東京労働局発表
平成20年1月11日

 



需給調整事業部需給調整事業第二課
課  長      大澤  茂
主任需給調整指導官 金田 文人
電話 03−3452−1474

一般労働者派遣事業主に対する労働者派遣事業停止命令
及び労働者派遣事業改善命令について

 東京労働局長(村木太郎)は、下記のとおり、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)に基づき、労働者派遣事業を営む一般派遣元事業主に対して、本日、同法第14条第2項に基づく労働者派遣事業停止命令及び同法第49条第1項に基づく労働者派遣事業改善命令を行った。



被処分一般派遣元事業主
 
名 称 株式会社 グッドウィル
代表者の職氏名 代表取締役社長 神野 彰史
所 在 地 東京都港区赤坂9丁目7番1号
許可に関する事項 許可年月日 平成16年7月1日
  許可番号 般13−300177、般13−300094

処分内容
  (1) 労働者派遣法第14条第2項に基づく労働者派遣事業停止命令
(停止命令の内容は下記4のとおり)
  (2) 同法第49条第1項に基づく労働者派遣事業改善命令
(改善命令の内容は下記5のとおり)
 
処分理由
  (1) 株式会社グッドウィル(以下「グッドウィル」という。)は、平成16年10月1日から同19年6月28日までの間、
1  労働者派遣法第26条第1項の規定に違反して、労働者派遣契約の締結に際し同項各号に掲げる事項の内容及びその内容の組合せごとの派遣労働者の数を定めた上で当該定めた事項を書面に記載しておくことをせず、
2  同条第6項に違反して、派遣可能期間の抵触日の通知を受けることなく労働者派遣契約を締結し、
3  同法第34条第1項に違反して、派遣労働者に対し同条に規定する事項を適正に明示せず、
4  同法第35条に違反して、派遣先に対して同条に規定する事項を適正に通知せず、
5  同法第35条の2第1項に違反して、派遣可能期間の抵触日以降も1年9月にわたり継続して、派遣労働者延べ18,824名(実数2,015名)にわたる労働者派遣事業を行ったこと。
 うち特に、EV新宿支店等5事業所から派遣した派遣労働者延べ1,240名(実数52名)に関して、グッドウィルは、平成16年10月1日から平成19年6月28日の間、
6  労働者派遣法第4条第1項に違反して、労働者派遣事業を行うことが禁止されている同項第1号の港湾運送業務について、
 派遣先が同法第4条第3項に違反して港湾運送業務に従事させていることを派遣労働者から聞いて知りながら、労働者派遣を継続したことに加え、当該派遣先が職業安定法第44条に違反して派遣労働者を供給先に供給し、供給先の指揮命令の下で東京都江東区の青海ふ頭及び大田区の大井ふ頭の就業場所において港湾倉庫への搬入の業務に従事させ、及び同江東区の有明10号地ふ頭に接岸された船内を就業場所として船内荷役及び船倉の清掃の業務に従事させていた労働者供給事業の実態を一切把握しないまま労働者派遣を継続し、もって当該派遣先が行う職業安定法第44条に違反する労働者供給事業を助長したこと。

  (2) グッドウィルは、平成16年11月1日から同19年8月28日までの間、
1  労働者派遣法第26条第1項の規定に違反して、労働者派遣契約の締結に際し同項各号に掲げる事項の内容及びその内容の組合せごとの派遣労働者の数を定めた上で当該定めた事項を書面に記載しておくことを適正に行わず、
2  同条第6項に違反して、派遣可能期間の抵触日の通知を受けることなく労働者派遣契約を締結し、
3  同法第34条第1項に違反して、派遣労働者に対し同条に規定する事項を適正に明示せず、
4  同法第35条の2第1項に違反して、派遣可能期間の抵触日以降も1年10月にわたり継続して、派遣先が職業安定法第44条に違反して静岡県浜松市内の倉庫内の就業場所において派遣労働者を供給先の指揮命令の下で仕分け作業等の業務に従事させる労働者供給事業を行っていることを知りながら、浜松北支店等24事業所において当該派遣先に対し派遣労働者延べ11,404名(実数1,994名)にわたる労働者派遣事業を行い、もって当該派遣先が行う職業安定法第44条に違反する労働者供給事業を助長したこと。

  (3) グッドウィルは、平成17年12月3日及び10日並びに平成18年5月2日から同19年6月26日までの間、
1  労働者派遣法第26条第1項の規定に違反して、労働者派遣契約の締結に際し同項各号に掲げる事項の内容及びその内容の組合せごとの派遣労働者の数を定めた上で当該定めた事項を書面に記載しておくことを適正に行わず、
2  同条第6項に違反して、派遣可能期間の抵触日の通知を受けることなく労働者派遣契約を締結し、
3  同法第34条第1項に違反して、派遣労働者に対し同条に規定する事項を適正に明示せず、
4  同法第35条に違反して、派遣先に対して同条に規定する事項を適正に通知せず、
5  同法第35条の2第1項に違反して、派遣可能期間の抵触日以降も2月にわたり継続して、派遣先が職業安定法第44条に違反して千葉県市川市内の倉庫内の就業場所において派遣労働者を供給先の指揮命令の下で仕分け、検品の作業等の業務に従事させている可能性があることを認識していたにもかかわらず、就業の実態を把握しないまま、柏オフィス等58事業所において当該派遣先に対し派遣労働者延べ708名(実数452名)にわたる労働者派遣事業を行い、もって当該派遣先が行う職業安定法第44条に違反する労働者供給事業を助長したこと。

  (4) グッドウィルは、平成19年8月12日から16日までの間、
1  労働者派遣法第4条第1項に違反して、労働者派遣事業を行うことが禁止されている同項第2号の建設業務について、
2  同法第26条第1項の規定に違反して、労働者派遣契約の締結に際し同項各号に掲げる事項の内容及びその内容の組合せごとの派遣労働者の数を定めた上で当該定めた事項を書面に記載しておくことを適正に行わず、
 福岡西新支店等2事業所において、熊本県玉名郡長洲町の就業場所において工場増築工事における立体自動倉庫システムの設置工事に従事させるため、派遣労働者延べ10名(実数3名)について労働者派遣事業を行ったこと。

  (5) グッドウィルは、労働者派遣法第36条に違反して、
1  勝田台支店において、平成19年3月27日に派遣元責任者が退職したにもかかわらず、その後同年6月24日までの間、派遣元責任者を選任せず、
2  大垣支店等11事業所において、平成19年6月28日時点で自己の雇用する労働者を派遣元責任者として選任しておらず、
3  大和支店等106事業所において、平成19年6月1日から25日の間、派遣元事業主の事業所に専属の派遣元責任者として十分な勤務が行える者を派遣元責任者として選任しておらず(うち八尾支店等18事業所においては派遣スタッフとして就労している者を、天六支店等34事業所においては同社の他の事業所で勤務する者を派遣元責任者として選任したものとされていた。)、派遣元責任者を適正に選任しないまま労働者派遣事業を行っていたこと。

  (6) グッドウィルは、東京労働局から、平成17年6月30日、
1  労働者派遣法で禁止されている建設業務への労働者派遣事業については即時中止すること、
2  是正指導を受けたにもかかわらず違法な派遣を発生させた経過を明らかにし、その原因を究明し、再発防止のための措置を講じること、
3  遵法体制の整備を図ること
 との労働者派遣事業改善命令を受け、内部のチェック体制を改善し、適正な労働者派遣事業の運営を行う旨の改善報告を平成17年8月25日までに行っていたにもかかわらず、上記(1)から(5)までのとおり労働者派遣法に違反する労働者派遣事業を行い、特に上記(1)及び(2)にあっては、当該改善命令の前から始まった違反を是正しないで、改善報告の後も継続して行っていたこと。
 
一般労働者派遣事業停止命令の内容
  浜松北支店等67事業所(事業所名については別添のとおり。)において行う労働者派遣事業にあっては平成20年1月18日から同年5月17日までの間、その他の株式会社グッドウィルにおいて行う全ての労働者派遣事業にあっては平成20年1月18日から同年3月17日までの間労働者派遣事業を停止すること。
 
労働者派遣事業改善命令の内容
  (1) 全ての事業所において、平成19年12月1日から平成20年1月10日までに行った全ての労働者派遣について総点検を行い、労働者派遣法及び職業安定法に係る違反があった場合には、労働者の雇用の安定を図るための措置を講ずることを前提に、速やかに是正すること。特に、次の条項等については、重点的に点検すること。
1 職業安定法第44条に違反する労働者供給事業への労働者派遣(二重派遣)
2 労働者派遣法第4条第1項
3 労働者派遣法第26条第1項及び第6項
4 労働者派遣法第34条
5 労働者派遣法第35条
6 労働者派遣法第35条の2
7 労働者派遣法第36条

  (2) 上記3の各事項に係る労働者派遣法等違反について、それぞれ、その発生の経過を明らかにしたうえで、原因を究明し、再発防止のための措置を講じること。
 
  (3) 派遣労働者が従事する業務の内容、就業の場所、就業の時間その他派遣労働者の就労の実態を正確に把握するための具体的方策及びこれを実効あるものとするための体制を確立すること。
 
  (4) 労働者派遣法、職業安定法等労働に関する法律の規定に違反することのないよう、派遣元事業主の責任において、全社にわたり法令等労働者派遣事業制度の理解の徹底を図るとともに、遵法体制の整備を図ること。


(参考)



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