国土交通省が8日発表した耐火・防火建材の緊急調査で、建材メーカーなど40社が大臣認定制度をないがしろにしていたことが分かった。各社は会見や広報文で謝罪の言葉を連ねたが「制度について認識不足だったため」と故意であることを否定した。国交省は「あってはならない事態だ」と危機感を強めた。
「多大なるご迷惑をかけた。おわび申し上げる」。東京・霞が関の国交省。謝罪会見でイトーキ(大阪府)の金子清孝社長は頭を下げた。一方で「(仕様変更のための)改良は耐火性能に関係のない塗料などに限っていた。性能は落ちていない」と強調した。
この日、謝罪会見を開いたのはイトーキだけだった。一部企業は「今まで以上に法令順守の精神で、このような事態を引き起こさないように徹底してまいります」(松下電工)「事業から撤退します。誠に申し訳ありません」(ウッドワン)などとする広報文にとどまった。
ニチアスなどの問題発覚直後、国交省は「建築現場で実物をチェックするなどの防止方法はある。だが、まじめな業者に負担をかけることは避けたい」と制度の厳格化に慎重だった。しかし次第に「性善説に頼る制度には限界がある」と方針を変えつつある。
大臣認定を委託されている指定性能評価機関は8日、試験を受ける建材を製作段階からチェックする不正防止策を国交省に示した。同省も制度の見直しを検討中だ。【高橋昌紀】
毎日新聞 2008年1月8日 23時20分 (最終更新時間 1月9日 1時50分)