インターネットで落とし物を捜せるようにした改正遺失物法が昨年十二月十日に施行され、きょうで一カ月になる。年末年始に帰省や旅行中にカメラなどを列車に置き忘れ、ネットで捜した人もいるだろう。
とにかく捜し方が便利になった。全国の警察本部がネットでの検索システムを整備し、落とし物情報を各都道府県警ごとに公開している。落とし物の種類や特徴、拾得日、場所などが自宅や職場から閲覧できる。
従来は警察署単位で台帳管理していたため、届けられた警察が離れていたりすると発見は難しかった。今では思い当たる都道府県の情報が手軽にチェックできる。
改正法ではネット検索の導入とともに、落とし物の保管期間が半年から三カ月に短縮された。警察庁が返還率のアップと保管スペース不足の緩和を狙っての措置である。警察署の保管庫が大量の落とし物であふれているからだ。
一昨年、全国の警察に届けられた落とし物の数は約千二百二十二万点に上る。十年前に比べ五割も増えたが、返還率は三割程度にとどまる。大量生産・大量消費時代の中で、物への愛着やこだわりが年々薄れているのかもしれない。
パソコンの画面に表示された膨大な落とし物情報を眺めていると、日本社会の一断面が垣間見える。便利なネット検索を利用して少しでも減らし、物を大切にする心も持ち直したい。