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青木 智子(あおき ともこ) ディ・リッツィオ法律事務所 NSW大学法学部・教養学部卒、98年弁護士資格取得。2006年7月よりDi Lizio & Assocaitesにて家族法、不動産および一般商取引法、民事・刑事訴訟法を主専門として活動中。 オーストラリアで離婚を申請する際に満たされるべき条件には、@合法的な婚姻(外国婚も含む)が存在していること、A壊れた夫婦関係がもはや修復不可能であると夫婦のうちどちらかが認識していること、B婚姻後2年が経過していること、C別居して12カ月が経過していること、D夫婦のうちどちらかが市民権あるいは永住権保持者、または過去12カ月間オーストラリアに居住していること、が挙げられます。 ご質問内容から推測するに、この方は上述条件のC以外は満たしていると思われ、その点がクリアされればオーストラリアの書式に従って離婚することは問題ないと思われます。Cについては、12カ月間の別居期間にはいわゆる「家庭内別居」も含めることができますが、その事実は離婚申請上での両当事者の宣誓のみに頼られることになるため、当事者どちらかが離婚を拒んでいる場合には実際的な別居が必要となることが考えられます。 ここで認識しておかなければならないのが、離婚と離婚にまつわるそのほかの諸問題(子供の養育プラン、財産分与、養育費など)は独立した申請であるということです。つまり、離婚の成立と同時にそのほかの問題が自動的に、あるいは裁判所などによって強制的に取り決められることではないということです。むしろ、先述の諸問題を裁判所で処理するには離婚成立後12カ月間内に手続きが開始されないといけないという期限が発生してしまうので、そのほかの諸問題は離婚申請の前、あるいは同時に行うべき申請であるとも言えます。 ちなみに、配偶者がオーストラリアに在住する限り、子供を日本で育てることについては、相手の許可が得られなければ非常に困難です。例え相手に養育能力がないと認められる場合であっても、どちらか片方の親と容易に面会できない状況に子供を置くことは「子供の持つ親に面会する権利」を剥奪する行為と考えられるため、特殊な事情がない限り海外はおろか、他州に移ることさえ認められないのが一般的です。日本にホリデーなどで一時的に帰国する場合であっても同じことです。 したがって相手の承諾が得られないのであれば“Relocation Order”と呼ばれる判決を得るため、裁判所で申請手続きを行うよりほかはありません。申請の中で海外での居住あるいは渡航が必要な理由を明確にした上で、先方との交渉を行います。判決は相手の申し出に大きく左右されることであり、さまざまな条件付きで出される場合がほとんどです。 この方のようなケースは決して珍しくありませんが、状況は千差万別です。一般的な法律情報ですべての解決を見ることはあり得ないと考えられ、また危険でもあります。したがって弁護士の具体的なアドバイスを受けることを強くお薦めします。 なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。 *オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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