しゃがんだり、重い作物を抱えたりとつらい農作業を手助けする「農業用ロボットスーツ」を東京農工大大学院の遠山茂樹教授(ロボット工学)のグループが開発し、9日公開した。実際に畑などでテストを繰り返し、2年後に実用化し、4年後には製品化して売り出したいという。
樹脂製の骨格に、ひざ、ひじ、腰、肩の動きを補助する八つのモーターを配置し、ベルトで体に装着する。例えば大根を引き抜く場合、ひざ、腰に瞬間的に20キロの力がかかるが、半分程度の力で済むという。動作を助けるプログラムを作業内容ごとに変えることも可能。独自開発した超音波モーターを使えば、本体重量も8キロ程度に軽量化できるという。
コストは1セット50万~100万円を目指し、製品化の段階で大量生産できれば20万円程度に低下すると見込んでいる。
耕作や田植えなど機械化が進む一方で、青果の収穫や果樹の剪定(せんてい)、作物の運搬など人力に頼る農作業は多い。遠山教授は「農家の高齢化が進む中、負担を軽くする技術を開発したかった」と話す。センサーや無線を付ければ、使用者の体調をチェックでき、離れた場所同士で会話しながら作業する「ハイテク農業」も可能になる。
デモンストレーションでは、スーツを装着した大学院生が20キロの米袋を抱えたが、「持っている感覚はほとんどない」と笑顔で話した。【金田健】
毎日新聞 2008年1月10日 東京朝刊