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社民党の政策

“社民主義政策で、安心の社会保障。”

政府の構造改革によって、医療、年金、介護、障がい者福祉など社会福祉制度の改悪が相次いで行われました。公的支出の削減と国民の負担増を強引に進めた結果、もっとも社会保障が必要な低所得者や社会的困難を背負った人びとが制度から排除されるという深刻な事態がおきています。

保険料を払えずに国民健康保険証が取り上げられる、障がい者の食事やトイレ介助にも利用料が課せられる、生活に必要な介護やリハビリが一律にカットされる…。所得格差、健康格差、生活水準の格差が拡大しています。一刻も早く、改悪を見直し、国民の信頼を取りもどさなければなりません。

一方、現行の社会保障制度は、右肩上がりの経済成長を背景として、一家の大黒柱が終身雇用制度のもとで働くことを前提に、企業内・家庭内福祉を含んで設計されています。雇用と生活形態の大きな変化と迫り来る高齢社会に対応するためには、抜本的な社会保障制度の見直しは待ったなしの課題です。

社民党は、基礎年金を最低生活費と規定し直して、老後の生活の安定を図ります。さらに、若者支援、出産・子育て支援、長期失業者の再就職支援、高齢者・障がい者の雇用と社会参加の促進など、人生の節々に力点を置き、性別、年齢にかかわりなく、一人ひとりの能力が発揮できよう積極的な福祉政策を行います。

年金・信頼の年金制度を確立します

 公的年金制度は、保険料が2017年度まで毎年引き上げられ、逆に、受け取る年金額は徐々に抑制されています。また、政府が約束している給付水準(モデル世帯で現役世代の平均手取り賃金の50.2%)は、その前提(出生率、納付率等)が、すでに崩れ始めています。また、収納率の向上をみせかけるために、社会保険事務所が本人に無断で行った国民年金不正免除・不在者扱い事件は、社会保険庁のみならず、年金制度そのものの抜本的な見直しを迫るものです。

 社民党は、働き方や生活スタイルによって異なる複雑な年金制度を一元化し、基礎年金を最低生活費と規定する「基礎的暮らし年金」(一階建て部分/全額税方式/だれでも必ず月8万円)を創設します。また、「所得比例年金」(二階建て部分)を組み合わせて老後の生活の安定を図ります。

1)「基礎的暮らし年金」の創設

目的:
一人ひとりの老後の最低生活保障という観点から、現在の国民年金(基礎年金)に替わるものとして創設

支給:
月額8万円
*生活扶助基準は68歳単身世帯で8万820円(東京都区部等) 65歳以上(居住期間を要件とする)

財源:

(@)税(所得税、法人課税など)

(A)企業が負担する保険料の半分(雇用している労働者の賃金総額に一定比率をかけて算出。比率は大企業と中小企業とで差をつけ経営力の弱い中小企業の負担を軽減する。企業が負担する保険料は、雇用者、自営業等の区別なく年金制度全体の財政基盤を強めるために使う)

(B)国民の保険料負担は求めない

2)「所得比例年金」(二階建て部分)

目的:老後の安定した生活を図るために、「基礎的暮らし年金」の上に創設

財源:

(@)所得に応じた国民からの保険料。働き方等にかかわらず全員同率。保険料率は現行の厚生年金保険料14.6%の2分の1(労働者分)を基準に調整する

(A)企業の保険料の半分…1)の(A) 

3)その他

・高額所得者については、保険料、受給額とも一定額で上限を設ける

・夫婦はそれぞれの年金額を足して2で割る二分二乗方式を採用する

・現制度から新制度への移行期間をおく

・新年金制度(完全一元化)について国民的な議論を保障することが必要

※2007年、夏の参議院選挙で最大の焦点となった「年金記録問題」について、社民党は年金問題対策プロジェクトチーム(保坂展人事務局長)を設けて、独自の視点で追求してきました。
「宙に浮いた年金問題」が発覚するはるか以前から年金問題を追及してきた保坂展人議員の下記の著書も、ぜひご覧ください。

年金のウソ
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年金危機の本当の原因はここにある!
国民に隠され続けた「年金積立金」の使われ方をレポート。

年金を問う
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年金積立金147兆でメガバンク誕生。
年金利権の歴史を振り返り、6月国会で成立の年金法が産んだ新年金利権を追う。

医療・安心と安全、納得の医療を実現し、医療格差、健康格差をなくします

政府・与党は、06年6月に医療制度改革関連法を強引に成立させました。主な狙いは、今後予想される高齢者医療費の伸びを抑制することです。高齢者の窓口負担が、06年10月と08年4月の二段階で引き上げられるほか、70歳以上の療養病床入院患者の食費・居住費は全額自己負担となり、高額療養費の自己負担上限額も引き上げられます。また、「社会的入院の解消」を名目に、慢性患者が入院する療養病床を大幅に削減する予定です。

健康保険制度の再編も行われ、08年4月からは、75歳以上の高齢者と65歳以上の障害者が入る後期高齢者医療制度が始まります。同制度は、医療費の管理を他の世代と別枠で行うため医療格差が心配です。また、全加入者から保険料を徴収(年金天引き)し、滞納すれば保険証が取り上げられるという点も問題です。政府管掌健康保険は08年10月から、全国単位の公法人「全国健康保険協会」が運営します。都道府県ごとに支部をつくり財政運営を行うため、現在、全国一律の保険料に格差が生じてきます。一方、都道府県や各保険者には、生活習慣病対策を通した医療費抑制が義務付けられます。目標が達成できない場合には、保険料の引き上げや個別の診療報酬を策定できることになります。生活習慣病予防を目的に、健診や健康指導が義務付けられますが、その費用負担は受診者にはね返ってきます。

経済財政諮問会議等の強い要請により、お金がなければ受けられない医療を拡大する「混合診療」が実質的に解禁されました。さらに、治療費の一定額までを保険外とし全額患者負担にする「保険免責制」も検討されています。政府の医療制度改革は、国民の健康を守る国の役割を弱め、地方自治体や保険者、国民の自助努力に責任を押し付ける非常に問題の多い内容といわざるを得ません。

「病院がつぶれる」「医師がいない」「出産する場所がない」…、地域医療の崩壊は深刻さを増しています。所得格差が拡大するなか、国民健康保険の保険料が払えず保険証が取り上げられた世帯は32万件に達し、国民の命と健康は危機に直面しています。

日本の医療費水準はOECD加盟先進7ヵ国中6番目の低さです(国内総生産GDP比7.9%、平均9.8%、2002年)。逆に、日本の医療費自己負担割合は同7ヵ国で一番高いのです(17.3%、米国14.1%、2005年)。安全かつ安定した医療を確保していくためには、これ以上、医療費抑制策に走るのではなく、必要な所に効率よく適切に、財源と人材を投入していくことが急務です。

社民党は、人びとが地域で安心して暮らせるよう必要な医療の確保を最優先の課題とします。国民の健康権・生存権を保障するために、医療保険制度、医療提供体制、診療報酬体系の整備を行います。

(1)地域に必要な医療を確保

  1. 世界保健機構(WHO)の報告(2006年4月)によると、日本の1000人当たりの医師数は1.98人で、OECD加盟先進諸国の中で最低水準です。医療費抑制のために踏襲してきた医師過剰論を捨て、高齢社会、地域の変化など、実態に即した医師の需要を適格に把握し、医師の養成、適切な配置を行います。
  2. 専門性を必要とする病院と日常的な医療や健康相談が受けられる「かかりつけ医」となる診療所の役割分担を明確にします。そのうえで、病診連携の体制を構築し、地域の円滑な医療供給体制をつくります。
  3. 救急医療、へき地医療、産科・小児科など不足する診療科目の補充、先駆的な医療や難治性の疾病等に関機能など、重点細目を整理し、公立・公的病院か民間病院かを問わず、両者を対等な立場において、病院、医師の確保に公的資金を投入します。
  4. 大学と地域の病院と都道府県が一体になって医師育成機構を設置します。地域の第一線で総合的診療ができる医師を育成し、安定的な医師供給体制をつくります。同時に、専門医になるための訓練や総合診療医としての技量を向上できる環境を整えます。
  5. 地方病院への就職を誘導する医大生への奨学金制度の創設、へき地医療の経験を専門性として認定するなど、地方勤務を評価する制度をつくります。
  6. 地域の医療を守り、充実させていくためには、住民・患者、医療機関、自治体、相互の理解が必要です。それぞれの代表が集まる医療評議会をつくり、地域医療計画などの協議、決定に意見を反映します。
  7. 出産の8割は医療を必要としない自然なお産で、助産師が手当できるものです。地域の拠点病院に医師を集める集約化によって、地方の産科病棟を閉じるのではなく、助産師外来や院内助産所を開設することによって出産の場を確保します。また、妊産婦の満足度が高い開業助産師を支援強化します。
  8. 女性医師が復帰できる研修、子育て支援、複数で仕事を分け合う勤務態勢など工夫をし、女性医師を積極的に活用します。
  9. 小児救急、産科、麻酔科などについて診療報酬上の評価を行います。

(2)患者の自己負担増をストップ

  1. 患者負担の引き上げは、経済的に受診を抑制します。早期受診を阻むことは重症化や医療費の上昇につながります。これ以上の患者負担増は行わず、70歳以上の医療費自己負担は1割、現役並み所得者は2割に戻します。
  2. 70歳以上の療養病床入院患者に関する食住費の全額自己負担化による影響を調査し、きめ細かな低所得者対策を行政が行う仕組みをつくります。
  3. 治療に必要な医療は、原則としてすべて公的保険で給付すべきです。保険診療と保険外の自費診療を併用する混合診療の解禁は認められません。新しい医療や高度な医療技術は、安全性、有効性、普遍性が確認される場合は迅速に保険適用を図ります。また、差額ベットなど、例外的に自費併用を認める部分の拡大を制限します。
  4. 高額療養費は上限額のアップを凍結します。、医療費1%の加算部分を廃止し、定額部分のみのわかりやすい制度に変更します。

(3)無保険者をなくし、医療を受ける権利を保障

  1. パート、アルバイトなどを含め、すべての被用者を組合健保または政管健保に加入させることを義務づけます。中小零細企業や個人事業主については、実態に即して、雇用主負担割合の減免措置を講じます。
  2. 国民健康保険料は、医療費を按分して負担を課す現行方式を見直し、所得に応じて累進的に負担する応能負担方式に改め、払える保険料にします。
  3. 国民皆保険制度の趣旨から、資格証明書を義務づけた法律を廃止し、保険料滞納者であっても正規の保険証を交付する制度に変更します。

(4)地域医療の活性化で老人を含む医療費を抑制

  1. 健康診断や保健指導で病気を予防する先進的な地域の取り組みに習い、自主的な地域医療の活性化で老人医療費の抑制に取り組みます。
  2. 新設される高齢者医療制度は世代を分断し、高齢者への医療内容に格差をつくるものです。年齢で区切った独立方式の高齢者医療制度は取らず、現行の二次医療圏を適正な規模に再編し、地域医療に基礎を置く地域保険制度への一元化を検討します。
  3. 今後、都道府県は市町村との連携のもとに、医療計画、医療費適正化計画、保険事業支援計画、健康増進計画、地域ケア整備計画構想を担うことになります。各自治体の取り組みが発揮できるよう、権限と財源の移譲を行います。
  4. 都道府県・市町村の一般会計における医療費の持ち出し分について、国から適切な財政支援措置を行うことによって、地域の医療格差を是正します。どこにいても、医療を公平に受けられる権利を保障します。
  5. 国保運営協議会、医療対策協議会等や「健康増進計画」「医療費適正化計画」などの策定に、住民の意見が反映できるよう仕組みを整えます。また「自分たちの健康は自分たちでつくる」「地域の医療を地域住民が支える」という意識改革を行い、地域の健康増進、地域医療の確保を進めます。

(5)予防、健康増進、リハビリテーションなど健康づくりの推進

  1. 早期発見、早期治療はもとより、積極的な健康増進、休養から社会復帰までの支援を、国・地方自治体が系統的に行い、生涯にわたる健康づくりを推進します。さらに各保険者が保険者機能を発揮して健康増進を行うとともに、企業が雇用者の健康管理に責任を負うことで、相乗的な効果をあげます。
  2. 食生活の改善、日常的な運動、喫煙・飲酒対策など、地域、職場、学校を通して、生活習慣予防対策に積極的に取り組みます。
  3. 機械的な日数のみでリハビリテーションを打ち切りのではなく、個々の患者の必要性に応じて、リハビリテーション医療を提供できるよう条件を整えます。

6)医療費抑制政策から医療の効率・質を重視する政策へ転換

過度な医療費抑制は医療現場を荒廃させ、公平性を崩し医療格差を拡大させます。政府が行うべきは、医療の質と効率の向上を図るために医療費を投入し、それ以上の業績を上げることです。

  1. 医療の質、公平さを含めた総合的な評価基準(医師の養成数、主な死因による死亡率の低下、入院待機者数、医療従事者の職業満足度など)を設け、医療費の費用対効果をチェックする仕組みを導入します。
  2. 国が国民に情報を公開し、説明責任を果たしながら真の医療制度改革を進めます。

(7)勤務医等医療従事者の労働環境を改善

  1. 日本の医療は、医療従事者の長時間労働によって支えられているのが実情です。特に産科、救急などの病院勤務医は連日の激務によって破綻寸前です。労働時間の制限、超過勤務時間の制限、医師、看護師の配置を手厚くするなど、労働条件の改善を図ります。医療労働者が希望と誇りをもって働くことのできる職場に改善します。
  2. 医療従事者の生活の安定、質の向上によって、医療ミス・医療過誤の防止と医療資源の確保を図ります。

(8)医療と介護・福祉の連携を強化

  1. 在宅療養や在宅介護に訪問診療は不可欠です。自宅と全介護施設で医師、看護師の訪問診療を行えるようにします。
  2. 老々世帯、独居世帯が急増する実態を踏まえ、療養病床の削減計画(2011年度までに現在38万床ある療養病床を6年間で15万床まで削減)を見直します。「社会的入院」の解消を図るためには受け皿整備が急務です。居住の場の確保、在宅医療の整備、介護サービスの確保を進めます。
  3. 患者の尊厳が最後まで保持できるよう医療と介護の両面からターミナルケアを充実します。

(9)患者の権利の確立

  1. 自己決定の原則にもとづく患者本位の医療を実現するために、インフォームド・コンセント(十分な説明と理解・納得してたうえでの合意)を徹底させます。併せて、患者が納得できる療法を選択できるようセカンド・オピニオン(診断や治療方針に関する主治医以外の医師の意見)を推進します。
  2. カルテ開示の法制化やレセプト(医療費明細書)の開示を早急に進め、患者や家族が医療記録を知る権利を保障します。
  3. 「医療基準監督局」(仮称)を設置し、医療事故の原因調査、再発防止のために、医師の事故報告の義務化や安全指導を行います。また、被害者救済のための公的医療賠責を創設します。
  4. 患者本位の医療を確立するため、「患者の権利基本法」(仮称)を制定します。

(10)がん対策・難病対策を充実

  1. がん対策基本法をテコとして、がん医療水準の向上と均てん化を図ります。
    • 一般向けや医療関係者向けの情報提供、がん診療の支援、がん研究・研修、がん登録制を進めます。
    • 海外で実績のある治療薬の早期認定、専門医の養成などに取り組みます。
    • たばこ価格を引き上げ、増税分をがんの早期発見、健康増進事業に充てます。
  2. 難病の治療法の確立を図るため調査研究費を増やすとともに、特定疾患の対象を拡大します。また、難病患者の治療の確保、負担軽減、療養環境の向上の観点から難病対策基本法をつくります。

(11)医療被害者の救済制度を確立

血液製剤の使用で感染したC型肝炎患者問題などで、政府の責任を追及するとともに、被害を受けた患者の迅速かつ円滑な救済を図るために、医療被害・薬害救済制度の確立を急ぎます。

(12)「もの」より「人」「技術」へ、診療報酬体系を見直し

  1. 薬価基準制度を見直し、公設の医薬品市場で公開競争入札による価格形成システムを導入することにより、薬価決定の透明化と適正化を図ります。
  2. 診療報酬は、技術、人的配置、時間などについて引き上げ、医療材料や医療機器などは、内外価格差、官民価格差などから適正化価格に見直します。
  3. 過剰な診療を招く誘因となっている出来高払い中心の診療報酬制度を見し、慢性疾患などに対して定額払いを導入して、不必要な入院期間の短縮を図ります。

介護・だれでも安心して利用できる介護制度を実現します

05年の介護保険制度見直しによって、要介護の軽いお年寄りについて生活援助や福祉用具の利用が大幅に制限され、利用者、家族から、介護保険制度への不信、不満が募っています。また、介護施設の居住費・食費が原則、全額自己負担となったことにより、退所を余儀なくされたり、ショートステイやディサービスの回数を少なくする高齢者も増えています。もともと逆進性が強く、低所得者にとって利用しにくい仕組みである介護保険が、制度の見直しによって、さらにその欠陥が増幅されてしまいました。このままでは、保険料が年金から一方的に徴収されるものの、所得の低い高齢者が、必要なサービスを利用できないということになってしまいかねません。

社民党は制度見直しの影響を点検し、一律的なサービスの削減に歯止めをかけるます。また、「介護の社会化」「利用者の自己選択・自己決定」にもとづく制度の原点に立ち戻り、安心の老後を組み立てます。

(1)高齢者が尊厳をもち、その人らしく生きることをサポート

  1. 在宅でも施設でも、安心して生活が続けられるよう基盤整備を重点化します。
  2. 地域間格差の是正を行います。
  3. 夜間や休日の家族介護を前提にしている現行の在宅サービスを改善します。
  4. 緊急時およびターミナルケアを支える医療サービスとの連携体制を強め、重度者の介護を支えます。
  5. 認知症ケアのマネジメント支援、家族に対する相談・支援体制を強化します。

(2)介護給付費の国庫負担率を引き上げ

国の介護給付費負担金(25%)を30%に引き上げ、調整交付金(現在国の負担金枠内の5%)を別枠にし、保険者の財政安定を図ります。

(3)介護拠点となる地域包括支援センターが充分に機能するよう国の支援を強化

(4)「地域密着型サービス」を推進

市町村が責任をもち、高齢者の住み慣れた地域での24時間体制で支える「地域密着型サービス」(小規模多機能施設など)の需要が高まっています。しかし、三位一体改革で都道府県向けの施設整備交付金が廃止(一般財源化)され、設置が滞っています。この状況を改善するために基盤整備の拡充を図ります。

(5)介護保険施設(特養ホーム、老人保健施設、療養病床)の必要数を確保

  1. 療養病床の削減は、地域の受け皿つくりとセットです。居住の場の確保、在宅医療の整備、介護サービスの確保を進めます。
  2. ひとり暮らしや夫婦の高齢者が集まって生活する「グループリビング」、高齢者専用住宅等を増やします。

(6)介護労働者の労働条件を改善

  1. 介護職の離職率は、年間22%と他の産業と比較して非常に高いのが現状です。早急に賃金を含む労働環境を大幅に改善します。
  2. 軽度要介護者に対する介護報酬が引き下げらえたために、事業所の運営難や「ケアマネ難民」という事態が生じています。状況を点検し、報酬の改善を行います。
  3. ケアマネジメントの公正、中立性を守るために、ケアマネジャーが事業所から独立できるよう介護報酬を改善します。
  4. ホームヘルパーに関するサービス事業所の過剰なマージンを規制し、介護保険報酬が賃金として労働者に支払われるよう指導を行います。社会保険(労災保険、雇用保険等)の加入を徹底させさます。
  5. 安い労働力として使い捨てが懸念されるフィリピンなど海外の介護士受け入れについては反対します。

(7)高齢者の健康づくりを推進

  1. 介護予防ケアプランの効果を検証し、予防給付の点検、改善を行います。
  2. 介護保険の訪問リハビリ、通所リハビリについて十分な整備を行います。

(8)高齢者虐待防止法の機能強化を

  1. 高齢者虐待防止法の実効性を高めます。
  2. 行政が高齢者虐待について、的確な調査を行えるよう、弁護士、医師、ケアマネジャーなどの連携を深めます。

(9)地域の創意工夫が十分にいかされる制度に

  1. 保険者である自治体の権限と財源を強化します。
  2. 介護保険施設、居住系施設の総量規制を見直します。

(10)保険料を累進制に基づくきめ細かい多段階制に見直し

国の介護給付費負担金(25%)を30%に引き上げ、調整交付金(現在国の負担金枠内の5%)を別枠にし、保険者の財政安定を図ります。

(11)低所得者対策の強化

  1. 所得による利用料の減免措置を検討します。
  2. 介護施設の食住費の自己負担に関しては、所得保障の観点から、保険料ではなく税による捕捉給付を行います。

(12)介護保険制度と「障害者自立支援法」の安易な統合に反対

本来、介護保険は年齢で区切るべきではありません。介護基盤整備強化の面から介護保険と障がい者の福祉サービスの共通化は重要な課題です。しかし、「障害者自立支援法」で応益負担の深刻な問題点が明らかになっています。障がい者施策は、介護サービスのほかに、教育、就労など自立と社会参加の課題があります。介護保険法と「障害者自立支援法」の安易な統合は、これらの課題を後退させる危険があります。保険料の徴収拡大を第一の目的とする被保険者の拡大には反対です。統合については、当事者を交えた幅広い議論が必要だと考えます。

障がい者・障がいを持っても共に暮らせる社会を実現します

2006年4月から「障害者自立支援法」が施行され、障がい者の施設や居宅支援の利用に応益(定率1割)負担制度が導入されました。その影響は、施設退所、作業所への通所断念、ホームヘルプサービス利用の制限などの形で、障がい者の生活を直撃し、生活水準の低下を引き起こしています。また、障がい者施設は、報酬単価の引き下げや日払い化によって、運営の継続が困難な状況に追い込まれています。

障がい者の生活実態を重く見た地方自治体は、サービス利用料・自立支援医療費について独自の負担軽減策(都道府県・90市区の4割が実施または予定/06.9.25付朝日新聞調査)を行っていますが、施行直後から、軽減策を講じなければならない事態は、そもそも法の制度設計に無理があったといわざるを得ません。さらに、4月からの応益負担に加え、10月からは、新サービス体系への移行、新たな障がい程度区分に基づく支給決定などが始まり、障がい者、家族、事業所への影響は、さらに深刻さを増しています。

06年8月、国連特別委員会では、障がい者の権利条約案の合意がなされ、年内に国連総会で条約が採択される予定となりました。世界の潮流に鑑み、真に障がい者に対する差別を撤廃し、障がい者の自立と社会参加を求める立場から、社民党は、「障害者自立支援法」を抜本的に見直し、ノーマライゼーションの社会づくりを進めていきます。

(1)障がい者の自立と社会参加の推進

障がい者の地域生活と自立を実現するために、社会基盤(就労の場、人の支え、住居など)の整備を強力に推し進めます。

(2)障がい者差別禁止法の制定

障がいを持つ人へのあらゆる差別を禁止する、実効的な障がい者差別禁止法を制定します。日本の障がい者定義を国際的な基準にあわせて拡大します。国連総会が障がい者の権利条約案を一刻も早く採択し、日本が率先して条約に批准するよう政府に働きかけます。

千葉県の「障害者差別禁止条例」(福祉サービス、医療、商品・サービスの提供、労働者の雇用、教育、建物・公共交通、不動産取引、情報提供などにおける障がい者差別の禁止)制定を受けて、各自治体におけ障がい者差別禁止条例の制定を推進します。

児童虐待防止法、高齢者虐待防止法に続き、障がい者虐待禁止法を検討します。

(3)「障害者自立支援法」の抜本的見直し

  1. 法施行による障がい当事者、家族、事業者、地方自治体への影響調査を早急に行い、同法を抜本的に見直します。
  2. 応益(定率1割)負担制度を凍結します。特に、授産施設など就労支援施設にかかる利用料負担、障がい乳幼児の療育に関する応益負担については、障がい者の就労保障、子ども福祉を最優先させるという観点から応益負担をやめて、公的責任による施策にもどします。
  3. 自立支援医療の実施により、公費負担を受けられる対象が大幅に制限され、患者・家族の負担が急増しています。障がい者・障がい児が安心して医療を受けられるよう、同法から自立支援医療を切り離し、従来の精神通院医療、育成医療、更生医療にもどします。
  4. 障がい者程度区分の認定については、知的障がいや精神障がいの判定が、実際の障がい程度より軽くなるなど、生活の実態を反映することは非常に難しいことが指摘されています。介護保険制度に準じた判定基準を当てはめるのではなく、障がい当事者の個々の生活ニーズにもとづく支給決定の仕組みに作りかえます。
  5. 地域生活支援事業(相談支援、移動支援など)は、国の裁量的経費であり補助金によって事業内容が制限されます。自治体の積極的な取り組みが可能となるよう地域生活支援事業の予算を大幅に増額します。また、移動支援は国の義務的経費とし、障がい者の社会参加を保障します。/li

(4)障がい者の雇用環境を整備

法定雇用率の達成を促し、援助付き雇用など雇用環境を整備し、最低賃金制度の適用除外を撤廃します。

(5)障がい者の抜本的な所得保障

社民党は、現行の基礎年金を最低生活費と規定する「基礎的暮らし年金」を提案しています。これに連動させながら「障害基礎年金」の拡充を図ります。

(6)共に学ぶ教育

世界の潮流であるインクルーシブ教育を実現し、障がいを持つ子どもと、持たない子どもが共に学び育つ統合教育と統合保育に取り組みます。

(7)共に暮らすバリアフリーの街づくりを推進

移動制約者のための交通条件をはじめ、縦割り行政の弊害を排したバリアフリーの街づくりに向けた法整備や自治体の取り組みを支援します。補助犬の育成について育成目標と育成計画を策定します。公共、民間を問わず、一般市民が利用できる全施設への補助犬の同伴が可能になるように、啓発・広報を推進します。

(8)欠格条項の廃止

障がい者の権利・行動を制限する欠格条項については、全面撤廃に向け取り組み、資格取得に必要な要件を希望者が満たしているか否かのみで判断します。また、資格試験において手話通訳や点字試験用紙を準備するなど、試験における障壁をなくします。

(9)情報アクセスの保障(字幕、手話、災害時の情報伝達、EYEマークなど)

  • 障がい者の情報・コミュニケーションを保障するため、手話通訳や点字保障を推進します。障害者に使いやすい情報機器の開発や導入補助など、デジタルデバイド(情報格差)を解消してIT保障を進めます。
  • 災害時の障がい者への情報伝達など避難体制の整備を進めるために、必要なガイドラインの作成や市町村への財政援助を行います。
  • 視覚障がい者などの読書権を保障するため、著作物の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、著作権者があらかじめ著作権の開放を許可したことを明らかにする「EYEマーク」運動を進めます。

(10)参政権の保障

  • 在宅投票制度の対象者の拡大、手続きの簡素化
  • 政見放送に字幕スーパーをつけること。点字広報や点字記載の投票用紙の配布

生活保護・セーフティネットの機能を高め、実効ある自立支援の制度へ改革します

最低限度の生活を保障する生活保護が厳しい現実にさらされています。高齢化が進み、無年金や年金が少ない高齢者世帯が増えてきたほか、働くことができる世代がいる世帯の増加率も高くなっています。2005年度、全国で生活保護を受けている世帯数は月平均で100万世帯(10年前の1.6倍)に急増しました。国・自治体は保護率引き下げの圧力を強めるなか、生活の維持を考慮しない強引な廃止が増え、自治体によっては、その対応に生活保護法違反の可能性さえ出てきています。

社民党は、「最後のセーフティネット」である生活保護の役割を重視し、法に則った適正な運用を求めます。同時に、再就職や生活自立支援を抜本的に強化し、真に自立支援型の生活保護制度へ見直しを行います。

  1. ナショナルミニマムを保障するために、国の保護費負担割合3/4を堅持します。
  2. 保有できる資産の範囲や程度の判断基準を緩和し再挑戦の可能を高めます(例えば、学資保険の継続、自動車の所有など)。
  3. 生活保護制度と職業訓練制度、スキルアップとの連携を強化します。
  4. ケースワーカーなど自立支援を担う人材の質と、量を充実します。
  5. 老齢齢加算、母子加算の全廃に伴う影響を調査し手当を行います。

子育て・子どもを産み育てることに夢の持てる社会を実現します

この5年間、特別合計出生率は過去最低を更新しています(05年度1.25)。

社民党は、子ども自身が育っていくことへの支援と、すべての保護者に対する子育て支援の両面から、「子育ち」「子育て」支援に取り組みます。また、若い世代の安定した雇用・生活と多様な家族を認める社会の柔軟な制度(スウェーデン・サンボ法、フランス・連帯市民契約法、オランダ・登録パートナー制度)が少子化をくい止めるカギになると考えます。

(1)家庭と仕事の両立を応援

  1. 労働時間の短縮、時間外・休日労働、深夜業の規制に取り組み、両親が子どもと過ごす時間を確保します。
  2. 育児・介護休業法を発展させ、看護休暇制度などを加えた「家族的責任と仕事の両立を確保する法律」をつくります。
  3. 育児・介護休業中の所得保障を60%に引き上げ、男女ともに育児・介護休業を取りやすくします。パート、派遣など非正規労働者についても育児・介護休業が取れるようにします。
  4. 「パパ・クォータ(父親への育児休業割り当て制度)」を導入し、男性の育児休業取得を進めます。

(2)子どもの権利を追求し、保護者の多様なニーズに応える保育を実現

  1. 幼稚園と保育園の一元化を推進し、幼児教育と療育を統合して、保育の質を高めます。保育を必要とするすべての子どもに共に育つ場を保障します。認定こども園の活用にあたって、質の確保を徹底します。
  2. 育児の孤立化を防ぎ、育児の不安に応える相談所として、保育園、幼稚園、児童館、保健所などを活用します。
  3. ・母子保健と保育の連携をはかります。親・保護者と保育従事者・保健婦・医師・カウンセラーらが連携を取れるよう支援体制を整えます。

    ・児童虐待を防止します。

  4. 産休明け保育、延長保育、病児保育、学童保育(放課後児童健全育成事業)などを充実し、保護者の多様なニーズに応えます。また、保育の質の確保と改善、保育労働者の身分保障と労働条件を確立します。
  5. ひとり親家庭への支援を充実します。児童扶養手当の充実、ひとり親の就業・生活支援、子どもの教育の保障に取り組みます。
  6. チャイルドラインや子どもオンブズマンなどを整備し、子どもたちが、いつでもどこでも安心をつなぐことができるシステムをつくります。
  7. 各都道府県で行う小児医療電話相談を推進します

(3)児童手当を拡充し「子ども手当」へ

  1. 先進国に比べ、非常に低い水準にある現行の児童手当を「子ども手当」に変えて充実させます。「子ども手当」は18歳未満の子どもを対象に、第1子・第2子は月額各1万円、第3子以降は月額2万円とします。全額国庫負担とします。
  2. 出産育児一時金の拡充や国庫負担金の引き上げにより、出産費用の基本部分を公的に保障します。(出産1子に対し、現行の医療保険による一時金35万円。プラス一般財源から15万円*出産費用は平均48万円)
  3. 就学前の子どもの医療費を無料化します。
  4. 希望するすべての子どもが利用できるよう奨学金制度を充実します。子どもの教育の機会を保障し、保護者の負担を軽減します。

(4)子ども基金制度を検討

イギリスの児童信託基金制度のように、若者が高等教育や事業立ち上げのために活用できるまとまったファンドの貸与、あるいは積み立て支援金を検討します。

(5)子どもの安全に関する法整備を

学校・通学、地域で子どもたちが安心して生活できるよう、子どもの安全を確保する法整備を検討します。

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