今年から出産に対応する医療機関がなくなった国東市の野田侃生(ただお)市長と猪俣俊雄議長が11日、県庁に広瀬勝貞知事を訪ね、国東市民病院の産婦人科医など医師確保の必要性を訴え、支援を要望した。

 市民病院は2005年に産婦人科を休止。その後、同市で唯一お産ができた医療施設の福田産婦人科内科医院も昨年いっぱいで出産の取り扱いをやめた。

 野田市長らは12月定例市議会で可決した意見書と市の要望書を広瀬知事に提出。「市内で分娩(ぶんべん)ができず、若者の定住を阻害する。内科医も不足している」として、医学生への奨学金制度の充実や医学部定員への地域枠設定など医師確保策を求めた。

 野田市長は、市出身の医師四十数人に国東市民病院への勤務を昨年下旬に文書で呼び掛けたところ、うち1人が、医師3人で出産に対応できる態勢が整えば帰郷する意向を示したと報告。広瀬知事は「医療体制の充実を図る努力を続けたい」と述べた。

=2008/01/12付 西日本新聞朝刊=