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法律
 結婚1年後に別居を始めたので家庭裁判所でのカウンセリングを予約したのですが、家裁側の不手際で実際に受けることができませんでした。離婚を成立させるためにカウンセリングはどうしても必要でしょうか ? また、1歳の子供を日本で育てたいのですが、相手が承諾しなければ無理でしょうか ?
(30歳女性=主婦)

青木 智子(あおき ともこ)
アドバンス法律事務所

NSW大学法学部・教養学部卒、98年NSW州弁護士資格取得。前身のDi-Lizio & Associatesのシドニー・オフィスが4月よりアドバンス法律事務所としてスタート。


 確かに結婚が2年に満たない内に離婚を成立させたい場合には、申請資格を得る条件として、家庭裁判所でのカウンセリングを受けることが挙げられています。もちろん、こうしたカウンセリングの目的は関係修復の可能性があるか否かを夫婦が考える機会を与えることではありますが、結局は、夫婦双方の「関係がもはや修復不可能である」とする明確な意思がカウンセラーに伝わりさえすればカウンセリングは終了し、申請者は離婚申請資格を得ることになります。 

 カウンセリングを免除される場合もあります。例えば、夫婦のうちどちらかの居場所が不明であったり、特殊な事情(例えば服役中であるなど)で出席が事実上不可能であったりした場合、またどちらかがカウンセリングを受けることを拒否している場合、また修復の可能性が全くなく、カウンセリングが効を奏すことはあり得ないと思われる場合などが、カウンセリングの免除を受ける特例状況です。しかし申請者は当然、そうした特例状況が該当する旨を主張し、裁判所の承認を受ける必要があります。場合によってはそうした主張が承認されず、結局カウンセリングを強制され、余計に時間がかかったりすることも考えられます。したがって相談者はもう一度カウンセリングの手配を試みることをお薦めします。

 なお、オーストラリアで生まれた子供を日本で育てることについては、相手の配偶者の許可が得られないのであれば非常に困難です。たとえ日本にホリデーなどで一時的に帰国する場合であっても同じことです。子供がどちらかの親によって海外に連れ出される可能性があると認められる場合には、連れ出す可能性のある親と子供のパスポートをもう片方の親あるいはその弁護士が預かることが許可されることがあります。また、オーストラリア連邦警察の“Watch List”と呼ばれる出国不可能者リストに記載を要請することもできます。したがって、勝手に連れ出すことは不可能であると言えます。

 したがって相手の承諾を得るためには、“Relocation Order”と呼ばれる判決を得るため、裁判所で申請手続きを行うよりほかはありません。申請の中で海外渡航が必要な理由を明確にした上で、先方との交渉を行います。交渉が必ず成功するとは限りませんし、この申請にかかる法務費用も決して少なくはありません。また、交渉の末、片方の親がホリデーなどで子供を海外に連れ出すことが他方の親に承諾されたとしても、子供がオーストラリアに帰国することを確実にさせるために、渡航前に預託金を供出することを条件にされたりすることも珍しいことではありません。

 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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