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法律
 9年前に豪州国籍の男性と結婚しました。日本で籍を入れ、1年日本で暮らしましたが、その後夫家族の事情により豪州で生活をすることになりました。日本滞在中は私の収入や貯金もあり生活には問題ありませんでしたが、来豪後は貯金を食いつぶす生活で、それから1年して私は1人日本に帰国しました。先日7年ぶりに夫から突然連絡があり、正式に離婚することを決意するに至りました。しかし夫は自分の居住地を明かさず、相手の居場所が分からないのに離婚ができるのかと不安です。
(35歳女性=日本在住)

青木 智子(あおき ともこ)
アドバンス法律事務所

NSW大学法学部・教養学部卒、98年NSW州弁護士資格取得。現在、アドバンス法律事務所にて活躍中


 離婚申請を行うためには、夫あるいは妻が:豪州国籍保持者であること:または、豪州を本居と見なし在住していること:または、豪州に過去12カ月間滞在していること、とする条件のうち、いずれか1つを満たす必要があります。したがって、ご質問者の場合、ご本人は日本に在住しておられても、夫が豪州国籍保持者であれば、豪州で離婚(代理)申請を行うことは原則的に可能となります。

 また、離婚申請は両当事者が共同で行うことも、いずれかの当事者が単独で行うことも可能です。単独申請の場合、裁判所に提出した書類を他方当事者に対して送達する義務を申請者が負うことになり、送達に関する要件は場合によっては複雑となり得ますが、そのほかについては共同、単独申請いずれの場合も基本的には同様の手続きとなります。
  また、子供が存在しないケースの場合、当事者の裁判所出廷は要求されませんので、ご質問者に子供がないということを前提にすれば、海外からの申請も受け付けられます。ただし、その際なぜ申請者自身が豪州国内で申請を行うことが不可能であるかの理由を宣誓供述書にて裁判所に提出する必要があります。
  ただし、離婚申請が行われている事実は当事者が認識していることが原則とされており、上述の通り、特に単独申請の場合、申請者が送達義務を果たしたことの証明が必要とされます。しかしながら現実には、ご質問者のケースのように相手側当事者の居場所が分からない、消息が不明であるといった状況も珍しくはありません。そのような場合には、その状況を裁判所に対して説明し、送達義務の免除を要請する必要があります。その要請には離婚に関する申請書類とは別の書類を作成、提出することになります。状況説明のためには、離婚申請を行っている旨の新聞告知を行った事実、被送達者が住んでいると考えられる住所、勤務していると考えられる職場、親戚、友人宅に書類を送付した事実の証明などを宣誓供述の形式で行う必要があります。 
  この送達義務免除申請は離婚申請書類と同時に提出しますが、送達義務免除申請は離婚申請とは別に審査され、この審査には通常書類提出後2〜3週間を要するため、離婚申請手続きのみの場合より若干手続き期間が長くなることがあります。
  したがってご質問者の場合、送達義務免除申請のための書類送付先は、豪州で生活していた時に住んでいた住所、夫の職場、親戚、友人宅などが考えられます。さらに夫が現在住んでいると考えられる州の新聞に告知を行うことも有効な証明方法となるでしょう。
  なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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