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法律  


  1. 日本で結婚しましたが、オーストラリアで離婚できますか ?
  2. 結婚前に持っていた財産は全てそれぞれの持ち主に帰属するのですか ?
  3. 親からの遺産や贈与はそれぞれのものとされますか ?
  4. 日本に子供を連れて帰ったり日本で育てたりすることはできますか?
(35歳女性=主婦)

山本(青木)智子(やまもと ともこ)
ディ・リッツィオ法律事務所

NSW大学法学部・教養学部卒、98年弁護士資格取得。2006年7月よりDi Lizio & Assocaitesにて家族法、不動産および一般商取引法、民事・刑事訴訟法を主専門として活動中

 

今回は家族法手続きに関して頻繁に受ける質問をまとめたいと思います。
  1. 離婚するにはまず、結婚の事実がなくてはなりません。オーストラリアの婚姻法(the Marriage Act 1961 (Cth))により、外国で執り行われた婚姻については、当該国の法律に従って行われていればおおむね認められることになっています。したがって、当該国で禁じられた婚姻(例えば近親間の婚姻、重婚など)でない限り結婚の事実が認められ、もちろんオーストラリアの書式に従って離婚手続きを行うこともできます。
  2. 必ずしもそうではありません。結婚前の財産は、結婚時にそれぞれの所有者が貢献したものとされますが、年月を経るにつれ、その間に他方の配偶者もその財産の維持やその価値の上昇に直接的、あるいは間接的に貢献したとみなされるようになります。したがって、結婚期間が長くなればなるほど、結婚前から存在する財産については、その所有者を明確にすることの重要性が低くなっていきます。ちなみに、結婚期間の長短はだいたい5年が区切りとなっているようで、財産分与の際、5年以下の結婚では、結婚前の財産はすべて(あるいはほとんど)それぞれの所有者のものであるとされることが多いようです。
  3. これについても結婚前の財産の場合と同じ論理で、結婚が長くなればなるほど、どちらの配偶者が受け継いだ遺産あるいは贈与かという点は考慮されにくくなってきます。ただし、分与の対象となる財産に対する遺産(あるいは贈与)の割合によっては、財産を構築する上で他方の配偶者に比べて貢献度が高いと認められる場合もあります。また、遺産を受けた時期が別居直前であった場合などは、遺産は受けた本人にすべて(あるいはほとんど)帰属すると考えられるでしょう。
  4. 配偶者がオーストラリアに在住する限り、子供を日本で育てることについては、相手の許可が得られなければ非常に困難です。子供が自分の親と容易に面会できない状況に子供を置くことは「子供の持つ親に面会する権利」を剥奪する行為と考えられるため、特殊な事情がない限り海外はおろか、他州に移ることさえ認められないのが一般的です。日本にホリデーなどで一時的に帰国する場合であっても同じことです。したがって相手の承諾が得られないのであれば “Relocation Order”と呼ばれる判決を得るため、裁判所で申請手続きを行うことになります。申請の中で海外での居住、あるいは渡航が必要な理由を明確にした上で、先方との交渉を行います。判決は相手の申し出に大きく左右されることであり、さまざまな条件付きで出される場合が多く、例えばホリデーとして国外に出る場合にはオーストラリアに子供を戻すことを保証するため高額の預託金を相手側に預ける場合などがあります。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9283-7646)、または郵送で「日豪プレス編集部・なんでも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答は致しませんので、ご了承ください。
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