08年度予算案「医師不足解消しない」

 女性医師の「復職研修」に関する支援事業に対し、厚生労働省が2008年度予算要求で5.2億円を計上しながら、財務省との予算折衝で3.9億円に削減されたことについて、全国保険医団体連合会の女性部(板井八重子部長)は1月11日までに「これでは医師不足は解消しない」とする声明を発表した。同女性部は「少なくとも厚労省が要求した予算額に戻す」ことを求めている。

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 医師不足対策の必要性を訴える世論の高まりを受けて、厚労省は08年度予算要求で「医師確保対策の推進」を掲げ、新規施策として「病院勤務医の勤務環境の整備等」と併せ、「女性医師の復職研修支援の推進」にも5.2億円を計上。20歳代では3割を占める女性医師が、出産や育児を機会に医療現場から離れざるを得ない現状がある中で、同女性部は「厚労省が復職研修支援へ予算を概算要求したことは評価したい」としている。

 しかし、財務省は厚労省との予算折衝で「女性医師の復職研修支援の推進」事業への予算額5.2億円を3.9億円に削減した。

 同女性部は「日進月歩の医療現場から、一度離職すると、復職に当たっては現場での研修が欠かせない」と指摘する一方、「受け入れる側の医療機関は医師数に余裕がなく、経営も苦しい中で何とか女性医師に続けてもらおうと苦労している」と主張。産婦人科を目指す研修医の約7割が女性のうえ、経験年数2年目では出産を扱う約6割が女性医師である状況を踏まえ、「産科医不足が問題となる中、実際の現場では女性医師が主要な存在になっている。女性医師支援が即、医師不足の解消につながるわけではないが、医師不足をくい止める手立ての一つにはなる」と強調している。

 こうした見解に基づき、同女性部は「全都道府県に相談窓口を設けて研修先の病院等へ補助を出す『復職研修支援』事業の目的に照らすならば、5.2億円では各県1,000万円程度の予算にしかならないが、少なくとも厚労省が要求した予算額に戻すべき」と訴えている。


更新:2008/01/11   キャリアブレイン

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