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拍子抜け…議論深まらず 新テロ特措法案 (1/2ページ)
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参院外交防衛委員会は10日、新テロ対策特別措置法案を民主党などの反対多数で否決した。参院第一党の力をバックに法案審議を遅らせ政府・与党を異例の越年国会に追い込むことに成功した民主党は、同日の最後の委員会にかける意気込みもさぞかし強いだろうと期待していた。だが、質疑を聞いて拍子抜けした。締めくくり質疑では、トップバッターの議員が米中枢同時テロ事件の“陰謀論”を喜々として紹介していたからだ。
インド洋での海上自衛隊の補給活動を再開するための新テロ法案は昨年10月に審議入りして以来、11月2日の旧テロ対策特措法の失効をまたいで3カ月近く時間を費やした。同法を1年間延長した平成18年秋の臨時国会では衆参両院あわせて11時間余りの審議で成立したのに対し、今回は約90時間近くをかけた。時間だけみればこれほどの充実審議はないが、内容はといえば、法案とほとんど関係のない質問やすでに議論が出尽くした質問ばかりが目立つようになり議論は深まらなかった。
給油量訂正問題や前事務次官、守屋武昌容疑者をめぐる収賄事件は自衛隊を動かす上での文民統制にかかわる重大な問題であり、法案と全く関係がないとはいえない。だが、民主党は一時、法案審議はそっちのけで政治家が宴席に出席したかどうかにこだわった。
もっとも、民主党がまがりなりにも対案「国際テロリズム防止と根絶のためのアフガニスタン復興支援特措法案」をまとめて提出したことには与党内にも一定の評価がある。福田康夫首相が10日の答弁で自衛隊の海外活動を随時可能にする恒久法制定に関し「民主党にも賛成される方が多いようなので、十分協議をして進めたい」と述べたように、対案に盛り込まれた武器使用基準の緩和などは今後の恒久法策定論議に向けた接点となりうるからだ。