。
 被害者が、世界12カ国に及ぶに至って、外国人拉致被害者家族と会う機会が増えていくのであろうが、その前にすべての拉致被害者を救出したいものである。
 韓国政府が、又、愚かな過ちを犯しそうだ。先日、エネルギー支援5万トン分の「4億6000万円」の損失が明らかになったばかりというのに、18日から「南北経済協力推進委」を開催し、「コメ借款・40万トン」の合意になるというのだ。
 北朝鮮が「コメ借款」を返却すると思っているのであろうか?あまりにもお人よしの構図ではないか。韓国政府は、もともと返却して貰えるとは考えずに、当初から支援米と考えているのではないだろうか?「4億6000万」もの損失が発覚した後だから、韓国国民向けに「借款」という言葉で誤魔化している。しかし、無節操に「金正日政権」を支えたい盧大統領の意向を受けて、韓国国民の血税を捨てるような行為を繰り返す韓国政府に、「哀れ」さえ感ずる。
 今現在、韓国保守派の間では、「米国の北朝鮮に対する政策転換を見て、日本の安倍総理に対する期待感が増している」と聞く。又、中国でも「六者協議において、厳しい姿勢を貫く『安倍総理』に対する評価が上がってきている」と聞く。やはり、国家として当然の主張を繰り広げ、ぶれない姿勢を続ける日本政府の評価が正当に論じられ始めているのであろう。
 これまで、我が国は正当な主張を繰り広げることなく、「和」という美名のもとに迎合を続けてきていたのであるが、正当な評価を受けることがなかった。安部政権になって、正当な主張をしていくことによって、我が国に対する正当な評価をされていくことを喜ぶべきであろう。
 北朝鮮が、「六者協議合意違反」を続けている現在、国連安保理の制裁決議を完全履行していくことの主張をして欲しい。又、北朝鮮を除く「六者協議関係国」は、北朝鮮に対し圧力強化を話し合う時期ではないか。
 ヒル国務次官補にとっては、手痛い経験となろうが、「北朝鮮政府」という「ならず者」を見誤ったのであるから、致し方あるまい。今後は、「アメ」ではなく「ムチ」を振るうことを考えて貰いたい。



2007.4.16

「北朝鮮はやはり「合意案件」の履行を怠った!」

 2月13日の「六者協議合意」の期限が過ぎたが、北朝鮮政府は約束を履行しなかった。その理由として、「マカオの資金返還がなされていない」としているが、もともとマカオのBDAに対する制裁は、米国の国内法における法律違反に対する制裁であり、北京で開催されている「六者協議」とリンクすべき問題ではない。然るに、米国は北朝鮮の「わがまま」を「六者協議」継続のために、国内法を曲げてまで許容するというばかげた譲歩をしてしまったがために、「BDAは、北朝鮮のマネーロンダリングに関与したと断定し、取引停止を決定した」にもかかわらず、北朝鮮資金の返還を他国の銀行に対し命じるという暴挙に出た。
 これは明らかに米国の勇み足である。「六者協議継続」を望むあまり、北朝鮮の術中に嵌ってしまったとしか思えない。米国は何を焦ってしまったのであろう。米国は、法に基づいて粛々と法執行をし、六者協議への不参加を表明したならば、「安保理での制裁強化」をしていくべきであった。
 残念ながら、民主党クリントン政権が犯した過ちを再び踏んでしまったということだろうが、ヒル国務次官補及び米国国務省の認識も甘いと言わざるを得ない。
 昨日の報道において、相変わらずの論調を繰り広げる「吉田康彦」氏の姿を見ることが出来た。「北朝鮮は核放棄すると思う。」という吉田氏の持論を切々と説いていたが、前提条件として「米国の北朝鮮敵視政策」の変換をすべきということであろう。これは、「米国のテロ支援国リスト」から、北朝鮮という国名を削除せよということであろう。
 私たちは、2003年春、米国に出向き、「拉致はテロ」であるという言質を時のブッシュ政権高官であった「アーミテージ国務副長官」から得た。このテロの定義に関しては、当時の日本国外務大臣の川口さんが否定的な発言をされ、物議を醸したが、明らかに「拉致はテロ」であり、しかも現在進行形のテロである。今、米国は世界に向けて「テロとの闘い」の継続を発している時に、明らかな「テロ国家」である北朝鮮を「支援国リスト」からはずせという主張は認められるものではない。
 これは、拉致を継続したまま「テロ国家指定」を解除しろということであり、北朝鮮の言い分そのままを論じているに過ぎない。相変わらずの方である。もし、北朝鮮が本当に「核放棄」する意思があるのであったら、IAEAの査察官を期間内に受け入れる行為を開始すべきであった。それもなしに「核放棄をする用意」があるという論はありえない。
 もし、米国が北朝鮮の要求通りに「テロ支援国指定解除」に向かうのであれば、わが国は「テロとの闘い」を継続せよという米国の主張に対し疑義を申し立てねばならない。それほどに重い「テロ国家支援指定」であることを考えるべきである。
 もし、吉田氏が承知で言われているのであれば、「北朝鮮政府の言い分を認め、拉致被害者を見捨てよ」ということである。いったい、どのような思考回路をしておられるのか?全く噴飯ものである。疲れきった横田ご夫妻や有本ご夫妻には見せたくない番組であった。
 米中が「北朝鮮の核封印」に関し、履行の猶予を与えるという方向で纏まっているようであるが、何時までも北朝鮮ペースでことを運ばせるのは、北東アジアの安全にとって、脅威となることを自覚しなくてはならない。
 北朝鮮との交渉や合意に関しては、直ちに「約束履行」を迫っていくべきである。これに応じなければ、一刻も早い「圧力強化」に向かうべきである。



2007.4.11

「間違えました。すみません!」

 前回の主張の中で、週刊ポストの引用した記事を載せた「ワシントン・ポスト」が、統一教会系の新聞と書いてしまったが、統一教会系の新聞は「ワシントン・タイムズ」であり、「ワシントン・ポスト」ではなかった。申し訳なく思う。
 しかし、ワシントン・ポストが何故今、安倍総理の批判記事を書くのか解せないが、米国の保守系の新聞が「安倍批判」を繰り広げる問題は指摘しておきたい。米国内において、日米の保守の離反を助長することになることを懸念する。
 さて、ルーマニアに行ってきた。ドイナ・ブンベアさんのご家族に会うことが出来た。ブカレストから車で3時間半と言ったところか、長いドライブを終えて着いたのが、ブカレストから西へいった「クライオーバ」という街であった。そこの「ホテル」の小さなパーティ会場といった部屋に、椅子が並べられ、すべてのマスコミを前に「フルオープン」で面会することになった。約束の11:50am(現地時間−日本との時差は6時間)を少し回ったところで、ドイナさんの母親を伴って、弟のガブリエル氏が登場した。
 ガブリエル氏は、パソコンの修理販売を手がける会社に勤めており、PCに関しては相当の知識を持っているようである。今回「ドイナさんの情報」もPCを駆使し、世界中から拾い集めた情報で知ることになったらしい。ちなみにルーマニアではPCの普及率はさほど多くはないのだが、先年「EU連合」の仲間入りを果たし、大きく生まれ変わろうとしている矢先であり、まだ貧しい国ではあるが、経済成長率は高い。それでも、高価なPCは販売において困難な状況であるが、修理が主な仕事となっていた。
 ドイナさんの母親は現在76歳、今年の誕生日を迎えると77歳になるという。膝が悪く、杖を突いて歩く姿は、私の母親を連想させた。79歳の母も、膝が悪く杖無での歩行は危険であった。今現在は、体は元気であるが足だけが弱く、従って歩行が困難となっている。そのようなドイナさんの母親が、目の前で私たちの訪問を快く受け入れて、更に「ドイナさん」の情報をもたらしてくれたことに多大な感謝の念を述べられた。
 29年という長い年月、ドイナさんの行方がわからず、生死さえ定かではなかった状況から、少しでもドイナさんのことが聞けたことへの喜びを全身で表していた。
 事前に曽我さんから聞いていた「ドイナさん」の日常生活の様子を話すと、目に涙を浮かべ、ドイナさんを偲ぶ姿が「北朝鮮の非道」をさらに際立たせることになる。しかし何故?北朝鮮が「友好国」であるルーマニア人を拉致する理由がわからない。脱走米兵の妻にするためということであるならば、あまりにもリスキーな行為としか思えない。それに、レバノンの女性4人を騙して拉致する計画があったのであるから、わざわざ「イタリア」からルーマニア人を拉致するという危険を冒して「拉致」する必要性を感じられないのである。
 1978年に「世界中」で拉致が行われていた理由は、考えてみても一つだけである。それは、後継者に決定していた「金正日の拉致指令」を工作機関が競って実行したというものである。1978年8月12日、鹿児島からは姉と修一さん、佐渡から曽我さん親子と、無差別に拉致していった北朝鮮の工作機関の工作員たちが、金正日の命令に忠実に成果を挙げなければならなかったということであろう。
 しかし、ルーマニアという「チャウシェスクの独裁体制」から結婚という手段で脱出し、自由な国での生活を満喫していたドイナさんが、更に過酷な「金正日独裁体制」の北朝鮮に連れて行かれ、米兵の妻として過ごさねばならなかった現実は、ドイナさんの数奇な運命を思うとき、涙をこらえることが出来ないほどに哀れである。



2007.4.3

「北朝鮮への厳しい対応を国民の70.6%が支持!」

 今日の産経新聞の一面に「安倍内閣 支持下げ止まり」の記事が掲載された。その中で、FNN(フジニュースネットワーク)の調べとして、
「北朝鮮政策では、『核問題で合意しても、拉致問題が進展するまで、日本は一切のエネルギー支援に応じるべきではない』が70.6%に達し、拉致問題を重視する姿勢に肯定的な意見が圧倒的だった。」というものである。
 今回の「六者協議合意」に疑念を抱いた方も多くおられるのであろうが、日本国民の七割の方が、「北朝鮮への厳しい姿勢」を支持してくださっていることに感謝したい。又、やはり、多くの方々が「被害者救出」を優先的に考えていてくださることに感謝したい。
 メディアが、「安倍総理のネガティブ・キャンペーン」を張る材料として、「拉致問題」を利用し、「家族会」の名前を使用し、安倍総理の支持率低下を図ろうと躍起になっている中で、国民が冷静に「拉致問題解決」のために必要な処置を考えていてくださる結果であろう。
 4月2日発売の「週刊ポスト(2007.4.13日号)」に書かれた「横田滋さん代表交代は『抗議の辞任だった』」の記事でもそうであるが、あたかも「家族会」が安倍総理の北朝鮮外交を批判しているかのように書いて、北朝鮮への圧力を緩めたいという意図的なものを感じてしまう。本文中にもあるが、代表ご自身の考えの中に「安倍総理の外交姿勢への不信感」は一切ないし、家族会メンバーの考えもほぼ一致して、安倍総理の北朝鮮外交姿勢を支持しているにもかかわらず、あのような捉え方をして、記事にして垂れ流すやり方は疑問に感じてしまう。私のところにも取材はあったが、質問事態が「今回の代表退任は、安倍総理の外交に失望したものではありませんか?」という、最初から「安倍総理の支持率を低下させる意図」をもった質問であったように思う。
 この問いかけに対し、「最初から、ネガティブ・キャンペーンを張るような記事にして欲しくないし、家族会のメンバーは安倍総理を信頼していることに変りはない」と答えておいたが、その回答も載せずに、私の発言を違う方向に持っていっている。
 又、「ワシントンポスト」といった統一教会系の新聞記事を引用し、北朝鮮を利する結論を導き出そうとしているようにしか感じられない。彼らにとって「安倍総理」の存在そのものが、危機感を覚えている証のように思える。
 影響力のあるメディアだからこそ言いたいのであるが、国民の七割が支持している「北朝鮮への制裁・六者協議での対応」を無視して、現政権の北朝鮮外交が失敗であるようなミスリードする記事ばかり書いて欲しくはない。もっと、安倍総理の外交姿勢を支持している方が多くいる事実も伝えて欲しい。
 このような論調をはるから、山拓氏や加藤氏の考え方のような勘違いを助長し、「孤立する」や「バスに乗り遅れる」などといった世論分断が行われるのではないか?それとも、どうしても「北朝鮮の不誠実な態度」を認めずに、「被害者救出よりも北朝鮮救済」を優先させたいのであろうか。
 米朝協議の行方は、今もって不透明であるが、ここで「朗報」といえる話をしたい。
 先日、米国在住の監督夫妻(ABDUCTION製作)のもとに、ブッシュ大統領からメッセージが届いたそうである。その内容は、「映画のDVDを入手し、ローラ夫人と一緒に見る予定である。昨年の『早紀江さんとの面会』は、今までで最も感動的なもののひとつであった」という主旨であったようだ。このメッセージが昨年ではなく、「六者協議合意」後のものであることが重要である。
 今後、北朝鮮は米国に対し「テロ支援国指定解除」を求めていくことになろうが、現ブッシュ政権は、「拉致被害者の帰国を促し、実行されるまで解除をすることはない」という強いメッセージと、私は受け止める。
 北朝鮮は、日本の厳しい姿勢と米国の「拉致被害者帰国」を迫る姿勢にたいし、如何に答えていかなければならないか、厳しい選択を迫られる時期が来る。
  明日より、ルーマニアに行く。欧州での北朝鮮拉致問題の高まりを期待し、安保理での「北朝鮮制裁強化」につながることを期待したい。



2007.4.2

「ジュネーブ」

 本来なら、3週間前に書かなければならなかったものであったが、帰国後、多忙を極め、また、ネット環境の悪いところにいたために遅れてしまったものを今日完成させる。

 2001年、荒木さん(当時、救う会事務局長)と来て以来の訪問である。当時は、政府機関の協力もない孤独な訪問であった。
 2001年の2月にニューヨークで得た「強制的失踪に関する作業部会」の存在に、一縷の望みをかけて、その実務者とのアポを取り付けることは出来たのであるが、結局は徒労に終わる旅であった。それは私たちの問題を訴えても、当該機関の実務者の理解を得ることが出来ずに、北朝鮮への国連からの圧力を強めることができなかったこともあったし、国際赤十字の担当者にも理解されなかったことであったから。
 今回は、日本代表部の藤崎大使をはじめ、多くの職員の協力を得て、国連欧州本部にも入ることが出来たし、人権理事会議長にも会うことが出来た。時代は変化しているのか?私たちの立場が大きく変わったことを感じてしまう。
 ただし、国連欧州本部での徒労感は前回と然程変わるものではなかった。大使以下、日本代表部の方々の働きにもかかわらず、この問題の解決に関して、国連人権理事会が直ちに機能できるものではないことを痛感したからだ。昨年、構築された「人権理事会」はそれまでの「人権委員会」を発展的に解消し、実質的なものにしていこうという理想の下に発足した新しい組織であったが、その構成国の有りようから、当初日本政府や西側先進諸国が望むような方向性になることが難しいということであるらしい。
 日本や先進諸国は、緊急の人権侵害の問題を国連の機能を通して解決できるようにしていきたいと思ったのであるが、構成国の多くが途上国であるがゆえに、自国の中にも多くの人権侵害の問題を抱えているがために、その非難が自国に向けられないように、国名を明記した「非難決議」をしないようにしていきたいという方向になりそうだということである。47カ国の構成国のうちの半数以上が途上国となるために、西側諸国の思惑通りにはなりえないかもしれないのである。また、ムンタボーン特別報告者(北朝鮮の人権侵害に関する)のような「特別報告者」の存在にすら反対する方向でもあるということである。これが採択されれば、「国連人権理事会」は大枠の人権侵害に関してだけ話し合われ、喫緊の問題には対処できないようになるのである。既に米国は、そのような「人権理事会」の存在意義を理解できずに、コミットすることを止めている。日本や西側先進国は、どうにかして「存在意義のある理事会」にしようと努力をしている。
 欧州での「北朝鮮」に関する理解度が低い中、国別の非難決議がなされないのであれば、北朝鮮問題は不問に付されていく可能性すらある。それでは、金正日の圧制に苦しむ北朝鮮人民の苦難は解決し得ない。
 このままでは、国連人権理事会の存在意義が無くなってしまうのではないかと危惧している。



2007.3.29

「六者協議の行方」

 今日、チャンネル桜の収録で西岡副会長を迎え、3月に開催された「六者協議」の判断を聞いた。西岡氏は、「米朝の密約がないという前提で、2月13日の『六者協議合意』を評価してきた」わけであるが、BDAの米国政府、特にヒル国務次官補の言動を見るに、米朝密約は感じられる見方から、どのように評価をしていくのか?改めて話を聞いてみた。
 米国の北朝鮮への傾斜は、間違いなく見られるのである。西岡氏は、「ヒルが田中均と同様の罠に陥りつつあるのではないか」と懸念を表明された。即ち、「六者協議の継続を優先させるが故に、してはならないことをやってしまった」というのだ。
 日本外務省官僚もそうであるのだが、米国国務省官僚も以前から、北朝鮮との融和を優先したがる傾向にある。話し合いは大切であるから、北朝鮮とのパイプを堅持しておきたいし、協議継続のためには北朝鮮高官の希望を叶えてやることも必要という判断から、大幅な譲歩をしていく、そして、最終的には米国の望む解決にまで持ち込もうという目論見を持ってしまう。北朝鮮政府が、譲歩することにより誠意を見せてくるはずである。という考えなのだ。
 ところが、我が国の政府・国民は皆わかっているのだが、北朝鮮は此方が譲歩すると必ず次の要求を出して、結局あり地獄のように足をとられていく。北朝鮮には、先ず「チカラ」を見せて、約束を履行させなければならないのに、約束を履行させると言う目的のために、譲歩を繰り返す結果になる。この点で、ヒル次官補は「田中均」化しているというものだ。そして、北朝鮮の次なる要求は「テロ支援国指定解除」と言うことになる。米朝の作業部会で「テロ支援国指定解除」を前提としているのであるから、解除されない限り「核の封印や停止」はできないという論調での要求をしてくると思われるというものだ。この北朝鮮の理不尽な要求を米国が許すのかが、今後の焦点となるが、米国議会も国民も愚かな決断はしないであろうというのが、西岡氏の判断であり、ここでも日本政府の姿勢が維持されている限り、米国も愚かな譲歩はしないというものだ。それにしてもこの時期が重要なものであるという認識でもある。
 ただ、先日「六者協議の説明」を受けた際に、伊原参事官は「BDAの資金の返還が遅れている以上、合意の履行にも時間的猶予を与えなければならないかも知れない」と言っていたのである。米国の金融制裁と全く関係ない「六者協議内容」にリンクさせることなどあってはならないことであるにもかかわらず、「時間的猶予」を考えるなど、既に北朝鮮の術中にはまった考えをしていた。これでは、六者協議合意の確実な履行まで、まだまだ多くの時間を有してしまうし、徒に北朝鮮に時間を与えてしまうことを忘れないで貰いたい。
 あくまで、六者協議の参加国は「六者協議合意」を優先させて、「北朝鮮の核封印」を期日までに履行させることを目指すべきである。北朝鮮の金桂冠、その後ろに控える金正日政権の思惑に乗ってはならない。



2007.3.27

「横田代表退任騒動」

 3月23日の読売新聞紙上において、「横田代表退任の意向」とあたかも退任が決定済みのような記事が載ってしまった。この日の早朝より、他新聞社より起こされて、寝耳に水の話を聞いて驚いた。
 確かに、今年早い段階で「代表退任の意思」をもっていることを話されたと聞いていたが(入院中で直接聞いたわけではない)、その真意として、体調不良と年齢から来る体力の低下をあげられていた。しかし、節目として「75歳の誕生日」ということを聞いていたため、昨今の状況を見るに、今年末までには大きな動きが生じて、家族会そのものの解散が見えてくると思われていたので、気にしていなかった。
 気にしていないというのは、語弊があるかもしれない。そのようなことを考えることの労力を「被害者救出」に向けていけばよいと考えていた。
 実際、23日に読売に「退任報道」が出てしまったことは、多くの皆さんに誤解を与え、今この時期の退任の意味する無用な憶測を生んでしまったことを、遺憾に思う。代表が読売のインタビューを受けた際に、「退任の意向」があることを話してしまったのであるが、「家族会総会」も開いておらず、メンバーにも話していないために確定ではないにもかかわらず、報道が先走ってしまったことに、代表ご夫妻も戸惑いを感ぜずには要られなかったようである。早紀江さんは、有本嘉代子さんに誤報である旨、電話されているし、読売への抗議もなされている。
 23日、「家族会結成10年」の記者会見において、当然、滋代表の真意を問う質問が出たのであるが、代表としては「一昨年患った血液の病気の治癒・回復が思うに任せず、年齢的な限界を感じられ、退任の意向ではあるが、来月の総会に諮りたい。家族会結成10年とか75歳の誕生日とか、節目において退任し、後継者にゆだねたい」という意向であった。体のことをおっしゃられると、今まで代表と言う立場でご苦労されてきたことを思うと、反論することはできないのであるが、やはり「家族会」の顔としてその存在感は他を圧倒しており、余人をもって変えがたいと思われる。来月の総会での話し合いによるところになる。
 さて、私事で申し訳ありませんが、「家族会結成10年」を迎えた3月25日に、二人揃って宮崎において「結納」を済ませ、そのまま東京に戻り「区役所」への届けを終えて、無事入籍を済ませてきました。今後は、一人ではなく、二人の生活を大切にしながら救出運動に取り組んでいく所存です。「生意気に!」とお思いかもしれませんが、今後の二人の活動を含め、暖かく見守っていただければと思います。
 この半月ほど、公私共に忙しく、皆さんにご挨拶が遅れていること。この場をお借りしまして、お詫び申し上げます。



2007.3.25

「家族会」結成10年にあたって

平成9年3月25日、全国に散在した「北朝鮮による拉致被害者家族」が東京に集結してから、10年の歳月が過ぎようとしています。
 当初センセーショナルに報じられた「北朝鮮による拉致事案」も、日を追うごとに「疑惑」という言葉で括られてしまい、平成14年の「日朝首脳会談」までは、あたかも私たちの主張が理不尽であるかのように受け取られて、被害者の存在そのものを否定する国内の勢力との苦しい闘いを強いられ、また「拉致被害者の救出」が、日朝の国交回復の影に追いやられようともしました。
 そのような中、ともすれば挫けそうになる気持を奮い立たせ、全国に展開していった「救う会」の皆さんと共に、地道な「署名運動」・政府への要請等を通して、広く被害者救出を訴えて参りました。
 平成14年、「日朝首脳会談」の実現を機に、一部被害者の生存が確認され、その方たちが帰国を果たし、ご家族の帰国も叶いました。これも、諦めることなく活動を続けて下さった全国の「救う会」の方々と、ご支援下さった多くの国民の皆さんのお蔭であると感謝申し上げます。
 今、私たちが信頼する安倍総理が誕生し、結成当初より訴え続けた@拉致問題の担当大臣・担当部署の設置、A国会内での特別委員会の設置、B経済制裁の発動、C拉致問題の真相究明、D国政における最優先課題としての被害者の救出、等々、私たちが要望してきた政策はほぼ達成されたといえます。
 しかし、被害者全員の救出や拉致問題の全容解明は、北朝鮮の不誠実な対応のために解決に至らず、未だ多くの被害者が故郷日本への帰国を望みながら、彼の地で自由を奪われたまま、過酷な生活を強いられています。
 10年の節目を迎えました。被害者の両親世代が年齢を重ね、時間的な猶予も少なくなってきております。信頼する安倍総理の下、決意を新たに、何としても今年中の解決を目指して闘っていく所存であります。そのために、国民の皆さんの更なるご理解と一層のご支援を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。

平成19年3月23日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 横田 滋



2007.3.7

「不誠実な態度」

 予想通りといおうか、北朝鮮代表団は「日朝作業部会」の話し合いにも応じようとしない姿勢を示した。これは、宋イルボ氏が協議の代表として出てきた時点で、想定していた。2002.9.17以降、北朝鮮が「拉致は解決済み」としてきた立場を変換する時には、宋大使の交代がなされなければならないから、宋大使が出てきた時に、北朝鮮の姿勢は変っていないことが予想された。
 それにしても「協議拒否」とは、いかにも失礼な姿勢ではなかろうか。日本国民の最大の関心事である拉致問題へのアプローチさえ拒否する北朝鮮に対し、日本政府が一切の譲歩をせずに、毅然と帰国してくる姿勢こそ、北朝鮮に「らち問題の方針変更」を促すために最も良い手法となるだろう。
 北朝鮮政府は、米朝協議を見据え、日朝協議の対応を考えているようにも見える。即ち、日朝作業部会の遅延は、「拉致問題に言及する」日本政府の姿勢に問題があるという構図を作っていくためのものではないか?いづれにしても「米朝協議の行方」が日朝協議にも影響するという構図は、早く崩していかねばなるまい。
 米国しか見ていない北朝鮮政府に、日本政府を見させるような厳しいメッセージを早期に発していって貰いたい。
 今回の「日朝作業部会」が不調に終了した時点での、制裁強化の道を探っていくべきではないか?北朝鮮政府に時間を与えないためにも、いち早く「メッセージ」を発していってもらいたい。
 日本国内には、北朝鮮の狙いに呼応するような輩が出てくるだろうが、北朝鮮に譲歩して何回痛い目にあったのかを忘れたわけではあるまい。「朝鮮半島非核化宣言」・「米朝ジュネーブ合意」・「日朝平壌宣言」のすべてに違反してきた政権に、何を期待しての譲歩なのだろう。「ならず者集団」には、正義の剣(つるぎ)をもって対処すべき時ではないか。
 米国が「正義の剣」を振り下ろすのを躊躇うようであれば、日本政府が主体的に「制裁強化」を六者協議のなかで発していってよい。日本の資金を当てにした「六者協議の枠組み」だかこそ、日本政府が主体的な発言をすることが出来る。我が国は、ATM(自動支払機)ではないことを、もっと強く発して欲しいと思う。



2007.3.7

「米朝協議に関する報道?!」

 昨日から始まった「米朝作業部会」の報道が、各社混乱していてわかりづらい。方や、米国高官の名前で「米国のテロ支援国指定解除の条件として、『日本人拉致問題』を重要なアイテムと捉えていない」と言うものから、ヒル国務次官補の言葉として、「米朝協議の中において、必ずや『日本人拉致問題』を提起していく」というものまで、果たして、米国の真意は何処にありや?という混乱したものになっている。
 昨今の、日本メディアの「安倍総理たたき」の一環として、「米国におきざれにされた」とか「裏切られた」という主旨で、これまでの安倍総理の一貫した「北朝鮮に対し厳しい姿勢でのぞむ」政府の姿勢を変化させようとするものと感じている。
 米国が、協議前日に金桂冠外務次官を歓待し、いかにも「米朝協議が先にすすみ、日本が孤立していく」様な報道をして、日本世論を分断していく恐れを感じるのは、」私だけではあるまい。米国が「米朝協議」の成功を願うのは、米国の国益として当たり前の話であり、そこでなされる金桂冠外務次官へのアプローチを批判しても始まらない。実質的な話し合いの中で、どのような対話がなされたかを知っていかねばならない。
 しかし、それにしても米国が国益を優先し、米朝協議を進めることは当たり前であろうし、そこに「日本国民への配慮」があるかどうか?日本国民の感情など米国の国益にとって如何でもいいと考えるならば、今後日本は米国との付き合い方も考えなくてはならない。もし、米国が日本国民の憂いよりも自国の国益を優先するのであれば、今後の米国の姿勢が分かろうというものである。米国の国益を優先するのであれば、同盟関係など絵に書いた餅同然ということだ。いかにライス国務長官が「日本の安全保障は、米国が責任をもって保つ」と言われても、自国の国益のために日本人民を捨て去るということであろう。
 かつて、米国は北朝鮮の南進をうけて朝鮮戦争に埋没していった。それも、結局は共産勢力に対するアジアの覇権の問題であったのであろうか?
 ここで、日本が米国の国益のために日本の国益を損なうようなことが、あってはならない。日本は日本国の国益を追求していくべきであろう。それは、国際協調でもなく。米国追従でもない、日本独自の考えで動くべきときではなかろうか?
 勿論、安部総理のいう「自由と民主主義」を共通理念とする国との連携姿勢を崩すことなく、自国を守り抜くという観点から、必要なことをやっていかねばならない。それが、国際的な孤立を生もうとも、今は日本国にとって必要なことであろうから。是非、安部総理にはそれを成し遂げて欲しいと思っている。
 父が言った「日本を信じろ!」とは?



2007.3.5

「風船ビラ作戦!」

 韓国・朝鮮日報に次のような記事が載った。

 日本の民間団体「特定失踪(しっそう)者問題調査会」は27日、「失踪日本人に関する情報を提供した人に1万ドル(約118万円)を提供するという内容を記したビラを風船で北朝鮮に飛ばす計画」と明らかにした。同調査会の荒木和博代表は「来月末ごろ、韓国と北朝鮮との境にある地域から初めてこうしたビラをつけた風船を北朝鮮地域に向け飛ばす」と述べた。荒木代表によると、この風船は直径5メートルほどで、平壌上空で割れるようにあらかじめ時間が調整されており、北朝鮮上空に向かって飛ばされるとのことだ。  郵便はがきほどの大きさのビラは防水処理されており、「1970〜80年代に北朝鮮に拉致された日本人に関する情報を提供すれば、補償金1万ドルを提供する」と書かれている。そして日本とのホットラインを利用するか、同調査会が北朝鮮に向け流している無線放送を聞くよう促す内容となっている。 荒木代表は「平壌地域に計10万枚のビラをまく予定」としながらも「北朝鮮住民は独立的なラジオ・テレビ・新聞などに接する機会があまりなく、インターネットにアクセスすることさえ厳しく制限されているため、北朝鮮の内外で起きていることに対し詳しい情報を得られるという期待はあまり大きくない」とも話している。 しかし荒木代表は「北朝鮮住民の誰もがこのビラが見られるはず。できるだけ多くの人がビラを見られるよう期待している」と語った

 韓国紙が「特定失踪者問題調査会」の固有名詞を披露し、掲載記事を載せるという画期的なことではなかろうか?「調査会」は、日本国内では既に認知され始めているが、韓国国内においても報道されることの大きさに今後に期待できる。又、平壌へのビラ作戦が敢行されることが、情報収集に役立つことを期待する。本来ならば、日本国政府が率先してしなければならないことであるが、韓国との国家間の争いになる可能性もあり、国家としては二の足を踏まざるを得ない手法である。しかし、民間団体として「調査会」が実施することで、韓国政府の干渉を逃れることが出来る。調査会はこれまで、韓国NGOと一緒に「ビラ作戦」を展開してきたが、韓国政府の干渉を受ける場面もあったという。しかし、敢然と敢行する調査会・荒木代表の健闘を讃えたい。先の「六者協議の合意」を受けて、日本政府の「しおかぜ」支援を固辞し、独自の資金であらゆることを実行している調査会は、絶え間ない資金不足にあえいでいるが、それでも効果的な拉致問題解決への手法を繰り出している。是非、応援したいものだ。家族会もこの間、資金的な助力も実施しているが、多くの方に支援をお願いしたい。「ビラ作戦」に期待したい!



2007.3.1

「日朝協議の行方」

 いまだに先の「六者協議の合意」に関する判断に、各北朝鮮専門家の意見が分かれているが、実際には「蓋を開けて見なければ評価は出来ない状況」ではなかろうか?
 北朝鮮の思惑は、六者協議合意に危惧する方の考えたとおりであるが、実際「日朝協議」・「米朝協議」が開催されて初めて、動きが見えてくると思う。
 米国の「テロ支援国リストからの解除」の条件に、「拉致問題の進展」が必須と言われている中で、米国が何処まで「拉致問題」に固執するのかが不透明であることは確かであるが、米国の態度如何では、北朝鮮にとって「拉致問題」が重要な課題となることは明白であろう。ここは、日米の強固な連携を期待するものである。
 日本政府に関しては、誰がなんと言おうと「安倍総理の毅然とした姿勢」に揺るぎ無い信頼を寄せている。与野党から、如何なる批判を浴びようが、安倍総理の信念はぶれないことを信じている。今、家族会が安倍総理に対し不信感を抱くことはない。必ずや、日朝協議の主題に「拉致問題」を据え、前進を図っていってもらえると思う。
 そういう点で、今週号の「週刊新潮」の記事には疑問がある。表題の『「拉致被害者」家族に批判された』とあるが、何処の家族が批判しているのかわからない。蓮池氏の弁によると「取材は受けたが、批判したつもりはない」と言うことであるから、一つの言葉を捉えて、批判と挿げ替えるのは異常な「安倍たたき」のお先棒を担ぐものであろう。
 20日には、「家族会(未帰還者)のメンバー」に会っていただいたときにも話したが、すべての家族会メンバーが、総理を信頼し、現況の「安倍総理おろしの報道」に懸念を示されていた。20日には、未帰還者の家族にあったのであるから、25日に帰国被害者に状況を説明されるのは当たり前と思われる。それを「パフォーマンス」と断じる「家族会メンバー」は一人もいない。確かに、帰国被害者と未帰還者家族の立場の違いは歴然とあり、考え方も相違点はあるが、「未帰還者の帰国を切に願い、早期に帰国できることを祈る気持ち」に相違点はなく、又、透氏も言っていたが、「現時点で、安倍総理にかわって『拉致被害者を真剣に救いたい』という強い思いを抱いている総理後継者はいない。中川政調会長ほか数人、安倍総理と同様の考え方を抱いている方もいるが、今、最高権力者としてすべての権限を用い、被害者救出に発揮できる立場は、安倍総理以外には考えられない。ここで、安倍総理が頓挫するようなことがあっては、被害者救出があと何年かかるかわからなくなる」
 そのような中、新潮の記事は、単に「安倍総理おろし」の流れを作り出し、北朝鮮を利する結果にしかならないような気がする。新潮が論ずべきは、国内にいる「内なる敵」への批判ではなかろうか?ここで日本政府が「拉致被害者を見捨てて、金正日政権の延命に手を貸すようでは、国際的な侮蔑の目を避けられまい。
 安倍総理は、訪欧した際にも各国首脳との会談の席上、「拉致問題の存在」をアピールし、協力を要請しているものであり、日本が被害者救出を前面に押し出そうとしなければ、あの時の総理の協力要請が嘘になってしまう。これをとってしても、総理の決意に微塵の疑いは持ち得ない。
 何度も言うが、安倍総理への信頼が厚いのは、総理ご自身が「主権を侵された状態」を恥と思っているからに他ならない。政治家として、恥ずかしいと感じているからに他ならない!家族がかわいそう、被害者がかわいそうではなく、日本国として恥ずかしいことなのだという観点からきている事を間違って捉えてはいけない!



2007.2.23

「韓国中央日報の論調」

 「<グローバルアイ>北核と拉致問題」と題した韓国中央日報の記事を読んだ。その論調は、「日本人の拉致問題に関する心情は理解する。下校中に行方不明になった13歳の少女が、25年過ぎたある日、異国の地に連れて行かれて自殺したと言う通報(北朝鮮からの)を受けたときの悲痛は、決して癒されるものではない。最後まで北朝鮮を追及し、生きているなら返せ、死亡したとするなら確かな証拠を出せ、と圧力を加えるのは国家の責務」と断じているにもかかわらず、そのあとに「私の理解はここまでだ。北東アジアの平和安全に関連した焦眉の課題である北朝鮮核問題と拉致問題を連動させるのは容易に理解しがたい」と続き、「日本の姿勢は、国内政治的な環境が影響している。統一地方選、参議院選挙を控え、北朝鮮に対しは強硬な態度を見せるほど支持率が上がる。安倍政権誕生もこうした強硬路線の産物」、「しかし、これは喜ぶべきことか。仮に北朝鮮核問題が本格的な解決の起動に乗っても日本が強硬姿勢を変えなければどんな結果をもたらすか。日本の発言力が弱まり、六カ国協議当事者としての地位さえ揺らぐ。北核と拉致は二者択一の問題ではなく、両方とも必ず解決しなければならないことにまちがいない。しかし六カ国協議では核を優先するのが正しい、北東アジアの平和の為にも、日本の国益のためにも」と結んでいる。
 このような論調を張っている意味を考える時、先ず、韓国の国内事情を見てみるべきであろう。盧大統領誕生から、韓国報道統制が進み、政権批判を容易にすることが出来なくなった経緯もあり、韓国報道紙の中に、盧政権よりの記者がいることも確かである。朝鮮日報と違い、中央日報の論調が盧政権に対して優しいかどうかはわからないが、少なくともこの論調は、韓国保守派の意見とは明らかに違ったものである。盧政権の代弁者のような論調であると思える。
 国家にとって、主権を侵害され、国民を拉致された事実は、許されざるものであり、何にも優先して解決して見せなければ、国家としての存在意義さえ疑われる。ましてや13歳の少女拉致を平然と行い、いまだに解決しようとしない北朝鮮政府との融和など、北東アジアの平和に寄与することとは思えない。北朝鮮が非人道的行為をやめ、人権を優先する政権に変化しなければ、その平和は見せかけのものに終わってしまう。根本的な問題は、核を保有する政権と言うものではなく、非人道的行為を続ける政権がそこに存在するということだ。そこを間違うとこのような論調になる。
 北朝鮮はこれまで、「朝鮮半島非核化宣言」・「米朝ジュネーブ合意」・「日朝平壌宣言」のすべてに違反して、「核開発」を続けてきた。そのような政権に対しては、先ず、合意を守る下地が存在するのか検証してこそ、次なる段階に進めるというものである。日本政府は、「拉致被害者は全員生存」というスタンスで北朝鮮への追及を強化している。生きているか、死んでいるかの疑問の段階ではない。
 この論調は、日本の一部にも存在する「孤立化」の論調にも通じているが、はたして、国民を見捨てる国家が国際社会から、軽んじられることはないのであろうか。非道な攻撃を受けても黙している国家こそ、他国から軽んじられ、新たな攻撃対象となっていくことは国際社会の常識であると信じている。国益を考えるなら、孤高といわれようと孤立しようと、国家としての責務を優先させるべきであろう。これ以上、軽んじられる国家となることこそ、国益を失うことになる。



2007.2.22

「安倍総理を信頼する!」

 一昨日、官邸において安倍総理以下、官邸の住人たちとの面会が実現した。前回書いた「米国の事情」に関する危惧も存在はするのだが、安倍総理の顔を直に見ると私たちの信頼が回復してくるのを感じる。
 「拉致問題の解決」と「進展」の違いを聞くことが出来た。「進展とは、何をもって進展と判断するかは、こちらサイドの問題であり、何をもって進展とするかをここで明確にすることはない。北朝鮮に判断材料を与えるのではなく、日本政府が判断基準を満たすかどうかを判断する」ということである。「拉致問題の解決なくして、国交の正常化はありえないという国家の姿勢は揺るぎようもなく、北朝鮮にとって拉致問題の解決することが得策であると思うようにさせなければならない」ということである。
 具体的な数値目標ではなく、被害者全員の帰国を促すという点で評価していきたい。佐藤会長も言っておられたが、「米国が如何考え、どのようにするのかが問題なのではなく、日本国がどうしていくのかが問われる問題であり、国益の違う国家同士の話し合いの中で重要なことは、あくまで日本国家の国益をどのようにしていくのかである」という言葉も確かにと頷けるものである。
 家族会のメンバーからは、一様に「日本国が一枚岩になって、金正日政権と向かわなければならないときに、内なる敵との闘いをしなければならない現状を憂い、安倍総理へのエールを送っていた」ことが印象的であった。今回参加の家族会メンバーの全てが、安倍総理への信頼を口にされ、今回の六者協議での日本政府の毅然とした姿勢に賛辞を送り、支持を表明していた。又、北京で奮闘された佐々江局長への賛辞や謝辞も多かった。
 以前のように、家族会のメンバーが総理官邸内で顔をゆがめることなく、笑顔での会談になっていることに、安倍総理への信頼度が現れている。調査会の荒木代表の危惧も理解できるのだが、やはり「安倍政権」下でなければ「拉致問題の解決」が遠のいてしまうという家族の思いからすると、此処は安倍総理を信頼し、日本国内の意見の食い違いや北朝鮮に対するアプローチの批判をするときではないように感じる。その荒木代表にしても「北朝鮮に大きく譲歩する」というような批判ではなく、「北朝鮮という山賊集団に騙されるような行為を批判している」のであって、山拓氏や加藤氏のように「バスに乗り遅れるな」理論ではない点だけ、今後も一緒に闘いを続けていけるのである。
 「バスに乗り遅れずに得るものは、北東アジアの見せ掛けの平和に過ぎない」という簡単な答えを見出せない輩が多すぎて、問題の本質が何処にあるのかを見ようとしない人たちとの戦いを制していかなければならない。
 国民はよく判っていると感じるのだが、メディアや一部の政治家のメッセージを排除していくのに何等躊躇することなく、前進していきたいと感ずる。



2007.2.20

「ウラン型放棄を削除?!」

 共同通信の配信によると、『北朝鮮の核問題をめぐる先の6カ国協議の合意文書案に当初「高濃縮ウランによる核開発の放棄」が明記されていたが、ウラン濃縮型の開発を否定する北朝鮮が反発、米国も了承の上で削除されていた』とある。『協議4日目の11日に、北朝鮮が寧辺の核施設の活動停止などを行えば重油30万トンを提供し、すべての核放棄が終了すればさらに70万トンを提供するとの案で米国、韓国、ロシアなどが合意。しかし北朝鮮は核放棄前に重油100万トンを提供するよう要求して、受け入れを拒否した。
 そこで米国が中心となり第2次案を作成したが、放棄対象として「高濃縮ウランによる核開発」が明記されていたことなどから、北朝鮮が「平和利用も含めウラン濃縮は一切行っていない」と主張し再び拒否した』
という。
 これを受けて米国は、「高濃縮ウラン」に関する文言を削除した上で、北朝鮮が寧辺などプルトニウム関連の既存の核施設を無能力化することに応じれば、重油計100万トン相当の経済、エネルギー、人道支援を行う−とすることで合意。中国、ロシア、日本の同意を得た上で北朝鮮に提示し、13日の共同文書採択に至ったというものである。
 これをリークしたのが、協議筋と言うことであるが、これが本当であったなら、佐々江さんたちの裏切りではないか?我々に対する説明では、「高濃縮ウラン型」に関する説明はなかったが、『すべての核の無能力化が実現しなければ、95万トンの追加エネルギー支援はないし、日本政府は「拉致問題の進展」がなければ支援参加は出来ない』といっていたことと異なる。
 米国が北朝鮮との安易な共同文書採択に走ったとしたら、米国のうるさ型が懸念した通りとなり、日本にとっても「拉致問題の解決」に非情に厳しい状況が生ずる。荒木調査会代表の懸念が真実となる。
又、米国副大統領チェイニー氏らが、北朝鮮との合意時点で、国務省・ホワイトハウスの協議から排除されていたという報道もあり、日本政府にとってあまりよい状況とは思えない。今回、チェイニー副大統領が来日されるが、真意を聞きだすことが出来ればよいのだが・・・・・。
今日、官邸において安倍総理に直接お会いすることができるので、真意を聞いておかねばならない。
 米国の有名フォークグループ「P,P,M」のメンバーが来日し、横田夫妻と面会したようであるが、これまで「拉致被害者救出」のために歌われた歌は、ボランティアを含め、数多く存在する。その中でも、因幡晃さんは2002年以前から、「めぐみ」という曲をリリースされ、ずっと歌い続けていてくれている。当初、聞いた曲の歌詞に涙したものである。政治的な問題として捉えられ、この歌を歌っていただける歌手のいない中、因幡氏が積極的に歌っていただいたことに感謝しているし、今後も私は、日本語で歌われている「めぐみー因幡晃―」を歌い続けるであろう。多くの方々が、「被害者救出」のために曲を作成、歌っていただいていることに感謝し、今後もその活動を続けて欲しいと思っている。メディアは、このような地道な活動にもスポットを当てて欲しいと思う。外国人たちだけが、被害者救出を願っているのではなく、当然日本人の多くが被害者救出のために、関心を持ち、努力していることを皆さんに知っていて欲しい。



2007.2.16

「戦略的合意!?」

 以下は、家族会メンバーに送ったFAX内容である。

 本日、8:30から自民党本部「拉致問題対策特命委員会(中川昭一委員長)」で、10:00から内閣府調整室にて、六者協議に出席された佐々江局長の話を聞くことができました。
 先ず、今回の合意に関する説明を受け、合意内容を吟味するにつけ、北朝鮮の「拉致問題」に対する姿勢を促す内容であり、北朝鮮にとって「拉致問題の解決なくして、一切の支援を受けられなくなった」というほど、厳しい内容であろうと感じております。
 言うまでもなく、日朝協議の開催義務が生じたことで、30日以内に日朝協議を開始しなければならないということ。これを北朝鮮が怠った場合、合意に基づく「エネルギー支援」は受けられないということです。当然、日本政府は安倍総理の指導の下に、二国間の懸案事項として「拉致問題を主要議題」として取り上げ、基本的に拉致問題の解決にむけ、北朝鮮は行動せざるを得なくなった。
 又、米朝協議に中において「テロ支援国指定解除の作業開始」の話し合いの中でも、指定解除するためには「外国人拉致問題」の解決をしなければならなくなった。つまり、これまで日朝二国間の問題に限定されていた「拉致問題」が、米朝協議の中でも話し合わなければならなくなったということです。
 安倍総理はブッシュ大統領との電話会談の中で、「米国の日本人拉致問題に関する協力関係の強化」を確認し、米国は安易な「テロ国家指定解除」をしないことを内外に示したといえます。
 これも、北朝鮮に対する米国・日本の制裁の圧力が功を奏してきている証拠であろうということです。圧力の存在が、北朝鮮をしてこの六者協議合意に応じなければならなくなったと言えます。
 佐藤会長や西岡副会長の弁では、「この合意を見るにつけ、よく北朝鮮が合意文書に応じたと思う。寧辺の核施設を活動停止及び封印させることが約束され、IAEA要因の復帰を求めさせる。すべての核計画を五者と協議しなければならない。その見返りが、重油5万トンでしかない。しかも、日本政府がこの支援に実質的な参加をしないことも認証された。これは、今までの北朝鮮の外交では考えられないほどの譲歩である。そこまで、北朝鮮が追い込まれたのはやはり米国の金融制裁があったからこそであろう。更に、ジュネーブ合意と異なるのは、北朝鮮の核廃棄に関する責任が発生した」ということである。
 今は、報道に見るようにこの合意を「米国の裏切り」とか「はしごをはずした」と見るのは尚早であろうと思います。却って、日本国内において「孤立化」と言う言葉を使用し、北朝鮮を利する「エネルギー支援」への日本参加を促すような発言に対し、厳しい姿勢で臨む必要があろうと思います。
 今現在は、安倍政権は「拉致問題の解決なくして、国交正常化なし。拉致問題の進展なくして、支援なし」の基本姿勢を崩してはいません。この姿勢こそ、六者協議参加国に「拉致問題の重要性を認識させた結果につながった」と見てよいと思います。
 今後は、北朝鮮が誠実にこれを履行していくかにかかりますが、北朝鮮が誠実に履行する可能性が低いことから、六者協議参加国による制裁強化の道筋を形成する確立が高まったと言うことでもあると思います。
 懸念はありますが、安部総理を信じていきたいという思いは変りありませんし、安部総理の北朝鮮政策の支持に関しても変らないと思います。
 調整室より、佐々江局長の報告詳細は連絡されると思いますが、熟読して判断してください。
平成19年2月16日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長  増元照明
 
文中にあるように、日本国内における安倍政権批判を繰り返させ、対北朝鮮政策の変更をせざるを得なくしていく発言であろう。安倍総理が早紀江さんの全面的信頼を裏切ることは考えられないし、映画「めぐみ」で見せた涙を信じていきたい。



2007.2.15

「それでも信頼はゆるぎないものである!」

 今回の「六者協議」における「合意」に関し、波紋が拡がる。昨日、金沢からの帰りの電車の中で、突然、60半ばの男性が話しかけてきた。「六者協議の展開を見るにつけ、日本政府の弱腰ぶりに腹が立つ。もっと、積極的に北朝鮮に対しきつく当たるべきだろう。それにしても、北朝鮮のやり方には腹が立ってしようがない」と。当然であろう。
 私の知り合いの女性も、「何かおかしいんじゃない。北朝鮮は約束を破って核開発をしたのでしょう。その北朝鮮に見返りを与えるなんて。悪いのは北朝鮮でしょう。悪い人に悪いと言うことを言わなきゃいけないんじゃない。支援なんておかしい!」
 一般の人たちの懸念と怒りの声が聞こえるほど、今回の合意に関しては疑問が生ずるのであるが、それに付けても多くの方々が関心を持っているということは、私たちにとってはありがたいことである。
 今回の共同文書の合意について、多くの議論があろうが、概ね二つに分かれる。一つは、多くの関係者がいう「日本政府は合意すべきではなかった。問題の先送りに過ぎない。北朝鮮の時間稼ぎに付き合う行為である」もう一つは、「六者協議合意は、北朝鮮を追い詰める更なるプロセス。これで、北朝鮮は『拉致問題の解決』に動き出さねばならなくなる。」というものである。
 私にも、どちらが正しいのか?この時点での判断はつかない。北朝鮮の出方や米国の譲歩が不透明だからだ。合意後、数社から感想を聞かれたのだが、判断に窮している状況で、如何答えてよいか迷った。しかし、これだけは逝っておかねばなるまい。日朝協議が再開されなければ、日本政府としても次のステップに動けないと言うことだ。六者協議事態が茶番であると考えていたが、このプロセスの破綻がなければ、日米の制裁強化はありえないから、協議の早期の再開を望み、早期の破綻を期待した。しかし、北朝鮮政府は表面上の融和を見せて、共同文書の合意をした。各国としては、その表面上の顔を利用して一応の合意を見た。六者協議の重要性を世界に示していくことで、中国の面子も韓国の親北政策も満足させ、米国・ヒルの面子もたった。確かに茶番の協議のうえでの合意であることに変りはなかろうが、北朝鮮にとって過酷な条件にもなったことは否めまい。
 米朝協議の中で、米国のテロ支援国指定の解除の作業の廃止とあるが、米国はテロ支援国指定の理由として、「日本人拉致の問題」を挙げているのであるから、米朝国交正常化するために「拉致問題の進展」をしていかなければならない。日朝協議では、「国交の正常化は拉致問題の解決が前提」とする日本政府のぶれない対応があるから、ここでも拉致問題の解決を迫られることになる。六者協議の合意を履行するためには、米朝・日朝の真摯な協議を重ね、実績を作らなければならない。これに沿っていくと、北朝鮮が拉致から逃れられない状況になったと言うことである。これはこれで、北朝鮮にとってハードルの高いものになった。これを利して、日米連携して北朝鮮を追い詰めて貰いたいと考える。
 それにしても民主党の前原元代表の国会質問内容には、あきれたし、腹立たしささえ覚えた。前原氏の言では要約するに「拉致問題だけのこだわると、国益を損なうものとなる。拉致にこだわり、核開発をとめるための六者協議の合意には従ったほうがよい」と言うものだ。前原氏は「日本国民の生命が危機に直面している段階で、北朝鮮融和策に合意し、行動せよ!」と言っている。「拉致問題が大切」と言いながら、被害者を切って捨てた。元来、同胞を見捨てた国が存続していくことの困難をわかっているのだろうか?拉致被害者の救出はいまや国民的祈願となっているにもかかわらず、被害者を切って捨てた。かつて、中国脅威論を唱えた人物とは同一と思えない。
 メディアも野党も与党の中にさえ、「日本孤立論」を振り回し、国民の命をないがしろにする発言が跋扈しているが、孤立とは、「自国民を守ろうとしない国に対し、世界から侮蔑の眼差しで見られたときに現れる現象」であろう。その時初めて「国益」をなくし、「信用」をなくすことになり、実質上の国家破綻を印象付けることになった時、世界から「情けない国」として孤立していくのである。
 自国民の安全を守ろうとする国へ、何処の国が批判し、孤立させうるのか?理解に苦しむ。北朝鮮の脅しに屈して、自国民を見捨てる国家こそ、世界から孤立していくことを忘れてはならない!皆が一人をいじめるから、その流れに乗らなければ孤立していくという考えに似ていないか?一人でも正義を貫くことを躊躇うのであれば、いじめはなくならないし、世の中は良くならないのではないだろうか?孤立を恐れて、国家としての正義を捨ててしまったら、それはもう国家とはいえない!



2007.2.12

「六者協議の行方」

 ヒル米国務次官補の言葉によると、六者協議の期限が今日(12日)までに設定されたということである。米朝の蜜月のような報道から、中国政府のいわゆる「落としどころ」の案が、六者協議参加各国に提示され、それに対し北朝鮮・金桂冠外務次官の要求は更にエスカレートしたものだったようだ。
 60日以内での200万キロワットの電力提供という、これでは、「核の放棄或いは核施設の閉鎖」を求める五か国の思惑とも外れ、法外な要求であろう。これをのむということは、北朝鮮の核保有を認めた上での関係各国の譲歩と捉えられかねない。先ず、北朝鮮がやるべきは「核の完全な廃棄或いは各施設の完全閉鎖」であるが、寧辺の核施設だけではないかもしれない北朝鮮の核施設の全面的な廃棄、或いは閉鎖を確認できないまま、六者協議の参加国は多額の負担を強いられることになる。このような事態を招くことは、北朝鮮の思惑通りの結果を生むことになる。
 米国は、このような玉虫色の結果を望んではいないし、ヒルがこのような北朝鮮の要求を飲んだかたちでの声明文或いは合意文書への同意は、彼の米国における立場を決定的に貶めることになる。少なくとも「ホワイトハウスの住人」は、その様な結果をよしとはしないだろう。米国政府が求めているのは、北朝鮮の核完全廃棄であり、核不拡散の状況をつくることにある。このままでは、再び1994年の「ジュネーブ合意」の失敗を繰り返すことになるのは明白であるから、クリントンの北朝鮮政策を批判していたブッシュとしては、到底受け入れられない。
 しかし、此処まで六者協議のあり方を見ていると、中国や米国・韓国と北朝鮮の軟化を促したい国々と、日本政府のように守らなければならないものの存在が、安易な妥協を許さない姿勢を貫かざるを得ない国とのせめぎ合いの中で、わが国は良く抵抗していると思う。「拉致問題での進展がなければ一切のエネルギー支援に応じられない」という毅然とした姿勢に終始するわが国政府に、国民を取り戻そうとする確固たる思いが窺えて頼もしくさえある。
 メディアの中には、「孤立」とか「頑な」とか言う言葉で、日本政府の軟化を促す報道があるが、孤立で何が悪い。頑なで如何したというのだ。多くの国民を放置するようなメッセージを送る軟化は、今後のわが国外交の失点になる。「国民に何をされても怒らない国、にこにこ笑って支援する国」のレッテルをはられた場合、わが国は大きな国難を見ることになろう。目先の困難を廃し、迎合することがわが国の国益に叶うとは到底思わないのであるが、メディアは将来の困難より、眼前の平和を大切にしたいのであろうか?
 世界には国境が存在し、隣国との諍いが続く中で、世界は平和であるとかの亡霊を見続けることは、北東アジアの恒久的な平和をもたらすとは、考えられない。痛みを伴なってでも、今、片付けねばならないものが国としてあるのだから、一歩もひくことは許されない。



2007.2.6

「各地の上映会」

 3,4日と福島フォーラム、八戸フォーラムと連続して、「めぐみー失われた家族の30年」の上映開始に際し、福島市と八戸市を訪ね、各地の皆さんと顔をあわせることが出来た。
 昨年11月より始まった日本国内での上映、なるべく要請のあった場所に出向き、挨拶他、話をさせていただいているが、日頃「集会」での話とは違い、時間は短いものではあるが、映画を見ることにより話との相乗効果があり、理解度が深くなっていくのではなかろうか?その点では、映画という媒体の登場というのは、拉致問題の真実の普及にはよい方向に向かっているのではないか?
 今日は、福島のホテルにおいてエレベーターに同乗した中年の女性から、「増元るみ子さんの弟さんですよね!」といわれた。日頃、「家族会の事務局長」としか認識されていなかった私が、「るみ子さんの弟さん」とまで固有名詞を用いて名指しされたのは、鹿児島以外の土地では珍しいことである。これも、映画の効果ではなかろうか?
 めぐみさんの話は、多くの日本国民の知るところとなったが、他の被害者に関しては、あまり認識されていないように思う。その中で、「増元るみ子」の固有名詞を何の躊躇もなく発した人がいたことが嬉しかった。やはり、映画の効果としか言えない。
 福島、八戸ともに小劇場ではあるが、満席になった。福島フォーラム支配人のA氏によると、満席状況から生まれる興奮や緊迫感から、映画への集中度が増すということであった。つまり、大劇場で少数の観客の中で見るよりも小劇場において飽和状況で見る場合のほうが、映画の感動が増し、各人が口コミで映画の内容を広げることができるという。そういう意味でも小劇場での上映が良いという。
 六者協議開催に向け、米国ヒル国務次官補が日韓の代表との面会をこなしている。巷では、米朝間で「六者協議再開プロセス」において、何らかの合意がなされ、北朝鮮の核放棄の見返り的な「エネルギー支援」が決定されるがごとき報道があるが、はたして、一度騙された米国が二度騙されるような愚を犯すかというと考えられない。核放棄の検証や非可逆的廃棄の厳格化の姿勢を崩すことはあるまい。となると、北朝鮮の出方次第では再び不調に転じると思われる。
 日本政府は、安倍首相主導の下に「核問題の進展があっても、拉致の進展が見られない限り、一切の支援には応じられない」との立場を表明した。安部総理の並々ならぬ決意の現れである。国内の報道では外務省幹部の発言として、日和見的なものも見られたが、政治家、とくに総理自身の言葉として「エネルギー支援への不参加表明」は心強くありがたい。これを受け、議長国の中国がどのような裁定を見せるのか、興味深く見ていきたい。
 安倍総理は、国内において問題を抱えながら、着実に「教育基本法改正」・「防衛省への昇格」等々、日本の将来のための施策を進めている。更に外交姿勢としても「新しい日本の姿」を具現化している。あるべき国の姿を実現している総理に、もっとエールを贈りたいと思う。それにしても久間防衛相の発言には、何を考えているのか?物申したい気分だ。
他国の政策批判等、なすべきではなかろう。日本の防衛大臣がこれでは、いかんともしがたい。



2007.2.2

「お騒がせいたしております」

 昨日来、報道によってお騒がせしていますが、この度、身を固めようと一大決心をいたしました。
 今まで、厳しい環境の中で一人帰る自宅に嫌気が差し始めていたとき、今年に入って、「若宮優子」という方と近しく話をする機会を得ることが出来ました。当然、当初は「拉致被害者救出のために尽力いただいた脚本家であり、演出家でもあり、主役を演ずる女優さんという方だったので、恐縮しながらの会話でありましたが、彼女の「拉致被害者」に対する熱い想いと、亡父の無念に対する深い理解を知るにつけ、好ましく思うようになっていったように思います。
 家族会の仲間達との戦いの日々でも、家に帰る頃には一人の時間がおとずれてきます。もとより、一人暮らしが長く、何等痛痒も感じてはいなかったのですが、時々襲う寂寥感というものに耐えがたくなっていたのかもしれません。
 とにかく、若宮さんとの会話は、私にとっては楽しく感じられ、この人といると時間を忘れてしまうように感じていました。それが高じて、早朝までの深酒となりました。その積み重ねの中で、彼女の存在が大きくなっていったのは否めません。
 今年になって、本当にこの10日間の間の出来事でした。
 「いい歳をして、後先考えずに」という批判はありましょうが、この年齢だからこそ、決定すべき時期を間違えないようにと考えています。
 私の事情を考えると、よく嫁いで来てくれるという思いです。これからの不安もあるだろうけれど、彼女はそれらを全て飲み込んで、一緒に暮らすことを決心してくれました。
 式に関しては、やはり、るみ姉の帰国前に挙げることは出来ません。それは、彼女にも承知してもらっています。全ての華燭の宴は、帰国後の楽しみにとっておきます。全てが、終われば心置きなく呑むことが出来、祝うことが出来るのだから。
 ただ、いっしょに暮らす女性のために入籍は考えなければならないでしょう。中途半端な立場に置く事はできません。
 今後も私達の闘いは続いていくわけで、ここで足踏みすることなく、更に皆さんといっしょに闘っていきたいと思います。
 共に闘い、救出の日が来るまで、新しい力を得て、尚一層の努力をしていきたいと思いますので、今後ともご協力よろしくお願いいたします。

平成19年2月2日
                               北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長
                                              増元 照明



2007.1.31

「体調を崩しました」

 長い間、更新しなかったことをお詫びせねばなるまい。先週から体調を崩し、寝込んでいた。そんな中、賢島・渋川と相次いで話をさせていただき、体力の回復を待っていたが、漸く、ここに来て調子が戻ってきた。
 今年初めからの、山拓氏の訪朝騒ぎ、蓮池氏との面会等、心労が続いたのは確かなのだが、若さ(?)に任せて昨年末からの暴飲が祟った。しかし、この一週間の休養で気力体力ともに再び充実しつつあるのを感じる。平沼先生が入院し、安倍政権に対する言われも無い風評で、支持率低下どころか不支持率上昇という状況の中、闘いを続けなければならない私に足りなかったものを補って、今年の過酷な戦いに臨みたい。
 本日、平沼事務所に出向き、平沼先生の病状を聞かせていただいたが、心配していた運動障害や言語障害というものはなく、声帯の一部が上手く機能しないために、声が不明瞭になっているとのことで、現在、リハビリを含め、復帰に向けて鋭意精進されていると言う。大脳障害であったなら、こうもいかなかったかもしれないが、小脳障害であったため軽くで済んだようだ。大事な時期である。早期に政界復帰し、手腕を振るっていただきたい。メディアによる「安倍政権批判」を払拭させるためにも、自民党内に巣食う腐食の流れを止めてもらいたい。
 ただ、やはりメディアは「小泉好き」なのだろうが、今の負の遺産は小泉政権下にも払拭できなかったものであり、その元凶は小泉さんが手を付けられなかった部分でもある。そこに安倍総理が切り込むためにも、もっと強い力が必要になろう。
 六者協議も再開されるようであるが、そのような中、米朝の金融協議が始まった。米国の思惑が見えぬまま、何もコメントできないのが現状であるが、ヒル次官補の弱さが気になっている。
 欧州での「ABDUCTION」上映も英国の上映を終え、4カ国での上映会が終わったようである。あのフィルムを通じて「北朝鮮による拉致」の非道を欧州にも認識してもらえたものと思う。そして、国際社会の理解の下に「北朝鮮への圧力強化」を図りたい時期に、日本外務省幹部の言葉として「六者協議での核に対する進展が見られ、六者の合意事項としての支援策が決められれば、日本政府としても支援を考えざるを得ない」などという軟弱な考えを披瀝する状況では、情けないというものだろう。欧州でも理解を得られるように、上映を続け、北朝鮮への圧力を強化すべき時に、何をかいわんや!であろう。
 自国の民を、主権を侵されて連れ去られた国家でありながら、自国民を拉致した国も主導者のわがままを許すという恥じの上塗りをしようというのか?外務省幹部とは何処の誰であろう。「平和主義」という建前だけの言葉に従ってきたのが、日本国であり、これまでの外務省ではなかったか?顔の見えない国にしたのは、このような「人の顔色ばかりを伺う官僚的な幹部」が多数存在するからであろう。
 谷内さん!しっかりしてください。もし、藪中外務審議官であったなら、裏切られた思いである。そうであって欲しくはないが。外務省は未だ、意識改革が出来ていないようだ。
 制裁を課している間の支援策はない!これが金正日や国際社会に対し、日本が独立国家であるという正しいメッセージを送ることである。国民を傷つけられたら、それだけの報復はする姿勢を見せずして、どうやって国民を守れるのか?海外在留邦人を守れるのか?真剣に考えよ!



2007.1.22

「人知れず!」

 人知れず、静かに「田中義美」が死んでいった。多くの事実を覆い隠したままで!本当に、彼の口から事実を聞くことはなかったのだろうか?警察は?検察は?医者は?看護婦は?何も聞いていないのだろうか?
 噂の域を出ないが、田中に接触を試みてはみたが、「魚本民子」が固くガードしたという。しかし、本当にそれで良いのだろうか?
 その昔、連合赤軍の総括・粛清騒ぎで多くの命を奪った「森洋子」は、真実をある程度語っていたはずだが、今回の「田中義美」の場合は、「よど号犯」による「拉致の全容」をつかめることなく、病という形で田中の知る真実が葬り去られてしまった。
 昨年、警察庁は「今年は拉致問題の勝負の年」といいながら、結局「田中」から真実を聞くことなく終わったのか?証人を手の内に収めながら、何等真実を聞けないまま他界させたとしたら、彼等の罪を彼ら自身どうやって贖っていけるのだろうか?何も言わず、何も告げずに死んでいった犯人の懺悔はどうやって癒していけるのだろうか?少なくとも、彼等の友人と称する人物たちが、彼の罪状を明らかにし、見送ってやらねば、田中の罪が現世において解決されていないとすると、黄泉の国にまで罪を背負っていかねばならない現状を憂うべきではないか?
 数年前から、ヨーロッパから日本人を拉致した実行犯たちを知る「よど号関係者」が相次いで帰国しているにもかかわらず、彼等の口から真実は一切聞けずに、放任しているわが国の制度に疑問を感じざるを得ない。片や、「人攫い」の一味が大手を振って都会の中で暮している。片や、彼らに連れ去られた「拉致被害者たち」は、厳しい環境の中で生命の危険に晒されながら、生に必死の力を振り絞り、生き抜こうとしている。不条理なものではないか?
 八尾恵は「有本恵子さん」の拉致を認め、謝罪したのではある。しかし、そのほかの「よど号犯の妻たち」は、拉致に関与したことを否定し、しらを切り続けている。彼等の周りにいる支援者たちも、彼等の罪を知ってかしらずか、一言も発しようとしない。
 何かが、違うのではないか?
 ある人は犯罪者にも人権があるという。しかし、犯罪者の人権は、その罪を認め、悔い始めた段階から発生するものではないか?罪が明らかな犯人が、何の懺悔もせずに開き直っている段階で、彼等の人権だけを大切にし、被害者の人権を回復できないとすると、本当にそれで良いのかと感じてしまうのは、私が間違っているからだろうか?



2007.1.19

「正確な報道を望む」

 昨日のHP上での説明により、「蓮池氏と山崎氏」の会談内容とそのときの発言内容が明らかになりましたが、ここで問いたいのは、「何故『全面否定はしない。』が『評価』という言葉に変わり、一人歩きしたのであろうか?直後の山崎氏のコメントであった『蓮池さんに評価された。訪朝にも肯定的!』等々の話だけを曲解して、蓮池氏の言葉として記事にしてしまったのか?いづれにしろ、「社会の木鐸」を標榜しているマスメディアの記事としては、山崎氏サイドに偏った報道であったことは否めまい!
 一連の報道で「救う会・全国協議会」に対し、抗議電話が来たことを考えると、その責任は大きいと考える。風評被害と言うものもあるが、マスメディアが報道する際にはもう少し検証して欲しいものである。
 検証と言えば、以前書いた「何も報道しなかった平壌支局」の中で、共同通信平壌支局が「山崎氏の訪朝に関して報道していない」との批判をしたが、実は「12日付け、平壌共同」というもので配信していたようである。その記事とは、
【平壌12日共同】北朝鮮訪問中の山崎拓・自民党前副総裁(党安全保障調査会長)は十二日、共同通信平壌支局と会見し、宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使ら北朝鮮側との会談で「北東アジアの平和と安定のため朝鮮半島非核化が最も重要だという問題」が取り上げられたと説明。二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明や〇二年九月の日朝平壌宣言に基づいた論議が行われたことを明らかにした。
 共同声明などにうたわれた核放棄や日米との関係改善、拉致問題について幅広く意見交換したとみられるが、宋大使がどのような立場を表明したかなど、会談の具体的内容は不明。山崎氏は、宋大使と「九日から十一日まで、五回にわたり十時間以上、話をした」とし、宋大使のほかに「政府や朝鮮労働党の要人とも二回会った」と述べた。十二日も宋大使らとの会談を続けるとの見通しを示し「これまで議論された内容を総括し、確認しようと思う」と話したが、宋大使以外の要人との会談内容については「公表しない」とした。
 会見は宿舎となっている平壌郊外の招待所で行われ、同行している山崎派の田野瀬良太郎衆院議員と山崎氏の秘書が同席した。
 山崎氏は九日に北京から平壌入りした。十三日午前に平壌を離れ、経由地の北京で記者会見した後、同日午後帰国する予定。」というものである。
 この事実から、共同平壌支局の沈黙と言う言葉は間違いであったといわざるを得ない。従って、読者の皆様に誤解を与えたことに関しては、謝罪をしたい。また、共同通信社に対しても事実誤認であったことを謝罪する。
 今日のNHKの報道で、「山崎氏、韓ソクジュ第一外務次官と会談」とあるのだが、このようなことが「洩れる」政府の体質、或いは山崎氏さいどの体質は考慮しなければならないのではないか。山崎氏は、帰国直後のインタビューに答えて、「誰とあったかは、北朝鮮サイドとの約束であるから、現時点での公表はしない」と言明されていた。この表明が正しいか、正しくないか?はともかく、言わないと言ったことがメディアに「洩れる」ことに関して、問題視する必要があろう。これが、政府関係者からの漏洩なのか?山崎氏本人からの漏洩なのか?わからないが、一度、公表しないと言った以上、おかしいと感じる。私の感触としては、「訪朝批判が絶えない現状を打破するために、蓮池氏と会い『評価する』という言葉を書かせたが、昨日の記事否定により、不利な状況に追い込まれた山崎氏が、訪朝の成果を強調するために、韓ソクジュの名前を出してきたのではないか?との思いが強い。それだけ、山崎氏に対する非難が多いのではなかろうか?もし、そうであるならば、日本はまだ「大丈夫」といえる。親父が言っていた「日本を信じろ!」を守っていけると思う。



2007.1.18

「蓮池透氏の山拓氏との面談」

 以下は、本日、蓮池氏と連絡が取れ、事情を聞いた。その内容に関して、家族会のメンバーに発信した内容である。

 家族会各位様  

 先ず、このような騒ぎになったことを謝罪されました。ただし、報道には意図的に捏造されたものがあるように感じるということです。
 透氏は、2004年の大連の会談の真意を聞きたいということで、以前から「山拓氏」に面会を申し入れていたそうですが、それが昨日になって平沢氏を経由して、面会の運びとなったようです。しかし、あくまで「蓮池透氏」個人としての面会を強調されたようですが、面会場所に行ってみるとそこに既にカメラが入っていたということでした。
 会談時に、透氏は「山崎さんの訪朝を全面否定するものではないが、政府方針とは違うのではないか。出来れば政府と一体化して『拉致被害者の救出』に努力して欲しい」といわれたようです。そこで、今回の訪朝に関して、売名行為ではないのか?ご自分の政治的な影響力の復権のために「拉致被害者を利用しているのではないか?」等々、詰問したようですが、山拓氏は訪朝に関し、持論を展開し、正当性を主張したようである。
 そこで、「そこまで考えているのなら、安倍総理と話し合って、日本として一体になってはどうか?」と問いかけたが、「直ぐには、できない(なぜ、出来ないのかは言明無し)」との回答だったと言うことです。
 透氏としては、今回の訪朝に関して「家族会」が反対していることは理解しているし、何等異論はない。ただ、「全面否定しない」と言ったことが「評価」という言葉に変えられ、非情に腹立たしい!「家族会」が今回の山拓氏の訪朝に関して、反対の立場をとっているのは充分理解している。とにかく「二元外交」と言われるような行為は謹んで欲しいと言うことを山崎氏に言ったということです。
 さらに、安倍政権の政策に対して批判したことはなく、報道のあり方に疑問を呈していました。今朝方、井上首相秘書官に電話し、真意をお話し、安倍さんの批判をしているのではない。今後も、安倍さんに期待している旨、告げられたようです。
 最後に、日本国内で分断しているような報道をすることは、北朝鮮を利するという思いであるということでした。最終的に、「山拓氏に利用されたという感が否めない」との感触であり、皆さんにご迷惑をおかけしたことを謝罪されました。
 今回の報道には、意図的に安倍政権の批判を展開し、日本サイドの分断を狙った報道としか思えず、担当者の「拉致問題への理解度の低さ」となにか、北朝鮮の工作をも感じさせる「胡散臭さ」もあるようです。
 実は、私も以前から「山拓氏」に面会し、北朝鮮国内で「どのような会話がなされたかを聞こうか」という思いもありました。当然、家族会・救う会の役員と話をしてから申し入れをしようと考えていました。

 今、国内が分断されるようなことがあってはならない。そのような報道になること事態が、山拓氏の訪朝の結果と言うことであれば、北朝鮮の意図としては成功であったかに見えるが、我々は北朝鮮との神経戦に負けぬよう、結束を固めたいと思う。



2007.1.16

「何も報道しなかった平壌支局」

 それにしても、今回の山崎拓氏の訪朝の模様を唯一目前で見ていたはずの報道局があるはずだった。それは皆さん周知の「共同通信平壌支局」。昨年、9月に幾多の批判を受けながら、公然と「北朝鮮に拠点を置くことにより、正確かつ客観的で質の高い報道を目指す」といって、テロ国家の支援をしてきたのであるが、その後の客観的な報道と言うものは見えずじまいであった。北京で平壌の現地スタッフの記事をチェックしていくと言うことであったから、やはり「北朝鮮政府の電波記事」だけで、記事としての質の高さがなかったのか?一向に共同通信の目指したものが具現化されてこなかったのであるが、今回の山拓氏の訪朝では、平壌支局設置の意味の絶好の機会であったはずである。
 平壌に唯一、日本の報道として現地取材が出来たはずであるから、どのようなニュースでも取り上げられたはずではないか?例えば、平壌空港に着いた山崎氏へのインタビューとか、平壌空港を出る時の山崎氏の様子とか、いくらでも記事は書けたはずである。しかし、ま〜、見事に沈黙を守ったのはどういう理由からであろう?
 北朝鮮当局に取材を拒否された?山拓氏に取材拒否にあった?それにしても客観的な報道と言うからには、様子だけでも客観的に記事に出来なかったものか?もし、現地記者が熱心な記者であったなら、取材拒否に会おうが、せめて「山拓氏の動向」くらいは取材しても良かったと思うのだが。
 共同通信社内では、この結果に関して反省とか総括とかしていないのだろうか?共同通信の所感も聞こえてこない。
 山拓氏の訪朝記事などと言う千載一遇の機会も捉えられずに、「北朝鮮に拠点を置くことにより、正確かつ客観的で質の高い報道を目指し」た意味があったのか?この反省を踏まえて、平壌支局の撤退と言う話が聞こえてこないのだろうか?
 いままた、数局が平壌支局開設を目指しているという噂が聞こえてきている。共同通信の結果を踏まえて、平壌支局の無駄を知って貰いたいものである。
 現在は、日本政府が制裁を課し、公務員の北朝鮮渡航自粛を求めている段階であるから、報道局としても動きづらいとは思うが、今後、また支局開設に懸命になる国も出てくるのではないだろうか?
 共同通信が何等記事を送れなかった理由は、明白だろう。北朝鮮社会は、極端な統制社会である。そのような中で、自由な取材も出来ないわけだし、客観的な報道も出来ないわけである。そのようなところに支局を開設するということが何を意味するか?当然、支局開設のための賄賂を支払わなければならないだろうから、現金を北朝鮮政府に支払うことになるのだろうが、それは、まさに「テロ国家」に対し現金を供与し、北朝鮮人民の苦難を増殖させることであり、核実験を行うための資金にされるということである。つまり、「テロ支援組織」になるということである。
 各報道には、もう一度一考を期待したい。



2007.1.15

「会えただけが成果というのは・・・・・?」

 山崎拓氏が帰国して、メディアでの話の中で「対話が出来ただけで、成果といえる」と言うのはいただけない。
 日本政府が今、六者協議の中でも無理をして北朝鮮代表との対話を求めていないのは、北朝鮮サイドに対し、優位な立場を崩すことが国益に反するとの判断からであり、対話をしようと思えばできると言う状況である。そのような中で、「北朝鮮に対する制裁の発動」・「国際社会の北朝鮮への制裁強化」を求めていこうとしている状況の中で、個人的なつながりを駆使し、個人の考えで訪朝という愚挙を敢行しておいて、「会えたことが成果」というのは単なる「自己賞賛」に過ぎない。
 更に、北朝鮮で誰に会い、どのような話をしたかということすら話そうとしないのでは、何をかいわんやである。「今回の会談相手を公表しない」と言ったのは、山崎氏側からという感触を受けるのであるが、何ゆえにそれほどへりくだって、北朝鮮との対話をしていこうというのか、意味がわからない。我が国が今なすべきは、2004年に「小泉下総理と金正日」との間で合意した「平壌宣言」を生き返らせることではなく、周知の事実である「北朝鮮の平壌宣言違反」を批判し、追及することではないか?それをすることなく、北朝鮮の言い分をマスメディアを通して、日本国民に伝えるような行為は、如何なものであろうか?「拉致問題は解決済み」・「松本京子さんは知らない」という北朝鮮の言い分を聞いて、どのような反応を示したのだろうか?
 男・山拓、きっと北朝鮮担当者の胸倉をつかみ、そんなバカなことがあるかと怒ってもらえたのだろうな!「めぐみさんの遺骨と称する物は、偽者であった」と言うことを強く担当者に問いただしてもらったんだろうな!この問題がはっきりするまで、日本への帰国は出来ないと言ってもらったのであろうな!
 それにしても、山崎氏は、「北朝鮮との対話が必要」と言って訪朝されたのであるが、北朝鮮との対話の前に、「拉致被害者家族」との対話をしても良かったのではないか?官邸サイドとの対話を密にしながら、北朝鮮との対話をすべきではなかったのか?日本においての対話は必要ないが、北朝鮮との対話はしなければならないと言う論法は、理解が出来ないのであるが。北朝鮮との対話をするにも、日本政府がどのような方針なのか充分に理解しないまま、北朝鮮との対話をするというのは、北朝鮮の言い分だけを聞いてくるという愚行に過ぎないのではないか?今回、北朝鮮での対話の相手とか?内容などを公表しないということだが、それは「しない」のではなく。「出来ない」のではないか?
 北朝鮮にとって「利用価値のない」人物との、労働党高位高官の面会というものはありえようもなく、山崎さんは訪朝してみたが、結局、軽くあしらわれたか、大連での話し合いの約束違反を追及されたか、その程度で終わってしまい、何も評価すべきものが得られなかったから、沈黙を守り、さも何か重大な成果のようなものがあったと思わせたいがための物ではないのか?ま〜、そう批判されても仕方のない今回の訪朝であったし、そのようにしか見えないものであった。馬鹿馬鹿しいとしかいえない。
 結局、山崎氏のパフォーマンスに時間をとられたメディアのくたびれ損であろう。
「膠着状態」という方々がいるが、今の日朝関係は「膠着状態」ではなく、日本政府が初めて主体的に責めている状況であり、北朝鮮政府の譲歩を引き出す前の一時的な停滞であると言う認識が不足しているようだ。



2007.1.12

「同じ穴の狢!」

 やはり加藤紘一元幹事長は、山崎拓氏を擁護したか!加藤氏曰く「半年後くらいには意味があったと理解されるのではないか」と評価したらしい。加藤氏らしいといえば加藤氏なのだが、平沢氏が言っていた「政治家は結果責任」という言葉をどのように理解しているかわからない加藤紘一元幹事長は、この言葉を如何受け止めているのか?
 1995年、加藤氏が自民党幹事長当時、当然のように政府関係者は「北朝鮮による拉致事件」を知っていたにもかかわらず、幹事長責任で北朝鮮に50万トンの食糧支援を行った。当時、加藤幹事長が、「拉致被害者救出」のために動いたと言う話を聞いたことがない。当時、加藤氏が「拉致事件を知らなかった」とは言わせない。1988年には、国会の参議院予算委員会の政府答弁のなかで、梶山静六国家公安院長(当時)が、「6件9人は北朝鮮による拉致の疑いが濃厚である」と明言していたのであるから、これを当時も政権の中心的な存在であった加藤氏が知らないと言うことはない。もし、本当に知らなかったとしたら、国民の生命・財産を守るべき国会議員として資質が問われても仕方ないと思うが。
 あれから、既に10年以上の歳月が過ぎ、あの時の「50万トンの食糧支援」が評価されるのであろうか?国費を使った「食糧支援」を行いながら、「拉致事件や被害者救出」のために何等寄与せず、今では、北朝鮮の核開発さえ行われたことを考えると、加藤氏の行為は、日本の安全を脅かす政権に援助したものであることは明らかだ。北朝鮮は当時、「日本政府が差し上げたいと言うから、我が国は食料に瀕していないが、犬にでも食わせておけ」といわれるような国辱的な行為をしておいて、未だにその責任を取ってはいない。
 そのような感覚だから、「半年後には評価されるのではないか」などと能天気なことしかいえないのであろう。政治家として、当時の国費の無駄使い、いや、それだけに留まらず、彼らが支援米を転売して、核開発の資金を捻出した恐れさえあることに対して、責任を取らなければならない立場ではないか!先ず、ご自分の責任を説明する責任があると思われるのだが!
 加藤氏や山拓氏は、極めてリベラルな感覚の持ち主であるのであろう。だから、北朝鮮を擁護し、北朝鮮に踊らされてしまうのではないか?北朝鮮と対峙し、闘いをしている方々とは違い、北朝鮮政府にとって都合の良い政治家として、歓待をされた国会議員の多くが篭絡されたように、リベラル派といわれる方々は、北朝鮮と言う悪魔の政権の正体を見抜いていないのではないか?それとも知っていて、悪魔に手を貸したのであろうか?
 北朝鮮人民が、金正日政権が崩壊し自由化した時に、日本の政治家を断罪しないとは限らない。1990年代後半、北朝鮮の食糧事情が困窮した際に、世界中から食料が贈られ、せっかく緩んだ「国家保衛部」に対し、食料が配られ、人民に対する締め付けが厳しくなったといった羹チョルファン氏の声が聞こえていないのか?
 半年後と言うが、これまでの山拓氏の「議員外交」が成功したことはあったのか?大連の会談もあったが、評価の対象になったのか?あの会談を評価しているのであれば、何をかいわんや!であろう。



2007.1.11

「それはないでしょ!」

 山崎拓代議士の訪朝の余波を受け、生番組で平沢代議士と久しぶりに会う機会を得た。昨年、ある方の仲介で平沢代議士と会う機会を得て以来7ヶ月ぶりであろうか?今回の山崎代議士の訪朝に関して、平沢氏は「極めてリスキーな訪朝になる」といって注意したと言っていたが、もしそれが事実としても、平沢氏が番組中にはっきりと「被害者が生きているかどうか?私はわからない」と発言したことは問題である。
 再三言うが、安倍政権の見解は「全員生存」という前提で北朝鮮との交渉を進めていく方針である。然るに、平沢さんは内閣府副大臣という立場でありながら、「生きているかどうかわからない?」という。これは、内閣府副大臣としてはいただけない見解である。安倍総理は、政府内に「拉致問題対策本部」を設置し、自らが本部長となり、官房長官を副本部長、全省庁の閣僚を対策本部の構成員としている。つまり、平沢氏は対策本部の一員であり、当然、「被害者全員生存」の立場を表明しなければならない。政治家として、自分の意見はあろうが、政府の方針に反するような発言を公然としていて、副大臣が務まるのであろうか?
 平沢氏は山崎派の一員でもあるから、山崎氏を擁護していくのはわかるのであるが、派閥の一員である前に、政府の一員の立場が優先すると考えると、拙いのではないか?しかし、結局このような考え方が山崎氏の主要な考え方であり、それを踏まえての訪朝と考えざるを得まい。
 2003,4年の「北京」・「大連」会談を通じて、平沢氏が「宋イルボ」との会談の中で、ある話をされて、それを信用してしまったことから、「小泉再訪朝」時の中途半端な対応となった。だから、小泉前総理も同様に「私はわからないが、家族が納得しないから家族の納得するように再調査を依頼した」のである。
 我々も、直接金正日との対話が出来た「小泉再訪朝」時に、もっとやりようがあったと思うのだが、結局あのような結果しか出せなかったのは、事前に山拓氏から「被害者死亡」の強い状況があるように思われると言う話がなされたからではないか?
 「5.22」の再訪朝のとき、私たちが怒りを感じたのは、小泉政権の中途半端な被害者への思いを感じたからでもあった。それが、再調査の結果が出ても、政府見解として「被害者全員生存」を受けても、平沢氏も山拓氏も小泉氏も変化していないと言うのは、同じ日本人として情けなくなる。
 早紀江さんが言われる「日本国が一つになって、悪魔の金正日と対峙しなければならない」時に、考え方の違う人たちが政権の中に存在することが、拉致の解決を遅らせているとしか思えない。残念である。
 私たちは、安倍政権を信用し、支持していることに変化はない。これからも拉致被害者の救出のために、最大限の力を発揮して欲しい。そのためにも政権基盤を磐石なものにしてもらわねばならない。
 大体、平沢さん、もう「北京会談」で同席していた人物の存在を言うべきではないか?



2007.1.10

「やはり解せない!」

 山崎拓氏の訪朝に関して、昨日も話したが、いい足りない部分もあった。そこで、今日もその情報に関して感想を述べたい。
 昨年の「日朝包括協議」(2月)が開催された時、我が国の方針としての拉致問題への取り組みを告げ、北朝鮮の立場に関する意思を聞き、お互いの立場の確認を行っている。しかし、結局基本的な立場の確認をするだけに留まり、何の進展も見られなかった。今後の「日朝協議」の再開も約束されないまま、協議の終了を見たわけであるが、その時に私が申し上げたのは、「今、2月ですが我々には、それほど多くの時間が残されていないと感じている。せめて、次の協議日程を決めるべきではなかったか?私たちの思いは、今年中に被害者を帰国させ、エネルギーも不足し、食料も不足している北朝鮮で、厳しい冬を過ごさせることは出来ない。」何度も何度も言い続けていることを、再度強く念を押したのであるが、そのときの外務省担当者の言い分は、「北朝鮮との交渉において、こちらから何かを望む立場をとると、相手に有利な状況を生み出します。ですから、此方から『懇願する』姿勢は見せることは出来ません。しかし、今後早期に日朝協議再開を目指したい」との回答であった。
 長い年月を、家族の帰国を望み、北朝鮮との闘いを続けてきた家族にとっては、物足りない言葉ではあった。しかし、その説明に「家族会」は理解を示し、外務省の姿勢を評価してきたのは、「北朝鮮との話し合いの上で、最も必要なものは、何にも屈しない強靭な意志であり、毅然とした姿勢である」と信じているからである。だからこそ、時間が多少かかろうと「拉致事件の全面解決のために必要な姿勢」を評価したのである。
 昨年末の「六者協議」に関しても、北朝鮮の態度が変わらないまま、こちら側から北朝鮮に歩み寄る必要がないと信じているから、実質的な日朝協議がなされなくとも評価した。又、安倍総理以下、主要閣僚の発言として、特に麻生外相の「拉致問題の解決がない限り、六者協議の中で核問題の進展があろうと、我が国に支援負担を求められても応じられない」といった、六者協議参加国に対する我が国の立場の表明であった。だからこそ、「家族会」は、批判もせずに淡々とこれを受け入れた。
 その経緯も知らない山崎氏が、「北朝鮮問題の膠着状況」という判断をしたのは、一般的なメディアの見方と同じ目線であり、国会議員としての先を読んだ行動とは思えない。私は、今回の山崎氏の訪朝を許可した北朝鮮の事情と言うものは、「日本の毅然とした表明にあせりを感じた北朝鮮政権が、日本の世論を懐柔するためのもの」との見方をしている。
 多くのメディアが、「北朝鮮との交渉が膠着状況」との判断をしているがために、誤った見方での訪朝を画策して、訪朝を決意されたものではないか?今、北朝鮮問題は、膠着状況ではなく、我々に有利に動いていることは確実である。今年に入って、北朝鮮報道により、「日本非難」を強めた言葉と言い、昨年からの日本の「六者協議への参加を拒否した」姿勢といい、北朝鮮政府は、日本の独自制裁に困惑していると感じられる。
 このHPでも、何回も言ってきたが、「北朝鮮との対話」は圧力なくして真の話し合いは出来ない。昨年から、北朝鮮は「米国の金融制裁の解除」をもとめ、米国との二国間対話を求めてきた。
 今、我が国がやるべきは「北朝鮮との平壌宣言の確認」ではなく、北朝鮮の「平壌宣言違反」を厳しく追及すべき時である。
 北朝鮮との交渉は、膠着状況ではなく、有利に物事を進めている状況である。だからこそ、何も知らない方に引っ掻き回されたくない!



2007.1.9

「意図が理解できない!」

 山崎拓代議士が平壌に入った。昨年から「訪朝の噂」はあったし、山拓氏も意欲を見せていたのだが、北朝鮮政府にとって「山拓氏の存在」が意味のあるものとは思えないため、北朝鮮政府が入境を許可するとは思えなかったからだ。これまでの議員外交としての訪朝には、それなりの意味があった。即ち、北朝鮮政府にとっての利益の意味である。「田辺・金丸訪朝団」しかり、その後の訪朝団の受け入れ等、考えると其処には北朝鮮の利益があった。2002年の「小泉総理訪朝」に関してもそうであった。当然、北朝鮮は米国の言葉の圧力に怯え始めて、日本の協力が必要になったから、「日本との国交樹立」の実現を図った。
その2年前には、韓国大統領であった金大中氏を受け入れたが、其処にも韓国の経済協力と「5億ドル」とう現金の存在があった。小泉総理の訪朝時にも、噂の息を出ないが。「5億ドル」相当のお金が動いたといわれる。
 そもそも、「金丸訪朝団」が訪朝する際に、総連の幹部が「訪朝団の手土産」として「50億円」のお金を用意したという。このように、北朝鮮訪問には、とくに「金正日」との会見を遂げるときには、それなりの金が要ったということである。しかし、今回は「金正日」との面会はセットされないであろうから、さほどのお金は必要あるまい。それでも北朝鮮が山拓氏を受け入れた理由がハッキリしない。
 失礼であるが、山崎氏の考える「北朝鮮問題」とは、日朝の国交樹立問題である。だからこそ、今回も「平壌宣言の確認」という言葉を使っての訪朝である。其処に、「拉致被害者の救出」への強い思いは感じられない。2004年の「北京会談」後も、拉致問題の解決ではなく、終結を謀るための会談であったことは、その後の「総理再訪朝」の仕様で歴然である。私は今でも、会談後の「宗イルボ」の喜びようを忘れられない。
 今回の山拓氏の訪朝に際し、どのような思惑があるのか理解できないのだが、官邸サイドの関与は考えられないし、官邸は、山拓氏とは違い「全ての被害者の救出」が大前提であり、2〜3人の帰国での問題解決は考えていない。以前、官邸筋に山拓氏の訪朝問題に関して、尋ねたことがあるが、その時も「政府は全ての被害者の救出を考え、動いているので、彼等の考えとはちがう」ということをはっきりと言っていたことを思い出す。
 山拓氏に少しでも「被害者救出の意思」がおありなら、訪朝したのなら、被害者全ての返還がなされるまで、平壌に止まって欲しいものである。それほどの覚悟を持って訪朝するのでなければ、成功裏に終わることはあるまい。
 四年前、中山参与(当時)が被害者5人を迎えに行った時、北朝鮮が突然、彼等の帰国を拒否したときに「帰国の実現するまで平壌に滞在する用意」までされたことを考えるとき、元副総裁の訪朝であるならば、全ての被害者の帰国まで居座る覚悟で行ってもらいたい。



2007.1.2

「美しい国・日本」

 元日、高幡不動前での署名運動(救う会・東京の有志、古賀都議等と)に参加した。時間を間違えたのか、14:10頃、京王線「高幡不動前駅」に着いたのであるが、署名をしていたのは「原水協」の「核廃絶のための署名運動」であった。少しの時間があると思い、「高幡不動尊」で初詣を思いつき、不動前まで進んだのである。其処には、多くの参拝者が並び、境内に入るのに30分以上かかってしまった。
 しかし、多くの日本人はやはり、「初詣で」という日本古来の正月の形式を忘れずに、美しい精神を継承していることに嬉しさを覚えた。境内は人でごった返し、なかなか進まぬ行列にも、列を乱すものなく粛々と前に進み、礼拝する姿に日本人の失われていない心根を感じる。不動尊に来たのは、初めてのことであったが、日光東照宮のように彩られた「五重の塔」や正月化粧を施した境内の姿にも、日本の心を感じることが出来る。
 今、「安倍政権」の目指す「美しい国」というものの概念が分かりづらいと言われるのだが、ただ単純にこうした「日本古来の風景」を継承していく心を育んでいくことでも、日本という伝統ある国家の一員としての心を取り戻していけるのではないだろうか?
 参詣を済ませ、駅前まで戻ると「救う会の有志」が署名運動を始めていた。すぐ参加し始めたのであるが、初詣でに忙しい多くの方々が、少し日が翳り、寒さを感じるようになった中、足を止めて署名してくださる姿に感動を覚える。私たちは、ひとつひとつ地道な活動をしていっているが、こんなときでも声をかけ。励ましてくれる多くの方々には感謝したい。
 日本の正月風景を都会の中ですごしたのは、初めての経験であったが、都会にはあちらこちらに古の昔から続いている多くの行事を継承している場所がある。その美しさは、いかなる文明国家や先進国にもない日本特有のものである。
 私が、最初に日本古来の伝統の美しさに気づかされたのは、平成元年の「先帝・昭和天皇陛下」のご逝去に伴なう一連の儀式を目の当たりにし、その美しい多くの儀式に感動を覚えてことに始まる。それまで、「天皇制」というものに対し、深い思いもなかった自身であったが、一連の儀式の美しさに、日本にはこんな「素晴らしい文化・伝統」が存在することに嬉しさを感じたことが、私の中に、この文化・伝統は守っていかなければならないものであることを自覚させた。
 いかなるきっかけであろうと、自国の文化・伝統を認識することこそ、自分の国を守るという心につながり、自分の行動に対する責任を覚えていく結果になるのではないだろうか?
 今、人は「恥」というものを忘れつつあるように思う。理屈ではなく、恥ずかしいと思う心がなくなって、恥ずかしい行為を平気でしてしまう世の中になってはいないか?日本精神の真髄である「恥の文化」をもう一度考えるときではないだろうか?
 こんなに美しゅう風景や・伝統を持つ国であるからこそ考えたい。そこから、「美しい国つくり」の第一歩が始まる。



2007.1.1

「美しい国へ」

 平成19年の元旦、長かったような短かったような平成18年が終り、新しい年を迎えた。念願であった「拉致問題に熱心な総理」が誕生し、これから新しい国つくりが始まる。それは、安倍総理の推進する「美しい国」への始まりである。
 総理就任以来、過酷な党内事情とマスメディアの批判の矢面に立ち、支持率の低下が叫ばれた安倍総理であったが、「復党問題」や「タウンミーティング」の件での批判は、本質的なものではなく、いわば「足を引っ張りたい」方々のなせる業であろう。
 私は、基本的に昨年の「郵政解散」での保守派の離党に関しては疑問を持たざるを得なかった。巧妙なわなの中に陥った方々が、正論を貫き反対票を投じた。それに対し、言論封殺のようなやり口で、一方的に「反対勢力」のレッテルをはり、劇場型の選挙を演出した前総理には、疑問を持っていたし、現在「地方郵便局」の実体がつかめない以上、未知数の危険性を感じざるを得ない。又、安倍総理と志を同じする「いわゆる復党組」との連携は、当然あってしかるべきと思うから、後の選挙区騒動は党運営の稚拙さの問題で、本質的な問題ではないと思う。「タウンミーティング」に関しては、やらせといわれようが、最初の質問者をつくることは、ミーティングの活性化にも必要であったことと思う。ただ、いただけないのは「先生の出迎え」や「ケアー」に破格の出費があったことである。又、最初の質問者に対する「謝礼」などというものは、勘違いも甚だしいと思う。その様な発想しかしてこなかった「担当者」は、しかるべき処分がなされるべきであろう。
 本間氏や佐田氏の場合は、個人的な問題であり、それを見抜けなかったからといって、はたして「任命権者」に責任があったろうか?それだけ、人材が不足していたということだろうし、だからこそ志をともにする同志を必要とするのではないか?
 今年の通常国会では、民主党が「佐田氏、本間氏」の問題を取り上げ、与党を追及するといわれているが、話し合わなければならない大切な問題があるのではないか?「北朝鮮の核問題」は、国家の安全保障上、重要な問題であるし、同様に「国民の生命」に関する「拉致」もともに喫緊の問題であろうに、この重要な問題を国会内で追及し、反論し、真剣な論議がなされなければならないのに、旧社会党のような思考を繰り返すというのは如何なものか?北朝鮮の核問題を放っておいて、馬鹿な人物のことで国会が動くことのおかしさを感じないのかな?
 美しい国とは?総理の提唱する「美しい国」を皆で考え、本当に作っていかなければならない時期ではなかろうか?「いじめ問題」や「犯罪―家族間の殺し合い」の多発する国にはしたくないだろう!だからこそ、緊急になすべきことをなしていかなければならない。
 10年後、「正しい教育改革」が実を結び、賢い国民の増えることを望む。既存のメディアでは、「おもしろおかしく生きれれば良い」人間を生み出すだけであり、教育の現場にメスを入れてこそ、日本の伝統や文化といったものを大切にし、美しい心をもった人間を作り出すべきであろう。今から始めなければ、間に合わなくなる。
 私たちは、今年こその思いで「被害者救出」のために動いていくしかないのであるが、その過程を通じて、私たちの住む国「日本」が国民を守り、国土を愛する国民のあふれる国になってもらいたいと思う。

 旧年中は、多くの方々に支えられたことに感謝したい。そして、今年は更なるご支援をお願いしたいと思います。被害者が美しいといわれる日本ですごすことの出来るように!
多くの方々にお会いしたいと思います。



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