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青木 智子(あおき ともこ) アドバンス法律事務所 NSW大学法学部・教養学部卒、98年NSW州弁護士資格取得。現在、アドバンス法律事務所にて活躍中。
この観点から、たとえ子供がオーストラリア籍であっても親の同国籍の有無で「親権」、あるいは子供の養育に関する命令が自動的に下ってしまうようなことはありません。また、親がオーストラリアの永住権を持っていれば「子供が親との関わりを保つ」ための命令を遵守するに必要十分であり、したがってオーストラリアの国籍の有無が通常の場合問題になることはないと思われます。 ただし、離婚に際し、オーストラリア籍を持たないご質問者が夫の意に反して子供とともにオーストラリア以外の国で生活したいという要望がある場合などには、オーストラリア国籍について裁判所は異なる見解を示すことも考えられます。オーストラリア以外の国がその子供の親にとっての「自国」である以上、オーストラリアに子供を連れて帰らなくなる可能性が高いと考えられるためです。いったんオーストラリア国外、特にハーグ国際協定の加盟国でない国(日本も含む)に連れ出された子供をオーストラリアに連れ戻すことは非常に困難であるため、それを未然に防ぐべく、裁判所が「residence order(子供と居住する命令)」を子供の国外退出を否定する当事者に単独で認めることが考えられます。もちろん、こうした命令も自動的に認められるようなことはなく、その命令を出すことによる子供自身への影響も含め、さまざまな周辺要素が考慮されますが、過去に否定する当事者の承諾なくして他方当事者が子供をオーストラリア国外に連れ出した具体例がある場合、あるいは将来的に連れ出す危険性が非常に高いと認識される場合などには、否定する当事者に対して「residence order」が単独に認められる可能性は高くなるでしょう。 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。 *オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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