政府は1月10日、現在は構造改革特区内に限って認められている営利企業による医療機関の運営について、全国規模に拡大するかどうかの判断を2008年度以降に先送りする方針を固めた。特区制度を活用した営利企業による医療機関の運営は現在、神奈川県内の1件しか認められておらず、全国展開に伴う弊害があるかどうかなどを「現時点では判断できない」と結論付けた。
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判断先送りの方針は、1月中に開かれる「構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会」に報告し、同委員会も了承する見通しだ。
営利企業による医療機関の運営は現在、特区内に限り認められている。ただ、提供する医療サービスが自由診療による高度先進医療に限られるなどハードルが高いこともあり、現在は神奈川県が申請した「かながわバイオ医療産業特区」しか認定を受けていない。現在、認定申請しているケースもないという。
かながわバイオ医療産業特区内ではバイオベンチャー企業の「株式会社バイオマスター」(横浜市中区)が2006年7月、豊胸、乳がん再建などの高度先進医療を提供する診療所「セルポートクリニック」(同区)を開設している。
政府は昨年、同クリニックの1年間の実績をもとに、営利企業による医療機関の運営を全国展開した場合の弊害発生や経済効果について調査した。
その結果、同クリニックが開設されたことによる弊害は「特段見受けられない」とする一方、経済効果があったかどうかも「わからない」と指摘。申請が少ない原因を08年度に検証する一方で、全国展開を認めるかどうかの判断自体は、今後の申請状況などを踏まえながら同年度以降に先送りすることにした。
営利企業による医療機関の運営については政府内でも判断が分かれ、「規制改革会議」などが全面自由化を主張する一方、厚生労働省などは反対のスタンスを貫いている。
更新:2008/01/10 キャリアブレイン
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