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法律

 オーストラリアで遺言を残すには、法律に従って作成しないと法的に無効だと聞きました。有効な遺言とはどんなものでしょうか。(55歳女性=シドニー在住)

山本(青木)智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している

A 確かに遺言は法律による規定に従って作成されたものでないと、その真正と有効性を認められることが非常に困難になります。当然、せっかく故人の遺志が文書に反映されていても、規定に沿って作成されていなければ遺言としては無効となり、結局、遺言不存在として扱われることが多くあります。
  最近では書店などで自分で遺言を作成するための雛形本が売られていますが、こうした遺言はとかく故人の遺志が不明瞭であったり、書かれている文言から不必要な税金の発生を招いたりすることがあるなど、遺言執行の際に多額の費用が発生することが多々ありますので、こうした雛形を利用するよりもまず、弁護士に依頼することをお薦めします。
  遺言はある種の例外を対象として、18歳以上であれば誰でも作成することができます。遺言作成者は文中でtestator(男性)testatrix(女性)と言及されます。遺言には遺言執行人:executor(男性)executrix(女性)の任命が必要で、遺言に記載されている通りに任務を遂行する役割を持ちます。
  執行人として任命を受ける者は基本的に誰でも、また何名でもよいのですが、現実的なこととして豪州国内に居住している者を含める必要があると言えます。
  遺言上の実際の受益者はbeneficiaryと言及されます。執行人は執行費用の支払い命令を裁判所に要請することができますが、受益者が執行人である場合には、特殊な状況を除き、そうした要請はできません。
  有効な遺言として必要な様式には、規定の文言が含まれていること以外に次の事項が挙げられます。
(1)訂正箇所がないこと。もし遺言作成中に誤記が発生し書き直すことが不可能な場合には、修正液は使用せず、必ず2重線を施し、その上に正しい記述を行った上で修正箇所に作成者と立会人の署名を施すこと。
(2)文書によるもの。口述による遺言は無効。
(3)遺言作成者自身の署名があるもの。
(4)遺言作成者が署名を行う確たる意思があったと見受けられ、最低2人の同時立会人の下で行われた署名であること。
(5)最低2人の立会人の署名があること。受益者、または受益者の配偶者は立会人としては不適格。
  遺言の保管は作成者自身でも弁護士でも構いませんが、執行の際には原本のみ有効となりますので、原本の保管場所が常に分かる状態にしておく必要があります。
  また、遺言作成後結婚した場合、婚前に作成された遺言は一般にすべて無効となります。離婚は必ずしも遺言の内容すべてを無効にするものではありませんが、離婚した配偶者に関係するすべての項目は無効となります。したがって、結婚、離婚の際には遺言の再作成が必要となります。遺言の変更についても特殊な様式がありますので、弁護士に相談することをお薦めします。

 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

 

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