金融政策偏重のつけ2008年01月10日 新年早々、原油価格が一時100ドルを超え、主要国の中央銀行は、景気懸念を強める中でのインフレ圧力に頭を痛めている。米国の連邦準備制度理事会は、サブプライム問題に端を発した金融危機と、このところの雇用の悪化で、大幅な利下げが期待されているが、ドルの一段下落や原油をはじめとする資源価格高によってインフレ圧力が高まり、金融政策のかじ取りが難しくなっている。 欧州中央銀行も同様だ。金融不安は情報が十分開示されていない点で、米国以上に不透明だが、原油高に加えて、広義のマネーサプライM3が一段の増勢を強めている点も、インフレ圧力となって、機動的な利下げを拒む要因になっている。日本も今になって原油高や穀物相場急騰の影響が物価に表れてきた。しかし、世界の金融市場が不安定な中では、物価のプラス転換をもって利上げとはいかない。 これらのインフレ圧力は、いずれも新興市場の急成長による需要拡大が原因で、必ずしも先進国での需要が押し上げているわけではない。むしろこれら資源価格や穀物相場の上昇は、これらを消費する先進国にとっては大きなコスト負担となって、景気を圧迫する。 新興市場の急成長にはそこでの低賃金を積極的に利用し、グローバル化を進めてきた先進国にも責任の一端がある。そして資源や穀物相場の上昇は、グローバル化を通じて南北格差が是正されるプロセスでもあり、先進国の中央銀行だけで対処できる問題ではない。主要国が経済金融の不安定を見て一段の金融緩和に出れば、世界の流動性がそれだけ高まり、これがまた新興市場に流入して、そこでの需要を高め、一段の資源価格高をもたらす面もある。 サブプライム問題も、いわば行き過ぎた金融緩和の産物でもある。カネのかからぬ景気対策といわれた金融政策に偏重したつけが、最後に回ってきたとも言える。(千) PR情報バックナンバー |
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