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法律
  オーストラリア人の主人と離婚をする場合、1年間別居してからでないと離婚できないと聞いたのですが、本当ですか ? もし、別居1年後に離婚となると、日本に帰っていた場合はこちらに来て手続きをしないといけないのでしょうか ?
(32歳女性=主婦)

青木 智子(あおき ともこ)
アドバンス法律事務所

NSW大学法学部・教養学部卒、98年NSW州弁護士資格取得。現在、アドバンス法律事務所にて活躍中。


 オーストラリアの家族法(Family Law Act[Cth])上では、『婚姻関係が破綻し、修復不可能な状態であること』(irretrievable breakdown of marriage)であることが離婚を申請する際の唯一の根拠であると定められています。また、同法上の『責任不問』の原則(“no fault” principle)の下、離婚に至る実際上の理由や原因、あるいはいずれかの配偶者に対する責任所在については一切問われず、また、離婚を成立させるために両当事者が承諾する必要もありません。これらの点は日本における場合と大きく異なるため、当地で暮らす日本人にとって認識のずれが生じやすい点です。
 この『修復不可能な婚姻関係である』ことの立証義務は離婚申請の申し立て人が負い、その立証要件は同法上、『両当事者が申し立て日よりさかのぼって12カ月間継続して別居期間を経ていること』が唯一規定されています。12カ月の別居期間は継続的である必要はありますが、いわゆる『家庭内別居』も『別居』している状態であると認められ、したがって、さまざまな理由から同じ家に居住している夫婦の場合でも、互いの配偶者から完全に独立した生活を営んでいる場合には別居している状態として主張することは可能です。

 また、オーストラリアで離婚手続きをするための要件が満たされているかについても審査され、満たされるべき要件とは、申し立てを行う日(離婚申請書の提出日)にいずれかの配偶者が、@オーストラリア市民権保持者である場合;または、Aオーストラリアを本居とする場合;または、Bオーストラリアに在住する者であり、申請日よりさかのぼって12カ月間オーストラリアに在住していた場合、であることとされています。
 注目すべき点は、これらのうちいずれかの場合が、いずれかの配偶者に該当する状況を証明する必要がある点です。したがって、ご質問者の場合、夫がオーストラリア人であることを根拠に海外から申請を行うことは可能であると考えられます。
 ただし留意すべき点は、離婚手続きで自動的に財産分与や子供に関する取り決めが処理されることはなく、離婚申請とは別に申し立てを行う必要があるという点です。また、それらの処理においての申請要件は離婚申請の際の要件とは異なるものですので、離婚手続き自体以外の問題が介在する場合には必然的に当地に来ることになることも考えられます。また、離婚手続き自体においても子供が存在する場合には当事者の出頭が通常必要とされますので、この点についても事前の認識が必要です。
 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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