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青木 智子(あおき ともこ) ディ・リッツィオ法律事務所 NSW大学法学部・教養学部卒、98年弁護士資格取得。2006年7月よりDi Lizio & Assocaitesにて家族法、不動産および一般商取引法、民事・刑事訴訟法を主専門として活動中。 遺言とは、遺産を誰にどのように分配するかなどについての本人の意思を明確に示すための文書で、故人の遺志を反映させることができる唯一の手段です。遺言を残さずして死亡した場合(あるいは遺言に含まれていなかった遺産が存在した場合)、遺産は故人の遺志とは無関係に関連法律に従って規定の親族に、また規定の配分で分配されることになります。相続権を与えられている親族は、配偶者、あるいは内縁関係(De Facto Relationship)の配偶者、子供、孫、親、兄弟姉妹、祖父母、おじおばとされています。関連法律上相続権を与えられている近親者が誰も存在しない場合(つまり、いとこより近い近親者が遺族に存在しない場合)、故人の遺産は国家に帰属することになります。 当然のことながら、ある特定の近親者に対して分配割合を多くしたいと思っていても、あるいは、友人やチャリティー団体などに遺産を分配したいと思っていても、これらの遺志が遺言で明記されていなければ実現することはありません。また、法的に有効な遺言を残すことは残された遺族や他関係者が最も速やかに、最小のコストで遺産やそのほか諸事を処理できることにもつながります。 また、内縁関係や同性愛関係が存在する場合などは特に、生前そうした関係が存在していたことの証明をすることにおいて比較的問題が生じやすいため、遺言作成の重要性はさらに増します。また、そうした関係と同時に婚姻関係も継続していた場合、法律上内縁関係の配偶者が婚姻上の配偶者に優先される場合がある点についても認識が必要でしょう。 なお、遺言は、結婚や離婚など、自分の境遇が変化するにつれ新たに作成する必要があります。遺言作成後に結婚した場合、婚前に作成された遺言は一般にすべて無効となります。離婚は必ずしも遺言の内容すべてを無効にするものではありませんが、離婚した配偶者に関係するすべての項目は無効となります。 また、遺産とその分配にちなんで特筆すべき点としては、故人の不動産が共同名義で所有されていた場合には、遺言の内容、また遺言自体の存在、不存在にかかわらず、他方名義人が故人の所有部分を相続すること、子供に関しては、養子も実子も同等の相続権を与えられ、また嫡出、非嫡出の別は法律上存在しないということなどです。 当然、遺言は法的に有効なものでなくてはなりません。有効な遺言のための用件としては以下などが挙げられます。 ・書面によるもの ・遺言作成者が意図して作成していることが明確なもの ・最低2名の立会人のもと付記された作成者の署名があるもの ・作成者の面前で付記された最低2名の立会人の署名があるもの これらの要件以外にも個々の状況に応じて必要となる要件もあるため、作成する際には専門家からのアドバイスを受けることをお薦めします。 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。 *オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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