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青木 智子(あおき ともこ) ディ・リッツィオ&アソシエイツ法律事務所日本人顧客担当弁護士 NSW大学法学部/教養学部卒、NSW州弁護士/移民法コンサルタント 98年NSW州弁護士免許取得。日系法律事務所にて経験を積んだ後、2001年12月より現職。同時に移民法コンサルティング会社も経営しており、豪州の法律全般に対応できる若手プロフェッショナルとして幅広い顧客層より信頼を集めている。
NSW州では1984年に、異性間の事実婚上での権利義務を認識する制定法が施行されました。その後、1999年には同法律の事実婚の定義が広がり、同性間の事実婚も含まれるようになりました。 扶助手当て請求手続きについては、片方の当事者がその関係の子供の世話などで雇用機会を得られない場合や、それまでの関係に起因する事情により職場復帰がすぐにできない場合などに行うことが可能で、事実婚を解消して2年のうちに行われる必要があります。また、裁判所の命令が下されたとしても、子供が12歳(障害を持つ場合は16歳)になれば命令は自動的に失効します。雇用機会を得るまでの扶助としては、裁判所の決定から3年、あるいは事実婚の解消から4年、いずれか短い方で命令は失効します。いずれにしても、支払う方の当事者が支払能力がある場合にのみ有効な請求です。 財産分与に関しては、基本的に当該財産を築くこと、家庭を築くことに対する各当事者の貢献度に応じて、公正、かつ公平に分配されることとされています。「貢献」には財政的(直接的)貢献だけでなく、非財政的(間接的)貢献があり、どちらについても裁判所の考慮の対象になります。しかし、法律上、それぞれの貢献をはかる明確な尺度が設けられておらず、間接的貢献を主に行った当事者が結果的に得る分配率は、結婚した夫婦であった場合のそれと比較すると低いことが知られています。 また、結婚した夫婦が適用を受ける法律上では、裁判所が分配率を決定する際に過去の貢献度だけではなく、当事者の将来的な資金の必要性についても考慮されます。しかし、事実婚の当事者が適用を受ける法律上ではそうした将来的必要性については通常、考慮の対象になりません。 この通り、結婚と事実婚の法的な位置付けは差があるということが言えるでしょう。 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。 *オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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