ホーム > きょうの時鐘


2008年1月11日

 また痛ましい事件が起きた。青森・八戸で十八歳の少年が母と弟妹三人の殺害を認めた。少年たちの暴走は、やむことがないのだろうか

モンスター・ペアレントやモンスター教師などのはびこる社会は、モンスター・チルドレンも生み出す。「殺したかった」などと、少年たちは口にする。かりに殺意が心をかすめたにしても、人は本来邪悪な行動に対するブレーキを備えている。驚き、おののくのは、その抑えが簡単に外れてしまうことである

この種の事件が起きるたびに、敬愛する医学者の通夜の光景を思い出す。家族をはじめ列席した人たちが、次々と故人のほおに手を触れて別れを告げた。小さな孫たちも親に促され、かわいい手を伸ばしていた。「おじいちゃん、冷たくなったね。悲しいね」と声を掛けられながら

子供にはむごく映る別れの所作は、故人が生前言い置いたことだと聞かされた。死ぬとはどういうものか、体で知り、体に刻みつけてほしいと願ったのだという

そんな死の厳粛さを、暴走する少年たちはどこまで知っているのだろう。「怪物少年」たちの増殖に、言いようのない恐れと悲しみが、また募る。


ホームへ