高血圧と脳・心臓病 50話

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第40話 大切な塩分の制限

 高血圧にならないために、前回(第39話)は塩分制限▽野菜・果物の積極的摂取▽運動療法▽減量▽禁煙▽節酒という六つのポイントを挙げましたが、その中でも、塩分制限(塩分摂取量6グラム/日未満)が食事療法の最大のポイントです。

 日本人は塩辛い味を好みます。平均的塩分摂取量は12グラム/日ですが、いきなりの減塩は難しく、徐々に慣れていくことが成功するための秘訣(ひけつ)です。めん類などの汁を全部飲まないことも効果的です。

 塩の代わりになる酢やレモン、香辛料などを上手に活用しましょう。また、カリウムをとると、余分な塩分が排出され、血圧を下げる効果があります。  野菜や果物にはカリウムが多く含まれていますので積極的に摂取しましょう。ただし、腎臓の悪い人はカリウム制限が必要です。

 運動療法も血圧を下げるには有効です。適度な運動は、心臓や肺の働きを向上させ、血液の循環を促進します。高血圧の人に良いのはウオーキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動です。有酸素運動は皮下脂肪をゆっくりと燃焼させるため、30分以上の運動を毎日続けるのが理想的です。

 減量も有効で、1キロの減量で血圧は1~1・5ミリHgぐらい下がると言われています。

 運動療法だけでなく、食事療法も必要です。糖分と脂肪分を制限し、エネルギー摂取を抑えましょう。

 血圧にとって、たばこはまさに百害あって一利なしです。たばこは血管を収縮させ、血圧を必ず上げます。さらに、長期的には動脈硬化を進行させます。禁煙ができない場合は禁煙専門外来で相談してみてください。

 お酒を毎日飲む人は、飲まない人より10歳ほど年が上に相当する血圧値であったことが報告されています。完全にやめる必要はありませんが、節酒は降圧に効果があります。1日の飲酒量の目安としては、ビール大ビン1本、日本酒1合まで。女性や体重の軽い人は、これより少なくしましょう。(大阪府立成人病センター循環器内科副部長、和泉匡洋)

毎日新聞 2008年1月9日 大阪朝刊

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