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山本(青木)智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys
NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativesのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している
最近立て続けに離婚申請の条件についてのご質問を受けます。当地での離婚手続きは日本におけるそれと概念的に全く異なるものですので無理もありません。
オーストラリアで離婚を申請する際に満たされるべき条件には、@合法的な婚姻が存在していること、A壊れた夫婦関係がもはや修復不可能であると夫婦のうちどちらかが認識していること、B婚姻後2年が経過していること、C別居して12カ月が経過していること、D夫婦のうちどちらかが市民権あるいは永住権保持者、または過去12カ月間オーストラリアに居住していること、が挙げられます。
当地での離婚申請は両当事者が共同で行うことも、いずれかの当事者が単独で行うことも可能です。ただし、離婚申請が行われている事実を両当事者が認識していることの確認が裁判所に義務付けられているため、単独申請の場合には裁判所に提出した書類を他方当事者に対して送達する義務を申請者のみが負うことになります。送達に関する要件は法律上規定されており、その要件をどのようにして満たすかは場合によるため、この場で具体的な方法を示すことはできません。送達義務を満たすことを除いては、共同、単独申請いずれの場合も基本的には同様の手続きとなります。
上記で2番目に挙げた条件については、「修復不可能」である事実のみが条件であり、どちらか片方の非を明確にしたり立証したりする条件や義務などはありません。つまり、オーストラリアで離婚する際には、離婚に至った原因は追求されないということです。また、このことは「慰謝料」や「賠償金」などという概念を払拭するに至り、そのような目的の金銭の支払いを相手に要求することはできません。また、修復不可能であると夫婦のうち「どちらかが」認識していればこの条件は満たされるわけであり、両者の意見が合致している必要はありません。オーストラリアでの離婚はあくまでも「申請」であり、「届出」ではありませんので、そうした認識を申請者が持っていればこの条件は満たされることになります。
ご質問者の場合、3番目の条件が満たせるかどうかがご質問からは不明ですが、もしも結婚歴2年に満たない場合には、マリッジ・カウンセラーからの意見書が提出されることによって申請手続きが問題なく進められる場合もあります。ただし、これはあくまでも両当事者が離婚に賛成している場合のみ可能な方法であり、ご質問者の場合には、結婚が成立してから2年が経過するのを待つしかないことが予想されます。
なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。