今年4月から始まる予定の「後期高齢者医療制度」に関する国民の関心が高まる中、青森県保険医協会は新制度の仕組みや問題点などを解説する「どうなる!?高齢者医療 高齢者医療を考えるページ」を協会ホームページに開設した。同協会は、高齢者医療に積極的に取り組み、昨年11月には「高齢者の医療を考える県民フォーラムinあおもり」を開催。新制度について、政府は今年4月からの高齢者の負担増一部凍結を決めたものの、「(一部凍結ではなく)完全凍結と抜本的な見直しが欠かせない」と訴えている。
関連記事:なくそう!「後期高齢者医療制度」
怒り共有「後期医療制度」廃止へ誓い
同協会の「高齢者医療を考えるページ」は、後期高齢者医療制度や社会保障の多様な情報を盛り込んだ資料集や昨年11月に開催した「県民フォーラム」の特設ページから成る『新着情報』と、新制度の概要や問題点、終末期医療の在り方などを伝える『後期高齢者医療制度について』−の2本柱で構成されている。
新制度は、75歳以上が加入を義務づけられるほか、生活保護世帯を除き、子どもの扶養家族となっている人や寝たきり等で障がい認定を受けた65歳〜74歳も対象になる。これに伴い、被扶養者として保険料を払っていなかった人も制度の対象者となった時点で、75歳以上なら後期高齢者医療、74歳以下なら国民健康保険等に加入し、保険料を支払うことになる。
制度は各都道府県の後期高齢者医療広域連合が運営し、保険料は地域で異なる。高齢者が使った医療費等が保険料の金額に反映される仕組みで、介護保険と同様に医療を使えば使うほど保険料は高くなる。保険料は介護保険料とともに毎月の年金が一定額以上あれば天引きされ、医療内容も病名によって1か月の医療費が決められる「包括制」に。窓口負担は原則として掛かった医療費の1割だが、現役並みの所得があれば3割負担となる。
一方、保険料を滞納すると、国保と同様に保険証が取り上げられ「資格証明書」が発行されるなどの制裁がある。
こうした制度の問題点について、「高齢者医療を考えるページ」では、「現在、被用者保険の扶養家族として負担ゼロの人も保険料を徴収される。原則、75歳以上の方は全員、保険料を死ぬまで払わなくてはならない」と、高齢者・国民の負担増につながると批判。また、終末期医療の在り方について、「厚生労働省は、病院での終末期医療、看取りを減らし、在宅での看取りを増やすことで、医療費を抑制しようとしている。現在、多くの地域は病院から『出された』患者を受け止める状況にはなく、行き場を失う入院患者が大量に生まれ、家庭や地域で孤立する事態が起きる」などと懸念している。
制度をめぐっては、世論の反発等を受け、政府が70〜74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げることを1年間凍結するほか、75歳以上の保険料負担を6か月間凍結することを決定。この措置を09年度も継続する動きもあるものの、(一部)凍結はいずれ解凍≠ウれるという指摘も多く、同協会も「(一部凍結ではなく)完全凍結と抜本的な見直しが欠かせない」と強調している。
更新:2008/01/09 キャリアブレイン
医療ニュースデイリーアクセスランキング
※集計:1/8
医療ニュースアクセスランキング
※集計:1/3〜1/8