会社案内|採用情報|お問い合わせ |
|
<< 日豪プレス何でも相談TOPに戻る
青木 智子(あおき ともこ) ディ・リッツィオ&アソシエイツ法律事務所日本人顧客担当弁護士 NSW大学法学部/教養学部卒、NSW州弁護士/移民法コンサルタント 98年NSW州弁護士免許取得。日系法律事務所にて経験を積んだ後、2001年12月より現職。なお、Di Lizio & Assciates Solicitorsは近日中に社名変更の予定。
しかし、婚姻関係の破綻の際には、配偶者の内どちらかの単独名義であっても、共同名義であっても、資産はすべて裁判所が分与の対象とする資産とみなされます。「資産」としては、結婚期間中に夫婦が形成したもののほかに、配偶者が婚姻前に所有していた資産、また、贈与、相続、懸賞金なども考慮されます。もちろん、どちらかの配偶者が経営する事業の評価額も資産とされます。 裁判所は財産分与を考慮する際に、 * 夫と妻が所有する資産とそれらのその時点での価値を定め、 * 配偶者それぞれがそれらの資産を形成するために貢献したこと * 将来的資金の必要性など について審査します。 資産形成のための貢献については、金銭的な貢献には直接的、間接的貢献があると考えられます。不動産について言えば、直接的貢献を不動産購入価格の支払いであるとすれば、間接的貢献とは日常的な食費や光熱費の支払いなどをさします。また、いわゆる「内助の功」は非金銭的な貢献として考慮されます。炊事、洗濯、掃除、養育、社交などがそれにあたります。 多くのケースで、主たる稼ぎ手となる配偶者と家事をあずかる配偶者の貢献度は同じであるとされていますが、結婚期間が比較的短い場合や、片方の配偶者の収入が非常に多い場合などでは例外を見ることもあります。 * 年齢や健康上の理由 * 就労機会を得ることの容易性 * 子供の養育義務やそのほかの扶養家族の有無 * 再婚や新たなパートナーの有無 などが考慮されます。 上述のとおり、例え資産がすべて夫の名義(あるいは夫が株主である会社の名義)になっていたとしても離婚の際には当然、妻である質問者にも権利はあります。ただし、それはあくまでも離婚の際に「夫が何を資産として所有しているか」がすべて妻の方で把握できている場合にのみ効果的な主張であり、資産が何か分からないのでは評価額の査定や調査もできず、当然、正当な財産分与ができるはずはありません。したがって、質問者の場合は少なくとも、夫の資産状況をいつも把握しておくことが大事であると思われます。 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。 *オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
|
|||||||
www.nichigo.com.auに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての著作権は日豪プレス社または寄稿者に帰属します。 なお、掲載内容の正確さには万全を期していますが、 広告の内容や信ぴょう性などに関する責任は負いかねますのでご了承ください。 |