社会
セカンドライフに「震災死者追悼の場」 神戸の男性
仮想空間で追悼の場をつくる土井孝純さん=神戸市中央区御幸通6(撮影・大山伸一郎) |
阪神・淡路大震災で母親を失い、体調を崩した父親も翌年に亡くした男性デザイナーが、インターネット上の仮想空間「セカンドライフ(SL)」に、震災死者を追悼する場を同僚とともにつくっている。十六日から公開予定。男性は「いずれはSL内で世界中から訪れた人が、ここを入り口に、防災の知識や技術を身に付けられるようにしたい」と話す。(石崎勝伸)
商社でホームぺージの制作などを手掛けるデザイナー、土井孝純さん(38)=神戸市東灘区魚崎北町。震災で母の二三子さん=当時(47)=が、崩れた自宅の下敷きになって亡くなった。無事だった父の安彦さん=当時(56)=も、ストレスなどで体調を崩し、一九九六年の自宅再建直後に病死。弟と祖母とともに残された土井さんは寂しさを紛らわせるため、仕事に没頭した。
二〇〇四年、今の会社に転職。昨年四月から、SL内の更地に仮想都市をつくり、神戸の魅力を発信する「ランド神戸」の事業を手掛ける。SLは世界で一千万人以上が登録。利用者は分身であるキャラクターを操り、仮想社会での生活を体験できる。
土井さんは、震災の記憶を普段は心の奥に封じ込めてきた。だが、同九月、将来の災害に備え、語り部活動を続ける遺族と出会い、前に踏みだす勇気をもらった。ランド神戸内は八つのテーマごとの区画に分かれ、その一つに「防災神戸」を設ける構想を練った。「震災を忘れないことが防災への一歩」と、最初の建築物として追悼の場づくりを始めた。
れんが調の温かみのある建物の中に、慰霊と復興への思いを込め、ガス灯を模したモニュメントを設置。隣接する川で献花ができ、訪れた人が語り合えるカフェもある。周囲には震災直後の被害写真を展示。将来は研究機関と連携して防災の知識や技術を発信、防災グッズも購入できるようにしたいという。
「実際には遠く離れていても、仮想空間で神戸の教訓を学んでもらい、一人でも多くの人命と生活を守りたい」と土井さん。十六日に公開するホームページから入れる。
アドレスはhttp://www.bousaikobe.com
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